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序章・対の戦い編
1-10 10 緋色視点 資格を取る為に
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相変わらず香露音は何事も無いような素振りを見せている。
勝てると思っているのだろう。
…糸を操るだけの能力者に。
しかし、簡単には勝たせない。
緋色だって勝つ理由がちゃんとある。
始まりを告げられ、世界が変わる。
(どうやら森林か。今回は隠れながら戦うか。)
緋色はさっき使った分が、予想よりも遥かに上回ったので今回は温存するつもりだ。
「気配察知…っと。武器生成(小)!」
まずは香露音に自分の居場所を知らせ、禿のように積極的に見せる。
(剣で戦うと絶対無理。銃も防御で塞がれるから無理。至近距離は絶対無理だ。敢えてそれを香露音に確信させる。)
香露音は強い。防御面は勿論、攻撃だって出来る。
その反面、緋色の攻撃は弱い。ブレイカーのように力が無いからだ。
「電光石火(中)。」
明らかに攻撃系能力が上だ。それに、防御系能力もしっかりあるせいで強敵だ。
「一撃が…重い………!」
反応は出来るが、だからといって簡単に勝てる相手ではない。
香露音は強いのは緋色が良く知ってる。
「縮地(中)……!」
緋色は基礎能力の2つしか(中)レベルを持っていない。
なので縮地を使い森林を避けながら逃げていく。
(ぶつかったら絶対に痛いなー…)
「騎士の喝采(中)!」
この能力は挑発の能力だ。下手に縮地を使えば、香露音の方に向けてしまう。
(普通に逃げると、決闘として成り立たなくなるから違反扱いされるんだよなぁ…)
緋色は足を止める。振り返り能力を使う。
「電光石火(小)!」
香露音に畳み掛け、
「輪廻(小)!」
更に追い打ちをかける。ほんのちょっとだけライフを削れた。
(綺麗に当たって良かった。)
香露音はすぐさま反撃する。
「正義の神罰(大)!」
香露音の剣からレーザーが噴出する。
「うわっ!」
緋色は逃げながら、近付き反撃する。
「閃律(小)!」
普通に避けられた。やはり挑発をついている分反応がしやすいのだろう。
(難しいとは思ったけど、かすりもしない………!)
そして近づいた状態の緋色を何もしない筈が無い。
「正義の審判(大)!」
天秤が現れる。この時間だけ時が止まっている。
まんまと能力にハマってしまったようだ。
「汝、悪が善か!」
と、誰かが聞いてくるので、緋色は笑いながら、
「…知らねぇよ。お前の目は節穴か!?」
と煽ってやると、素直に悪による神罰が下った。
大量の雷が緋色を襲う。そして爆発の様に森が破壊された。
「………まだ、生きてる。何処?」
香露音は死んでいない緋色を探している。
すると硬い何かを踏んだ。鋼糸だ。
「…!なっ!」
すぐに察したが、遅かった。香露音の周りに鋼糸が絡まり付き、宙に浮く。
どうやら木に引っ掛けられたようだ。
しかし、何もして来ない。そして、姿も見えない。
「捕まりさえすれば私を殺せると思った?斬鉄剣(小)!」
拘束された鋼糸が解けた。
(斬鉄剣持ってるんだ。夜の騎士って。知らなかった。まあ、ブレイカーじゃないし、(小)程度だね。)
緋色は驚くが動揺はしない。その程度なら許容範囲だ。
「あれ…?切った筈なのに…」
拘束された鋼糸を解かした筈だがまだ空中にいる。
すると下に緋色が通っていた。鋼糸を持っている。さっきまで居なかったが急に現れた。
「死線誘導・折損(大)!」
緋色は能力を使う。四肢の関節を全て折った。
(いやぁ、凄い罪悪感湧くわー絶対に痛いやつだからあんまり使いたくないんだよねー禿にもやれば良かったかな…余裕無いから無理か。)
香露音は脱力し鋼糸によってぶら下がっている。何も出来ないからだ。
「…えいっ………と!」
最後のトドメに首を斬りつけた。
世界が元に戻る。
(次の人に勝ったらベスト10。出来るかなー分からん…)
緋色は帰っていった。簡単に殺せる自分を少しだけ嗤う。
出口に行くと、医療室から出た春斗が居た。
「あ、傷治った?」
「はい!傷跡残るかなーって思ってた傷も完治です。凄いですね…僧侶って。」
すると、同じ様に医療室から出た、ハゲがいた。
ついでに目もあった。
「ッチ。」
舌打ちをして待機室の出口に向かっていった。
「春斗も待機室から出ないといけないのか。」
「そうですね。まあ、結局今日はこれで終わりなようですが。」
「あ、そうなの?」
「樫妻先輩が、決闘している間にそう言うふうな事を言ってました。」
緋色は時間を見る。もう日没直前だ。
アナウンスが鳴り帰宅を促される。
夏希に帰りに合ったので別れの挨拶だけ済ませ、春斗と帰宅する。
一人で帰るつもりが、
「先輩自身は自覚無いと思いますが、一応先輩は女の子ですので!」
と言われ、家までついてくれるらしい。後輩に気を使われると少々申し訳無かったりするが、今回は優しさに甘えておこう。
一応という言葉は少々気に障るが。気のせいということにしておく。
「今回は残念だったねー」
「そうですね。でも、多分勝っても樫妻先輩に負けますよ。」
「そう?負けるつもりはないけど。」
「僕は人より気配察知が得意ですが、先輩の気配隠蔽が上手いので見つけられないと思います。」
「やっぱり分かった?。まさか、執行者になって凄い速度で上手くなったんだよね。」
「暗殺系の能力ですね。それ。」
「そうだよね。でも、気配隠蔽を使ってバレないか心配だったよ。開眼してから初めて使ったし。」
「あれ、気配を隠蔽し過ぎたらかえって違和感ありますもんね。ブラックホールみたいになるじゃないですか。」
「そうそう。だからちょっとだけ気配を残しとかないといけないんだよ…これが面倒で面倒で。」
「良かったですね。気配察知が下手くそな人で。」
「ストレートだなぁ…まあ、上手い人ではないよね。春斗がアナライズかけてもさバレてないわけだし。まあ、アナライズをこっそりかけるのが春斗は上手いってのもあるけど。」
「でも、先輩にかけたらすぐバレるじゃないですか。」
「先輩舐めんなって話よ。」
「悔しいです…それにしても先輩の能力強過ぎません?」
「それなって感じ。相手の動きを無効化出来るんだよ。」
そういう会話をしている間には家についた。
「ありがとね。わざわざ。」
「いえいえ。じゃ、お疲れ様でーす。」
家に帰ったあと、何が大変だったかというとハンカチを洗う事だった。
「あーーーーーーーーーーー…まじで疲れた。大地の涙のせいで…本当何したんだよ。……………いや、知ってるか…」
緋色は一人ブツブツと言っている。
ついでに家族には自分が開眼したとは言っていない。
(弱いだの、使えないだの…そんな事しか言わないだろうし。)
今日はただの観客席として外に出た…という事を建前に家族に伝えている。
実は学園の参加者は無料だ。なので負けても、参加証と、学生証二つ見せると無料になる。
そして次の日、眠い目を擦りながら試験場についた。
「おはようございます…樫妻先輩………ふわぁ……」
「おはよ……あ、はいこれ。ハンカチ。ついでにお菓子あげる。」
「あ、ありがとう御座います…あ、美味しいあれだ…」
「それにしても…だいぶ人が少なくなったね~」
「知り合いが居なくなりますしね。残っているのは趣味の人くらいです。」
すると、緋色の知り合いを見つけた。
「あ。」
「緋色先輩!こんにちわ。」
「やっと見つけました!」
「どうも。あ…棚見…………君…………」
「昨日も見てました!」
一人春斗の事を知っているようだ。
「皆!どうしたの?」
「応援しに来ました!」
「そうなんだね!」
「香露音先輩に勝ったのも見てましたよ!」
「大男に注意してたのも格好良かったですよ!」
(注意では無いよ…もはやあれは…否定する事では無いし、黙っておこう。)
「そんなに…格好良いものでは無かったけどね。」
「そんな事無いです!」
「とっても格好良かったですよ!」
とても後輩が緋色をベッタベタに褒めているので流石に照れてしまう。
「ほ、本当?だったら良かったよ。今日も見るの?」
「はい!」
とのことで、後輩達5人は観客席に行った。
1時間程時間を潰し、試合に臨む。
「相手は………ウィザード。うわー…」
ウィザードはあまり戦う機会が無いので困る相手だ。
ウィザードは基礎能力で(中)になる能力が一つも無い。代わりに特有の能力が大量にある。
そして特有の能力が、ランダムで5~7個ある。
何の能力があるか人によって違うので本当に面倒だ。
「火球(中)!」
「電光石火(小)!」
火球を避けながら、ウィザードに詰め寄る。
「束縛(中)!」
「くっ…縮地(中)!」
思い切り避けたが、右腕だけ捕まってしまう。
ウィザードは遠くに離れ能力を使う。
緋色も遠くに出来るだけ離れ無いように、死線を使う。
「光矢・乱数(中)!」
「死線誘導・回帰(小)!」
死線が円形に動く。
光の矢が約二十本程、緋色を貫き穿たんとする。
「ああ、もう!武器生成(中)…死線誘導・折損(中)!」
鎖を死線で破壊し、矢を避ける。
「死線誘導・乱舞(中)!」
「グアッ…!」
円状の死線が一気にウィザードの元に乱反射する。
(おお…良いところ刺さってるじゃん動けない今がチャンス!)
しかし、ウィザードもただでは殺させない。
「束縛(大)………!」
「縮地(中)!」
大量の鎖をすり抜けてウィザードの後ろに回り込む。
(ちょっと飛び過ぎて死線で殺せないな…)
「武器生成(小)!ちょっと痛い…!すまん!」
銃で頭を撃ち抜いた。しかし、急所を外してしまった。
(まだ死なないか!素人がやるもんじゃないね…!)
条件が禿と違うので、狙い通りにいかない。
着地し、ウィザードに近づく。
身体が鎖に覆われるが無視し、思い切り撃ち込んだ。
世界が鎖と共に壊れる。
「あー…イッタタ…締めつけられるの思ったより痛い…あ…大丈夫ですか?」
即死させたらまだ楽に死ねるが、今回はだいぶゴリ押ししたので、少し申し訳無いと緋色は感じていた。
「あ、だ、大丈夫………です…お見事でした。」
と言ってくれた。
……そんなこんなで、緋色は10人以内に入った。
しかし…緋色はまた、簡単には終わらせてはくれないらしい。
勝てると思っているのだろう。
…糸を操るだけの能力者に。
しかし、簡単には勝たせない。
緋色だって勝つ理由がちゃんとある。
始まりを告げられ、世界が変わる。
(どうやら森林か。今回は隠れながら戦うか。)
緋色はさっき使った分が、予想よりも遥かに上回ったので今回は温存するつもりだ。
「気配察知…っと。武器生成(小)!」
まずは香露音に自分の居場所を知らせ、禿のように積極的に見せる。
(剣で戦うと絶対無理。銃も防御で塞がれるから無理。至近距離は絶対無理だ。敢えてそれを香露音に確信させる。)
香露音は強い。防御面は勿論、攻撃だって出来る。
その反面、緋色の攻撃は弱い。ブレイカーのように力が無いからだ。
「電光石火(中)。」
明らかに攻撃系能力が上だ。それに、防御系能力もしっかりあるせいで強敵だ。
「一撃が…重い………!」
反応は出来るが、だからといって簡単に勝てる相手ではない。
香露音は強いのは緋色が良く知ってる。
「縮地(中)……!」
緋色は基礎能力の2つしか(中)レベルを持っていない。
なので縮地を使い森林を避けながら逃げていく。
(ぶつかったら絶対に痛いなー…)
「騎士の喝采(中)!」
この能力は挑発の能力だ。下手に縮地を使えば、香露音の方に向けてしまう。
(普通に逃げると、決闘として成り立たなくなるから違反扱いされるんだよなぁ…)
緋色は足を止める。振り返り能力を使う。
「電光石火(小)!」
香露音に畳み掛け、
「輪廻(小)!」
更に追い打ちをかける。ほんのちょっとだけライフを削れた。
(綺麗に当たって良かった。)
香露音はすぐさま反撃する。
「正義の神罰(大)!」
香露音の剣からレーザーが噴出する。
「うわっ!」
緋色は逃げながら、近付き反撃する。
「閃律(小)!」
普通に避けられた。やはり挑発をついている分反応がしやすいのだろう。
(難しいとは思ったけど、かすりもしない………!)
そして近づいた状態の緋色を何もしない筈が無い。
「正義の審判(大)!」
天秤が現れる。この時間だけ時が止まっている。
まんまと能力にハマってしまったようだ。
「汝、悪が善か!」
と、誰かが聞いてくるので、緋色は笑いながら、
「…知らねぇよ。お前の目は節穴か!?」
と煽ってやると、素直に悪による神罰が下った。
大量の雷が緋色を襲う。そして爆発の様に森が破壊された。
「………まだ、生きてる。何処?」
香露音は死んでいない緋色を探している。
すると硬い何かを踏んだ。鋼糸だ。
「…!なっ!」
すぐに察したが、遅かった。香露音の周りに鋼糸が絡まり付き、宙に浮く。
どうやら木に引っ掛けられたようだ。
しかし、何もして来ない。そして、姿も見えない。
「捕まりさえすれば私を殺せると思った?斬鉄剣(小)!」
拘束された鋼糸が解けた。
(斬鉄剣持ってるんだ。夜の騎士って。知らなかった。まあ、ブレイカーじゃないし、(小)程度だね。)
緋色は驚くが動揺はしない。その程度なら許容範囲だ。
「あれ…?切った筈なのに…」
拘束された鋼糸を解かした筈だがまだ空中にいる。
すると下に緋色が通っていた。鋼糸を持っている。さっきまで居なかったが急に現れた。
「死線誘導・折損(大)!」
緋色は能力を使う。四肢の関節を全て折った。
(いやぁ、凄い罪悪感湧くわー絶対に痛いやつだからあんまり使いたくないんだよねー禿にもやれば良かったかな…余裕無いから無理か。)
香露音は脱力し鋼糸によってぶら下がっている。何も出来ないからだ。
「…えいっ………と!」
最後のトドメに首を斬りつけた。
世界が元に戻る。
(次の人に勝ったらベスト10。出来るかなー分からん…)
緋色は帰っていった。簡単に殺せる自分を少しだけ嗤う。
出口に行くと、医療室から出た春斗が居た。
「あ、傷治った?」
「はい!傷跡残るかなーって思ってた傷も完治です。凄いですね…僧侶って。」
すると、同じ様に医療室から出た、ハゲがいた。
ついでに目もあった。
「ッチ。」
舌打ちをして待機室の出口に向かっていった。
「春斗も待機室から出ないといけないのか。」
「そうですね。まあ、結局今日はこれで終わりなようですが。」
「あ、そうなの?」
「樫妻先輩が、決闘している間にそう言うふうな事を言ってました。」
緋色は時間を見る。もう日没直前だ。
アナウンスが鳴り帰宅を促される。
夏希に帰りに合ったので別れの挨拶だけ済ませ、春斗と帰宅する。
一人で帰るつもりが、
「先輩自身は自覚無いと思いますが、一応先輩は女の子ですので!」
と言われ、家までついてくれるらしい。後輩に気を使われると少々申し訳無かったりするが、今回は優しさに甘えておこう。
一応という言葉は少々気に障るが。気のせいということにしておく。
「今回は残念だったねー」
「そうですね。でも、多分勝っても樫妻先輩に負けますよ。」
「そう?負けるつもりはないけど。」
「僕は人より気配察知が得意ですが、先輩の気配隠蔽が上手いので見つけられないと思います。」
「やっぱり分かった?。まさか、執行者になって凄い速度で上手くなったんだよね。」
「暗殺系の能力ですね。それ。」
「そうだよね。でも、気配隠蔽を使ってバレないか心配だったよ。開眼してから初めて使ったし。」
「あれ、気配を隠蔽し過ぎたらかえって違和感ありますもんね。ブラックホールみたいになるじゃないですか。」
「そうそう。だからちょっとだけ気配を残しとかないといけないんだよ…これが面倒で面倒で。」
「良かったですね。気配察知が下手くそな人で。」
「ストレートだなぁ…まあ、上手い人ではないよね。春斗がアナライズかけてもさバレてないわけだし。まあ、アナライズをこっそりかけるのが春斗は上手いってのもあるけど。」
「でも、先輩にかけたらすぐバレるじゃないですか。」
「先輩舐めんなって話よ。」
「悔しいです…それにしても先輩の能力強過ぎません?」
「それなって感じ。相手の動きを無効化出来るんだよ。」
そういう会話をしている間には家についた。
「ありがとね。わざわざ。」
「いえいえ。じゃ、お疲れ様でーす。」
家に帰ったあと、何が大変だったかというとハンカチを洗う事だった。
「あーーーーーーーーーーー…まじで疲れた。大地の涙のせいで…本当何したんだよ。……………いや、知ってるか…」
緋色は一人ブツブツと言っている。
ついでに家族には自分が開眼したとは言っていない。
(弱いだの、使えないだの…そんな事しか言わないだろうし。)
今日はただの観客席として外に出た…という事を建前に家族に伝えている。
実は学園の参加者は無料だ。なので負けても、参加証と、学生証二つ見せると無料になる。
そして次の日、眠い目を擦りながら試験場についた。
「おはようございます…樫妻先輩………ふわぁ……」
「おはよ……あ、はいこれ。ハンカチ。ついでにお菓子あげる。」
「あ、ありがとう御座います…あ、美味しいあれだ…」
「それにしても…だいぶ人が少なくなったね~」
「知り合いが居なくなりますしね。残っているのは趣味の人くらいです。」
すると、緋色の知り合いを見つけた。
「あ。」
「緋色先輩!こんにちわ。」
「やっと見つけました!」
「どうも。あ…棚見…………君…………」
「昨日も見てました!」
一人春斗の事を知っているようだ。
「皆!どうしたの?」
「応援しに来ました!」
「そうなんだね!」
「香露音先輩に勝ったのも見てましたよ!」
「大男に注意してたのも格好良かったですよ!」
(注意では無いよ…もはやあれは…否定する事では無いし、黙っておこう。)
「そんなに…格好良いものでは無かったけどね。」
「そんな事無いです!」
「とっても格好良かったですよ!」
とても後輩が緋色をベッタベタに褒めているので流石に照れてしまう。
「ほ、本当?だったら良かったよ。今日も見るの?」
「はい!」
とのことで、後輩達5人は観客席に行った。
1時間程時間を潰し、試合に臨む。
「相手は………ウィザード。うわー…」
ウィザードはあまり戦う機会が無いので困る相手だ。
ウィザードは基礎能力で(中)になる能力が一つも無い。代わりに特有の能力が大量にある。
そして特有の能力が、ランダムで5~7個ある。
何の能力があるか人によって違うので本当に面倒だ。
「火球(中)!」
「電光石火(小)!」
火球を避けながら、ウィザードに詰め寄る。
「束縛(中)!」
「くっ…縮地(中)!」
思い切り避けたが、右腕だけ捕まってしまう。
ウィザードは遠くに離れ能力を使う。
緋色も遠くに出来るだけ離れ無いように、死線を使う。
「光矢・乱数(中)!」
「死線誘導・回帰(小)!」
死線が円形に動く。
光の矢が約二十本程、緋色を貫き穿たんとする。
「ああ、もう!武器生成(中)…死線誘導・折損(中)!」
鎖を死線で破壊し、矢を避ける。
「死線誘導・乱舞(中)!」
「グアッ…!」
円状の死線が一気にウィザードの元に乱反射する。
(おお…良いところ刺さってるじゃん動けない今がチャンス!)
しかし、ウィザードもただでは殺させない。
「束縛(大)………!」
「縮地(中)!」
大量の鎖をすり抜けてウィザードの後ろに回り込む。
(ちょっと飛び過ぎて死線で殺せないな…)
「武器生成(小)!ちょっと痛い…!すまん!」
銃で頭を撃ち抜いた。しかし、急所を外してしまった。
(まだ死なないか!素人がやるもんじゃないね…!)
条件が禿と違うので、狙い通りにいかない。
着地し、ウィザードに近づく。
身体が鎖に覆われるが無視し、思い切り撃ち込んだ。
世界が鎖と共に壊れる。
「あー…イッタタ…締めつけられるの思ったより痛い…あ…大丈夫ですか?」
即死させたらまだ楽に死ねるが、今回はだいぶゴリ押ししたので、少し申し訳無いと緋色は感じていた。
「あ、だ、大丈夫………です…お見事でした。」
と言ってくれた。
……そんなこんなで、緋色は10人以内に入った。
しかし…緋色はまた、簡単には終わらせてはくれないらしい。
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