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「ルミナよ。」
「何でしょう?お父様。」
「俺は暴れろとは言ってないぞ。」
「ええ。言われてませんわ。」
「じゃあ何で門が破壊されてるんだ!?どう考えてもお前の仕業だろう!?こんな石でできた門を破壊するなんざ!」
「ええ。私が壊しましたわ。」
「何で、そう、平然としてられるんだあああ!!」
ルミナの父は激怒していた。
勿論、理由としてはルミナが暴れて帰ってきたからである。
「…まさか、通った直ぐに帰るとは思わなかった。」
二人はもう変身が解けていた。
「そうだね。…でもお姉様はずっとあんな感じだから。」
「そうなんだな。」
「何をするにも躊躇いが無いんだよね。」
「………そうだな。」
門の先は大分見る景色が変わっていた。
「ここは…何処だっけなぁ…ああ、亜人が住んでるっだっけ?」
「…そうよ。猫耳やら犬耳やらが生えてる人がいるの。獣人とは違うのが面白いわよね。」
「…そういえば純粋な人以外を見るのは初めてだな。」
「あ、そうなの?」
「俺は生まれてから一度もあの街から出てねえよ。生まれて早々捨てられて一度もそこから好き勝手生きてた。」
エレストは淡々と言った。
彼はその事について何も気にしてないらしい。
「左手が無いからかしら。片腕が無いからって捨てるのはちょっと浅はかよねー」
「右腕が無かっただけじゃ捨てねえだろ…多分。」
「あ、紋章無しだから捨てたってこと?」
「そういう考えの方が普通だろ?」
「確かにそうかもね。でも…紋章が使えないからって他の事ができない訳じゃないのに…」
「ま、色々あるんだろ。」
すると、高速でこちらに来ようとする足音が聞こえた。
「なんかこっちに来てないか!?」
猪のように何かが突進してきた。
「人間の匂いだだニャー!」
「怖えよ!」
エレストは猫耳の人の顔を右手を使い抑えた。
「あにゃ?」
「何だコイツ!?」
「コイツとはニャンだ!私はマオだにゃ!決してコイツではニャい!」
マオと自称する猫耳の女性が頬を膨らませていた。
「それはそうと、何故人間がいるニャ?」
「…えっと…ただの観光だよ。」
「そうそう!」
エレストはほぼ逃げる為だが、エウルはそういう訳ではない。
「初めて来るんだ、観光名所とか無いのか?」
「はぁ!?そんなもんあるわけ無いにゃ。私でも知らにゃい遺跡にゃらあるにゃ。」
「遺跡?」
エレストは興味が湧いた。ただのお宝目当てだが。
エレストはここで宝が手に入り売り飛ばせばと考えている。
「そうだにゃ。誰も行きたがらないのにゃ。」
「へぇー!面白そう!」
「…いや、冷静に考えたら危ないだろ…」
「にゃにゃ!?」
急に驚かれ、エレストも驚いてしまう。
「…な、なんだ…?」
「恐怖こそ興奮だにゃ!」
「こいつやべえ奴だ。」
エレストは確信した。
「にゃにゃ!?」
「今度は何だよ…」
「悪い奴の臭いがするにゃ!」
「なんだそりゃ。」
と言った直ぐに、魔物が現れた。
マオの言う悪い奴はどうやら魔物の事らしい。
「うわ!?…見た目怖っ…!」
「…さあ、ぶん殴ってやるニャ!」
「エウル、蹴散らすぞ。」
「分かった!」
エレストは左の紋章を光らせる。
雷の一撃を魔物に与える。
「……ふ~ん。雷の紋章かにゃ?」
雷撃の紋章は神の紋章だが、雷の紋章や雷鳴の紋章などの名前がついた紋章もある。
この二つは神の紋章では無く、一般的な紋章だ。
「ああ。そうだ。」
エウルには既にエレストが神の紋章を宿している事を伏せるように言ってある。
信用出来ない人に簡単に言えば、紋章欲しさに一々殺されかけたらキリがない。
「…珍しいものにゃ。」
(何だコイツ…そんなに紋章が欲しいのか?)
エレストはそう思いながら、敵を倒していった。
「…よし、全部倒した。」
「私も倒したわよ。………エレストの半分位…」
「まあ、魔導師は個人で討伐するのは…向いてないからなぁ…」
「ミーも倒したニャ!」
「ああ、そうだな。俺の倍は倒してたな。その爪で…」
猫関係無く亜人なら何でも身体能力が高いらしい。
(そういえば、紋章って左手があればどんな種族でも宿れるんだっけな……俺がイレギュラーなだけだよな。)
「よし、魔物を倒した所で街を探すか。…マオ。近くの街とかあるか?」
「…あるにゃ。ミーが案内した方が良いかにゃ?」
「出来るんなら頼む。」
「仕方ニャイ。ここで会ったのも縁だし、着いてくるにゃ!」
「ありがとう、マオ!」
マオのおかげで途方に暮れることは無いようで二人は安心した。
数十分程歩くとやっと着いた。
どうやら、マオはこの距離からエレスト達の元へ走ってきたらしい。
「……これ結構距離あるぞ…」
「それから、あの速さで…」
「これくらい普通にゃ?」
「……何となく分かったよ。」
三人は小さめの町に入っていった。
「………」
古びた姿の亜人達がエレスト達を睨んでいる。
「……凄い…嫌な感じね…」
エウルは小さい声で言った。
「…小さい声も誰かから拾われるぞ。」
「…ええ。その対策は既にしてるわ。」
エウルはどうやらエレストよりも種族に対しての知識はあるらしく、魔導で声を特定の人にしか聞こえない術をかけているらしい。
(……何となく魔物と戦い方が違和感あると思ったが…まさか、この国に入った瞬間から発動してるからか…?エウルにしては用意周到だな。)
「エレストには今かける。静まり返れ。『魔導・微沈黙』。」
「っ…」
耳たぶ辺りに少し痺れが生じた。
「で、この術は一人しか声が聞こえないの。…だから、私と喋るときは私を向いて。しっかりと向いてね。」
「ああ。分かった。」
「…で、だ。…今の所全員にジロジロ見られてるな。」
「ええ。…私達が幾ら人だとしても、ここの国の人は人類もいるわ。しかも、そこまで排他的では無いのよ。」
「じゃ、何か理由があるのかもな。」
エレストは、視線の理由が何となく自分達が人であるからではないことは察していた。
「…取り敢えず、この空気の中でも泊まらせてくれる宿屋を探すしかない。マオ、近くに宿屋はあるか?」
「にゃいよ。」
「???」
「そんなもの、こんなちっぽけな町にある訳にゃい。」
「まじか…」
「仕方ニャイ。私の家に泊まるが良い!」
「マオ、良いの?」
「勿論だにゃ。」
「助かる。」
「困った時はお互い様にゃ。」
エレストとエウルは、マオに連れられ少し奥にある建物へ入っていった。
「…おじゃまします。」
「おじゃましまーす。」
「ゆったり寛いでニャー。」
二人は部屋で座りながら寛いだ。
「…そういえば、左手は動かさないの?使えるんでしょう?」
「まあ、確かにな。」
紋章がいつでも使えるということは、左手もいつでも同時に作られる。
「でも、どうも慣れないな。…急に左手が使えるようになったからって。」
エレストはまだ、器用に左手を使える訳じゃない。
それに、急に雷を発射させて、問題を起こす真似もしたくないというのがエレストの本音である。
「…あの猫亜人、幾ら鼻が利くと言っても、あの距離で分かるものなのか?」
「とは言ってもね…私達は亜人じゃないから分からないわよ。」
「…ま、そうだな。俺達の理解できない部分なんだろう。身体能力ばっかりは。」
二人が話していると、マオがお茶を持って来た。
「…粗茶ですがにゃー。」
「どうも。」
「ありがとう、マオ。」
すると、マオは真剣な顔をして言った。
「…お願いがあるにゃ。」
二人は顔を見合わせる。
「どうしたの?」
「…遺跡探索に、一緒に来てほしいにゃ。」
「…こりゃびっくりだな。一度も行ったこと無いのか?」
「そうにゃ。ミーは一度も行ったことにゃくて…というか、町の誰も行ったこと無いにゃ。…でも、ミーは知りたいのにゃ。…あの場所に何があるのか。…でも、ミーは一人じゃ…怖くていけニャイのにゃ。」
「で、俺達に来て欲しいと?」
「そうにゃ。さっきの戦いを見て、きっと二人と一緒なら大丈夫だと思ったにゃ。」
「……良いぜ。…宿の恩もあるしな。」
「そうね。それに面白そうだと最初から思ってたし。」
「二人とも…」
二人は目を合わせ、頷いた。
「…よろしく。マオ。」
「マオ、私も…よろしく。」
「ありがとうだにゃ!二人とも!」
三人はその日仲間になった。
「何でしょう?お父様。」
「俺は暴れろとは言ってないぞ。」
「ええ。言われてませんわ。」
「じゃあ何で門が破壊されてるんだ!?どう考えてもお前の仕業だろう!?こんな石でできた門を破壊するなんざ!」
「ええ。私が壊しましたわ。」
「何で、そう、平然としてられるんだあああ!!」
ルミナの父は激怒していた。
勿論、理由としてはルミナが暴れて帰ってきたからである。
「…まさか、通った直ぐに帰るとは思わなかった。」
二人はもう変身が解けていた。
「そうだね。…でもお姉様はずっとあんな感じだから。」
「そうなんだな。」
「何をするにも躊躇いが無いんだよね。」
「………そうだな。」
門の先は大分見る景色が変わっていた。
「ここは…何処だっけなぁ…ああ、亜人が住んでるっだっけ?」
「…そうよ。猫耳やら犬耳やらが生えてる人がいるの。獣人とは違うのが面白いわよね。」
「…そういえば純粋な人以外を見るのは初めてだな。」
「あ、そうなの?」
「俺は生まれてから一度もあの街から出てねえよ。生まれて早々捨てられて一度もそこから好き勝手生きてた。」
エレストは淡々と言った。
彼はその事について何も気にしてないらしい。
「左手が無いからかしら。片腕が無いからって捨てるのはちょっと浅はかよねー」
「右腕が無かっただけじゃ捨てねえだろ…多分。」
「あ、紋章無しだから捨てたってこと?」
「そういう考えの方が普通だろ?」
「確かにそうかもね。でも…紋章が使えないからって他の事ができない訳じゃないのに…」
「ま、色々あるんだろ。」
すると、高速でこちらに来ようとする足音が聞こえた。
「なんかこっちに来てないか!?」
猪のように何かが突進してきた。
「人間の匂いだだニャー!」
「怖えよ!」
エレストは猫耳の人の顔を右手を使い抑えた。
「あにゃ?」
「何だコイツ!?」
「コイツとはニャンだ!私はマオだにゃ!決してコイツではニャい!」
マオと自称する猫耳の女性が頬を膨らませていた。
「それはそうと、何故人間がいるニャ?」
「…えっと…ただの観光だよ。」
「そうそう!」
エレストはほぼ逃げる為だが、エウルはそういう訳ではない。
「初めて来るんだ、観光名所とか無いのか?」
「はぁ!?そんなもんあるわけ無いにゃ。私でも知らにゃい遺跡にゃらあるにゃ。」
「遺跡?」
エレストは興味が湧いた。ただのお宝目当てだが。
エレストはここで宝が手に入り売り飛ばせばと考えている。
「そうだにゃ。誰も行きたがらないのにゃ。」
「へぇー!面白そう!」
「…いや、冷静に考えたら危ないだろ…」
「にゃにゃ!?」
急に驚かれ、エレストも驚いてしまう。
「…な、なんだ…?」
「恐怖こそ興奮だにゃ!」
「こいつやべえ奴だ。」
エレストは確信した。
「にゃにゃ!?」
「今度は何だよ…」
「悪い奴の臭いがするにゃ!」
「なんだそりゃ。」
と言った直ぐに、魔物が現れた。
マオの言う悪い奴はどうやら魔物の事らしい。
「うわ!?…見た目怖っ…!」
「…さあ、ぶん殴ってやるニャ!」
「エウル、蹴散らすぞ。」
「分かった!」
エレストは左の紋章を光らせる。
雷の一撃を魔物に与える。
「……ふ~ん。雷の紋章かにゃ?」
雷撃の紋章は神の紋章だが、雷の紋章や雷鳴の紋章などの名前がついた紋章もある。
この二つは神の紋章では無く、一般的な紋章だ。
「ああ。そうだ。」
エウルには既にエレストが神の紋章を宿している事を伏せるように言ってある。
信用出来ない人に簡単に言えば、紋章欲しさに一々殺されかけたらキリがない。
「…珍しいものにゃ。」
(何だコイツ…そんなに紋章が欲しいのか?)
エレストはそう思いながら、敵を倒していった。
「…よし、全部倒した。」
「私も倒したわよ。………エレストの半分位…」
「まあ、魔導師は個人で討伐するのは…向いてないからなぁ…」
「ミーも倒したニャ!」
「ああ、そうだな。俺の倍は倒してたな。その爪で…」
猫関係無く亜人なら何でも身体能力が高いらしい。
(そういえば、紋章って左手があればどんな種族でも宿れるんだっけな……俺がイレギュラーなだけだよな。)
「よし、魔物を倒した所で街を探すか。…マオ。近くの街とかあるか?」
「…あるにゃ。ミーが案内した方が良いかにゃ?」
「出来るんなら頼む。」
「仕方ニャイ。ここで会ったのも縁だし、着いてくるにゃ!」
「ありがとう、マオ!」
マオのおかげで途方に暮れることは無いようで二人は安心した。
数十分程歩くとやっと着いた。
どうやら、マオはこの距離からエレスト達の元へ走ってきたらしい。
「……これ結構距離あるぞ…」
「それから、あの速さで…」
「これくらい普通にゃ?」
「……何となく分かったよ。」
三人は小さめの町に入っていった。
「………」
古びた姿の亜人達がエレスト達を睨んでいる。
「……凄い…嫌な感じね…」
エウルは小さい声で言った。
「…小さい声も誰かから拾われるぞ。」
「…ええ。その対策は既にしてるわ。」
エウルはどうやらエレストよりも種族に対しての知識はあるらしく、魔導で声を特定の人にしか聞こえない術をかけているらしい。
(……何となく魔物と戦い方が違和感あると思ったが…まさか、この国に入った瞬間から発動してるからか…?エウルにしては用意周到だな。)
「エレストには今かける。静まり返れ。『魔導・微沈黙』。」
「っ…」
耳たぶ辺りに少し痺れが生じた。
「で、この術は一人しか声が聞こえないの。…だから、私と喋るときは私を向いて。しっかりと向いてね。」
「ああ。分かった。」
「…で、だ。…今の所全員にジロジロ見られてるな。」
「ええ。…私達が幾ら人だとしても、ここの国の人は人類もいるわ。しかも、そこまで排他的では無いのよ。」
「じゃ、何か理由があるのかもな。」
エレストは、視線の理由が何となく自分達が人であるからではないことは察していた。
「…取り敢えず、この空気の中でも泊まらせてくれる宿屋を探すしかない。マオ、近くに宿屋はあるか?」
「にゃいよ。」
「???」
「そんなもの、こんなちっぽけな町にある訳にゃい。」
「まじか…」
「仕方ニャイ。私の家に泊まるが良い!」
「マオ、良いの?」
「勿論だにゃ。」
「助かる。」
「困った時はお互い様にゃ。」
エレストとエウルは、マオに連れられ少し奥にある建物へ入っていった。
「…おじゃまします。」
「おじゃましまーす。」
「ゆったり寛いでニャー。」
二人は部屋で座りながら寛いだ。
「…そういえば、左手は動かさないの?使えるんでしょう?」
「まあ、確かにな。」
紋章がいつでも使えるということは、左手もいつでも同時に作られる。
「でも、どうも慣れないな。…急に左手が使えるようになったからって。」
エレストはまだ、器用に左手を使える訳じゃない。
それに、急に雷を発射させて、問題を起こす真似もしたくないというのがエレストの本音である。
「…あの猫亜人、幾ら鼻が利くと言っても、あの距離で分かるものなのか?」
「とは言ってもね…私達は亜人じゃないから分からないわよ。」
「…ま、そうだな。俺達の理解できない部分なんだろう。身体能力ばっかりは。」
二人が話していると、マオがお茶を持って来た。
「…粗茶ですがにゃー。」
「どうも。」
「ありがとう、マオ。」
すると、マオは真剣な顔をして言った。
「…お願いがあるにゃ。」
二人は顔を見合わせる。
「どうしたの?」
「…遺跡探索に、一緒に来てほしいにゃ。」
「…こりゃびっくりだな。一度も行ったこと無いのか?」
「そうにゃ。ミーは一度も行ったことにゃくて…というか、町の誰も行ったこと無いにゃ。…でも、ミーは知りたいのにゃ。…あの場所に何があるのか。…でも、ミーは一人じゃ…怖くていけニャイのにゃ。」
「で、俺達に来て欲しいと?」
「そうにゃ。さっきの戦いを見て、きっと二人と一緒なら大丈夫だと思ったにゃ。」
「……良いぜ。…宿の恩もあるしな。」
「そうね。それに面白そうだと最初から思ってたし。」
「二人とも…」
二人は目を合わせ、頷いた。
「…よろしく。マオ。」
「マオ、私も…よろしく。」
「ありがとうだにゃ!二人とも!」
三人はその日仲間になった。
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