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モニカさん達からも信頼のおける相手
しおりを挟む「どうしたのリクさん?」
「アンリさんの事、というかルギネさん達にも関係ある事なんだけど……」
そう前置きをして、モニカさんにアンリさんをクランに誘った事を伝えた。
リリーフラワーというパーティとしては、リーダーのルギネさんが承諾する必要はあるけど、アンリさんもグリンデさんも参加意思があるという確認は取れた事もついでに。
それと、勝手に決めて勧誘した事も一緒に謝っておく。
クランの元になるのは、忘れそうなくらい口に出す機会のない「ニーズヘッグ」という俺達のパーティだから、その一員であるモニカさん達には前もって相談しておいた方が良かっただろうし。
俺がリーダーを任されているけど、だからって全て独断で決めていいわけじゃないからね。
……まぁ、そのパーティ単位での活動自体も、あまり多いとは言えないんだけど、これからだよね。
これまでは帝国関連の事で立て込んでいただけで、それが終わればゆっくりとでも。
そういえば、少しくらいのんびりしたい、と思ってセンテに来たのに結局のんびりできていないなぁと、今更ながらに気付いた。
「リクさん、どうしたの?」
「あぁいや、ごめんなんでもないよ」
のんびりするつもりが、大きな事件に巻き込まれた事を考えてゲッソリしていたら、モニカさんに心配そうに見られてしまった。
誤魔化すように、首を振っておく。
「そう? 何もないのならいいんだけど。でも、リリーフラワーのメンバーをねぇ」
「ごめん、勝手に決めちゃって」
ボーっとした目で、何かを考えているのかすらわからない様子のミームさん、それから主にグリンデさんがくっ付いて離れないルギネさん達。
それらの人達に視線を送って考える仕草をするモニカさん。
事情を話している時にも謝ったけど、もう一度モニカさんに謝っておく。
「いいえ、それは気にしなくていいのよ。今回のセンテの事があって実力的にも、人間的にも……一部はどうかと思うけど、信頼できると思うから。リクさんが今誘っていなくても、いずれはどこかで誰かが誘うか、それともギルド側がクラン員として推薦していたと思うわ」
「まぁ、確かにね」
センテでも活躍したリリーフラワーの人達は、ヘルサルでマックスさんや元ギルドマスターさんのもと、冒険者としての心得や訓練を叩きこまれている。
途中かもしれないけど、ともかく冒険者ギルドとしてもマックスさん達とのつながりもあって、覚えも悪くないだろう。
それに加えて今回センテでは、常に最前線で魔物達と戦っていたみたいだからね……冒険者の遊撃隊としてモニカさん達の援護もしてくれたし。
俺じゃなくても、他の誰かが勧誘……前からの知り合いのソフィーあたりがしていた可能性はあるし、ギルドが推薦していたかもしれない。
一番重要視していて、モニカさんもマティルデさんに伝えている、人となりに関しても問題ないからね。
まぁ、くっ付いて離れないグリンデさんと、なんだかんだで受け入れているルギネさんの二人を、呆れた目でモニカさんが見ているように、人の目がある状況でも構わず色々が色々な状況になりかけているのは、どうかと思うけど。
そこはとりあえず、クランに入ってくれたら注意しておこう。
他の人の目の毒になりかねないから。
「だからまぁ、私は反対しないわ。フィネさんも特に気にしないでしょうね。ソフィーは……まぁちょっとだけ反発するかもしれないけど」
「俺はむしろ、今回の事がなかったらソフィーが誘うと思ったんだけど……」
「んー、いずれはリクさんの言う通りそうなっていたかもしれないけどね。まぁ急に仲間になるかも、と言われたら驚くものよ」
「確かに驚くのはわかるけど」
ともかく、ソフィーにはソフィーの考えがあるって事だろう。
そういうわけで、モニカさんにも話したし放っておいたままになっているミームさんに向き直って、本題に入った。
今話していた、クラン加入に関しての事だけど。
「ミームさん、アンリさんとグリンデさんにはもう話してし了承してもらっているんですけど……」
俺が作るクラン、の事はもう知っているらしいから、アンリさんやグリンデさんの事も交えて説明。
さすがにアンリさんの暴走の事とかは、本人から聞いた方がいいだろうから、俺からは言わなかったけど。
他に、まだアンリさんに言っていなかった帝国との事を、戦争への参加をする可能性と、その際にできる限り魔物や帝国の冒険者を相手にするような動きが求められる。
などの事を伝えた。
グリンデさんとルギネさんは、くっ付いたままだけど一応話を聞いてくれているみたいだ……モニカさんが壁になっているので、目を向けても見えないからどうなっているのかわからないけど。
モニカさんが見せたくないと思う事なら、見ない方がいいんだろう。
「そういうわけで、冒険者が集まって協力するというのはもちろんですけど、ただ冒険者ギルドの依頼を受けるだけってわけにもいかないクランになりそうなんです。アンリさん達の意思は確認していますけど、一応パーティメンバーとして皆で話し合って決めてください。断っても構いません。参加は自由意思ですから」
とはいえ、アンリさんとしては参加しなければという状況なので、これを言うのは卑怯かもしれないけども。
でも本当に断られたとしても、俺がリリーフラワーのメンバーを悪く思う事はないと決めている。
戦争に、というのもそうだし、冒険者はある程度自由に動くものだからね。
「ん、わかった。取り込み中のルギネに代わって、私が承っておく。皆と干し肉を食べながら相談して、決める」
相変わらず、干し肉に対してよくわからなこだわりがあるらしく、言葉の中に混ぜるミームさん。
いやまぁ、ただの話し合いだからお腹が減らないよう、干し肉なりなんなり食べるのは自由だからいいんだけどね。
「でも一つだけ、いい?」
「うん、答えられる事なら答えるよ」
ここにいるのにミームが代わりになるなー! なんて、グリンデさんによって部屋の隅に追いやられたルギネさんの声がするけど、まともに話せないのでそちらはスルー。
ともかく、ミームさんも気になる事があるみたいだ。
「美味しい肉、ある?」
「……えっと、あ、あるんじゃない、かなぁ?」
気にするのそこなんだ。
もっと他の……いや、ある意味ミームさんらしいか。
予想していなかった質問に戸惑ってしまったけど、とりあえず頑張れば美味しいお肉も食べられるだろうという事で、ミームさんは納得したようだ。
有事の際はともかく、何もない時は基本的にそれぞれ自由に食事をと考えていたけど、クランメンバー全員で食事をする機会とかもあるかもしれない。
何か美味しい肉を用意したり、美味しく調理する方法とかを考えておかないとかな?
腹が減っては戦ができぬ、とも言うからね。
皆で食事をすると、それだけお互いに親しくなれる機会も作れるわけでもあるし、それもいいのかもしれない。
はっ! もしかしてミームさんは、この事を遠回しに伝えるために……!? 考え過ぎか――。
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