神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,552 / 1,955

ヘルサルでヤンさんと合流

しおりを挟む


「リク様ー最高!」
「「「「「最高!!」」」」」
「最強!」
「「「「「最強!!」」」」」

 俺の言葉は聞こえないようだし、盛り上がっているので止めるに止められない。
 なんだろうこれ……誰かが大きく言葉を発したら、他の冒険者さん達が追従するように復唱。
 それが何度も続いていく……。

「もう、いいや……はぁ」
「ふふ、うふふふ……」

 諦めて、溜め息を吐く俺を見て、さらに笑うモニカさん……そんなに面白いかな? これまでになかった反応だからかもしれないけど。
 そのまま、体感で十分から二十分程、ヘルサルが近くなるまでの空の旅の間中、冒険者さんからの賛辞の合唱が続く。
 俺は、隣で面白そうに笑うモニカさんの声を聞きながら、ただただ恥ずかしくて縮こまる。

 ま、まぁ、モニカさんが楽しそうだから良しとしよう、なんて自分を無理矢理納得させていた。
 ある程度知ってはいたけど、冒険者さん達って陽気な人が多いんだなぁ。


「はぁ、ようやく終わった……」

 冒険者さん達による、よくわからない盛り上がりがありつつも、無事ヘルサルへ到着。
 ヘルサル東門前でエルサから降り、他の冒険者さんが降りて来るのを待ちながら、溜め息を吐く。
 冒険者さん達を運んで来る事は、昨日既に伝えていたので衛兵さん等々が待っていてくれて、センテ出発前と同じように、エルサに梯子がかけられている。

「お疲れ様、リクさん」
「モニカさん、ずっと笑っていたよね?」
「……なんの事かしら?」

 俺と同じく、エルサから降りたモニカさんが労ってくれるけど……ジト目で見返すとそっぽを向いて知らんぷり。

「止めようともしてくれなかったからなぁ、モニカさん」
「だ、だって、リクさんはあれどころではなく賛辞を贈られるほどの事をしているのに、リクさん自身は全然気にしていないんだもの。リクさんらしいとは思うけど、そんなリクさんが冒険者から言われて、照れているのが可愛くって……」

 さらにジト目を続けて追及すると、視線どころか顔を逸らしたまま白状するモニカさん。
 まぁ、白状も何も冒険者さんを止めずに笑っていたのは、間違いない事なんだけどね。

「可愛いって……笑ってたから、おかしいかったの間違いじゃないのかな? まぁ、いいけど」

 男に対して可愛いは誉め言葉では……人によってはあるのかもしれないけど、少なくとも俺はあまり嬉しくない。
 でも、モニカさんから可愛いと言われるのは、他の人に言われるよりもなんとなく嬉しい……ではなく、結構気恥ずかしさを感じた。
 本当にモニカさんがそう思っているかはともかく、訂正を入れつつも気恥ずかしさが勝り、これ以上の追及を止める。
 追求して本気で責めたいわけでもないからね。

「っと、そうだ。――すみません」
「はっ、なんでしょうかリク様!」

 誤魔化すように、というか思い出した事があったので、近くにいた衛兵さんを呼び止める。
 こちらを向いた衛兵さんは、直立して命令を待つかのようになった。

「大した用でもないですし、そこまで緊張したり畏まらなくていいですけど……キューって用意できますか?」
「は、キューですか。了解いたしました、すぐに用意いたします!」
「あ、そんなに急がなくても……行ってしまった」

 命令というかお願いだしとりあえず聞いてみよう、というくらいだったんだけど、すぐに敬礼して走り去っていく衛兵さん。
 エルサにご褒美でおやつのキューを、と思っただけだから急いでいるわけじゃないんだけど……まだエルサからは、冒険者さんが全員降りたわけじゃないし。
 小さくなってからじゃないと、キューの消費が多いからなぁ。

「あの様子だと、大量に持ってきそうな気がするんだけど、モニカさんはどう思う?」
「そうね、リクさんの言葉だと凄く真剣に受け止めていたっていうのは、すぐに走って行ったのを見ればわかるわ。多分、持てる限りのキューを持って来るんじゃないかしら? それか、他の人も動員するとか……」
「さすがに、そこまで大量に用意されてもね……エルサなら喜ぶだろうけど、これからまだ冒険者さんを運ばないといけないし。はぁ、先に数を伝えておけば良かった」

 気になってモニカさんに聞くと、俺と同じ予想だった。
 とはいえ、エルサにご褒美をあげるといっても多過ぎると満腹になってしまうし、食べ過ぎるとエルサが動くのも難しいからね。
 ……いつも、食後に仰向けになって大きくなったお腹を晒しつつ、転がって動けなくなっているのを見ているし。
 仕方ないので、別の衛兵さんにさっき走って行った人を追いかけて、数個のキューを用意して欲しいと伝えるようお願いした。

 俺が追いかけてもいいんだけど、そうするとこの場を離れないといけなくなるからね。
 待っている人がいるから……そろそろ来るかな? あ、いた。

「リクさん、お疲れ様です」 
「運んで来たのはエルサですからね。ヤンさんこそお疲れ様です」

 待っていたのは、ヤンさん。
 門から出てきたのを俺が発見すると同時、向こうもこちらを見つけて駆け寄り、声をかけられる。
 ヤンさんからの労いの言葉に苦笑で返す……まぁ、身体的には確かに疲れてはいないけど、冒険者さん達の大合唱で、精神的にはちょっと疲れた気がしなくもないけど。

「センテからの冒険者第一陣として、二十人です。ワイバーンの方は……あぁ、もうしばらくしたら到着しそうですね」

 遠目に、冒険者さん達を乗せたワイバーンの群れが、ヘルサルに向かっているのが小さく見えた。
 大体あと数十分くらいで到着するだろう。

「あとこれも……ベリエスさんから、今回センテから移動してきた冒険者さん達のリストです」
「ありがとうございます。確認しますね。――冒険者ギルドヘルサル支部、ギルドマスターのヤンです! センテにいた皆様とは何度も顔を会わせましたが、一応確認させて下さい。エルサ様から下り次第、こちらへ!」

 そう言って、大きなままのエルサから梯子を使って続々と降りて来る冒険者さんを誘導するヤンさん。
 確認というのは大した事ではなく、冒険者カードや人数などの確認だ。
 ベリエスさんから受け取ったリストと照合し、間違いがないかを把握したうえで、ランクなどに合わせて森の魔物討伐の依頼を出す予定。
 そのため、リストが間違っていないか、ちゃんと冒険者さん達が揃っているかなどの確認が必要らしい。

 あと、ヤンさんもセンテでの戦闘に参加していたため、センテにいた冒険者さん達は全員ヤンさんの事を知っているけど、ヤンさんが全員の事を全て把握しているとは限らないからね。
 まぁ大体はギルドマスターとして、ベリエスさんと一緒に管理していたから顔や名前、ランクも知っているようだけど……主な管理はベリエスさんだったから。
 ヤンさんはヒュドラーの時に魔法鎧を着たように、前線で戦ってもいたから、あの時センテにいた冒険者さん全てを把握とまでは行っていないようだ。
 他にも、ヤンさんに遅れて到着したギルド職員さんに、覚えさせる意味もあったりするとか……まぁ何はともあれ、しばし確認作業だね――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...