84 / 104
参章・昇りし太陽編
3-24 81 夏希視点 私の心
しおりを挟む
「…………何かなぁ…」
あの日から違和感が止まらない。
確かに、帰って来た事はとても嬉しいのは間違いない。
なのに、無事な事に違和感がある。
2人が夏希の目の前にいる事に違和感があっている。
まるで、本来は死ぬかのように。
(あの子は誰だろう?)
一人は夕焼けのような髪をしている女の子。
もう一人は紫とピンクの髪の女の子。
「どっちも知ってる気がするんだよなあ~…」
自分の髪を見て、弄り始める。
(青と緑の髪で我ながら目立つとは思ってたけど…あの子達のほうがよっぽど目立つなあ。……あの子達といたら私案外目立たない?)
それと、もう一人の疾風の旅人。
誰よりも悲しそうな顔をしていて、ボロボロで怪我をしていたのに、安心したような笑顔をしていた。
物凄く良いタイミングで来たし、偶然だろうか。
(そろそろ、止められないって思ってた時に、間に合ったとばかりに来た…あの人、全速力で来たようだし…まるでこうなる事を知っていたみたいに…)
デジャヴ現象と言うのがあるけど…
「う~ん…」
「おい、如月!話を聞いてるのか!?これを答えてみろよ。」
しまった、授業中だという事をすっかり忘れてた。
問題が何か分からない。
「…如月さん……y=6x+5…だよ……!」
「え…!あ、y=6x+5です…!……………竹中さん…ありがと……!」
隣がこっそり教えてくれたので、なんとか誤魔化せた。
「あれれ~おかしいぞぉ…………」
あの時は問題を聞いてなかったから分からなかった。
その後の問題は誰よりも終わったし、しかも全問正解だった。
(う~ん…私にしては頭良いなあ…)
夏希が我ながら賢いとは思えないが、テストで高得点を取っている。
理解しているつもりは無いが。
「どうしたの?1週間前からずっとぼけーっ…ってしてるけど?」
「由夢ちゃん…」
この2人が生きているという事実だけで今にも泣きそうになる。
「テスト…嘘でしょ!?95点!?前回の定期テストじゃあ半分くらいだったのに!」
「55点だったっけ。…そうだねえ…なんでだろ…」
「なんでだろって…勉強したんじゃないの?」
「…いつも通り?」
「してないんだね…」
何かと最近こんなふうに謎の現象が起きている。
別に悪い事ではないからそこは別に良い。
でもそういう問題じゃない。
「やっぱり…あの人達知ってる気がするんだよなぁ…」
…もしかしたらね。
本当に会ったことが無いならそんな事は言わない。
絶対に何か知っている。
(はあ…こういう時、ブレインダイブだったらなあ…)
ブレインダイブ。
その言葉が心臓よりも奥の所を突き刺す。
私は……もう…!
頭が突如痛くなる。
(何…?これ…!!)
じゃあ、私が審判するね。れでぃ~~~~…ファイ!
(あああああああ…!痛い…!)
緋色のツインテールの髪型の小さな女の子。
まるであの子を幼くしたかのよう。
今…目の前を犠牲にするくらいなら………!別に構わない!
誰が言っているの…?…誰の為に言っているの?
私に言っているの?緋色が言っているの?
ご…め……
ごめん…緋色………私…また…
「ねえ、大丈夫!?夏希!?」
由夢ちゃんが夏希を必死に呼ぶ。痛くて反応出来ない。
「おい、大丈夫か!?如月…!」
先生も来た。大丈夫じゃない。
痛い。
頭が割れるように痛い。
緋色も…香露音も……こんなに思い出すのが…痛かったんだね……………
私の為に辛い思いをさせた。…本当にありがとう。
緋色。
緋色は緋色の後輩君を………助けたいんだよね…
名前が思い出せなくても。
如月 夏希はブレインダイブだ。
ブレインダイブになって魂に干渉してきたから、魂の事に敏感になっていた。
だから分かる。
存在もしてない。名前すら残っていない。
それは始めから存在していないも同じだ。
存在している証明は…何よりも難しい筈だ。
夏希はそう感じながら意識が飛んでいった。
「うぅ………ん…………」
いつの間にかベッドに横たわっていた。
頭痛で気絶したようだ。
(私を思い出す事だけでも大変だった筈なのに…今度は名前の無い彼を思い出さないといけない…それでも緋色は…………)
いま自分にできることは何だろうか。
きっと、私以外の全員は思い出している筈だ。
確証は無い。ただの夏希の勘だ。
(う~ん…当分仮病使って寝とこ…)
自分にアナライズをかける。
大丈夫だ。今の夏希はブレインダイブに開眼している。
前回の以前に見たステータス通りになっていた。
これが世界をやり直すというものか…と夏希は分かった気がした。
信じられないが、仕方無い。
(緋色は最初の世界で私の魂に干渉して死神を倒して世界をやり直した…次の世界は多分だけど、なんやかんやして私が復活した。その後死神と戦って、奏恵ちゃんがモンスターになった…そこで皆…………皆死んで………………………光ちゃんが死んで…智花ちゃんが死んで…香露音が死んで………鶴ちゃんが死んで…私が死んで…………だったら…残るは…緋色と緋色の後輩君だけ……緋色は…大切な存在だろう後輩君を………後輩君の魂に干渉して…この世界に…)
そう考えると、夏希たちがまだ小学園に居ることに説明がつく。
(私が消滅して世界が戻ったのは、私が開眼した日らしいんだよね…)
だから、夏希の重要な日に世界がやり直された…と考えられる。
魂によって世界がやり直されるのだから、魂が強く記憶している日に戻ってもおかしくない。
だから、緋色の後輩君にとって一番重要な日…つまり、緋色と緋色の後輩君と関わり始めた小学園の今に戻って来た…って考えられる。
魂に干渉するのはブレインダイブはそういう能力だから出来る。
じゃあ、緋色は何故干渉できるのだろう。
あれほどの干渉は絶対に普通じゃ出来ない。
精神世界に干渉できるのは鶴ちゃんも同じなので珍しいってなだけで説明が終われる。
しかし、その奥の魂には干渉は出来る意味が分からない。
精神世界に自分を増やすなんて如何やったら出来るのか。
鶴ちゃんも然り、緋色も然り……不思議が多い。
(……あの二人には取り敢えず秘密にしておこうかな…………小学園の頃は無能力者の中でも弱い方だったし……)
ある意味、二人に助けられていたのかもしれない。
いつ無能力者のせいで意地悪を言われるか分からないから。
「…如月さん……起きた…?」
先生がこっちに来た。流石にバレた。
「……今日は帰った方が良いと思うわ。…あら………」
「…?」
「…もしかして、開眼のせいかしら?…偶に、起きるっていうわよね~…かつての二つ名もそういう頭痛がある人もいるらしいわよ。」
「……そうなんですね~…」
開眼のせいというよりかは記憶のせいなんだけど。
「…まあ、おめでとう。…一人で帰れるわね。」
「はい。」
取り敢えず、一人で帰る…訳もなく。
この時間なら緋色と会うことは無いだろうけど…
もしかしたら、消えた人の魂とか、色々分かるかもしれない。
緋色がいつも行く時計台に向かった。
(…英雄の能力者って事は覚えてるんだけど…)
すると彼に似た魂を感じる。
「…?」
いや、違う…女の人だ。…彼は男…緋色が後輩君って言ってたし。
「………え?」
急に時計台が桜の木になった。
この美しさをなんと言えばいいのだろう。
桜の花びらを手に取る。
「あ…」
さっきまでが幻覚のように消えた。
「………さっきの人…」
心無しか、彼に似ていた…かもしれない。
……そういえば、緋色が『あいつは姉が居る』って言ってた。
「………もしかして…?」
一瞬だけ、時計台が魂に干渉したように見えたのは気のせいだろうか。
この時計台は、何故かありそうだ。
「……め、目眩がぁ………」
元気じゃないから、今日は帰った方が良い。
……大人しく帰った方が良かったなぁ…
あの日から違和感が止まらない。
確かに、帰って来た事はとても嬉しいのは間違いない。
なのに、無事な事に違和感がある。
2人が夏希の目の前にいる事に違和感があっている。
まるで、本来は死ぬかのように。
(あの子は誰だろう?)
一人は夕焼けのような髪をしている女の子。
もう一人は紫とピンクの髪の女の子。
「どっちも知ってる気がするんだよなあ~…」
自分の髪を見て、弄り始める。
(青と緑の髪で我ながら目立つとは思ってたけど…あの子達のほうがよっぽど目立つなあ。……あの子達といたら私案外目立たない?)
それと、もう一人の疾風の旅人。
誰よりも悲しそうな顔をしていて、ボロボロで怪我をしていたのに、安心したような笑顔をしていた。
物凄く良いタイミングで来たし、偶然だろうか。
(そろそろ、止められないって思ってた時に、間に合ったとばかりに来た…あの人、全速力で来たようだし…まるでこうなる事を知っていたみたいに…)
デジャヴ現象と言うのがあるけど…
「う~ん…」
「おい、如月!話を聞いてるのか!?これを答えてみろよ。」
しまった、授業中だという事をすっかり忘れてた。
問題が何か分からない。
「…如月さん……y=6x+5…だよ……!」
「え…!あ、y=6x+5です…!……………竹中さん…ありがと……!」
隣がこっそり教えてくれたので、なんとか誤魔化せた。
「あれれ~おかしいぞぉ…………」
あの時は問題を聞いてなかったから分からなかった。
その後の問題は誰よりも終わったし、しかも全問正解だった。
(う~ん…私にしては頭良いなあ…)
夏希が我ながら賢いとは思えないが、テストで高得点を取っている。
理解しているつもりは無いが。
「どうしたの?1週間前からずっとぼけーっ…ってしてるけど?」
「由夢ちゃん…」
この2人が生きているという事実だけで今にも泣きそうになる。
「テスト…嘘でしょ!?95点!?前回の定期テストじゃあ半分くらいだったのに!」
「55点だったっけ。…そうだねえ…なんでだろ…」
「なんでだろって…勉強したんじゃないの?」
「…いつも通り?」
「してないんだね…」
何かと最近こんなふうに謎の現象が起きている。
別に悪い事ではないからそこは別に良い。
でもそういう問題じゃない。
「やっぱり…あの人達知ってる気がするんだよなぁ…」
…もしかしたらね。
本当に会ったことが無いならそんな事は言わない。
絶対に何か知っている。
(はあ…こういう時、ブレインダイブだったらなあ…)
ブレインダイブ。
その言葉が心臓よりも奥の所を突き刺す。
私は……もう…!
頭が突如痛くなる。
(何…?これ…!!)
じゃあ、私が審判するね。れでぃ~~~~…ファイ!
(あああああああ…!痛い…!)
緋色のツインテールの髪型の小さな女の子。
まるであの子を幼くしたかのよう。
今…目の前を犠牲にするくらいなら………!別に構わない!
誰が言っているの…?…誰の為に言っているの?
私に言っているの?緋色が言っているの?
ご…め……
ごめん…緋色………私…また…
「ねえ、大丈夫!?夏希!?」
由夢ちゃんが夏希を必死に呼ぶ。痛くて反応出来ない。
「おい、大丈夫か!?如月…!」
先生も来た。大丈夫じゃない。
痛い。
頭が割れるように痛い。
緋色も…香露音も……こんなに思い出すのが…痛かったんだね……………
私の為に辛い思いをさせた。…本当にありがとう。
緋色。
緋色は緋色の後輩君を………助けたいんだよね…
名前が思い出せなくても。
如月 夏希はブレインダイブだ。
ブレインダイブになって魂に干渉してきたから、魂の事に敏感になっていた。
だから分かる。
存在もしてない。名前すら残っていない。
それは始めから存在していないも同じだ。
存在している証明は…何よりも難しい筈だ。
夏希はそう感じながら意識が飛んでいった。
「うぅ………ん…………」
いつの間にかベッドに横たわっていた。
頭痛で気絶したようだ。
(私を思い出す事だけでも大変だった筈なのに…今度は名前の無い彼を思い出さないといけない…それでも緋色は…………)
いま自分にできることは何だろうか。
きっと、私以外の全員は思い出している筈だ。
確証は無い。ただの夏希の勘だ。
(う~ん…当分仮病使って寝とこ…)
自分にアナライズをかける。
大丈夫だ。今の夏希はブレインダイブに開眼している。
前回の以前に見たステータス通りになっていた。
これが世界をやり直すというものか…と夏希は分かった気がした。
信じられないが、仕方無い。
(緋色は最初の世界で私の魂に干渉して死神を倒して世界をやり直した…次の世界は多分だけど、なんやかんやして私が復活した。その後死神と戦って、奏恵ちゃんがモンスターになった…そこで皆…………皆死んで………………………光ちゃんが死んで…智花ちゃんが死んで…香露音が死んで………鶴ちゃんが死んで…私が死んで…………だったら…残るは…緋色と緋色の後輩君だけ……緋色は…大切な存在だろう後輩君を………後輩君の魂に干渉して…この世界に…)
そう考えると、夏希たちがまだ小学園に居ることに説明がつく。
(私が消滅して世界が戻ったのは、私が開眼した日らしいんだよね…)
だから、夏希の重要な日に世界がやり直された…と考えられる。
魂によって世界がやり直されるのだから、魂が強く記憶している日に戻ってもおかしくない。
だから、緋色の後輩君にとって一番重要な日…つまり、緋色と緋色の後輩君と関わり始めた小学園の今に戻って来た…って考えられる。
魂に干渉するのはブレインダイブはそういう能力だから出来る。
じゃあ、緋色は何故干渉できるのだろう。
あれほどの干渉は絶対に普通じゃ出来ない。
精神世界に干渉できるのは鶴ちゃんも同じなので珍しいってなだけで説明が終われる。
しかし、その奥の魂には干渉は出来る意味が分からない。
精神世界に自分を増やすなんて如何やったら出来るのか。
鶴ちゃんも然り、緋色も然り……不思議が多い。
(……あの二人には取り敢えず秘密にしておこうかな…………小学園の頃は無能力者の中でも弱い方だったし……)
ある意味、二人に助けられていたのかもしれない。
いつ無能力者のせいで意地悪を言われるか分からないから。
「…如月さん……起きた…?」
先生がこっちに来た。流石にバレた。
「……今日は帰った方が良いと思うわ。…あら………」
「…?」
「…もしかして、開眼のせいかしら?…偶に、起きるっていうわよね~…かつての二つ名もそういう頭痛がある人もいるらしいわよ。」
「……そうなんですね~…」
開眼のせいというよりかは記憶のせいなんだけど。
「…まあ、おめでとう。…一人で帰れるわね。」
「はい。」
取り敢えず、一人で帰る…訳もなく。
この時間なら緋色と会うことは無いだろうけど…
もしかしたら、消えた人の魂とか、色々分かるかもしれない。
緋色がいつも行く時計台に向かった。
(…英雄の能力者って事は覚えてるんだけど…)
すると彼に似た魂を感じる。
「…?」
いや、違う…女の人だ。…彼は男…緋色が後輩君って言ってたし。
「………え?」
急に時計台が桜の木になった。
この美しさをなんと言えばいいのだろう。
桜の花びらを手に取る。
「あ…」
さっきまでが幻覚のように消えた。
「………さっきの人…」
心無しか、彼に似ていた…かもしれない。
……そういえば、緋色が『あいつは姉が居る』って言ってた。
「………もしかして…?」
一瞬だけ、時計台が魂に干渉したように見えたのは気のせいだろうか。
この時計台は、何故かありそうだ。
「……め、目眩がぁ………」
元気じゃないから、今日は帰った方が良い。
……大人しく帰った方が良かったなぁ…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる