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ユア教 教祖ユア

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弐章・選ばれし勇者編

2-14 46 香露音視点 作戦的な何か

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「はい!大地の涙から死神について聞き出そうのコーナー!」

「わーいわーいー」

棚見君が棒読みで言いながら手を叩く。

「私のせいで無事洗脳されまーす!」

「泣いていい…?」

香露音が本音を溢した。

今は、部活を放棄して会議している。

困る。するとは言ったが出来るとは言えない。

「まぁ、まず夏希について喋ろう。」

「はい。」

「今現状としては復活方法が見つかってないよね。」

「ただ、確証はないけどあるにはある。復活は多分する。」

「ただ…見つかってないので、如何することも出来ないですよね。」

「そこなんだよ光ちゃんー…」

「……というかそもそも何で消えたんですかね?」

「んん~…存在が消えたってのはつまり……魂が…消えた…?」

「でも、完全消滅はなさそうですね。」

「……少なくとも…………私達が…覚えてるから……って事…?」

「あー…魂の残りカス的なものはあるがしんないねー…」

「樫妻先輩って自分の精神世界に干渉できますよね…?」

「うん。」

「精神世界って…いわば魂の情報世界じゃないですか。」

「らしいね。」

「先輩って…洗脳解除できたりしますよね?」

「そうだね。」

はっきり言っておくが普通は無理だ。

「如月さんは魂が何かに干渉したんなら…その残りカスの魂に何かしら干渉できれば…いけるんじゃないですか?」

「…でも、棚見君。残りカスから完全体になるもの…?」

「魂が単細胞生物…的なものだと思えば…ワンチャン春斗の言う通りに出来る…と思う。」

アメーバというものを聞いたことが一回はあると思うが、魂が仮に単細胞生物の構造に似ているとしたら、その残りカスから完全体になるのは不可能ではない。

「でもどうやって干渉するか、そもそも魂が何処にあるかも分かんねーから、意味無いんだよなぁ……」

「結局はそこに戻るのねー…」

「…こっから話はきっと進まないだろうし、話を大地の涙の方に移行しよう。」

「そうしよっか。…私達が…大地の涙に求めているのは、死神の情報。」

「多分、その他諸々を大地の涙は知ってる。」

「でも…緋色先輩を洗脳するつもりなんですよね?しかも、堂々とそんな事言ってましたよね……」

「そうそう。あの人は私に対して、『何を代償にして、その情報を得るか』聞いてきた。」

「何でそんなに樫妻先輩を洗脳させたいんですかね?」

「大地の涙は…世界をやり直していた。」

「……!」

「私達………だけじゃ……無かったんですね…………」

「やり直していた理由によって、洗脳出来ないと困りますよね。」

「そうなの?光。」

「だってさ、智花。今まで、洗脳で解決してきたとするじゃん。でも、洗脳できない人が現れたら…どうなる?」

「解決出来なくなる?」

「そういう事。…推測しか出来ないけど…」

「まあ、光ちゃんの言う事には一理あるよねー」

「…まぁ…あの人が前回と同じ様な手を打ってくるとは思いませんねー…」

「そうだね。前にも言った通りブーストを使ってくる可能性が高い。」

「それに…皆が周知している持続型の可能性は無いわ。」

「………持続型も…怖いですけど………必殺型の方来るんですか………」

「流石にマズいんじゃ?だって前回は、緋色先輩、夏希先輩、棚見君、鶴は洗脳耐えましたけど………緋色先輩は置いといて……棚見君と鶴は無理かもしれませんよ。…私達は夏希先輩がいてもいなくても無理でしたが。」

「私の話にはなるけど、洗脳(大)を使われて耐えた人は、皆、洗脳耐性がⅢ以上ある人だよ。夏希もそれ位あった。」

香露音のアナライズは耐性が見れる。

だから、洗脳される境界線が分かる。

ついでに言うと、洗脳されたらしい後輩達はⅠあるかどうかだった。

それに、香露音自身もⅡ程しか無い。

あの時、隣に夏希が居れば何とかなるかもしれないが、一人で居れば洗脳されていた。

「でも、幾らあろうとも、大地の涙の限界なんて知らないですし、その時になってみないと分かんないですねーー」

軽く言う。

というか、この人何で洗脳耐性がⅣもあるのだろうか。

無能力者の時はⅡだったのにも関わらず。

Ⅱもある事自体珍しいの域を越えているが。

「そうだねー…」

取り敢えず、分からない事が多すぎて、これ以上話は進まないので後輩達の3人の話をする。

「香露音、春斗、鶴ちゃん。どいつが一番強かった?」

「う~ん…私の時は、やっぱり暗殺者三人組が強かった。」

「そうですね。」

「うん…」

3人とも満場一致で答えた。

「………そんな人たち居たの………?」

流石に緋色が引いている。

「でも、烈火の華、氷結、雷神の3人も強かったですよ。」

「………死ぬかと……思った………」

「笛伴先輩も死にかけてましたね。…社会的に。」

「物理的に死んでたじゃん………」

何があったのか知らないが、実力は確かなようだ。

「守護者が居るチームと、遠距離、近距離どっちもいるチームとかはまぁ強いよね。」

「バランスが良いとそうなるのかー…」

緋色は考え込む。

「でも、僧侶が居るからねー…」

光ちゃん、智花ちゃん、奏恵ちゃんのこのチームの最大の強みとしては、バランスが完璧なまでに良い事だ。

「ここのチームは確かに防御面は弱いかもしれないけれど…」

「私、ガードアップ持ってます。」

「そうなのー!光ちゃんが防御貼れるし。」

「それに、奏恵ちゃんも持ってるから、困らない事は無いよね。」

「でさ、私が思う事だけど…聖なる光ってほぼ自衛レベルの威力じゃん?」

「そうですね……(大)でも、一撃じゃあ倒せないです。」

「だからさ…(中)で一撃出来るほどの威力に持ってこない?」

「…緋色、本気で言ってる?」

「いやぁ…私達が産まれる前くらいに活躍したらしい二つ名持ちの僧侶いたじゃん?」

「聞いたことあります。光の天女ですよね?」

博識な智花ちゃんは知っているようだ。

「それー。一時期、その人にハマって調べまくった事があったんだけど……その時に個人の資格取ってたんだけど…聖なる光でワンパンだったらしいよ。」

「そ、それを…………私に?」

「でも、それ良いかもね。皆、僧侶は弱いと思い込んでるだろうし。そこを突いて…ズドンと。」

「で、でも、私…(大)を使えるようになったばっかりで…」

この短期間で、ここまでの成長をしたのなら十分だ。

元々、僧侶は成長が無能力者と変わりない程成長が遅いと言われているのだから、寧ろ早い方だ。

「大丈夫大丈夫。そこは練習だよー…質と量どっちも取った練習を。」

そして、練習していく事になった。

取り敢えずはやはり、この3人組の団体の資格を取る事が重要だ。

洗脳などよく分からないので、考えるだけ無駄と言う結論になった。



特訓の三日目の休憩…

「ぬへ~~…………」

「ひ、光ーー…」

「わ、私も無理でふ…………」

「と、智花ーー…」

「……何で………棒読みなの………鶴ぅ……」

「……皆、倒れてるから………?」

倒れている3人をまじまじと鶴は見つめていた。

「…緋色と棚見君は?」

香露音は二人が居ないことに気付いた。

「あっち………に…」

鶴ちゃんが二人の事を知っていたようだ。

二人の会話が聞こえる。

この距離なら、壁際に居ても休憩している様に見える。

「どう?」

「どうって何がですか?」

「………もう直ぐで…あと三週間後には…世界が壊れた日と一緒だなってさ。」

「そうですね…でも、強くなっているじゃないですか。…皆…」

「確かにそうだけどさ…」

「怖いですか?」

「…………………うん…いやぁ…………怖いよ…………私が強くなっていっても…周りの人達が強くなっていっても………………足りないよ……………」

緋色はそんな事を考えていたらしい。

「僕がいますって言っても怖いですか?」

「………………………………そんな事を言ったら笑われちゃうよ。」

「…そうだとは思いませんけどねぇ……………先輩。」

「ん?」

「少なくとも、先輩は一人じゃないですよ。一人にはさせません。前回みたいに僕は弱く無いです。」

「…そういえば……あんた泣いてたね。」

「…!!!!それは蒸し返さないで下さい………」

「恥ずかしがってるー」

「してません…!それを言うそっちだって…!!!」

「ふーん。暗かったから分からなかったもーんねー!」

この会話を聞いてバカップルと思わない人間がいるのだろうか。

というか、本当に付き合ってないんだ…と思う。

「本当、そんな過去の事を言ってるから、彼氏出来ないんですよ!」

「それは春斗も同じ!この彼女いない歴=年齢!」

「僕かいないのは、別に、作るつもりが無いからですー」

「この…!」

「ふん!」

「あ、もう休憩終わりじゃん。行くよ、春斗。」

「はいはーい、分かってますよー」

という事でまた特訓が始まった。
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