雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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8章 呪いは浸食する

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「…皆は何の紋章なんだ?」

エレストは浅村が話している間に、三人に聞いた。

「団長は『暴力の紋章』です。」

「言葉だけ聞くとヤバイな。」

「強そう。」

「紋章も強いけど、本人が強いので…もうよく分からないですよね。」

「魔法があんまり得意じゃないくせに魔力が高くて、大魔法使いの資格取ってるのよ。」

「はぁ!?」

トーラスが一番魔法使いについては詳しい。

資格は取ってないが、ある程度の大変さを知っている。

「紋章の説明的にはぶん殴れる力です!」

「はい、とても分かりやすい説明をありがとう。」

橋本の、急に語彙力が子供レベルになる現象は一体何だろうか。

だから変人と言われているのだろう。

「団長が一番強いですよ、この中では。」

「俺だって負けて無いけどな!…でもまあ、魔力があって、指揮もできて、なお強い。流石にすげえよ。」

閃撃も素直に認めている。

「お、帰ってきたみたいだぞ。」

「嬉しい誤算だ。防衛隊の幹部に直々にアポが取れることになった。」

「ええ!?」

「それであらかた俺が今までの話をした。すると、やはり呪術師らしいものが数人見つけたらしい。」

「…どこで?」

「天皇のいる場所だ。」

「天皇…王様よね?」

「その認識で構わない。そこを潰されると和の国は全てを狂わされる。」

「下手したら潰れちゃうわよ…」

「潰れない。和の国は天皇が居なくなっただけでは。…と言いたいところだけど、いる方が安寧を保つことができる。確実に死守しなきゃいけない。」

「うん。」

紋章の旅団のメンバーは全員頷いた。

「で、和の国には防衛隊っていうものがあるんだけど…」

「王国で言う騎士団的なもの?」

「違うけど似てるから、それで大丈夫。防衛隊が天皇の邸宅にガッチガチに固めるんだってさ。」

「ふーん。じゃあ安心だな。確か、防衛隊って激強なんだろ?」

「魔王以外ならなんとかなるという自信はある位には。」

「上級魔獣は確かに倒せますもんね。」

「流石に全員って訳じゃない。そういうのはエリート部隊さ。天皇の周りはそういうので囲ってるけど。」

「じゃあ問題無さそうだけど。」

「単純な問題でだだっ広いんですよ、トーラスさん。多分、そういう事ですよね、浅村さん。」

「うん、流石に防衛隊を総動員する訳にはいかない。他のところに何かあったら、何もできなくなってしまう。だから、緊急臨時防衛隊に登録している俺達に、防衛隊の作戦の参加をお願いされた。」

「緊急…ナントカ、防衛隊?なんだそれ?」

「緊急の時に、臨時の防衛隊になることだぜ。」

「閃撃さん、そのまま過ぎます。」

「コホン、いつもは防衛隊じゃないんだけど、こういう招集の時に防衛隊の一員として作戦に参加したりするのよ。」

「そういうのがあるんだな。」

「で、俺はそれに同意した。皆はそれで大丈夫だよね?」

「俺は良いぜー」

「私も。」

「頑張ります。」

「だけど、エレスト達は話は別だ。観光の為に来てるし…」

「俺達も手伝うよ。」

「いいの?」

「呪術師は殺すべきだし、呪術師が何かしてるのに俺達は観光とかできない。」

「同感。」

エレストとトーラスは、はっきりと言った。

「……呪術師って…そういうものなんですか?」

橋本がしどろもどろになって聞く。

「知らないのか?」

トーラスが聞く。

「…あの時、呪術師を初めて殺しました。…私には呪術師を殺さないといけないとか…理解ができません。」

呪術師を見つけ次第殺せと言われて育ってきた人間もいれば、呪術師を知らず育ってきた人間もいる。

「……何故、殺さないといけないんですか?」

「ハシモト。君が副団長を助ける為に、呪術師も知らずに殺したんだろ。…それが全てだ。殺さないと、他の誰かが殺される。」

「………」

トーラスは淡々と言う。

「…兎も角、俺は呪術師は皆殺しすべきだと思ってる。面倒だけどな。」

「エレストと私は呪術師と戦った事もあるし、別に構わないわ。」

「…ありがとう。本当にありがとうございます。」

「お礼は良いよ。今するもんじゃないし。」

「分かった。…じゃあ、今から向かう場所について説明する。今から行くのは、その天皇のいる場所。それを瞬間移動を使わずに行く。」

「えー!?なんで!?あ、呪術師にバレない為か。」

テレポートを一斉に同じ場所に向けて使うと、魔力探知でバレてしまう。

流石に分かりやすくそんなことをしてしまっては、呪術師が何をするのか本当に分からなくなってしまう。

「…まあ、つまりそういう事だから、なる早で向かうよ。」

「分かった。」

ということで、全員で向かう事になった。

「そういえば、ユウの紋章の話は聞いたけど、それ以外は何の紋章なんだ?」

「じゃあ、療さんから話をしたらどうですか。」

「そう?私は『治癒の紋章』よ。その名の通り、色々治療をするの。解毒もできるわ。神聖魔法の紋章版だと思ってくれていいわ。神聖魔法は使えないけどね。」

「何度も感心するけど、紋章の力ってつくづく凄いな…」

「治癒の紋章は確かにレアよね。神の紋章でちゃんとした治癒能力があるのは『月の紋章』だけだもの。私はこの紋章を得れて本当に良かったわ。」

「神の紋章って憧れるわあ…」

橋本がふと言ったことを浅村が聞く。

「どうして?」

「例えば『王の紋章』みたいな紋章とか浪漫がありません?まあ、実際に開眼してる人を見たことが無いからですけど。」

「いたら、浪漫とかいう暇ないからねえー…」

「じゃあ、次は愛ちゃんにしたら?」

「え!?私ですか!?え、えと…私は『鼓舞の紋章』です。応援したら、色々なバフがかかります。」

「珍しいな。そう言った支援系の紋章は。」

「私も去年に目覚めたばっかなので驚きました。私の枠組みがメインアタッカーのつもりが、サポーターになってたので…」

「確か、8年前から冒険者目指してたんだっけか?」

冒険者を名乗るのは特に制約は無いので、名乗るタイミングは目指し始めタイミングの場合が多い。

「そうですね。実際に冒険者として登録したのは5年前からですけど。」

和の国では、冒険者として登録できるには、年齢制限がある。

15歳以上かつ、一定の教育課程が修了したものとなる。

「まあ、一応一人で活動する前提でやってたので、神聖魔法を含む魔法、弓、近接はあらかたやったんですが、如何せん、全部に才能が無さすぎて、鼓舞の紋章しかアイデンティティが…」

「いや、全部できるのは…」

エレストは少し驚いた。

「神聖魔法使えたのか。」

「『大地の涙』じゃないですよ。それすらも到達しない、『癒しの雫』です。」

癒しの雫は、発動者の魔力を殆ど必要としない。

対象者の神聖魔力を利用して、傷を徐々に回復する魔法である。

そもそも、徐々に回復してなんとかなる傷なら、大した傷ではない。

大地の涙が必要な時には大した回復能力は無いに等しいため、そこまで習得する必要のない魔法である。

「一応、鼓舞の紋章で馬鹿バフかつ、浅村さんみたいに魔力が馬鹿あったりしたら、合計回復量が大地の涙と同等になるかなーくらいです…」

「なるほど、自分にかけても意味無いから、カナミチに頼んだのか。」

「あ、そうです。その通りです。理論上では鼓舞の紋章は自分にもかけれますけど、私は自分に使えないので、総じて雑魚です。」

「何もそこまで卑下しなくても…」

「じゃあ、次は閃撃さんですかね。」

「俺は『乱舞の紋章』。団長が単体特化なら、俺は全体特化だな。魔物の数が多ければ多い程役に立つぜ。」

「へえ。」

「でも、それ以外の説明が無いんだよな。」

「戦闘系の紋章って、話すこと無いものね。名前の通りの紋章だし。」

「うっ。」

紋章の旅団の紋章の話が終わり、次の街に向かって歩いている。
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