1,604 / 1,955
門に集結する冒険者達
しおりを挟む「でも、いつもあれだけ食べていると、大変じゃないですか? 支払い、大変そうでしたし」
モニカさんが、アマリーラさんに聞く。
食べたのだから、その分はちゃんと払う……と、俺だけでなくモニカさんもその様子を見ていた。
マックスさん達は、気持ち良く食べてくれたし、俺やモニカさんの知り合いだからと遠慮しようとしたけど、そこはきっちりするのがアマリーラさんらしい。
俺に対してとか色々あるけど、最初に会った時のイメージから生真面目そうというのは、間違っていないみたいだ。
「そうですね、獣人には私くらい食べる者もよくいるのですが……」
「よくいるんですね……それはまた」
アマリーラさん曰く、大食いなのは獣人では多くみられる事のようで、むしろ小食なリネルトさんがかなり珍しいらしい。
それはともかく、今日は獅子亭の料理が美味しかったから特に多く食べたらしいけど、当然食べる量が多くなるとそれだけ食費がかかる。
大食いなのは主に、戦闘ができる獣人に多いらしく、そのため食費を稼ごうと冒険者や傭兵になる理由の一つだとか。
特に傭兵は、シュットラウルさんのような貴族、他に軍属の人に雇われると多少なりとも食事が出るため、食いっぱぐれがないとかなんとか。
それでも、大量に食べるとなるともちろん自費の部分が多くなるみたいだけど、それでもないよりはかなり助かるみたいだ。
……食べるために傭兵って、間違ってはいないけどあの積まれたお皿の量を見ると、何か間違っているような気がしなくもない。
気のせいだろうとは思うけど。
「獣人は魔法を使う者は多くありませんが、その代わり身体能力に優れています。そのため、食べるために優れた働きをするのです」
「食欲はぁ、獣人にとって原動力の一つですからねぇ」
という事らしく、人間以上に強い食欲を満たすため、優れた身体能力を生かして成果を上げる獣人は多いとか。
そのため、冒険者で言うとAランクとまでは行かなくともBランク相当になって、多くの報酬を得たりする事も多々あるとか。
Bランクは一人前以上の活躍と報酬が期待できるし、依頼によっては多くの報酬を得る可能性も出て来るけど、そのほとんどが食費になるんだろうな。
傭兵としても、Bランク相当の実力ならかなり優遇されて、報酬も高く雇ってくれるだろうし……詳しくないけど、軍で言うと最低限小隊長以上、中隊長クラスでもおかしくないとか。
ちなみに、アマリーラさんとリネルトさんは実力が冒険者に照らし合わせると、Aクラス相当とされているため大隊長クラスの扱いだったらしい。
シュットラウルさんという貴族直属というのもあって、かなり稼いでいたんだろう……獅子亭での支払いも、俺なら十日以上の食費になりそうな額を、問題なく支払っていたようだし。
まぁそんなこんな、獣人のちょっとした内情のような話を聞きつつ、俺達六人は連れ立ってヘルサルの東門へ到着。
そこでは、さっき話していたヤンさんが多くの冒険者を前に、話をしているところだった。
「決しては無理はせず、危険と感じたら離脱する事。これだけの冒険者が森に入るのです。近くに他の誰かがいる事も多いでしょうから、そちらに助けを求めるのでも構いません。また、絶対に単独での行動は控えるように。無茶をして成果を得ようとしても、帰って来れなくなればそれらは全て意味がなくなります。魔物を討伐し、その報酬を受け取ってこその冒険者です……」
などなど、森に入るうえでの諸注意などを伝えているようだ。
要約すると、無茶をせず、もしもの時は魔物から逃げても構わないし、他の冒険者に助けを求める事。
一人で行動せず、絶対に二人以上で行動し、周囲の警戒を怠らずという事みたいだ。
多少の怪我をするくらいならともかく、死んでしまえばせっかく頑張って魔物と戦っても、報酬を得るどころではないから当然とも言える注意だね。
あ、話を聞いている人達の中に、ソフィーとフィネさんがいる……他にも、ルギネさん達リリーフラワーのメンバーや、トレジウスさん達のパーティもいた。
センテにいた冒険者さん達の多くはここに集まっているようで、さらにヘルサルで見知った冒険者さん達もいる。
見た事がない人もいるけど、他の街などから駆け付けた冒険者さんだったり、俺と顔を会わせなかっただけの人もいるんだろう。
総勢で、約二百人近くの人が真剣な表情でヤンさんの話を聞いていた。
ここで、ふざけて話を聞き流しているような人は、ここにはいないみたいだ。
不真面目な人っていうのも冒険者にはそれなりにいるけど、一応ヤンさん達冒険者ギルドの方で選別もしているようだからね。
それに、センテでの戦いを経た人達の大半は、森の中に入る大規模討伐作戦で、油断するような人もいないか。
過酷な戦いを切り抜けて来た人達でもあるわけだからね。
「皆、いい顔をしている。実力的には未熟なのもいるのだろうが、頼もしい限りだ」
「またアマリーラさんはそんな事を……侯爵様の所にいた癖が抜けませんねぇ。今の私達は、リク様の護衛で、ここにいる冒険者と同じ扱いですからね? 唐突に訓練を課すなんて止めて下さいよぉ?」
「まぁ、兵士たちの教練も一部担っていたからな。どうしてもそういう見方になってしまう」
なんて、ヤンさんの話を聞く冒険者さん達の顔ぶれを見て、アマリーラさんとリネルトさんが話している。
そういえば、侯爵軍の兵士さん達と演習をする時、教え込むような戦いや言動をしていたっけ。
シュットラウルさんは、俺達との演習のおかげで押し寄せる魔物から耐えられた、と言っていたけど……アマリーラさん達の功績もあるんじゃないかなと思う。
「……魔物は追われている状況と見られますので、必死で抵抗してくるでしょう。常と変わらぬ警戒態勢、油断は禁物です。しかし、安心させるわけではありませんが、森にはリクさんを始めとした魔物をものともしない方々も入ります。皆の安全のために協力してくれますので、もしもの際はそちらを頼ってください。また、空には我々の味方をしてくれるワイバーンがおりますので……」
などなど、俺達が到着した事に気付いたヤンさんが、こちらを示しながら話を続ける。
一部、ソフィー達などを除いて、冒険者さん達から歓声が上がった。
ちょっと気恥ずかしい紹介だなぁ。
あと、空を示しながらワイバーンについても説明するヤンさん。
今は飛んでいないけど、俺達が森に入るのと合わせて乗せてもらったリーバー達ワイバーンが、森の上空を飛んでくれる。
そちらに助けを求めれば、ワイバーン達が空から来てくれる手筈になっているわけだ。
魔物を倒すか、それとも乗せて緊急脱出するかは、ワイバーン達に任せているけど。
まぁ通常の森の魔物なら、昨日のラミアウネのように大量に出て来るとかでなければ、再生能力に優れたワイバーン達の敵じゃないっぽいから、倒す方が多くなるとは思うけど。
昨日戦った魔物の中では、レムレース以外にワイバーンがやられる可能性はかなり低いはずだ――。
0
あなたにおすすめの小説
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる