テリオス・フィリア

幻田与夢

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PHASE2 戦う理由

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「う、ううん、ここは・・・?」
ゴーシュは目を覚ますと、知らない場所のベッドに横たわっていた。
その時、部屋の自動ドアが開き、見知らぬ青年が入ってきた。
「ん、目覚めたみたいだな」
「・・・あなたは?」
「僕はイヴァン・リュボーフィ。イヴァンで構わない」
「・・・ここはどこですか?」
イヴァンと名乗ったその人物が言うには、ここはキヴォトスの医務室らしい。ヘレネスとの戦闘後、僕はキヴォトスに保護されたようだ。
「ゴーシュ・スヴェンソン。聖ピレイン学園の二年生・・・」
イヴァンはゴーシュに関する情報を列挙し始めた。
ゴーシュはある程度の情報を知られていることを悟り、黙って聞き続けた。
「驚いたよ。僕らが駆け付けたときには、既にヘレネスが倒されていたからな」
「・・・本当遅すぎですよ、キヴォトスは」
「その件はすまない。だが、君のおかげで町は最小限の被害で済んだ。僕からも感謝する。ありがとう」
ゴーシュは皮肉を言ったつもりだが、率直に感謝されてしまったので、少し面映ゆくなった。
状況をある程度呑み込んだゴーシュは、ふと彼女のことを思い出す。
「!ノヴァリスさんは・・・?」
「?ああ、君と一緒にいた女の子か。大丈夫、彼女も無事だ」
「・・・そ、そうですか。はぁ、良かった・・・」
彼女の無事が確認でき、安堵の表情を浮かべるゴーシュ。それを見てはにかむイヴァン。
ゴーシュは恥ずかしくなり、顔を背ける。
その時、医務室にもう一人の来訪者が現れた。ノヴァリスだった。

「あ、ゴーシュさん!目を覚ましたのですね!」
急いで向かってきたのか、少し息を切らしていた。
ノヴァリスはゴーシュに近寄ると、思いっきり抱きしめた。
「ちょっと、ノヴァリスさん・・・!」
抱きしめられたゴーシュはノヴァリスの突飛な行動に動揺を隠せないようだった。
そんなゴーシュ達をよそにイヴァンが口を挟んだ。
「彼女も君と共にキヴォトスが保護したんだ。あのパノプリアと一緒にね」
「ありがとうございます。・・・では、僕はこれで失礼します」
「いや、ゆっくりしていけよ。何も僕たちは取って食おうってわけじゃない」
「そうですよ、ゴーシュさん。ここはイヴァンさんのご厚意に甘えても良いと思います」
そそくさと退出しようとするゴーシュを、イヴァンとノヴァリスが引き留める。
「・・・何が目的ですか?」
「強いて言うなら、君には幾つか聞きたいことがあるだけだ」
ゴーシュは訝しい表情を浮かべ、沈黙をつくった。
「沈黙は肯定と受け取るよ。付いてきてくれ」
「私もご一緒します。よろしいですか、イヴァンさん?」
「ああ、構わないよ。君がいるならゴーシュ君も素直に付いてきてくれそうだからね」
「ありがとうございます。では、行きましょう、ゴーシュさん」
ノヴァリスはゴーシュの袖を強く引っ張り、付いてくるよう促した。
ゴーシュも仕方なく、それに従った。

ゴーシュ達が連れてこられた場所は、パノプリアの格納庫だった。
彼が搭乗した《VTX-0 アキレウス》もここに保管されていて、どうやら今は整備されている様子だった。
「君はこいつに乗って、ヘレネスと戦闘したのか?」
「はい。なんとか倒せましたけど」
「・・・それは本当なのか?」
「・・・どうして疑うんです?」
イヴァンの質問の意図が分からず、ゴーシュも質問で返してしまった。
「このパノプリアは生体認識が必要みたいなのだが、僕らの中の誰も起動させることが出来なかったんだ」
「!・・・僕は乗れましたよ」
「・・・そうか。ならこの生体認識はゴーシュ君で設定されている可能性が高い。実質これは君専用のパノプリアというわけだ」
ゴーシュはイヴァンの言うことを咀嚼したところで、ノヴァリスがコックピットに近づく。
するとコックピットが開き、生体認識が始まってしまった。
「すごいですね。このロボット!」
「・・・ノヴァリスさん、あまり勝手なことは・・・」
イヴァンがノヴァリスを止めようとしたその時、《アキレウス》のOSの自動音声が流れた。
『生体認識完了。《VTX-0 アキレウス》起動開始』
「何だと!何故君も動かせる!?」
「ノヴァリスさん、君は一体・・・」
その時、緊急のサイレンがキヴォトス基地内に騒々しく鳴り響いた。
基地内に放送が流れ、急いでキヴォトスの実動隊が出撃準備に取り掛かっている。
すると、見慣れた風貌の少年が目の前を通り、ゴーシュは思わず名前を呼んだ。
「デンジ!何でここに?」
「・・・ゴーシュか」
デンジは淡々と吐き捨てるように言った。
「ゴーシュか、じゃないよ。どうしてここにいるのさ?」
「それは俺の台詞だ」
「・・・僕は成り行きでここにいるだけだ」
お互いに短いフレーズでキャッチボールを繰り返す。
第三者のイヴァンからすれば、牽制しあっているようにも見えた。
「俺のことは気にするな。それより状況を考えろ。今はヘレネスの撃退が最優先だ」
デンジの言うことを今は呑み込み、ゴーシュは口を噤んだ。
それを確認すると、デンジも他の隊員同様にキヴォトス運用のパノプリア《YG-6 パトロクロス》に乗り込んだ。出撃の際、デンジはゴーシュ達を機体のモニター越しに一瞥をくれた。

「・・・気にせずにいられるかよ」
一人呟いたゴーシュ。その姿を見かねたイヴァンが声をかけた。
「君はどうするんだ?」
「・・・どうもこうもないですよ。帰ります。僕学生なんで」
「いや、それは無理な話だ。ヘレネスが襲撃して来る以上、ここにいるのが安全策だ」

彼女は《VTX-0 アキレウス》に静かに見つめていた。それを見れば、彼女の意図を察することは容易だった。
「私がやらなくては・・・、私がやらなくては・・・」
ノヴァリスは人が変わったように、息込み始め、この言葉を繰り返す。
ゴーシュは前にも彼女がこう言っていたのが想起され、
「・・・なんでだよ!なんでそこまで戦いたいんだ、君は!」
「それは・・・・・・」
戦う理由を訊かれ、戸惑いを見せるノヴァリス。
ゴーシュは静かに返答を待った。
「私にも分かりません・・・。でも、この戦争はとめなくてはなりません!」
「それはそうだけど、君が戦う必要はないじゃないか!」
「私がそうしたいと思ったからです。それにゴーシュさん以外にこの《アキレウス》を動かせるのは私だけです!」
「っ!・・・分かったよ、君の好きにしてくれ」
言葉の波動に押され、ゴーシュは諦めた表情で彼女を突き放した。
彼女は憂いを帯びた表情を浮かべ、出撃の挨拶を交わし、《アキレウス》へと搭乗し、戦場へと向かってしまった。

「・・・彼女、行ってしまったね」
「・・・あなたもどうして止めなかったんだ!」
「そういう空気じゃなかったからな、君も感じたろ?」
ゴーシュは行き場のない思いを近くのイヴァンにぶつけても、釈然とすることはなかった。
「戦う理由は人によって千差万別だ。彼女のように戦いを止めたいって人もいれば、君が言うように戦いたいから戦うやつもいるだろう。まあ、差なんて大したものじゃないと思うけどね」
「・・・あなたにもあるんですか、戦う理由が」
「答えはYESだ。でもその理由はもっと仲良くなってからね」
はぐらかされた気分だったゴーシュを見て、イヴァンは少しほくそ笑んだ。
「さてと僕も出撃しなくちゃね。ゴーシュ君は戦闘が終わるまで、じっとしていてくれ」
そう言うと、イヴァンは自身のパノプリアへと向かっていった。
格納庫に一人取り残されるゴーシュ。イヴァンの靴音が響き、沈黙を一層引き立たせている。
(・・・理由か。・・・僕にもあるのか・・・?)
心の中で自問自答する。しかし、納得のいく答えが出てこない。きっとデンジもイヴァンもそれぞれ戦う理由や事情があって、ここにいるのだと思った。しかし、ゴーシュにはこれと言って戦う理由など見当たらなかった・・・というわけでもなかった。

彼女の表情が脳裏に焼き付いて離れない。
(・・・ノヴァリスさん!僕は・・・!)

ゴーシュはイヴァンに駆け寄って、彼の肩を掴んだ。
彼が振り向くと、ゴーシュは目線を合わせずこう言った。
「・・・すみません、イヴァンさん」
「・・・・・・」
「・・・僕には大層な理由なんてないです・・・けど」
顔を上げ、イヴァンと目を合わせ、
「・・・彼女が、ノヴァリスさんが心配なんです。僕を彼女のところへ連れて行ってくれませんか!」

「こちらΛ2、目標と会敵。ピュラクス級が3体とストラティオ級が2体か」
デンジが通信でΛ小隊全体に報告した。
Λ小隊とは、イヴァン・リュボーフィを小隊長とする機動部隊である。
「こちらΛ3ー、隊長が不在だけど、どうするよ、デンジ?」
「イヴァン隊長は後で合流するそうだ。隊長からの言伝で、今は俺が指示をだす。ハルス、シエル、戦闘配置につけ」
「へいへい、了解ですわ」
「りょ、了解です・・・。うう」
軽口をたたくこの男の名は、ハルス・エマークス。その反面気弱そうな女性の名がシエル・ユーグ。デンジとは部隊の同僚である。
「よし、まずはピュラクス級に攻撃を集中させる」
「ストラティオ級は?」
「あと回しだ。各機攻撃を開始しろ!」
デンジの指示で《パトロクロス》からアサルトライフルから発砲され、ピュラクス級は攻撃を受け、撃墜された。しかし、一体仕留め損ねてしまい、反撃されそうになったところ、
「下がってください!」
後方からの援護射撃が入り、撃墜が確認された。そのパノプリアは《アキレウス》。ノヴァリスだった。
(あれは・・・あのときの新型か。不安要素は多いが、友軍機の可能性の方が高いな)
「・・・援護射撃、感謝する。ここは連携で撃退しようと思うが、どうだ?」
「・・・は、はい。どこまでできるか分かりませんが・・・!」
(女?・・・乗っているのはゴーシュではないのか?)
そう疑問に思いはしたが、デンジはまず現状を優先した。

(・・・ゴーシュさん。あなたは優しい人ですね。私に戦わせないがためにあのようなことを・・・)
彼女はゴーシュを忖度していた。
(だからこそ、ゴーシュさんには戦わせたくない。あなたには優しい人のままでいて欲しいから・・・)
『あの人のことを考えているのですか』
OSが口を挟む。
「そ、そんなわけでは・・・」
『敵接近。九時の方向。距離2』
その時、不意にストラティオ級が突撃してきた。
「!しまっ・・・」
ストラティオ級の直撃を受け、倒れこむ《アキレウス》。
内部のノヴァリスも衝撃を受けた。ただ、幸いだったのは《アキレウス》の装甲により、その衝撃が軽減されたことだった。再び攻撃を開始したヘレネスに対し、
「うう・・・、ま、守ります!」
と念じながら言うと、バリア・フィールドが展開され、ヘレネスの攻撃を防いだ。
「!・・・何だありゃあ!」
「バリアみたい・・・です・・・」
「だが、防御だけでは・・・っ!」
デンジたちがバリア・フィールドに呆気に取られている間に、ヘレネスの増援が来ていた。
「くっ!こちらも手が回らないか・・・!」
「任せるしかねぇってわけかよ!」
《アキレウス》のバリア・フィールドも限界を迎えつつあり、OSも警鐘を鳴らした。
『フィールド展開時間、10秒を切りました』
「もう・・・駄目・・・!」

「確実に当てる・・・!」
ノヴァリスが諦めかけたその刹那、遠方からの銃弾が全てのヘレネスを貫通した。

「ふう、なんとか間に合ったかな。大丈夫かい、ノヴァリスさん」
遠方からの狙撃。その方角を見ると、一機のパノプリアが向かってきた。
イヴァン・リュボーフィである。
「デンジ、各機は無事か?」
「はい。隊長の援護に感謝します」
「そうか、了解した」
部隊の安否を確認すると、コックピット・ハッチを開放した。
「ほら、ゴーシュくん、お姫様がお待ちかねだよ」
「・・・茶化さないでください。でもありがとうございます」
ゴーシュはイヴァンの機体から降り、ノヴァリスの搭乗している《アキレウス》の元へ駆けつけ、コックピットに乗り込んだ。
「助けに来たよ・・・、ノヴァリスさん」
「・・・ゴーシュさん」
「・・・僕にもあったよ、戦う理由が・・・」
乱れた呼吸を整え、彼女に向けこう言った。
「・・・君だ、ノヴァリスさん。僕は君を守る・・・。理由は今はそれでいい」
「僕が動かすよ、こいつを」
起動準備を済ませ、操縦桿を握り、戦闘に備えた。
《アキレウス》のモニターアイが爛々と輝いた。
『生体認識完了。《VTX-0 アキレウス》再起動』
「敵の数と距離を教えてくれ」
『敵集団、九時の方向に二体、距離3。十二時の方向に三体、距離8』
「まずは白兵戦を仕掛ける」
バスター・エッジを左手に装備し、もう片方には45㎜散弾砲を装備し、直近のヘレネスへと接近する。その際に発砲しながら間合いを詰め、バスター・エッジで切り裂いていった。
「す、すごい・・・!」
「機体の性能もあるんだろうが、それに付いていく奴もすげえな。あれ、お前の友達なんだろ?」
「・・・ああ、そうだ」
ハルスとシエルはゴーシュの戦闘技術に舌を巻き称賛したが、デンジは渋い顔で応対した。

『攻撃が来ます。回避かバリアの展開での対処を推奨します』
「ゴーシュさん、フィリア・ドライブを使ってください!」
「使えって言われても・・・!」
「私を守るんですよね!」
「!・・ああ!」
バリアを展開し、敵の攻撃を防いだ。
(・・・!)
その時、ノヴァリスの頭に衝撃が走った。
「・・・出来た・・・」
「!・・・フィリア・ドライブは搭乗者の精神を実体世界へと介入させる装置です。限度はありますが、ゴーシュさんの思ったことが現実になるのです!」
ゴーシュは聞き慣れぬ単語を耳にして、少し混乱したが、一旦は彼女の言うことを信じ、受け止めることにした。
「これで、ラストだ!」
散弾砲を零距離で発砲し、最後に残ったヘレネスを撃退した。

「ありがとう、ノヴァリスさん。君のおかげで助かったよ」
「いえ、こちらこそありがとうございます。ふふっ」
お互いを見つめ笑いあう二人。すると横からハルスが顔を出す。
「羨ましいですなあ」
ハルスに驚き、二人は距離を取った。ゴーシュはハルスに連れていかれ、賛美と同時に冷やかしを受けた。
「こんな可愛い子とお近づきになるなんてさ、何やったの、お前?」
「い、いや僕は彼女を助けただけで、何にもしてない・・」
「またまたぁ、その話詳しく聞かせろよって。・・・あ、俺ハルス・エマークスていうの。二人ともよろしくねぇ、特にそこの可愛いお嬢さん」
この時のゴーシュにも薄っすらとではあるが笑みが零れていた。賑やかなところが苦手なのか、デンジはその場を後にし、イヴァンはゴーシュ達を見つめ微笑んでいた。
(ゴーシュ君、君にもあるじゃないか、理由が。君の守りたいものが・・・)

キヴォトス基地内の隊員の個室へと案内されるノヴァリス。
「で、では今日はお疲れ様でした・・・」
「ありがとうございます、シエルさん。ここまでしていただいて・・・」
「い、いえ!き、記憶喪失・・・なんですよね。落ち着くまでこの部屋を使ってもいいとのことでしたで、今日はゆっくりお休みください・・・」
シエルはそう伝えると、そそくさと部屋から退出した。
ノヴァリスは扉が閉まったのを見て、ベッドに寝転び、
(ゴーシュさん、イヴァンさん、デンジさん、ハルスさん、シエルさん・・・。皆さん優しくていい人ですね)
と、心の中で名前を読み上がら、微笑んだ。
しかしその後、彼女は神妙な顔をし始めた。
(・・・ゴーシュさん、私の戦う理由も見つかりましたよ。理由というか使命ですが)
彼女ベッドから立ち上がり、こう言った。

「やはりこの戦争は終わらせなければなりませんね・・・。ヘレネス皇国第一皇女、ノヴァリス・ノア・ヘレネスの名の下に・・・」
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