ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

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参章・昇りし太陽編

3-16 73 緋色視点 流離いの旅人

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(あ~…どうしよう……)

はっきり言って勝てる気がしない。

というのも、初めて外の世界に行ったときに生きて帰れたのはほぼ橋本のおかげだ。

その後の外の世界でも、誰かの助けがあったからだ。

それに、普通に殺し合いをしてる感じがして嫌。

した事ある人間が何言ってんだって話だが。

「はぁ…さっさとやるか。」

時間は待ってはくれない。諦めて全力で殺しに行こう。




バリアが張られていく。

緋色が優秀であれば彼女達が現れる事は無かっただろう精神世界の緋色。

今回は彼女と繋がる。

(アナライズの性能がやっぱり素の時よりも上がってる…)

やはり、戦闘面以外では活躍するようだ。

(…私…頑張ったと思うんだけどなぁ…これで速度負けてるのかぁ…)

ステータスの中で速度の補正は割と高い方だが、それでも負けている。

つまり、ステータスは全て負けている。

すると、急に斬撃が来た。

(やっべっ…!)

栄光賞から初めて命の危険を感じた気がする。

(そりゃそうか。ずっと前から鍛えてきてるもんね。)

だからといって、簡単には死なない。武器生成で銃剣を作る。

(隼(小)…!)

攻撃しながら相手の出方を探る。そうしないとまた奇襲が来る。

「秋嵐(中)…!」

身体のバランスが崩れる。こんな戦い方もあるとは…

「盆東風(大)!」

しかし、だからといって完全な隙を作った訳ではない。

橋本の眉間に銃弾を撃ち込んだ。

「っ…!」

風を上手く使い銃弾を逸らしたようだ。

普通、銃弾を風ごときで逸らせるものなのか?

(判断と行動力がヤバすぎる!…流石ベテラン!)

風は思ったよりも驚異的で多様性がある。やはり強敵だ。

「よっと…」

体制を立て直し、もう一度攻撃を仕掛ける。

手を橋本に向ける。

「鎌鼬(小)。」

「うおっ…いつの間にそんな攻撃を出来るようになったんだよ……!?」

音速で斬撃を放った。これでもチャクラムで防がれたが。

第三位の二人の最大の武器は鎌鼬の性能。

緋色が一番苦手としている基礎能力だが、第三位になると一番得意の武器となる。

……それ以外は平凡となる。

メリットとデメリットが釣り合ってないクソみたいな最高の精神世界の緋色だ。

流石、都合良く生まれた緋色じゃない。全員が強い訳が無い。

「輪廻(小)…!」

避けられ電光石火で反撃を食らう。

「無能力者のままじゃ、倒せないんじゃないか?」

「そうかもね。でも…」

攻撃を流して、銃弾を撃つ。

「絶対に負けてやらない…………!」

どれだけ弱くとも、負けることは許されない。

緋色は更に攻撃を続ける。

銃弾を撃ち込み、縮地で詰め寄る。途中で方向転換して電光石火を使い後ろに回り込む。

「っ…花嵐(中)!」

風が吹かれても、思いっ切り縮地で押し込む。

「閃律(小)…!」

「っくぅ…!」

初めてダメージが通った。しかし彼は笑っている。

まずい。

「疾風式・天つ風。」

台風の如く暴風が吹く。

まともに立てない。というか、気を抜くと吹き飛ぶ。

(この………!容赦なさすぎて…!!)

「花嵐(大)!」

風が最早爆弾のようだ。

それに、風の能力の名前が花嵐、盆東風、秋嵐、浚いの風と四季の風の名前が由来となっている。

これはただの区別じゃない。

季節の流れと同じ様に順番で能力を使うと威力が少し上がる…らしい。

普通の時なら、あんまり変わら無い筈だが、ブースト内では違う。

上がるレベルが全く違う。

「盆東風(大)!」

空間が切り裂かれる様な風が吹く。身体の至る所に傷ができた。

(いっっっっった…!!!)

これでも、気配察知を使い、縮地と電光石火で避けている。

それでも避けきれない。

(浚いの風までしたら、私多分死ぬんだけど!?)

「鎌鼬(小)…!」

…駄目だ。風に打ち消される。

何とか気配察知で見えない攻撃を避けているのに、他の精神世界の緋色に変えてもどうせ変わらないだろう。

多少の怪我を承知で突っ込んでいく。

仕方無い。

痛みなど気にしていては、死ぬ。

「縮地(小)…!!」

急所に当たらないようにはしながら近づく。

無計画で風を使えば、橋本だって怪我をする。

だから、多少の穴はある。

その穴を見つけれるのは第三位の緋色しかいない。

「輪廻(小)…!」

「っ…!」

何度も攻めていく。接近戦で部があるのは緋色の方だろう。

「秋ら………」

ここで打たせてはいけない。

「鎌鼬(小)…!」

橋本は後ろに下がる。

「秋…」

(駄目だ…!間に合わない…!)

「秋嵐(大)!」

大地が壊れる程に全てを切り裂くような風が吹く。

「っ…!」

こうなったら、一か八かをかけるしかない。

(踊り狂え…!無垢の緋色第六位!)

運で決めてやる。

浚いの風が吹く前に、早く決着をつけなければ。

「縮地(小)!」

武器生成で銃剣から長剣に変わる。もう銃弾なんて玩具程度にしかならない。

痛みを受ける毎に楽しくなってしまうのが、無垢の緋色の悪い癖だ。

「隼(小)!」

切り裂く風を逆に断ち切る。周りの風を逆に利用して加速する。

無垢の緋色は子供のように純粋だ。それ故、この狂気は美しく残酷だ。

だからこそ、頭脳戦は出来ないが直感が誰よりも優れている。

第六位が使う気配察知なんて使い物にならない。

第六感だけに頼るしかない。

「輪廻(小)!」

音高く武器同士が鳴り響く。

絶対に引き剥がさない。殺す遊び終わるまでは…!

「この…!」

橋本の攻撃を力だけで押し返す。

無垢の緋色は馬鹿だから、防御も回避も欠片もできない。

「ったあ!」

その隙を直ぐにつく。

「隼(小)!」

「っうう…!」

ダメージが通る。このまま斬りつくす。

「縮地(小)!」

押し切っていく。

すると、彼の動きが急に止まった。

「あ…」

身体が動かない。駄目だ。急いで後ろに下がらないと。

「浚いの風(大)!」

バリアがバチバチ言い始める。

この音は反発が異常なまでに強過ぎている時に鳴る音だ。

砂煙が舞う。

視界はほぼ無い。

どうやら橋本もブーストが切れたようだ。

流石、かつて大型モンスターを防いだ風。

涼む程度じゃ済まされない。

「……あいつは何処に…」

彼が見失っている間に後ろに回り込む。

「縮地(小)!」

「なっ…!?」

首を狙った。バリアが壊れて消える。

「ま、まじかよ…」

橋本からこんな言葉を聞くとは思わなかった。

「樫妻…どうやって…」

「あの一瞬…死ぬ気で逃げたよ。」

急いで第三位の緋色に繋ぎ直して、唐傘を壊れる度に貼り直した。

そして、彼が確認する前に気配隠蔽を使って後ろに隠れた。

第三位の緋色は攻撃においては無能に近いが、防御や補助系は割と有能だ。

久し振りに死にかけた。

何回も死ぬつもりはないので助かって良かったと思う。

「やっぱり凄えな、樫妻。」

彼は楽しそうに笑う。

「次も頑張れよ。」

そう言って、彼は部屋を出て行った。




放課後の帰り際に、喫茶店に寄った。

ここは、緋色が学園の2年生になる時にクレープ屋になる場所だ。

(我ながら、珈琲が似合わねぇなぁ…)

そう思いながら、カフェオレを啜る。

すると、見た事がある人を窓越しに見つけた。

奏恵ちゃんだ。光ちゃんもいる。

そして、前は居なかった智花ちゃんも見つけた。

どうやら、2人は緋色を見つけたようで智花に話しかけている。

店の中に入って来た。

「こんにちは。緋色先輩。」

「……お久しぶりです。」

「久し振り。智花ちゃん。」

この言葉を聞いてようやく安心したような顔になった。

やはり、存在しない人を知っている人なんて確認しないと分からないだろう。

「鶴は見ましたか?」

光ちゃんの問に対し、緋色は顔を横に振った。

「何時かは会えるから、それまで待てば良い。」

飲み物を飲みながら(緋色が奢った!)、情報の共有をした。

金欠だが仕方無い。奢る雰囲気だったから…………仕方無い…

自分だけ嗜む訳にはいかなかったし…
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