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「エウル!!!!」
エレストとトロルの距離では恐らく雷撃は届かない。
「……」
エレストとエウルは何もできなかった。
脳天を直撃する直前、赤い薔薇が突如現れた。
「交錯せよ。『束縛の鎖』。」
束縛の域を超え、最早鎖で包んでいるように見える。
「穿ち爆ぜよ。『爆裂』。」
小さな火の玉がトロルに当たった瞬間、強烈な炎の爆発が起きた。
一瞬にして倒された。
「……誰が…」
すると、急にエレストに近付いてきた。
「ふーん。教養は確かにありそうね。私達程では無いでしょうけど。」
「……だ、誰ですか…」
エレストの言葉を無視し、エウルに歩み寄る。
「久し振りね。エウル。」
「…お、お久しぶりです、お姉様…」
「お姉様だって!?」
「ええ、そうよ。私はルミナ・ルナディオルド・レヴァニア。ルナディオルド家の長女です。」
ルナディオルド家の長女であれば、当主、母親に継ぐお偉いさんである。
ルナディオルド家は貴族の中でも珍しく、完全年功序列である。
長女は長男よりも歳上なので権威は三位になる。
「…な、なんでここに…」
もしかしたら、エレストがシュバルッツ家に売られエウルが連れ戻されるかもしれない。
「それはもちろん、可愛い妹の姿を見に来たのよ。」
「お、お父様はカンカンに怒ってたんでしょ…?それだけじゃないでしょう…」
「はぁ…何でお父様が怒るって分かるのに、行動しちゃうのよ。おバカねぇ。分かってるわよ、皆貴方を尊重するわ。今は特に何も起きてない。…だから、貴方もこのタイミングで動いたのでしょう?」
「は、はい…」
「貴方は聡明である事は分かってる。貴方を放り出しても生きていける事もね。だから、自由にして頂戴。だけど、問題は…」
エレストを見つめる。
「…シュバルッツ家の当主の左手を切り落とすような危なっかしいこの子よね。」
「……」
(やはりそうなるよな。…しかも俺はそもそも平民ですら無いし。)
「…まあ、あのデブ貴族に痛い目を物理的に合わせたのはスカッとしたわ。だけど、流石に喧嘩を売る相手を間違えたわね。」
「…それは…分かってる。」
「貴族を舐めすぎてる人とエウルを共に居させてあげたくないけど…まあ、そこは目を瞑りましょう。エウルの意思で、一緒にいるからね。でも、エウルを裏切るような真似をしたら殺すわよ。いい?」
「ああ、問題無い。」
「そ。ならいいわ。」
エウルにぞっこんなのか、それともそう言う家訓なのかは知らないが、思った以上に緩いおかけでルナディオルド家に殺されることは無くなった。
「ここまではただの茶番よ。私が言いたかった事はこれじゃないの。」
「…えぇ!?」
「シュバルッツ家の当主が死んだわ。」
「はぁ!?」
確かに平民やエレストのような貧困層なら左手を切り落とす位になると出血によるショック死等はあり得る。
しかし、ショック死にしては遅い。
それに、切り落とされた瞬間、当主は直ぐに布で縛って止血していた。
それでも死ぬとは思ってなかった。
「…マジか…」
「なので、当主はクロウ・シュバルッツ・ロワードの妻、マリー・シュバルッツ・ロワードになったわ。死んだ夫に反していい噂しか聞かないわよ。」
「確かに。会ったこともあるけど、良い人に見えた。」
「…へぇ…」
「だけど、まあ気を付けたほうが良いわ。彼女は何を考えているか全く分からないし。」
「………」
「…でも、安心しなさい。少し待てば隣町に行けるでしょう。あんな暴力的なものは現当主が許さない筈よ。」
エレストは少し考え言った。
「…そうか。なら、尚更今すぐに行くべきだ。」
「なんで?」
「今のあいつらは仕事をしてない。だけど、仕事をするようになったら、正式な手続きや記録がとられるはずだ。俺は絶対にそこでバレる。まだ今の方が行けるだろ。」
「でも、どうやって行くの?」
「そうだな…金で解決するのが一番早いんだろうけど…」
「あら、賄賂を握らせるの?思ったよりもあの人達は図太いわよ。」
「…じゃあ、他に何か…」
「フフフ。私がいるじゃないの。」
「ルミナお姉様が!?」
「今から貴方達二人は私の従者よ。エウル、貴方は貴族であることを極力バレないようにしなさい。分かってるわよね。」
「勿論!!」
「もうすでに一人にバレたけどな。」
「えぇ!?嘘でしょう!?エウルがいくら分かりやすいからって!」
「うっ……そんなに分かりやすいかなぁ……?」
そもそも偽名を使ってないのでバレないわけがない。
鍛冶屋のおっちゃんが人が良いから、まだ助かっただけだ。
「…はぁ…本当に貴方はこの世界で生きていけるのかしら…」
「大丈夫です、安心してください!お姉様!」
「…安心できないわ……」
ルミナは諦めたようにため息を吐く。
「…でも、やるしかないわね。それに……どうにかなるわ、エウルなら。」
ルナディオルド家第三位の権威を持つ彼女が言うなら間違いない。
それ程ルミナ・ルナディオルド・レヴァニアは巨大で、賢明なのだ。
「街に戻るわよ。」
ルミナは呪文を唱える。
「座標に導け。『瞬間移動』。」
目を瞑るよりも早く街に戻った。
「…やべえな…」
「うん、私のお姉様は…大魔法使いの10,5倍も魔力があるから…」
「はぁ…!?」
普通の人の魔力量を1とすると魔法使いと名乗れる位の魔力量はおよそ3倍位だ。
魔法が上手ければ誰でも名乗れるので、この魔力量は魔力量だけで名乗っている人達のことを指している。
大魔法使いは大抵の場合魔法使いの5倍と言われている。
大魔法使いになってくると、魔力量も必要になる。
定義はしっかりとあるらしいが、エレストは知らない。
そして、賢者と言われる存在もあるが、それは神聖魔法という治癒系の魔法を使えるのが最低条件らしい。
ちなみに賢者の魔力量は大魔法使いの10倍~らしい。
「お姉様は肩書きは要らないって言ってるから、何の試験も受けてないの。だから大魔法使いですら無いの。」
「へぇ…」
大魔法使いと賢者は定義があるので、一応試験があるらしい。
「…まあ、人それぞれ…だよな。」
すると、ルミナはエレストに話しかける。
「少年。」
「…エレスト言うの。」
「そう…エレスト。貴方は魔力は人並みよりちょっとあるくらいには持ってるわよ。」
「そうなのか…以外だな。」
「機会があれば魔法勉強してみなさい。役に立つわ。まあ、戦闘に役立つ程は魔力は無いみたいだけどね。」
「…分かった。覚えておく。」
すると、またルミナは呪文を唱えはじめた。
「変化せよ。『変身』。」
すると、エレストとエウルの姿が変わり、従者の見た目になった。
「…魔法って何でもできるんだな。」
「従者らしくしてよね。」
「承知しております。お嬢様。」
「…承知しております、お嬢様。」
エレストに続き、エウルも言う。
エウルはノリノリである。
「……面白いわね。行くわよ。」
(エウルは見るからにノリノリだけど、多分、エウルの姉も案外ノリノリか…?そんなわけ無いか。)
今から行く場所は下手をしたら死ぬ場所だ。
「…誰だ!」
「見たらわかるでしょう。貴族よ。」
「…馬車もないお前が貴族なわけあるか!…貴族であると偽ったら…」
「あら、私はなんの罪にも問われないわ。だって…本当に貴族だもの。」
するとルミナはルナディオルド家の紋様をぶら下げた。
「見たらわかるでしょ?…あと、今特別な任務を私に任されてるの。馬車なんて要らないわ。」
兵士は急に顔を強張らせた。
この紋様が書かれているこの時計は、ルナディオルド家の証明だけではなく、自身の証明にもなる。
「それとも…何?私に敵対するつもり…?」
「い、いえ!どうぞ!」
三人は進もうとすると、酔っぱらいのお偉い兵士が現れエレストとエウルを止めた。
「こいつは駄目だ。」
「あら、何故かしら。」
「従者は関係ねえ!それに…この女…良いなぁ。こいつを貰ったら自由に通らせてやる。」
話を聞いてなかったみたいだ。
ついでに、あの時計を見せても偽物だと言っている。
「はぁ。」
(あ、ヤバイ。)
すると、何処かから、大剣が現れ地面に突き刺された。
「…!!」
ついでに言うと、ルミナには二つ名がある。
「…触るんじゃないわよ。その薄汚い溝のような手で!」
「…あ、ああ…!?」
「ま、まさか…狂犬の月…!?」
「誰が…!狂犬の月ですってええええええ!!!」
狂犬の月。まあ言わばルナディオルド家の代表する戦闘狂ということだ。
まだ、弟や妹が生まれる前に剣を習わされていたので剣技はできる。
しかも、まさかの大剣が合っていて、よく振り回してたらしい。
(物理も魔法もできるってヤバイよなぁ…)
「お、落ち着いて下さいお嬢様…!」
エレストの声は全く届かない。
ルミナが狂犬の月と呼ばれるようになったのは、皇太子と婚約する時に浮気をされ、挙句の果てには婚約破棄の理由を抹殺しようとし、冤罪を擦り付けようとしたから、皇太子を半殺しにしたから…らしい。
ついでに、皇太子の擁護をした貴族達も大剣(木製)でぶん殴ったらしく、浮気相手もそれで殴ったらしい。
その時に満面の笑顔を浮かべていたので、狂犬の月と呼ばれるようになったわけだ。
「あら…全員伸びてますわ。」
「そりゃあ、門も破壊するレベルで振り回してたから…」
「……流石に…やり過ぎでは…?」
「あらあら…久し振りに大剣を握ったけれど、全く衰えてなくて良かったわ。ウフフフフフ。だけど…もう少し頑丈でいて欲しかったわ……二人とも。」
「「は、はい!」」
「道が開いたわよ。」
ということで、二人は無事(??)に通れた。
エレストとトロルの距離では恐らく雷撃は届かない。
「……」
エレストとエウルは何もできなかった。
脳天を直撃する直前、赤い薔薇が突如現れた。
「交錯せよ。『束縛の鎖』。」
束縛の域を超え、最早鎖で包んでいるように見える。
「穿ち爆ぜよ。『爆裂』。」
小さな火の玉がトロルに当たった瞬間、強烈な炎の爆発が起きた。
一瞬にして倒された。
「……誰が…」
すると、急にエレストに近付いてきた。
「ふーん。教養は確かにありそうね。私達程では無いでしょうけど。」
「……だ、誰ですか…」
エレストの言葉を無視し、エウルに歩み寄る。
「久し振りね。エウル。」
「…お、お久しぶりです、お姉様…」
「お姉様だって!?」
「ええ、そうよ。私はルミナ・ルナディオルド・レヴァニア。ルナディオルド家の長女です。」
ルナディオルド家の長女であれば、当主、母親に継ぐお偉いさんである。
ルナディオルド家は貴族の中でも珍しく、完全年功序列である。
長女は長男よりも歳上なので権威は三位になる。
「…な、なんでここに…」
もしかしたら、エレストがシュバルッツ家に売られエウルが連れ戻されるかもしれない。
「それはもちろん、可愛い妹の姿を見に来たのよ。」
「お、お父様はカンカンに怒ってたんでしょ…?それだけじゃないでしょう…」
「はぁ…何でお父様が怒るって分かるのに、行動しちゃうのよ。おバカねぇ。分かってるわよ、皆貴方を尊重するわ。今は特に何も起きてない。…だから、貴方もこのタイミングで動いたのでしょう?」
「は、はい…」
「貴方は聡明である事は分かってる。貴方を放り出しても生きていける事もね。だから、自由にして頂戴。だけど、問題は…」
エレストを見つめる。
「…シュバルッツ家の当主の左手を切り落とすような危なっかしいこの子よね。」
「……」
(やはりそうなるよな。…しかも俺はそもそも平民ですら無いし。)
「…まあ、あのデブ貴族に痛い目を物理的に合わせたのはスカッとしたわ。だけど、流石に喧嘩を売る相手を間違えたわね。」
「…それは…分かってる。」
「貴族を舐めすぎてる人とエウルを共に居させてあげたくないけど…まあ、そこは目を瞑りましょう。エウルの意思で、一緒にいるからね。でも、エウルを裏切るような真似をしたら殺すわよ。いい?」
「ああ、問題無い。」
「そ。ならいいわ。」
エウルにぞっこんなのか、それともそう言う家訓なのかは知らないが、思った以上に緩いおかけでルナディオルド家に殺されることは無くなった。
「ここまではただの茶番よ。私が言いたかった事はこれじゃないの。」
「…えぇ!?」
「シュバルッツ家の当主が死んだわ。」
「はぁ!?」
確かに平民やエレストのような貧困層なら左手を切り落とす位になると出血によるショック死等はあり得る。
しかし、ショック死にしては遅い。
それに、切り落とされた瞬間、当主は直ぐに布で縛って止血していた。
それでも死ぬとは思ってなかった。
「…マジか…」
「なので、当主はクロウ・シュバルッツ・ロワードの妻、マリー・シュバルッツ・ロワードになったわ。死んだ夫に反していい噂しか聞かないわよ。」
「確かに。会ったこともあるけど、良い人に見えた。」
「…へぇ…」
「だけど、まあ気を付けたほうが良いわ。彼女は何を考えているか全く分からないし。」
「………」
「…でも、安心しなさい。少し待てば隣町に行けるでしょう。あんな暴力的なものは現当主が許さない筈よ。」
エレストは少し考え言った。
「…そうか。なら、尚更今すぐに行くべきだ。」
「なんで?」
「今のあいつらは仕事をしてない。だけど、仕事をするようになったら、正式な手続きや記録がとられるはずだ。俺は絶対にそこでバレる。まだ今の方が行けるだろ。」
「でも、どうやって行くの?」
「そうだな…金で解決するのが一番早いんだろうけど…」
「あら、賄賂を握らせるの?思ったよりもあの人達は図太いわよ。」
「…じゃあ、他に何か…」
「フフフ。私がいるじゃないの。」
「ルミナお姉様が!?」
「今から貴方達二人は私の従者よ。エウル、貴方は貴族であることを極力バレないようにしなさい。分かってるわよね。」
「勿論!!」
「もうすでに一人にバレたけどな。」
「えぇ!?嘘でしょう!?エウルがいくら分かりやすいからって!」
「うっ……そんなに分かりやすいかなぁ……?」
そもそも偽名を使ってないのでバレないわけがない。
鍛冶屋のおっちゃんが人が良いから、まだ助かっただけだ。
「…はぁ…本当に貴方はこの世界で生きていけるのかしら…」
「大丈夫です、安心してください!お姉様!」
「…安心できないわ……」
ルミナは諦めたようにため息を吐く。
「…でも、やるしかないわね。それに……どうにかなるわ、エウルなら。」
ルナディオルド家第三位の権威を持つ彼女が言うなら間違いない。
それ程ルミナ・ルナディオルド・レヴァニアは巨大で、賢明なのだ。
「街に戻るわよ。」
ルミナは呪文を唱える。
「座標に導け。『瞬間移動』。」
目を瞑るよりも早く街に戻った。
「…やべえな…」
「うん、私のお姉様は…大魔法使いの10,5倍も魔力があるから…」
「はぁ…!?」
普通の人の魔力量を1とすると魔法使いと名乗れる位の魔力量はおよそ3倍位だ。
魔法が上手ければ誰でも名乗れるので、この魔力量は魔力量だけで名乗っている人達のことを指している。
大魔法使いは大抵の場合魔法使いの5倍と言われている。
大魔法使いになってくると、魔力量も必要になる。
定義はしっかりとあるらしいが、エレストは知らない。
そして、賢者と言われる存在もあるが、それは神聖魔法という治癒系の魔法を使えるのが最低条件らしい。
ちなみに賢者の魔力量は大魔法使いの10倍~らしい。
「お姉様は肩書きは要らないって言ってるから、何の試験も受けてないの。だから大魔法使いですら無いの。」
「へぇ…」
大魔法使いと賢者は定義があるので、一応試験があるらしい。
「…まあ、人それぞれ…だよな。」
すると、ルミナはエレストに話しかける。
「少年。」
「…エレスト言うの。」
「そう…エレスト。貴方は魔力は人並みよりちょっとあるくらいには持ってるわよ。」
「そうなのか…以外だな。」
「機会があれば魔法勉強してみなさい。役に立つわ。まあ、戦闘に役立つ程は魔力は無いみたいだけどね。」
「…分かった。覚えておく。」
すると、またルミナは呪文を唱えはじめた。
「変化せよ。『変身』。」
すると、エレストとエウルの姿が変わり、従者の見た目になった。
「…魔法って何でもできるんだな。」
「従者らしくしてよね。」
「承知しております。お嬢様。」
「…承知しております、お嬢様。」
エレストに続き、エウルも言う。
エウルはノリノリである。
「……面白いわね。行くわよ。」
(エウルは見るからにノリノリだけど、多分、エウルの姉も案外ノリノリか…?そんなわけ無いか。)
今から行く場所は下手をしたら死ぬ場所だ。
「…誰だ!」
「見たらわかるでしょう。貴族よ。」
「…馬車もないお前が貴族なわけあるか!…貴族であると偽ったら…」
「あら、私はなんの罪にも問われないわ。だって…本当に貴族だもの。」
するとルミナはルナディオルド家の紋様をぶら下げた。
「見たらわかるでしょ?…あと、今特別な任務を私に任されてるの。馬車なんて要らないわ。」
兵士は急に顔を強張らせた。
この紋様が書かれているこの時計は、ルナディオルド家の証明だけではなく、自身の証明にもなる。
「それとも…何?私に敵対するつもり…?」
「い、いえ!どうぞ!」
三人は進もうとすると、酔っぱらいのお偉い兵士が現れエレストとエウルを止めた。
「こいつは駄目だ。」
「あら、何故かしら。」
「従者は関係ねえ!それに…この女…良いなぁ。こいつを貰ったら自由に通らせてやる。」
話を聞いてなかったみたいだ。
ついでに、あの時計を見せても偽物だと言っている。
「はぁ。」
(あ、ヤバイ。)
すると、何処かから、大剣が現れ地面に突き刺された。
「…!!」
ついでに言うと、ルミナには二つ名がある。
「…触るんじゃないわよ。その薄汚い溝のような手で!」
「…あ、ああ…!?」
「ま、まさか…狂犬の月…!?」
「誰が…!狂犬の月ですってええええええ!!!」
狂犬の月。まあ言わばルナディオルド家の代表する戦闘狂ということだ。
まだ、弟や妹が生まれる前に剣を習わされていたので剣技はできる。
しかも、まさかの大剣が合っていて、よく振り回してたらしい。
(物理も魔法もできるってヤバイよなぁ…)
「お、落ち着いて下さいお嬢様…!」
エレストの声は全く届かない。
ルミナが狂犬の月と呼ばれるようになったのは、皇太子と婚約する時に浮気をされ、挙句の果てには婚約破棄の理由を抹殺しようとし、冤罪を擦り付けようとしたから、皇太子を半殺しにしたから…らしい。
ついでに、皇太子の擁護をした貴族達も大剣(木製)でぶん殴ったらしく、浮気相手もそれで殴ったらしい。
その時に満面の笑顔を浮かべていたので、狂犬の月と呼ばれるようになったわけだ。
「あら…全員伸びてますわ。」
「そりゃあ、門も破壊するレベルで振り回してたから…」
「……流石に…やり過ぎでは…?」
「あらあら…久し振りに大剣を握ったけれど、全く衰えてなくて良かったわ。ウフフフフフ。だけど…もう少し頑丈でいて欲しかったわ……二人とも。」
「「は、はい!」」
「道が開いたわよ。」
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