雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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8章 呪いは浸食する

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エウルやトーラス達では倒し切れず、魔物達が降りてきた。

「エレストもずっと攻撃しててこれかよ!」

「一体、全体の数は幾つなのよ!」

「さあな、片っ端から殺すぞ!」

紋章の旅団も、必死に魔物を殺している。

「『大地の拳撃』!」

大地を砕くほどの攻撃が、魔物を潰していく。

「紋章の力を使っても、一生倒しきれない…!」

「『繚乱の舞』…!」

閃撃の乱撃が魔物を斬り刻む。

「このままじゃ、これは数で押されるだけだぞ…!!」

流石に、この魔物多さでは、奏道と橋本二人では捌ききれない。

「…ハア…ハア…」

「愛ちゃん!大丈夫!?」

紋章の負担が、他の団員よりも大きいため、体力の消耗が大きい。

「『強化エンハンス』を止めていい!一つに絞ってくれ!」

それに気付いた浅村が叫ぶ。

「…了解!すみません!激励します。」

「速くしてくれ!」

「分かりました。頑張ってください、『加速アクセル』!」

二人の移動速度が速くなる。

「ははっ…!これこれえ!」

閃撃が高速で魔物を斬り伏せていく。

「奏道!出来る限り、橋本さんに負担をかけさせないようにしてくれ!」

「ええ!分かってるわ!」

奏道は魔物を盾で防ぎながら、槍で魔物を貫く。

すると、エレストが魔物を雷で祓いながら近付いてきた。

「やっぱ、火力がおかしい…」

「かれこれ、30分は戦っているのに、全く魔物が減らない!」

「これ以上戦っていると、俺の魔力が尽きる方が早い!」

トーラスも息が上がってきている。

エウルは空を見上げる。

「あの魔法陣らしきものが悪いのかしら!!」

「呪術に魔法陣は存在しない!あれは見掛け倒しだ!」

「あ、魔法陣が消えた…」

それと同時に魔物が上から落ちてくることが無くなった。

「残りの魔物を倒したら、良いんですかね…!」

しかし、減るどころか増えていく一方だ。

橋本は殆ど息切れしている。

「もう、勘弁してくれ…!」

太刀が魔物の血でドロドロだ。

すると、一斉に魔物が襲ってきた。

橋本は小さな防護魔法をいくつも張り、魔物の攻撃を辛うじて防ぐ。

「この…!」

魔法具から、短刀を取り出し、橋本の腕を噛んでいる魔物の脳天を刺し殺す。

「いって…」

「橋本さん!後ろ!」

「え…」

魔物の打撲が橋本の背後を、盛大に食らう。

「ぶっ…」

旅団から外れた場所に吹き飛ぶ。

「おい…!大丈夫か!?」

橋本はフラフラになりながら起き上がる。

しかし、魔物は待ってくれない。

「…っ…」

「俺が行く!」

「おい!?」

浅村は魔物の中心に突っ込んでいく。

「大丈夫?」

橋本は浅村の姿を見て、少し安心する。

「……勿論です。」

橋本は荒々しく頭の血を拭う。

「すみません、皆さんから離れてしまいました。」

「いいよ、寧ろ逆に動きやすい。」

「え…?」

浅村は大声で叫ぶ。

「エレスト!奏道!出来る限り魔物をそっちに引きつけてくれ!」

「分かった!」

「こちらは私が指示する!」

「俺達はこのまま、この魔物を生み出す元凶を叩く!」

「え、え!?」

橋本が一番びっくりしている。

しかし、魔物が減らないということは、魔物を生み出す魔物が居るはずだ。

それは呪術であるというだけで、理解できる。

「…お前らでか!?」

「ああ!」

「わかった!療、指示を!」

「二人とも、あの二点に放てるか!」

エレストは二人に頼む。

「当たり前だ。」

「ここでやらなきゃ、魔導師じゃないわ。」

橋本と浅村の周りの魔物が一斉にこちらを向く。

それはある意味恐怖そのものである。

「…へっ。」

「エレスト、頑張るわよ。」

「ああ。」

「颯人、私を守るのよ。」

「当たり前だ。」

魔物は二人から引き剥がされていく。

「良いか、橋本さんが魔物を倒すんだ。」

「え!?」

「俺は、橋本さんを守るように戦う。紋章の力も使わなくていい。ただ、。」

「……了解。見つけたら速攻殺しに行くってことで良いんですね?」

「うん。いけるね?君しかやれない。」

「……なら、私がやります。」

橋本は全てを力を切る。

呪術自体を魔力の様に見れるのは呪術師だけと言われている。

だから、橋本は勿論見れない。

それはある意味、魔力を見れば、ブラックホールの様に呪術の部分が空白になっている。

橋本はそうやって判断しようとしているのだ。

「…いた。」

橋本は一直線で移動し始めた。

「何で分かるのか…」

浅村は乾いた笑いでそう言った。

橋本の動きにあわせて、浅村は魔物を殺していく。

「見つけたぁ…!!!」

魔物は気付き逃げている。

「こんな事をしておいて…!!逃がすか…!」

既に、ここにいる全員が体力の限界を迎えている。

ここで倒さないと、保たないのだ。

一斉に魔物が橋本に向く。

「俺に来いよ!」

浅村がその魔物達を倒す。

橋本もその隙を突っ込んでいく。

全ての力を振り絞り、元凶に刃を振るう。

「初歩の型〇一いち式 『一閃』。」

しかし、断ち切る事が出来ない。

(硬い…!)

しかし、刃は入っている。

このまま押し切れば、斬り開く事ができる。

魔物達が橋本を取り囲む。

浅村ですらも、倒す事が追いつかない。

魔物達は橋本の防護魔法をガリガリと噛み砕こうとしている。

「…ここで……引く馬鹿がいるか…!!!」

防護魔法が一枚割れる。

その隙に刃が橋本の脚が刺さる。

「…それで!!!!私が!折れると!思うなああああああ!!!!!」

橋本の魔力が刀に纏わり付く。

その瞬間、刀は動き、魔物の首を撥ねた。

元凶の魔物が消えていく。

それにあわせて、他の魔物が消えていく。

「はっ、はぁっ…、はっぁ…」

橋本は膝から崩れ落ちる。

「…終わったな…?終わったでいいよな?」

エレスト達も地面に伏せるように倒れた。

「生きてるか?」

「死んでる。」

「生きてるわね。」

「おっけ、二人共生存してるな。ハヤト、リョウ、生きてるか?」

「どっちも生きてるぜ…」

「愛ちゃん!」

この中では一番負傷している。

「痛いよぉ!凄く痛いよぉ!先輩助けてぇ…」

「それを言える体力は残ってるのね。私が治療するわ。」

「次…俺…」

「はいはい、団長。」

「俺は?」

「はいはい。」

「……ちょっと休憩した後に、呪術師について話がある。いけるか?」

トーラスは疲れながらもそう言った。

「……ああ。」

浅村は少し遅れて返答した。

全員の治療が終わり、まともな会話が出来るほどになってから、トーラスが話し始めた。

「……恐らく、これは、時間稼ぎだ。…呪術師が何かをする為の。こっちに意識を向けるようにしてるんだ。」

「……」

「和の国は呪術師に関して、どの国よりも寛容すぎる。甘いんだよ。だから、大抵の奴らはこれで終わりだと思ってる。」

「……俺達の国には防衛隊がいる。恐らくだが、そこだけは多分考えてる筈だ。」

「…もしかしたら、大規模テロとか呪術師はやるかもしれない。」

「……そんな事が起きたら…!」

すると、村民は戻ってきた。

魔物の気配が消えたら、戻れる仕組みがあるらしい。

魔物の襲来も、天気の様な災害の様に捉えている和の国らしい。

「…あんた達が倒してくれたのかい?」

「いや、凄えよ!英雄だよ!」

その言葉を聞いて、七人は安心したように笑う。

しかし、これで終わりじゃない。

「村長にお願いして、連絡入れてもらおう。」

「いけるのか?」

「俺達は学生で、冒険者で、和の国だけの資格を持ってる。」

「それって凄いの?」

「凄いというか、話が通り易くなるって感じかな。」

「おお…」

紋章の旅団自体は、冒険者歴が最低で8年の言ってしまえば、エリートの集まりである。

「…俺が聞いてみよう。…エレストさん。」

「エレストでいいよ。」

「…エレスト。観光で来てくれるのに、巻き込んで申し訳ない。」

「本当にそうですよ…ごめんなさい。」

「私からも謝るわ…」

「いやいや、いいよ、そんな事しなくて。俺達はよくそういうのに巻き込まれるし。」

「観光する為には呪術師を倒さないといけないし、呪術師自体は二度目だし。」

「…って言ってる奴らと一緒にいるからな。」

「…そうか。本当にありがとうございます。」

浅村は、村民の元へ歩いていった。
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