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なんとなく理由の一つはわかったかも
しおりを挟む「もしかしてだけど、最後はレムレース自身がバラバラになっていたから、とかはあり得るのかな? リーバーや仲間になってくれたワイバーン達もそうだけど、魔力がある限り再生するでしょ?」
「ガァゥ」
復元されたときに施された何かによって、リーバー含め協力してくれるワイバーン達は、部位欠損すら再生する能力を持っている。
もちろん、一撃で致命傷というか命を刈り取るような攻撃を受けて、再生どころか蘇生するような事はないみたいだけど。
その代わり、特殊な指揮官機……もとい、群れを率いるリーバーを除けば魔法が使えなくなっている、という短所もあるんだけど。
「……あんまりリーバー達を例に考えたくないんだけど。再生する時にさ、バラバラになったらどれが再生するんだろうってね?」
魔物であり、再生能力を持っているからこそ聞ける話。
協力してくれて、こうして話し相手にもなってくれるリーバー達で想像するのは、嫌だけど……とはいえ、敵対したワイバーンに対してユノと色々やっちゃった事があるのは、今は頭から追い出しておく。
俺がロジーナに隔離される前の調査段階で遭遇したワイバーンだね。
言い訳だけど、あの時はユノにつられて興味とかで色々やっちゃった感が強い。
ワイバーンが味方になって、しかもこうして親しく話すようになるとは思っていなかったってのもあるけど。
「ガァ?」
「えっとつまり……」
首を傾げるリーバーに、考えていた詳細を伝えてみる。
要は、バラバラに……というか均一に斬り裂かれた体、ギリギリ生きている状態という、再生能力があるからこその状況になった時、再生するのはどの部位からか、という話だ。
もちろんリーバー達には、内臓があるのはわかっているし、脳とか心臓とか、それらがある部分が再生するんだろうけど。
脳や心臓を切り離せば、それだけで再生能力があったとしても即死だから、当然そこは一緒に残っているようにしないといけないし。
ただレムレースは、そういった内臓器官という物はない。
生物と言えるのかも怪しい、魔力の塊だから。
実際に、何度斬り裂いても、レムレースの体内に何かがあるような感覚は一切なかったからね。
だったらその場合、脳や心臓もないわけで……最後の瞬間、魔力吸収ができなかった時に複数の小さな黒いもやに別れていたレムレース。
どこから音を発しているのかわからないけど、その場合は魔力を吸収したとしてどの部分がどうやって再生して復活するのか、という疑問だ。
それぞれの黒いもやが、魔力によって復活するならそれこそ、分裂と同じような状況になって数が増えてしまう恐れだってあったわけだから。
考えていてなんだけど、分裂とかそういった数を増やす方向での性質がなかったのは、良かったと思う。
ヒュドラーもそうだけど、どれだけ斬り裂いてそれが再生されても、一体は一体で増えたりしないから。
細胞分裂みたいに増えちゃうと、それこそ今回もヒュドラー戦でも、もっと苦しい戦いになっていたし、場合によっては討伐不可で逃げるしかなくなっていた。
……まぁ通常ではレムレースそのものが、一体でも討伐不可と言われているみたいだけど、それは気にしない。
「ガァ……ガァガァガァゥ?」
「ふむふむ……」
細かい事はわからないけど、身振りも含めて伝えてくれるリーバーの話によると、多分どの部分から再生するのか混乱するかも、という事だ。
混乱というのは、リーバーが口を開けて頭をフラフラさせていた仕草からの判断だけど、多分間違っていない、聞き返したら頷いていたし。
それはともかく、ワイバーン達はもちろん重要な器官がある部分から再生するとリーバーが言っていたけど……復元の時も、基本的には内臓とそれを保護する部分から復元されていくらしいし。
ただレムレースの場合、どの部分もレムレースにとって重要であり切り離せる部分で、優先度に違いがあったりしないようだ。
だから、どの部分から再生したらいいのか混乱し、結果として魔力を吸収せず復活できなかった、という事かもしれない。
「それが全てで、しかも例が少ないから確定とは言えないけど……間違ってないかもね。ありがとうリーバー、おかげでなんとなくわかって疑問が晴れたよ」
「ガァゥ~」
確実にこれだ! という考えと断定はできないけど、当たらずとも遠からず……要因の一つの可能性が高い気がする。
リーバーを改めて撫でて、お礼を伝えると喜んでいるようだ。
尻尾がビタンビタンと地面を叩いていた、可愛い奴め。
……俺よりでっかい体で、爬虫類系の見た目だし元々あまり興味がなかったけど、こうして親しくしてると愛着が湧くよね。
「さて、リーバーと話していたおかげで休憩もできたしっと」
腰を上げて立ち上がり、呟きながらお尻をはたく。
疲労は感じるし、まだ少し体が重いのは魔力が万全じゃないからだろう。
「ガァゥ?」
リーバーが乗る? とばかりに背中を向けてくれる。
「うーん、もう少し魔物を倒したい気もするけど……疲れてはいるし……」
その背中を見て、ちょっとだけ考える。
まだまだ戦えるし、単純な体の疲労に関してはヒュドラー戦の時より全然マシだから、森での魔物討伐を続けられる。
けど、レムレースとの戦いで結構時間が経っちゃっているし、当初考えていた予定より早いけど引き上げるというのも選択肢の一つ。
これから魔物を倒しながらヘルサル側に抜けようと思うと、深夜になるだろうし……。
というか、長い戦いをしていたのに、俺を追跡するようにしてもらっているはずの、魔物回収班が来ないね。
レムレースとの戦闘中も、近付いてくる気配とかなかったし……多分巻き込まれたりはしていないとは思うけど。
「……どうしようかな。回収班の人達が魔物と遭遇している可能性もあるし、していないわけないとは思うけど、様子を見るのも必要かも……」
レムレースと戦った場所は、かなりの広範囲で荒野になっているけど、それまで魔物を倒してきた場所は他の魔物が来る可能性はある。
森の深くまで来ているから、回収班の人達だって魔物と遭遇していておかしくないし、していて当然ともいえるからね。
どうせなら、ここに来ない理由を調べるのも含めて、来た道を戻る選択肢も浮かんでしまった。
なんいせよ、リーバーに乗って帰る以外だと戻りが遅くなってしまう可能性が高いけど……。
「ガァゥ?」
「んー、ごめんリーバー。せっかくだけど人も関わっている事だし、一度来た道を戻って……ん、あれは?」
考えるばかりの俺に、乗らないの? とばかりに声をかけるリーバー。
それに謝りつつ、一度回収班の兵士さん達の様子を見る方が優先度が高いと考え、断ろうとする。
魔物と遭遇して苦戦しているようだったら、助けないといけないからね……倒した魔物の回収は俺が頼んだ事だし、人命に関わる。
そう思っていたら、ふと空から影が。
「ガァ、ガァガァ」
俺と共にリーバーも空を見上げて、翼をバッサバッサと動かしていた――。
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