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弐章・選ばれし勇者編
2-24 56 夏希視点 死神
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「騎士の激励(大)…!」
最初に死神が攻撃したのは香露音だった。
「この……………!輪廻(中)……!」
元々攻撃が来ると分かってしまえば、反撃出来るが次が出来るとは限らない。
「全員、死神を囲むようにして…!」
「はい!」
全員が散らばる。
これで少なくとも、誰に攻撃されるか分かる。
「…これが死神…!」
「♯★?!♯∨♯&」
「本当に何言ってんだよ…左眼の恨みはここで晴らしてやる…!」
智花ちゃんの方に攻撃する。
「喝采の剣(中)…!」
それを守る様に智花ちゃんに一番遠い棚見君が挑発する。
英雄の能力は色々ある。挑発等の防御系と3種の属性のある攻撃系。
弱点等ほぼ無いに等しい。
強制的に棚見君の方へ攻撃が向く。
「死線誘導・回帰(中)…!」
死線を張る。
死神はそこに突っ込んでいった。そのまま死線は死神に絡まる。
「アタックアップ…!」
光ちゃんがすかさずバフをかけていく。
「さぁ、食らえよ!死線誘導・殺戮(大)…!」
さっきの大型モンスターとは違い、人型なのでダメージが通った。
「樫妻先輩…!これ勝てますかね…!」
「勝つんだよ…!少なくとも…誰も死ななければ!」
今度は棚見君の方へやって来る。
「守護の剣(中)………!」
すると急に火力が上がる。そこから一瞬で割れた。
「縮地(中)…」
緋色は一瞬で死神に近付く。
死神は緋色に視点を向け攻撃の体制を作る。
そして、棚見君も踏んばって構えた。
「輪廻(小)…!」
「隼(小)…!!」
2人で同時に攻撃した。息が合った攻撃だ。
「人型なのに、硬すぎでしょ…!」
「結構いいやつ入れたんですけどね!」
2人は一気に下がる。そして、鶴ちゃんと夏希が攻撃を仕掛ける。
「閃律(小)…!」
「電光石火(中)…!」
見た目の割に硬い。それでも、刃が一切通らない訳じゃない。
全員の隊列が崩れないように戦っていく。
(それでも…私は強くなってない……まだ精神掌握が出来ない…!)
そのせいで悪夢殺しが出来ない。ブレインダイブとしては致命的だ。
「早過ぎて拘束をしても避けられる…」
大型モンスターとはまた違った問題が生じている。
「&!♯?∨&!♯?」
「ガードアップ!」
奇声を発したと思えば衝撃波となって、全体を吹き飛ばす。
奏恵ちゃんが咄嗟の判断で衝撃を軽減した。
この一瞬で、誰に使うかを判断出来るのは脱帽ものだ。
「こんなに威力があるのかよ…!」
「ハハ…前回は、どうやら本気なんて欠片も出してなかったようですね…」
「そうみたいだね…!」
それに、さっきの大型モンスターとの戦闘で万全の状態ではない。
(精神掌握をさっきからしてるけど…全くできない…それに、下手にやり過ぎると、こっちに攻撃が来る…)
それでも、前回は死神の精神世界に入ったことがある。
だから無理ではない。
無理ではないが出来るわけではないから夏希は今とても困っている。
それだけではなく、ここに居る全員はちゃんと準備をちゃんとして来ている。
装備は粗悪では無いはずだ。
死神が更に夏希の方に来る。動きが速過ぎて全く見えない。
(心眼…!)
動きはある程度は読めるようにはなってもだからといって、避けれる訳じゃ無い。
「聖なる光(中)…!」
奏恵ちゃんの攻撃でなんとか引き剥がす。
8人で囲むようにして戦っていて、何度も何度も邪魔されたのが腹が立つのか、更に死神は雄叫びを上げた。
「?∨♯&!∨∨#∌」
「……!」
視界を遮るようにして霧が出てきた。
(嘘でしょ…!?これはまるで…!暗殺者の能力みたいな………!?)
視界が遮って何も見えない。
それでも、死神はなんとかそれっぽいものは視える。
でも、これは心眼が使える夏希だから出来る事だ。他の人は出来るか如何か分からない。
すると、棚見君と香露音の声が聞こえた。
「喝采の剣(中)……!」
「騎士の喝采(大)…!」
2人で攻撃を集めるつもりだ。
「羽柴士さん…!」
「考える事は同じで何よりね…!効果が切れるまで耐えてやるわ…!」
激しい、金属の音が聞こえ始めた。
光ちゃんと奏恵ちゃんは2人にガードアップをかけている。
(私は…何が出来る…!?)
今、洗脳出来たら完璧な筈だ。精神掌握程度でもいいから今ここで出来るようにならなければ。
手を翳す。
1回目は出来ない。
2回目…出来ない。
3回目……出来ない
………
何度も…出来ない。
(流石に全部任せる訳にはいかない…少しでも…足止めを……)
「こ、来ないで…………!来ないでぇ!!!!」
「何で………………こんな奴に…」
悲鳴の声が聞こえる場所に来た。
夏希は進もうもした。しかし、視界が揺れ始めた。
「ううう………」
一瞬で戻って来てしまった。
(でも………出来ない事は無い…!)
少しずつ、霧が晴れていく。
完全に晴れると2人はボロボロだった。
「久しぶりに生きてる感じがしませんね……」
「本当に生きてるのが奇跡だよ。春斗。」
「笑いながら言う事ですかね…」
まだ、全滅していないのが腹が立つのか、更に雄叫びを上げた。
「∌&&∌!#!∌&?!♯&♯!#&♯!?!?!∌」
死神の周りに赤黒い靄が現れる。
「やべ………!」
そのまま夏希に飛びかかった。
「月面斬り(大)…!」
「蜘蛛の巣(大)!」
2人が同時に夏希を守る。
「左眼の敵…!」
「誰の………何ですか……………!?」
「私…!」
「あるじゃ…………ないですかーーー!?」
「今は昔、潰されたー!」
よく、この死にかけの状況でこんな会話ができるものだ。
流石に呆れを超えて狂気を感じる。
必死に止めて、相殺した。
2人の全力と死神の攻撃は同等らしい。
夏希はすかさずに攻撃する。
「絶対に…!勝ってやる…!!!」
また、何かに吸い込まれるように意識が消える。
戻って来た。死神の精神世界に。
知らない人達が殺されている。
先に歩いていくと、かつての友が殺られている。
その先には、知らない人達が罵倒している記憶が見える。
もっと歩いていけば、そこには何かが立っていた。
「………あ………う…………………て……」
よく分からないが言葉を発している。
「た…………………し……て…」
ずっと、手で顔を覆い隠し、何かを呟いている。
「この屑め!」
「殺人鬼!人殺し!」
これは何時の記憶だろうか。
「やーいやーい!ひっとごろし!ひっとごろし!」
「貴方とは………ちょっと……………」
「…私は…誰も殺してなんて無いのに……」
誰の記憶だろうか。
「どうせ、今は殺してなくても、いつか殺すわよ。」
「お前なんて、産まなかったら良かったって何回思ったか…!分かってんのか!」
どこの記憶だろう。
「……サイッテー…………」
反吐を吐くように夏希は言葉を溢した。
これほどまでに気分を害する、胸糞悪い記憶があっただろうか。
夏希の言葉に反応するかの様に、精神世界の住人がこちらを見た。
「………だ……誰…?」
20歳にもなっていない女の人だ。
「また…私は、殺したの…?」
その問いに否定する。
「私は…私達は誰もあなたに殺されてないよ。」
「………じゃあ…早く私を殺して…!」
「………」
「もう、私に殺させないで!」
夏希は、死神がただの殺したくない人間だと悟った。
「心が…侵される…暗い闇に…!」
誰だって、殺したくない筈だ。この人もそうだったのだ。
「…分かりました…貴方を…助けます。」
そう言って、視界が歪んでいく。
剣を構え一瞬の内に精神掌握を使う。
「絶対に………助く…!悪夢殺し(大)……!」
今まで蓄積された絶望を壊すように。
殺された恨みを晴らすように。
永遠の虚無を消すように。
…夏希はここで全てを終わらせた。
「#?&?∌???&?∌#∌∌&!#∌♯∌#∌∨∨…#!&」
頭を抱え、死神は唸る。
苦しみに悶ている。
「……コ…レ……デ…………オ………………ワ………レ…ル…………」
天に手を翳し倒れていった。
「……これで…終われる…?」
「初めて…聞こえましたね…」
「た…倒したの………?」
奏恵ちゃんは覗き込む。
「…………え?」
すると、一瞬の内に、鎌が心臓に刺さっていた。
死神から、瘴気のようなものが溢れだす。
最初に死神が攻撃したのは香露音だった。
「この……………!輪廻(中)……!」
元々攻撃が来ると分かってしまえば、反撃出来るが次が出来るとは限らない。
「全員、死神を囲むようにして…!」
「はい!」
全員が散らばる。
これで少なくとも、誰に攻撃されるか分かる。
「…これが死神…!」
「♯★?!♯∨♯&」
「本当に何言ってんだよ…左眼の恨みはここで晴らしてやる…!」
智花ちゃんの方に攻撃する。
「喝采の剣(中)…!」
それを守る様に智花ちゃんに一番遠い棚見君が挑発する。
英雄の能力は色々ある。挑発等の防御系と3種の属性のある攻撃系。
弱点等ほぼ無いに等しい。
強制的に棚見君の方へ攻撃が向く。
「死線誘導・回帰(中)…!」
死線を張る。
死神はそこに突っ込んでいった。そのまま死線は死神に絡まる。
「アタックアップ…!」
光ちゃんがすかさずバフをかけていく。
「さぁ、食らえよ!死線誘導・殺戮(大)…!」
さっきの大型モンスターとは違い、人型なのでダメージが通った。
「樫妻先輩…!これ勝てますかね…!」
「勝つんだよ…!少なくとも…誰も死ななければ!」
今度は棚見君の方へやって来る。
「守護の剣(中)………!」
すると急に火力が上がる。そこから一瞬で割れた。
「縮地(中)…」
緋色は一瞬で死神に近付く。
死神は緋色に視点を向け攻撃の体制を作る。
そして、棚見君も踏んばって構えた。
「輪廻(小)…!」
「隼(小)…!!」
2人で同時に攻撃した。息が合った攻撃だ。
「人型なのに、硬すぎでしょ…!」
「結構いいやつ入れたんですけどね!」
2人は一気に下がる。そして、鶴ちゃんと夏希が攻撃を仕掛ける。
「閃律(小)…!」
「電光石火(中)…!」
見た目の割に硬い。それでも、刃が一切通らない訳じゃない。
全員の隊列が崩れないように戦っていく。
(それでも…私は強くなってない……まだ精神掌握が出来ない…!)
そのせいで悪夢殺しが出来ない。ブレインダイブとしては致命的だ。
「早過ぎて拘束をしても避けられる…」
大型モンスターとはまた違った問題が生じている。
「&!♯?∨&!♯?」
「ガードアップ!」
奇声を発したと思えば衝撃波となって、全体を吹き飛ばす。
奏恵ちゃんが咄嗟の判断で衝撃を軽減した。
この一瞬で、誰に使うかを判断出来るのは脱帽ものだ。
「こんなに威力があるのかよ…!」
「ハハ…前回は、どうやら本気なんて欠片も出してなかったようですね…」
「そうみたいだね…!」
それに、さっきの大型モンスターとの戦闘で万全の状態ではない。
(精神掌握をさっきからしてるけど…全くできない…それに、下手にやり過ぎると、こっちに攻撃が来る…)
それでも、前回は死神の精神世界に入ったことがある。
だから無理ではない。
無理ではないが出来るわけではないから夏希は今とても困っている。
それだけではなく、ここに居る全員はちゃんと準備をちゃんとして来ている。
装備は粗悪では無いはずだ。
死神が更に夏希の方に来る。動きが速過ぎて全く見えない。
(心眼…!)
動きはある程度は読めるようにはなってもだからといって、避けれる訳じゃ無い。
「聖なる光(中)…!」
奏恵ちゃんの攻撃でなんとか引き剥がす。
8人で囲むようにして戦っていて、何度も何度も邪魔されたのが腹が立つのか、更に死神は雄叫びを上げた。
「?∨♯&!∨∨#∌」
「……!」
視界を遮るようにして霧が出てきた。
(嘘でしょ…!?これはまるで…!暗殺者の能力みたいな………!?)
視界が遮って何も見えない。
それでも、死神はなんとかそれっぽいものは視える。
でも、これは心眼が使える夏希だから出来る事だ。他の人は出来るか如何か分からない。
すると、棚見君と香露音の声が聞こえた。
「喝采の剣(中)……!」
「騎士の喝采(大)…!」
2人で攻撃を集めるつもりだ。
「羽柴士さん…!」
「考える事は同じで何よりね…!効果が切れるまで耐えてやるわ…!」
激しい、金属の音が聞こえ始めた。
光ちゃんと奏恵ちゃんは2人にガードアップをかけている。
(私は…何が出来る…!?)
今、洗脳出来たら完璧な筈だ。精神掌握程度でもいいから今ここで出来るようにならなければ。
手を翳す。
1回目は出来ない。
2回目…出来ない。
3回目……出来ない
………
何度も…出来ない。
(流石に全部任せる訳にはいかない…少しでも…足止めを……)
「こ、来ないで…………!来ないでぇ!!!!」
「何で………………こんな奴に…」
悲鳴の声が聞こえる場所に来た。
夏希は進もうもした。しかし、視界が揺れ始めた。
「ううう………」
一瞬で戻って来てしまった。
(でも………出来ない事は無い…!)
少しずつ、霧が晴れていく。
完全に晴れると2人はボロボロだった。
「久しぶりに生きてる感じがしませんね……」
「本当に生きてるのが奇跡だよ。春斗。」
「笑いながら言う事ですかね…」
まだ、全滅していないのが腹が立つのか、更に雄叫びを上げた。
「∌&&∌!#!∌&?!♯&♯!#&♯!?!?!∌」
死神の周りに赤黒い靄が現れる。
「やべ………!」
そのまま夏希に飛びかかった。
「月面斬り(大)…!」
「蜘蛛の巣(大)!」
2人が同時に夏希を守る。
「左眼の敵…!」
「誰の………何ですか……………!?」
「私…!」
「あるじゃ…………ないですかーーー!?」
「今は昔、潰されたー!」
よく、この死にかけの状況でこんな会話ができるものだ。
流石に呆れを超えて狂気を感じる。
必死に止めて、相殺した。
2人の全力と死神の攻撃は同等らしい。
夏希はすかさずに攻撃する。
「絶対に…!勝ってやる…!!!」
また、何かに吸い込まれるように意識が消える。
戻って来た。死神の精神世界に。
知らない人達が殺されている。
先に歩いていくと、かつての友が殺られている。
その先には、知らない人達が罵倒している記憶が見える。
もっと歩いていけば、そこには何かが立っていた。
「………あ………う…………………て……」
よく分からないが言葉を発している。
「た…………………し……て…」
ずっと、手で顔を覆い隠し、何かを呟いている。
「この屑め!」
「殺人鬼!人殺し!」
これは何時の記憶だろうか。
「やーいやーい!ひっとごろし!ひっとごろし!」
「貴方とは………ちょっと……………」
「…私は…誰も殺してなんて無いのに……」
誰の記憶だろうか。
「どうせ、今は殺してなくても、いつか殺すわよ。」
「お前なんて、産まなかったら良かったって何回思ったか…!分かってんのか!」
どこの記憶だろう。
「……サイッテー…………」
反吐を吐くように夏希は言葉を溢した。
これほどまでに気分を害する、胸糞悪い記憶があっただろうか。
夏希の言葉に反応するかの様に、精神世界の住人がこちらを見た。
「………だ……誰…?」
20歳にもなっていない女の人だ。
「また…私は、殺したの…?」
その問いに否定する。
「私は…私達は誰もあなたに殺されてないよ。」
「………じゃあ…早く私を殺して…!」
「………」
「もう、私に殺させないで!」
夏希は、死神がただの殺したくない人間だと悟った。
「心が…侵される…暗い闇に…!」
誰だって、殺したくない筈だ。この人もそうだったのだ。
「…分かりました…貴方を…助けます。」
そう言って、視界が歪んでいく。
剣を構え一瞬の内に精神掌握を使う。
「絶対に………助く…!悪夢殺し(大)……!」
今まで蓄積された絶望を壊すように。
殺された恨みを晴らすように。
永遠の虚無を消すように。
…夏希はここで全てを終わらせた。
「#?&?∌???&?∌#∌∌&!#∌♯∌#∌∨∨…#!&」
頭を抱え、死神は唸る。
苦しみに悶ている。
「……コ…レ……デ…………オ………………ワ………レ…ル…………」
天に手を翳し倒れていった。
「……これで…終われる…?」
「初めて…聞こえましたね…」
「た…倒したの………?」
奏恵ちゃんは覗き込む。
「…………え?」
すると、一瞬の内に、鎌が心臓に刺さっていた。
死神から、瘴気のようなものが溢れだす。
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