雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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5章 魔法国の始まり

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「ふー…死ぬかと思ったな!」

「こっちのセリフだよ!!!!殺す気か!」

「山から村までひとっ飛び…うっ…心が死ぬ…」

「さ、魔物を倒すぞ。」

村には既に魔物がいる。

今日は新月で昨日とは違い、魔物たちはいきり立っているみたいだ。

「自棄糞でやってやる!悪しき者にせめて玉響の光を。 『聖なる光』Gib den Sündern göttliche Strafe. heiliges Licht!」

光が魔物たちを貫く。

「流石に俺も二度とやらねえって思ったから気にするな!」

エレストの声にエウルとトーラスが同時に叫ぶ。

「気にするわ(よ)!」

「実は仲良いだろ…」

「絶対に仲良くない(からな)!」

またもや同時に叫ぶ。

そう叫びながら、魔物を倒していき、数十分後には全ての魔物を倒すことが出来た。

「明日はもう一回月の魔女アイシェに会いに行って、暴走しない様に何とかさせるか。」

「でも暴走って止められなくない?」

「まあ、どうにかできるだろ。」

「んな雑な…そんなんでできるのか?」

「知らん。」

「それでいいのかよ…」

「でも、何とかしないと、村も大変だし…何より、アイシェが可哀想だわ。」

「はあ…別に今のままでもいいと思うけどな…だけど、特に目的も無い今だから、やっても良いと思うが。」

「全会一致で可決ってことだし、行くか。」

「俺はそこまで乗り気じゃないんだが…?」

トーラスの言葉を無視し、次の日になった。

「…zzz」

「さあ、行くぞー」

寝ているのか、はたまた寝ていないのか最早分からないトーラスを引きずりながら再び山を登る。

「…zzz…ここから三時方向、およそ100m…下級魔物…二体…」

「なんで寝ててそれが分かるんだよ…」

「ごめん、引いた…」

エレストとエウルはドン引きである。

そして、また月の魔女…アイシェの家に着いた。

「…何で皆さんまた来たんですか!?」

「…zzz」

「しかも寝ている人いるんですけど!?で、その寝顔ですら美形ってどういう生まれですか!?」

トーラスの美形さは恐らく何をやっていても、女性を射止めてしまうだろう。

「…俺が美形なのは知ってるよ。…zzz」

「寝てるーっ!?寝ながら自覚してる!?少しイラっとしました!?」

確かに、この美形さにも関わらず、エレストとエウル(特にエウル)が「顔が整ってるなー」しか思ってないのは、恐らくトーラスの性格の悪さだろう。

まあ、これは元々の素であろうから、今更、他の身分の完璧な性格にされると返って気持ち悪い。

「そんなことより、本題だ。」

「さっきのは何だったんだと言いたいくらい、起きた時の切り替えが早いんですが…」

「で?お前は…」

「アイシェです!」

「…アイシェは自分の紋章について、何とかしたいのか?」

「…はい。私はこの村が好きです。…私がこうなってしまってから、何かと気にかけてくれます…私は魔女と呼ばれるようになってから、紋章を宿したのですが…月の魔女というなんか、とてもいい名前をつけてくれましたし…できることなら、この村を守る存在になりたいです。」

「だってよ。」

「あとは折れに丸投げかよ。まあ、俺になるんだけどさ。アイシェはさ、紋章が暴走している時に、自称神に会ってないか?」

「自称じゃなくて、ちゃんと神だろ。一応神の紋章って呼ばれてるんだから…」

「あら、意外と神は信じるタイプなのね。」

「一応な。神はいるっていう国で育ってるからな。まあ、一応。」

二人がこそこそと話している。

実は仲がいいのかもしれない…と言うと、また二人に否定されるから言わないでおいた方がいい。

「…あ、ティータイムに誘ってくるあの者が神なのですか!?」

ティータイムに誘う神とは中々面白い。

「え、そんな神様がいるの…?」

エウルもびっくりである。

「というか、ティータイムにアイシェも付き合ってるから暴走が止まらないんじゃ…?」

「…あ!!」

「ここまでネタに走ってる紋章使いも珍しいだろ…」

アイシェが優しい性格のため、神に対して、断ることが出来なかったのだろう。

神も基本的に自己中のため、アイシェに危害が及んでいないため、特に何も思ってないだろうから、こういうことが起きたのだろう。

「わ、私はいたって真面目ですっ!!!」

「わ、分かったから…」

「じゃあ、暴走を止める方法は、お茶会を断る…?」

「えー!?そうしたら…月の神様が可哀想です…」

「流石にどっちもは無理だぞ…?俺はあいつと喧嘩してるから、暴走から抜け出してるけど…」

「それはそれでどうなの、エレスト…」

ということで、アイシェの為に四人で良い案を話し合う。

「こういう時に都合よく雷撃の神が現れたりしたらいいのにな…」

「都合よく現れても、都合の良い神じゃねえよ。」

「雷撃の神っていったい何なんだ…?」

「自己中の塊だよ。俺の性格の悪さだけを切り取ったみたいな存在かもしれないな。」

「最悪だな。」

「あとウザい。」

「もっと最悪だな!」

「…で、あの私の案は?」

「断る!以上!」

「えー!?そんな雑な!?」

「いやだってこれしかないし…」

「確かにそうですけど!」

結局いい案は浮かばなかった。

なので一旦断ろうという話になった。

「何この、小さい子供の喧嘩を止めている感じは…」

「神の紋章と戦わないといけない状況よりも全然マシだから…」

それに、今は夕焼けだ。

また、魔物との戦いにならないことを願いつつ、エレスト達は雑談しながら待った。

「…そろそろか…」

紋章が光り始める。

神はなぜそこまで紋章を暴走させるのだろうか。

アイシェはその光に身を委ねる。







「はっ!?」

「いらっしゃい。」

アイシェの目の前には微笑んでいる女神がいた。

そう、この者が月の神なのだ。

「…私とお話しましょ。」

「…はい。私は貴方と話があって、こちらに来たのです。」

「あら、貴方から?フフフ、嬉しいわ。」

「…そ、その…お茶会を…当分の間止めてほしいです!」

「…」

何も反応が無い。

恐る恐るアイシェは顔をあげた。

「…ううっ」

神は大号泣していた。

「え!?」

「私のことが嫌いになったの…?」

「ち、違…」

「だってえ!!!それ以外ないじゃない!!!うわあああああん!!!」

「違います!!!」

「…え?」

「暴走を止めたいんです…」

「…」

「私は村が好きで…新月に近付くにつれて、魔物が私を恐れて逃げてしまって、その魔物が村に来てしまいます。暴走することで、私の好きな村に迷惑をかけてしまいます。貴方のことも好きですけど…同時に村も好きなので…どちらかを取ることはできません。…新月の時だけでいいんです。」

すると、再び泣き始めた。

元々泣いていたから、再噴火と言うべきか。

「うっうう…」

「神様!?」

「アイシェ…成長したのね…」

(お母さんみたいなことを言ってる…)

「私が何も考えていないのが悪かったわ…貴方は自分の事ばかりでなく、私や村のことも考えていたのね…ひっく…うう…貴方はなんて優しい子なの…」

(お母さんみたい…)

「分かったわ…それに…貴方が紋章を意図せず暴走させないために…紋章の使い方を一緒に勉強しましょう…?満月の夜の間…」

「…!あ、ありがとうございます!」

「なんて、うちの紋章の使い手はこんなにも可愛いのかしらっ!!!!」

「…」

「これが親離れをした子をもった親の気持ちなのね!!!!」

「娘じゃないんですけど…」

「それでも貴方は娘みたいな存在よおおお!!!!」

雷撃の神の話を聞いてから、月の神と会ってみると、やはり温度差が違い過ぎると思ったアイシェだった。
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