ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

文字の大きさ
2 / 104
序章・対の戦い編

1-2 2 緋色視点 開眼した夏希

しおりを挟む
何か騒いでいる。

どうやらブレインダイブを得た人がいるらしい。

「誰?…面倒い能力持ってんの…」

そうぼやきながら、教室を出ると誰かすぐに分かった。

(よりにもよって…同じ部活の人…)

香露音が夏希に対して話しかけているのが見えた。

「嘘じゃないみたい…開眼…私って何時するんだよ…」

夏希にアナライズをかける。間違い無い。

悟られないように一瞬で消した。

(精神世界って、心の中みたいなものだよね。ちょっと違うみたいだけどさ。まあ、似てるし…私が思ってる事バレそうだなぁ。)

しかし、本人はそんな事は言ってない。何だったら遠回しに否定している。

だから、あまり気にしていなかった。

しかし、一週間経ったあとに緋色の精神世界に入りたいと言われたときは、他人事では済まされなかった。

思い切り否定してやろうと思ったが、それはそれで好奇心をそそってしまいそうだ。

「緋色の世界、覗いてもいい?」

「ん~?何で…?」

急にどうかしたのか…と思いつつ聞いてみる。

「えっとね…見てみたいの!部活の皆見てて、緋色はどんな世界なんだろうって!」

と言った。ついでに試してみる。

「やめときなよ~頭おかしい世界だろうから夏希がおかしくなっちゃうよ。」

緋色はケラケラと笑う。

そしてこう思う。

(絶対に頭おかしい世界だろうけど。ね。見せたくないんだよなぁ。どうする?強制的に入られたら。ん~…殺すか。)

すると今までの夏希の笑顔が嘘のように消えて引き攣っている。

緋色は確信し、

「どうしたの~?じゃ、後でね~!」(やっぱり覗いてるんだね。勝手かワザとか知らないけど…入ってこないでね。)

と念入りに言った。

これで入ってこない訳では無いと思うが。

絶対に入って来る。

緋色は家に帰って練習している。もっと早く能力を使える為だ。

「今日部活を休んでるんだから。今が入る好機なんだろうな。電光石火(小)。」

音を置き去りにして、一撃で小さな物を吹き飛ばす。

「壊れてない…良かった。いちいち壊してたらキリがない。」

すると、急に悪寒が走った。体の奥底から恐怖の感情が湧く。

「来た…!教えられなくても分かってるっつうの!」

しかし一瞬だけだった。今出たのか、まだ居るか分からない。

「どうせ、見ても分かんないって。私の気持ちなんてさ。」

緋色は得れる全ての能力を得ているが(小)と呼べない程の威力しかない。

やはり、能力者と無能力者の弊害が見て取れる。

「ん~~~~…頑張って、資格取る…?あいつもいる事だし。」

あと1ヶ月で、試験がある。

そこで良い成績が取れば、資格が取れずとも次が有利に進む。

資格というのは、武器の武装が認められる物だ。

これさえあれば、外に出れる。

あのうじゃうじゃいる気持ち悪い化物がいるらしい場所に。

それらの素材を回収すれば、ある物は武器の素材に、ある物は薬草に、ある物は燃料になる。

これを売って金にすれば、そこらの職業より貰える。

それを学費に回したい。

危ない世界だとは、分かっていてもやはり背に腹は替えられない。

「買いたい物があり過ぎて困るね!縮地(小)!」

一瞬の内に移動した。

縮地と電光石火は似ている。

縮地は突進するだけだが、電光石火は横に移動する。

Z字のように動く感じだろうか。

「はぁ………休憩しよ。散歩、散歩~」

と、家を出ていった。

10分程歩いていても、全く代わり映えの無い田舎だ。

帰ろうか…と緋色が引き返そうとすると、

「やぁ…そこのネーチャン。」

と見るからに怪しいおっちゃんに出くわしてしまった。

「何ですか?」

「一緒に美味しいやつ食べようぜ~!奢るからな!な!」

「俺ら暇なんだよ~!」

「拒否します。」

緋色は帰ろうとしたが、引き留められる。

(うっわーーーーーー)

既に嫌な予感がする。

「どうしても嫌なら…決闘するかぁ?」

(うっわーーーーーー…)

今現在嫌だ。

「弱者虐めて楽しいですか?」

「勿論だ。」

(うっわーーーーーー…!サイテー)

緋色はドン引きしている。

「決闘するか誘いを引き受けるか。」

緋色は舌打ちをする。

「決闘で。」

どうしても嫌なので、決闘を選ぶ。

「ブレインコネクト!」

決闘…ある一定のライフを削り取る事で勝敗が決まる。

大体アナライズで防御数値と体力数値でライフは分かる。

緋色は1200。人と比べても大分少ない。

普通にブレインダイブ持ちの夏希に負けている。

(あんまり体力増えない能力何だけどなぁ…それでも負ける…)

それに比べ、相手は4000程。

あまり勝てると思えない程の強さだ。

そして、これは精神世界に似た世界で戦うので、終わった後の怪我が無い。

ついでに決闘を申し込める時点でまあまあ強い。

それだけで、資格を取るのに有利になる。

「始めるか。」

「どうぞ。」

コングがなる。今回の決闘は1on1スタイル。

ついでに三人版や多くて百人もある。

緋色は弱いので種類によって戦い方を変えなければ全く勝てない。

「こちらからいかせてもらう。縮地(小)!」

おっちゃんの方に一瞬で突っ込んで行った…と思いきや、実際は電光石火だ。

「なっ…!グフッ!」

一撃入ったが削れたのは100程。

「チッ…簡単には削れんか…面倒…」

緋色は作戦を変える。

「武器生成(小)…!行くぞ…隼(小)!」

剣を生成し、素早く切り込む。

「武器生成が出来るのは褒めてやるが、その程度じゃすぐ壊れるぜ!斬鉄剣(中)!」

(ヤベッ!)

緋色は体勢を無理に変え受け流す。

(こいつ!武器を壊す事が得意な能力者…!)

「ブレイカーだったんだな!初めて知ったよ!」

緋色は横に移動して、何回も攻撃に転じる。

「隼(小)!縮地(小)!輪廻(小)!閃律(小)!」

輪廻は回転斬り、閃律は突き攻撃。この2つはマイナーであまり使う人がいない。

「鬱陶しいの!閃律(中)!」

「ガハッ…!」

(こいつ…普通槍でするやつを拳でやんのかよ!しかもこの威力…!)

自身が残り800。相手が残り3300。

(大体能力使って当たってる割合が今の所五割…無理がある。)

既に緋色は息切れをしている。

「もう降参か?ハッハッハ!」

「ついていくのは反吐が出るので諦めません。」

「あ゙?」

ブチ切れているようだ。

(さて…どうしたものか…)

「てめぇ…調子乗り過ぎだな…舐めると痛い目あうぜ!五月雨式金剛之旋律!」

(こいつ資格持ってるレベルだ!ブースト使いやがった!)

ブースト…簡単に言えば必殺技の様な物。

このブーストさえ使えば、ブースト持ちでない能力者は七割は倒せると言われている。

あまりの速さの連撃で大量の槍が降っているように見える。

かするだけで100程削られた。

「チッ…!電光石火(小)!」外側に逃げるがすぐに追いつく。

何回も電光石火と縮地を使いながら必死に逃げる。

ギリギリ受け流せるが、本当に危ないときにしなければせっかく作った剣が壊れてしまう。

ちゃんと防御の能力を使っている状態で。

バリン!

ガラスのように剣が割れ、粉々に砕け散った。

「ウグゥ!」

お腹に刺され、抉られる。

残りのライフは100。

「終わりだな!フハハハハ!」

「フゥ…ゴブッ…!ゲホ…やっと終わった…」

「そうだな。あれを耐えたのは褒めてやるが…」

「五月蝿ぇよクソジジイ。何でお前みたいなやつと行かなきゃなんねんだよ。」

緋色は必死に手を敵に向ける。

「死ね。」

「鎌鼬(小)…!」

最後の力を振り絞り両肩を斬りつける。

しかし、全く効いてない様子で減速すらしない。

(負ける………!)

「そこまでです。」

声が聞こえると、世界が割れ、元の世界に戻った。

「強制…終了…?そんな事出来る人って…!」

「朱い流星…」

朱い流星と呼ばれる人…この二つ名を持つ事が出来る人だけが決闘を強制中止できる。

勿論、二つ名を持つなど決して簡単ではない。

「貴方がナンパしているところから全部見てましたし、録音録画もしてます。…まだ続けるならどうぞ。」

「調子乗んなよ小娘が!」

手を出すが、いつの間にか倒れている。

「お~…一瞬で投げ飛ばした…多分。」

「見逃そうと思いましたが止めですね。で。そこの貴女。気持ちは分かりますがちょっと馬鹿だと思います。」

「でも嫌だし~…」

「気持ちは分かりますが!」

「すいません…」

「しかし、珍しいですね。無能力者で誰でも使える能力が片っ端から使える人。」

「それしか出来ること無いんで。」

「だからあそこまで戦えたんでしょうし。ま、そこは褒めときます。自分を認めれる人間が能力者になれますよ~」

「あ、ありがとう御座います…」

そうして朱い流星は去っていった。ゴミのようにおっちゃんを引き摺りながら。

「ちょっと痛そう…まぁ、いいか。結果オーライか…」

大分時間が経ったようだが、もう出ていってくれただろうか。

精神世界の緋色は夏希を追い出してくれただろうか。

(ねぇ…夏希。私を見ないで…本当に見ないで…これが本心なの気付いて…)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。 それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。 ※全3話。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...