神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,590 / 1,955

リーバーと話しながら休憩

しおりを挟む


「結構、俺自身もぎりぎりだったんだなぁ。魔力が多いからって、絶対的な防御ってわけでもないし……」

 まぁ、おかげで深い傷はなく、ほんの少し血がにじむ程度の怪我がいくつかあるって程度で済んではいる。
 けどそれだって、直撃を避けて対処を続けていたおかげだからね。
 なんとなく、これは危ないとか感覚でわかるようにはなった、というのはこのレムレース戦での収穫かもしれないけど……過信は禁物って事だ。
 とはいえ、レムレースくらいの強力な攻撃をしてくる相手なんて、そうそう戦う事はないだろうけども。

「攻撃自体は、ヒュドラーの方が強力だったかな。あっちは避けやすかったけど……おっとそうだ。おーいリーバー!」

 なんて呟きながら、いつの間にか頭上の高い場所に戻って来ていたリーバーに向かって、手を振りながら呼びかける。
 俺が見下ろせる場所で待機、というの忠実に守ってくれているんだろう……かなり小さく見えるけど、先程のレムレースが発した音によってフラフラとしていた影響はほぼなく、元気に飛んでいるように見える。

「って、ここから邪声は届かないかな? あ、気付いたみたいだ」

 おそらく、俺が呼ぶ声ではなく手を振っているのが見えたんだろう。
 周囲に木々がなくて見やすいおかげだと思うけど、とにかくリーバーがゆっくりと高度を落として来てた。

「こっちこっち! 降りて来てもいいよー!」
「ガァ!」

 大分高度が落ちて、声が届くくらいになったあたりで俺から降りてくるよう伝える。
 リーバーからも返答があり、しばらくして俺のすぐ傍へと着陸した。
 真っ直ぐ降りて、そのまま着陸できるのは、魔力を使っているとかその辺りはともかくとして、自力で飛んでいる生き物としての利点だよね。
 俺の知っている飛行機だと、離着陸には十分な滑走路を走らないといけなかったし……似たような事ができる一部の戦闘機やヘリでも、周囲は音や風が凄いらしいし。

 なんて、降りてきたリーバーを見ながら、益体もない事を考える。
 あぁこれ、自覚している以上に疲れてるっぽいな俺……。

「ご苦労さん、リーバー。結構長い間戦っていたけど、そっちは大丈夫だった?」
「ガァ、ガァウガァ!」

 羽や足を使って、何やら主張するリーバー。
 はっきりとはわからないけど、多分リーバーのいる空にも流れ弾的な魔法が飛んで行ったり、あの不快な音が聞こえたって事のようだ。
 確認するために聞いてみたら、頷いていた。

「だから、あんなに高く飛んでいたんだな」
「ガァゥ!」

 魔法にうっかり当たってしまわないよう、音も届かないくらい高い場所を飛んでいたんだろう。
 変になんとかしようと、降りて来ていたら俺もそちらに意識を取られていたかもしれないし、悪くない判断だと思う。
 まぁ、危険だと思ったら離れて避難していても良かったんだけどね。
 それだけ、俺の言いつけを守って空にいてくれたと思うと、感謝の気持ちが湧いてリーバーの体を優しくなでた。

「……はぁ、モフモフが恋しい」
「ガァゥ……」
「あぁごめんごめん。リーバーが悪いわけじゃないから。これだって、ツルツルしててちょっと面白いよ」

 撫でていたら、思わず口をついて出た言葉にリーバーが申し訳なさそうにする。
 いつも撫でるといえばエルサのモフモフなので、ついつい言ってしまったのを反省。
 リーバーに謝り、改めてツルツルした硬いうろこの感触を確かめるように撫でた。
 これはこれで、戦闘で火照った体にはひんやりしていてちょうどいいかも……リザードマンみたいに湿っていたら別だけど、そうじゃないし。

「そういえば、なんで最後レムレースは魔力が吸収できなかったんだろう?」
「ガァ?」
「いや、えっとね……」

 リーバーを撫でながら、疑問にだったレムレースに話す。
 エルサの通訳がないため、細かい事をリーバーからの意見とかわからない可能性が高いけど、こうして話すだけでも俺の中で整理がついたりするからね。
 ……結局わからないって結論になる事もあるとは思うけど、休憩も兼ねている。

「リーバーにも聞こえたと思うけど……」
「ガァガァゥ」

 あの不快な音、魔力を吸収するために大音量で周囲に撒き散らされていたあれは、リーバーにも聞こえていたそうだ。
 そのため、リーバーも音から逃れるように高度を取ったとか。
 まぁ最後のはこれまで以上の大音量で、リーバーにも届いたからちょっとだけ離れたみたいだけどね……俺が見ていた通りに。

「それで最後は、音だけで魔力は吸収されなくてね。それで、倒せたんだけど」

 音と共に魔力を吸収するはずなのに、その音が発せられても吸収されなかったのはなぜなのか。
 リーバーにもその時やそれまでのレムレースの状況も含めて、話してみる。

「ガァ、ガァガァゥ」
「あー、あれは俺がやったんだけど……」

 リーバーが身振りも含めて鳴き声で主張するのは、俺が放った魔力弾。
 それで何かしらの影響がレムレースに残ったんじゃないか、と言いたいらしい。
 うーん、確かに魔力弾は以前、ロジーナと戦った時にロジーナの攻撃を吸収しながら突き進んだけど、直撃はともかく、なんども触れているロジーナ自身には、その後に何も影響がなかった。
 干渉力を使っているらしい攻撃は吸収したけど、ただそれだけ。

 どうして吸収するのかはわかっていないけど、あの魔力弾がその後に何かしらの影響を残すようなものとは、思えないんだよね。
 それだと、一番初めにエルフの村近くの森で出会ったアルセイス様、その時に試されて初めて使ったものだけど……その後の影響、後遺症のようなものを残すんだったら使わせなかっただろうし。
 ……アルセイス様、あの時直撃したからね。

「ガァゥ、ガァ! ガァゥ!! ガァ?」
「えっと、段々音が大きくなっていったって事かな? 成る程、それは確かに……」

 俺が首を振って、魔力弾の影響はおそらくないだろうと伝えると、今度は段階的にリーバーが鳴き声を大きくして主張。
 レムレースの魔力吸収のために発生する音が、回を重ねるごとに大きくなっていっていた事に着目したみたいだ。
 確かに、最初に発見した時、戦っている最中に魔力吸収をされた時と、考えてみれば大きくなって行っていた気がする。
 近くで耳を塞いでいたし、音の大きさについてはあまり考えていなかったけど、空を飛んで離れていたリーバーはわかりやすかったのかもしれない。

「体感的には、音が大きくなっていっても魔力吸収が早まった、とまでは感じなかったし……なんで音が大きくなったのかわからないね。でも、それだったら最後に一番大きな音を発していたのに、魔力吸収ができていなかった理由にはちょっと遠いかな」
「ガァゥ……」
「気にしないでリーバー。こうして一緒に考えてくれるだけでありがたいから」

 音の大きさは、魔力吸収となんらかの関わりがある可能性は高いけど、それでも魔力が吸収されなかった理由とはまた違う気がする。
 否定ばっかりしてしまい、落ち込んでしまったリーバーを撫でて慰める。
 いけないいけない、せっかく一緒に考えてくれるんだから否定ばっかりされたら、落ち込んじゃうよね。
 俺も、何か意見を出さないとね――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...