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参章・昇りし太陽編
3-11 68 鶴・その他視点 孤独
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智花視点
私は何かを求めていた。
友達?恋人?
そんな形あるモノを欲しがっていたかと言われたら素直にうんと頷けない。
では、力か。絆か。愛か。
形ないモノが欲しがっていたのか。
全部…違う。
分からない。
何が違うのか。
何にもない平和な日々から自ら抜けようとするのは愚かだろうか。
平和な日々から遠ざかっている人にとっては恨めしいことだろうか。
危険というものは時に刺激的に感じる。
だから、火遊びが何度注意しても、この世界から消える事が無い。
私は、刺激が欲しいのか。非日常を感じるのが好きなのか。
…分からない。
この空虚な気持ちは…心臓が無くなったようなこの穴の空いたこの気持ちは…
いつ満たされるのだろう。
私の元にこの乾いた何かを潤す誰かを…私は待っている。
その為に、私は蒼の太刀を手にした。
私は心からこの能力を望んでいた。物心がつく前からずっと。
憧れだった。
…だから、この力を振るうときは憧れのままになるように。
決して自分に、憧れていた澄んだ瞳で見ていた私に、失望はさせない為に。
この能力を愛し、この能力を使う私を愛す。
その決意は壊れない。
…なのに……非日常を望む度に、強烈な恐怖に見舞われ、日常を
酷く渇望する。
この恐ろしいまでに無責任な感情はいつ終わりを迎えるのだろう。
鶴視点
「悪いな。俺を見つけてしまった自分を恨むんだな。」
「……!!!誰か………!助けて……!」
私は家の中を逃げ回る。
「待て!」
家の中には家族は居ない。両親には頼れない…!
相手は能力者。そして武器を持ってる。
私は無能力者、そして子供、武器なんて持ってないし、武器生成が先週出来たばっかりなのに!
このままでは殺される!
何で!どうして!
蟻の巣に、爆竹入れて殺す遊びをしたから…!?
蟻の巣に、大量の塩水を入れて、その周辺の土を植物を作れなくしちゃったから!?
蛙に武器生成の手伝いして、5匹くらい殺したから!?
何で!?
私は楽しかった!でも、この人は私を殺しても楽しくないでしょ!!
じゃあなんで殺してくるの!
走りながら、武器となりそうな物を探す。無い!お母さん、こういう時に限って片付けないでよ!
このおじさん走りやすそうじゃん!
少しでも足止め出来るか試してみる。
「鎌鼬(小)…!」
よく人の写真を見てたから何処を切り裂けば死なないか分かる。
でも、威力が無さ過ぎて、急所に当てても死ななそう。
やっと使えるようになった、基礎の中の基礎の能力を使ったところでこの人にとってはただのそよ風。
「いっ…!このガキ!」
更に怒らせてしまった。
言っても、服が切れてるだけでそこまで怪我はしてない。
玄関に行きたいが、閉められている可能性がある。
鍵を開けている暇があれば捕まるし、外に出て広くなったらあっちの方が速いから捕まる。
いっそ、家を燃やす?
それだと、流石に怒られる。
平和的に…私が悪い子にならない様にする為には…
「……俺には金が要るんだ!」
「え!?まさか、おじさん、私達のお金盗っちゃったの!?」
「バレやしないさ!お前が死ねば!鎌鼬(中)!」
「きゃあ…!?」
両親に真っ先に覚えさせられた唐傘で何とか急所を防いだ。
この人は馬鹿だ。
足を立てないように攻撃すれば、幾らでも甚振れるのに…首しか狙わないなんて、非効率的ね。
そのお陰でまだ走れるけど。
「何で私を殺すの!何もしてないのに!」
私はまだ子供。同情を誘いやすい筈だ。
「酷いよ!おじさん!私はまだ死にたくないのに!」
さあ、どう出る?
「じゃあ来世に期待だな。」
…意味不明過ぎ。
来世なんてある訳ないでしょ?馬鹿じゃないの?
今が第一優先でしょ?
「もしかして、おじさん。…捕まる事、考えてるの?」
「何言ってんだ?当たり前だろ。」
「…今、お金に困ってて盗むんでしょ。それで解決するじゃん。先のこと考える必要なくない?何で捕まる事を考えてるの…?」
「は?こいつ何言って…」
「来世に期待?今にしか期待しないよ。だから死んだら、何も残らない。」
まだやりたいことがあるの。
やりたりないの。
外の世界でやりたいの。
外の世界でたくさんやれるって聞いたから。
あんな、小さな虫螻を虐めるより、鳴いてくれる方が楽しいでしょ?
でも…今は、外の世界じゃないと出来ない事が今出来る。
何故なら私は命の危機に瀕してる。
そして、このおじさんは生殺与奪の権利を握っている。
それって、面白い展開じゃない?
殺そうと思った相手に殺される…それってドラマの様じゃない…!
「ねぇ、おじさん。……私ね…最後にお願いがあるの。…それが終わったら大人しくしてるから…」
「諦めたか。何だ?言ってみろ。」
やった。
「…お願い…私の…初めてを。」
「…なっ…!」
「初めて人を殺す、記念すべき一人になって!」
このおじさんは目が急変した。
ああ…今から遊ばれると悟る目ってこんなに良いのね!
恐怖に慄き、正常な判断が出来ないのね!
「流石にね、おじさんを殺しちゃったら、幾ら正当防衛と言えども、私が表面に出てたら実は仕方無くじゃなくて、ワザとってなっちゃうでしょ?私が悪いみたいになっちゃう。折角人を殺せるのに。実はね、私が暗殺者になったって皆に秘密にしてたの!あ、先月の事ね!」
「……!!!!!!」
「ウフフ…。良かったね!」
「…!!!!!!」
急に叫び出す。
このおじさん、ウルサイ。悲鳴は要らない。興味無い。
「月面……………」
子供相手に能力使うとか大人気無いよね。
どうせ死ぬんだから………さっさと諦めて死ねばいいのに。
「黒の一閃(小)。」
太腿を狙う。
ここなら死ななそうだけど死んでしまう場所。
動脈が流れてるからそこにブスッ…といけば、逝っちゃうらしいよ。
「これなら、逃げる為に足を狙った。…でも……当たった場所が悪かったって話になるよね!」
「…ウウグウゥ!」
少しずつだが、動きが鈍くなる。
…もう少しで、両親が帰ってくる。気配が濃くなっていく。
初めて人を殺した感覚を得る事が出来たし、あとは大人しくするだけ。
まるで、不運のか弱い女の子の様に。
私の本性が、精神世界の私がこんな人だとバレないように。
偽りの私を作りましょ。
そうすれば、嘘にはならないわ。演技だけど演技じゃなくなるもの。
…………皆そうでしょ?偽りの自分を取り繕ってる。
「うえぇぇぇぇん!!!おかーーさん!!!!!おとーーーーさん!!!どうしよう!!どうしよう!!!!!!動かなくなっちゃったよー!!!!」
「…ああ…思い出しちゃった…」
だから、偽りの私が出来た。
私は正当防衛だ。
でもそれは、法律の上に乗る肩書でしかない。
法律では、私を裁けない。
そして、私を裁くことは出来ない。
何故なら、殺ったのは精神世界の私であり、今の自分では無いからだ。
真の意味で裁くことは出来ない。
私は確かに私だけど私じゃない。私とは言えない。私とは認めない。
「あ、暗殺者って人殺し能力なんだろ!…来るなよ…!」
「うーわ!殺されるー!」
「言い過ぎだよ…!」
「なんだよ。じゃあ、五十嵐とおてて繋げるのか?」
「…………」
「ほーらみろ!」
「ギャハハハ!」
ああ…まただ。またバレた。
大分、自分の能力を隠せる様はなったが、学年に1人くらいは、教師の1人くらいは…アナライズが得意だ。
…私なら隠そうと思えば隠せられる。でもしない。
だからバレてしまう。
(また…転学だなあ…)
「………皆、酷いよ……………」
嘘泣きをする。
「私だって望んでた訳じゃないのに!」
という設定だ。
偽物はとことん人の同情を買う人だから。
反吐が出るほど嘘を吐く。
「何で私を虐めるの!最低!」
そう言い、教室を出ていった。
そこから、小学園に行かなくなった。
被害者面は上手くいった。先生がクラスメートを責め立てる。
確かに、私が純粋潔白であれば、因果応報というものだ。
でも違う。図星なのだ。
なのに、私が図星をつかれていることを知らずに、己の罪と思っているものに不必要の罪悪感を感じる。
同情を買いまくって、教師をやめさせた事もある。
そして、転学が決まり蒼小学園に行く事になった。
私は知っている。
何時か弄んで殺したように。
何時か私は弄ばれて殺される。
そして、私はその時、死にたくないと思うだろう。
生に対する強い欲望が叶えられない、死に対する強い恐怖に打ち勝てない。
そうなれば、私はやっと罰を受けるだろう。
死にたくないと思って殺されるから意味がある。
それが真の裁きだ。
…だけど。その分罰を加算してもいいから、罰は少しだけ待って欲しい。
やる事が出来てしまった。
蒼小学園に踏み込んだ時、強い頭痛に襲われた。
春に咲く桜を見た時も頭痛が酷かった。
極めつけは、無能力者が急に強くなり、能力者をボコしたと言う噂。
私は………偽る事を…止めた…
同情を誘わなかった。
彼女等に自分から暗殺者だと言う事を伝えた。
彼と戦った。
守られる程私は弱くない。
でも…「守らせてくれ」と彼に言われた時、嬉しかった。
あの時から初めて正当に人から守られたから。
子供だから、悪いのはあいつだからと不正に守られた。
肩書の上では何の意味も無いのに。
守られて、初めて人を守りたくなった。
死ぬなと言われて初めて死にたくなくなった。
緋色先輩に認められた気がした。皆に認められた気がした。
私が戦う理由が初めて出来た。
殺したいと思わずにただ戦う。
抗って、誰もが望む希望の未来を…!
せめて…!偽りの私だけは…!
この私だけは……私が愛せる私になるように…
だからどうか…罰の執行は待って…
ただ…皆の役に立ちたいの。初めてそう思えたから。
絶対に君の名前を思い出す。助けてみせる……
…最大の皮肉でしょ。
………偽物の私の方が人から愛されるなんて。
憐れよね。…………本物の私は…今の私ですら…その事が悲しい事に自覚が無いなんて。
私は何かを求めていた。
友達?恋人?
そんな形あるモノを欲しがっていたかと言われたら素直にうんと頷けない。
では、力か。絆か。愛か。
形ないモノが欲しがっていたのか。
全部…違う。
分からない。
何が違うのか。
何にもない平和な日々から自ら抜けようとするのは愚かだろうか。
平和な日々から遠ざかっている人にとっては恨めしいことだろうか。
危険というものは時に刺激的に感じる。
だから、火遊びが何度注意しても、この世界から消える事が無い。
私は、刺激が欲しいのか。非日常を感じるのが好きなのか。
…分からない。
この空虚な気持ちは…心臓が無くなったようなこの穴の空いたこの気持ちは…
いつ満たされるのだろう。
私の元にこの乾いた何かを潤す誰かを…私は待っている。
その為に、私は蒼の太刀を手にした。
私は心からこの能力を望んでいた。物心がつく前からずっと。
憧れだった。
…だから、この力を振るうときは憧れのままになるように。
決して自分に、憧れていた澄んだ瞳で見ていた私に、失望はさせない為に。
この能力を愛し、この能力を使う私を愛す。
その決意は壊れない。
…なのに……非日常を望む度に、強烈な恐怖に見舞われ、日常を
酷く渇望する。
この恐ろしいまでに無責任な感情はいつ終わりを迎えるのだろう。
鶴視点
「悪いな。俺を見つけてしまった自分を恨むんだな。」
「……!!!誰か………!助けて……!」
私は家の中を逃げ回る。
「待て!」
家の中には家族は居ない。両親には頼れない…!
相手は能力者。そして武器を持ってる。
私は無能力者、そして子供、武器なんて持ってないし、武器生成が先週出来たばっかりなのに!
このままでは殺される!
何で!どうして!
蟻の巣に、爆竹入れて殺す遊びをしたから…!?
蟻の巣に、大量の塩水を入れて、その周辺の土を植物を作れなくしちゃったから!?
蛙に武器生成の手伝いして、5匹くらい殺したから!?
何で!?
私は楽しかった!でも、この人は私を殺しても楽しくないでしょ!!
じゃあなんで殺してくるの!
走りながら、武器となりそうな物を探す。無い!お母さん、こういう時に限って片付けないでよ!
このおじさん走りやすそうじゃん!
少しでも足止め出来るか試してみる。
「鎌鼬(小)…!」
よく人の写真を見てたから何処を切り裂けば死なないか分かる。
でも、威力が無さ過ぎて、急所に当てても死ななそう。
やっと使えるようになった、基礎の中の基礎の能力を使ったところでこの人にとってはただのそよ風。
「いっ…!このガキ!」
更に怒らせてしまった。
言っても、服が切れてるだけでそこまで怪我はしてない。
玄関に行きたいが、閉められている可能性がある。
鍵を開けている暇があれば捕まるし、外に出て広くなったらあっちの方が速いから捕まる。
いっそ、家を燃やす?
それだと、流石に怒られる。
平和的に…私が悪い子にならない様にする為には…
「……俺には金が要るんだ!」
「え!?まさか、おじさん、私達のお金盗っちゃったの!?」
「バレやしないさ!お前が死ねば!鎌鼬(中)!」
「きゃあ…!?」
両親に真っ先に覚えさせられた唐傘で何とか急所を防いだ。
この人は馬鹿だ。
足を立てないように攻撃すれば、幾らでも甚振れるのに…首しか狙わないなんて、非効率的ね。
そのお陰でまだ走れるけど。
「何で私を殺すの!何もしてないのに!」
私はまだ子供。同情を誘いやすい筈だ。
「酷いよ!おじさん!私はまだ死にたくないのに!」
さあ、どう出る?
「じゃあ来世に期待だな。」
…意味不明過ぎ。
来世なんてある訳ないでしょ?馬鹿じゃないの?
今が第一優先でしょ?
「もしかして、おじさん。…捕まる事、考えてるの?」
「何言ってんだ?当たり前だろ。」
「…今、お金に困ってて盗むんでしょ。それで解決するじゃん。先のこと考える必要なくない?何で捕まる事を考えてるの…?」
「は?こいつ何言って…」
「来世に期待?今にしか期待しないよ。だから死んだら、何も残らない。」
まだやりたいことがあるの。
やりたりないの。
外の世界でやりたいの。
外の世界でたくさんやれるって聞いたから。
あんな、小さな虫螻を虐めるより、鳴いてくれる方が楽しいでしょ?
でも…今は、外の世界じゃないと出来ない事が今出来る。
何故なら私は命の危機に瀕してる。
そして、このおじさんは生殺与奪の権利を握っている。
それって、面白い展開じゃない?
殺そうと思った相手に殺される…それってドラマの様じゃない…!
「ねぇ、おじさん。……私ね…最後にお願いがあるの。…それが終わったら大人しくしてるから…」
「諦めたか。何だ?言ってみろ。」
やった。
「…お願い…私の…初めてを。」
「…なっ…!」
「初めて人を殺す、記念すべき一人になって!」
このおじさんは目が急変した。
ああ…今から遊ばれると悟る目ってこんなに良いのね!
恐怖に慄き、正常な判断が出来ないのね!
「流石にね、おじさんを殺しちゃったら、幾ら正当防衛と言えども、私が表面に出てたら実は仕方無くじゃなくて、ワザとってなっちゃうでしょ?私が悪いみたいになっちゃう。折角人を殺せるのに。実はね、私が暗殺者になったって皆に秘密にしてたの!あ、先月の事ね!」
「……!!!!!!」
「ウフフ…。良かったね!」
「…!!!!!!」
急に叫び出す。
このおじさん、ウルサイ。悲鳴は要らない。興味無い。
「月面……………」
子供相手に能力使うとか大人気無いよね。
どうせ死ぬんだから………さっさと諦めて死ねばいいのに。
「黒の一閃(小)。」
太腿を狙う。
ここなら死ななそうだけど死んでしまう場所。
動脈が流れてるからそこにブスッ…といけば、逝っちゃうらしいよ。
「これなら、逃げる為に足を狙った。…でも……当たった場所が悪かったって話になるよね!」
「…ウウグウゥ!」
少しずつだが、動きが鈍くなる。
…もう少しで、両親が帰ってくる。気配が濃くなっていく。
初めて人を殺した感覚を得る事が出来たし、あとは大人しくするだけ。
まるで、不運のか弱い女の子の様に。
私の本性が、精神世界の私がこんな人だとバレないように。
偽りの私を作りましょ。
そうすれば、嘘にはならないわ。演技だけど演技じゃなくなるもの。
…………皆そうでしょ?偽りの自分を取り繕ってる。
「うえぇぇぇぇん!!!おかーーさん!!!!!おとーーーーさん!!!どうしよう!!どうしよう!!!!!!動かなくなっちゃったよー!!!!」
「…ああ…思い出しちゃった…」
だから、偽りの私が出来た。
私は正当防衛だ。
でもそれは、法律の上に乗る肩書でしかない。
法律では、私を裁けない。
そして、私を裁くことは出来ない。
何故なら、殺ったのは精神世界の私であり、今の自分では無いからだ。
真の意味で裁くことは出来ない。
私は確かに私だけど私じゃない。私とは言えない。私とは認めない。
「あ、暗殺者って人殺し能力なんだろ!…来るなよ…!」
「うーわ!殺されるー!」
「言い過ぎだよ…!」
「なんだよ。じゃあ、五十嵐とおてて繋げるのか?」
「…………」
「ほーらみろ!」
「ギャハハハ!」
ああ…まただ。またバレた。
大分、自分の能力を隠せる様はなったが、学年に1人くらいは、教師の1人くらいは…アナライズが得意だ。
…私なら隠そうと思えば隠せられる。でもしない。
だからバレてしまう。
(また…転学だなあ…)
「………皆、酷いよ……………」
嘘泣きをする。
「私だって望んでた訳じゃないのに!」
という設定だ。
偽物はとことん人の同情を買う人だから。
反吐が出るほど嘘を吐く。
「何で私を虐めるの!最低!」
そう言い、教室を出ていった。
そこから、小学園に行かなくなった。
被害者面は上手くいった。先生がクラスメートを責め立てる。
確かに、私が純粋潔白であれば、因果応報というものだ。
でも違う。図星なのだ。
なのに、私が図星をつかれていることを知らずに、己の罪と思っているものに不必要の罪悪感を感じる。
同情を買いまくって、教師をやめさせた事もある。
そして、転学が決まり蒼小学園に行く事になった。
私は知っている。
何時か弄んで殺したように。
何時か私は弄ばれて殺される。
そして、私はその時、死にたくないと思うだろう。
生に対する強い欲望が叶えられない、死に対する強い恐怖に打ち勝てない。
そうなれば、私はやっと罰を受けるだろう。
死にたくないと思って殺されるから意味がある。
それが真の裁きだ。
…だけど。その分罰を加算してもいいから、罰は少しだけ待って欲しい。
やる事が出来てしまった。
蒼小学園に踏み込んだ時、強い頭痛に襲われた。
春に咲く桜を見た時も頭痛が酷かった。
極めつけは、無能力者が急に強くなり、能力者をボコしたと言う噂。
私は………偽る事を…止めた…
同情を誘わなかった。
彼女等に自分から暗殺者だと言う事を伝えた。
彼と戦った。
守られる程私は弱くない。
でも…「守らせてくれ」と彼に言われた時、嬉しかった。
あの時から初めて正当に人から守られたから。
子供だから、悪いのはあいつだからと不正に守られた。
肩書の上では何の意味も無いのに。
守られて、初めて人を守りたくなった。
死ぬなと言われて初めて死にたくなくなった。
緋色先輩に認められた気がした。皆に認められた気がした。
私が戦う理由が初めて出来た。
殺したいと思わずにただ戦う。
抗って、誰もが望む希望の未来を…!
せめて…!偽りの私だけは…!
この私だけは……私が愛せる私になるように…
だからどうか…罰の執行は待って…
ただ…皆の役に立ちたいの。初めてそう思えたから。
絶対に君の名前を思い出す。助けてみせる……
…最大の皮肉でしょ。
………偽物の私の方が人から愛されるなんて。
憐れよね。…………本物の私は…今の私ですら…その事が悲しい事に自覚が無いなんて。
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