ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

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弐章・選ばれし勇者編

2-12 44 春斗視点 選ばれ選んだ

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…今から…5回戦が始まる。

「僕に…出来るでしょうか…………」

言えなかった。

あの時言えなかった。

皆は何を原動力にしているのか。

たった一人がそんなにも動かせるエネルギーに何故なるのか。

答えが決まらないまま決闘が始まった。

(相手はハンター…何か柄悪い人だな………)

運が良く噴水の広場だった。

森林や廃墟とか困る。隠れられると、そこに行くまで時間がかかる。

「絶対射撃(中)………」

「武器生成(小)…!」

武器を犠牲に銃弾を叩き壊した。

もうちょっと遅かったら被弾していた。危ない、危ない。

「縮地(小)…!」

近寄るとやはり攻撃してくる。

「散弾(大)!」

広範囲の攻撃で綺麗に避けれる気がしない。

しかし、それでも銃弾は全部見れる。

「鎌鼬(小)……」

銃弾の一つ一つはそんなに強い物じゃない。

だから自分の行く道のところだけを綺麗に壊していく。

この人は多分個人より団体の方が向いている。

と言うかこの人は団体で戦ってきたように見える。

個人では慣れていないだろう。

「隼(小)…!」

一瞬で近付いて斬り込んで行く。

やはり、ハンターの唐傘は硬くて壊せない。

だからといって倒せない訳じゃ無い。

もう既にこんなに近いのであれば何とかなる。

「絶対射撃(中)…!」

「輪廻(小)…!」

一部だけ壊して弾道を変える。

この距離ではこれくらいしかできない。

それでも十分だ。相手は焦っている。

落ち着いて戦えば何とかなる。

ハンターは近づいて行く僕を急いで撃ちにいく。

「魔導式光線・一閃(大)」

僕に鉄砲を向ける。直撃するし、何より防御など出来ない。

だったらやる事は一つだ。

「輪廻(小)…!」

銃を剣で弾いた。弾道が逸れて攻撃が外れる。

そのまま1歩を踏み出し更に僕は次の攻撃に転じる。

狙うは首。

相手は後ろに倒れかけている。

思い切り力を込め首の肉を切り裂いた。

「……ふぅ……………慣れないなぁ…」

待機室に戻り、椅子に座って再び溜息を吐いた。

すると、

「フザケるな!あの小娘を呼べ!」

そう言い暴れている禿を見つけた。負けたのだろう。

周りは必死に止めている。

(…ドラゴンスレイヤー…か。そういえば、笛伴先輩に元資格所持者がいるとかなんとか聞いたな。)

頭が疼く。

違和感が何故か…急に襲ってきた。

すると、僕と目が合う。ああ…嫌な予感しかない。

更にこっちに来る。ああ…もう確定演出じゃん…

「何だ?てめぇ!」

首を捕まれた。力が強く空中に浮く。

疼く。

疼きすぎて頭が痛くなる。

痛い。

「……鬱陶しい…………!」

禿に向けて鎌鼬を放った。

「グワァ!」

どこに当たったかは知らない。

手を直ぐに放してくれたからもう良い。

痛い。

「………お前は…僕を知ってる…?」

ドラゴンスレイヤーに聞く。何故聞くのか僕にも良くわからない。

「…てめぇ何言ってる…?」

彼は至るところに血を流しながら答えていた。

そらそうだ。当たり前だ。初対面なんだから。

「…じゃあ…もういいよ………」

ふらつきながら、次の試合を待つ。

「そりゃあ無いよ……僕は…残り10人に…なったってのに………」

痛い。痛い。痛い…!

まともに動けやしない。

でも、決闘中は何とかなる。

と、思っていたのに、決闘中でさえもこの痛みは収まらない。

既に二人に負けてる。

「いってぇ…」

このままいけば三人に残れない。

……7人に勝たないといけないのに!

また、リングに上がる。

「……大丈夫?」

どうやら、烈火の華の能力者のようだ。

「……はい………………」

すると、僕の事を知っていた。

「……緋色の後輩…?」

「…そうです………けど…?」

「あの無能の…………」

その言葉を聞いた瞬間、ブチ切れそうになった。

この頭痛が無ければ本当に殺意が湧く。理性と痛みのお陰で何とかなった。

「…緋色って…良い人?」

「…?はい。」

「……へぇ…………君が思っている以上にあいつはゴミだよ。」

死ねば良いのに。

……だけど痛みで声が出ない。

「私の方が優秀だよ。…私と関わった方が良い。」

1度サルに食われて死ね。…いや…サルって何?

「あんな無能じゃないくてね。」

「…し………よ……」

しっかり言う前に世界が変わった。天空場だ。

ッチ。

ちゃんと死ねって言えばよかった。

しかし、痛みが永遠に収まらない。

「まぁ、それは決闘後の話だよね!紅蓮・華(中)!」

紅き華が浮かんで爆ぜる。

縮地で避けるがその後がその後構えられない。

何でこんなに痛いんだろう…?

やっぱり…忘れてはいけない事があるんじゃないのか…?

「そんなに痛いなら、棄権したら?」

「ごもっともな事で……しないけど…!」

今回だけは駄目だ。

絶対に駄目なんだ。

理由は知らない。

でも、逃げる方向に行こうとする僕を何時もよりも必死に止めている僕がいる。

「電光石火(小)……………」

「紅蓮・矢(中)!」

ギリギリで避けていく。

頬を掠ると一気に痛みが走る。鬱陶しい。

既に頭がクッソ痛いんだって。

「鎌鼬(小)…」

「紅蓮・狼(中)!」

思った通りにいかない。攻撃が全く通らない。

「…何で…樫妻……先輩に対して……そんな態度を…!」

「…え?当たり前でしょ?皆能力者なのに、あれだけ無能力者でしょ?」

「それだけ………?」

「それだけ…って言われてもね。それ以上の理由なんて無いんじゃない?」

ふざけてる。死ねば良いのに。殺してやろう。

ぐるぐると、頭にそういう言葉が回っている。

「それに、弱い先輩より強い先輩の方が良いでしょう。」

「…クズよりまともの方が良いので結構です。」

激痛を我慢しながら言う。

「何?そっちも緋色と一緒?」

空気が熱い。居るだけで火傷しそうだ。

「…そっちも無能力者だもんね。…何だ。無能同士仲良いんだ。アハハ…そうなんだぁ…!…そっちも遊ばれたいんだ。烈火式・紅蓮歌。」

世界が紅く染まっていく。持続型のブーストだ。

こいつはただのクズだ。

クズには負けたくないが、現状とてもピンチになっている。

「紅蓮・華(大)。」

爆発の威力が桁違いだ。

10分以上この状態だろう。

(本当に…このままじゃ死ぬぞ…俺!)

頭がクソ痛い。爆風でまともに立てない。炎で焼けて痛い。


春斗が団体戦で戦っている時に開眼したらしいよ。能力。ま、私はその時外の世界に行っていたからその瞬間は見れなかったけどね。


前回の世界について、樫妻先輩に言われた言葉だ。

(クソ…!俺が…能力が開眼してたら!)

こいつに勝てるだろうか。

更に頭が痛くなる。何故だ?否定するかの様に頭痛が酷くなる。



………ただいま。


これは誰が、いつ、どこで…言った言葉だ?その後は…?


でも…もっと僕を、僕達を頼ってくれませんか?


いつ言った?でもこれは絶対に俺が言った。もしかして樫妻先輩に言ったのか?

思い出せ。ここで思い出せなかったら、これからもずっと思い出せない。

一生後悔するぞ。俺………!


一人で押し込まないで下さい。…先輩は重い物を抱え過ぎです。
…………………。

辛い時は…辛いって言ってください。


そうだ。俺は彼女にそう言った。

思い出せ。もっと思い出さなければならない事が沢山あるだろ!


守護の剣(中)!


これは誰と…何と戦っている?


こんな簡単に吹き飛ばされた…!クソ…!♯!∨?さんが危ない!


この人か?俺が、俺達が忘れた人は…忘れていた人は!


何で…僕は何もできないんだ…!ただ突っ立ってる事しか…出来ないだなんて!


頭が痛い。これは…何時の…?

いや…知っている。外の世界での記憶だろう?

忘れていただけだろう?

「これで終わりよ!紅蓮・矢(大)!」

矢ではなく最早火柱と言える程の炎が僕を貫かんとする。

「霹靂の剣(大)。」

稲妻で炎を切り裂いた。

(能力が開眼したら強くなる?勝てる?……自惚れるな…!)

そんなもんあったって死神に負けたじゃないか。何を言っているんだ自分は!

思い出せ。

あの屈辱を。僕の弱さを。

…樫妻先輩に一人で戦わせたのは、僕が弱かったからだろ!?

(また…………戦わせるのかよ!?あの人を一人で…!)

女の子一人で戦わせるなんて…!そんなふうに僕は育てられた覚えは無い!

戦えよ!僕が男なら…!

選ばれたんだろ…英雄に!

選んだんだろ…英雄を!

一人にさせない為に戦ったんだろ!一人にならない為に戦ったんだろ!

「僕は………無能じゃありませんよ……!それに…樫妻先輩も…無能じゃないです。」

武器生成をし、長剣を作り上げる。

もう負けない。

負けてはいけない。

こんな炎に屈しない。

「この…!紅蓮・剣(大)!!」

縮地をしながらこっちに来る。

「すみませんね。…負けない理由ができましたので。」

決意を見せろ。僕。

勝つ気だけじゃ駄目だ。

既にスタートが遅いんだから。

これくらい…殺す気で行けよ。

「………僕だって炎にも負けませんよ……!英炎の剣(大)!!!」

世界は壊れる。

そして………僕の虚弱な気持ちも壊れて消えた。
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