雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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10章 ~呪いを虐殺★楽しい一人旅~

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「だからお前らはクソなんだよ。」

「何故…ここが…」

「私は何でもできるからね。お前らを殺すことも。」

人の姿をした人ならざる者が、彼女の手によって屠られていく。

「呪術師は…殲滅だ。1匹残らず。」

首に刃を向けた。

いずれ彼女の返り血も、時間経過とともに消えていく。

彼女の復讐心も返り血の様に…

「いや、有り得ないな。」

そんなことを考えている場合ではない。

それよりも一刻も早く、殺さなければ。

世界が危ないんだ。












エレスト達はここで野宿することになった。

「魔法具が危ないってことは、和の国でのどっかの馬鹿が馬鹿してたから知ってるだろ?」

「ああ。」

「でもここでは、魔導具も危ないからな。」

「全部危ないんだな。」

「そうだ。触んなよ。」

「触らねえよ。」

「でも、売ったらお金になるかなって言ってたじゃねえか。確実に下民の心が表面に出てる。」

「…否定できない。」

「ま、紋章を貴族に売ろうとしてたもんねー」

「そうだから、もっと否定できない…」

「マジで止めてくれよ…これ以上四肢欠けても神の紋章は生やしてくれねえぞ。」

「反論もできない…」

「もう寝るわよ。」

「ういー…」

次の日。

「…」

トーラスは不機嫌そうに眼を開けていた。

「トーラスが起きてる…!?」

「なんで、どうして、有り得ない!?」

「俺を何だと思ってる。…魔力の流れが気持ち悪いんだよ。魔法具のガラクタとか、魔物の魔力とか、魔法国もまあまあ荒ぶれてるが、絡繰の方が汚い。」

「へえ…」

「魔物も多いし、俺の探知魔法が誤作動起きまくってる。魔力が抜ける…」

「どうする?魔法石持っておく?」

「あー…欲しい。」

「んー俺も魔力が過剰な場所だったら、魔力らしきものを感じれるんだけど、そこまでじゃないんだよな。」

「荒れてる事は実際そうでしょうし、魔力が高い魔物がいるのかもしれないわね。それこそ、『魔喰い』とかね。」

「確かにここなら居そうだな。」

「さ、移動しよう。トーラス、動けるか?」

「それくらいは問題ない。」

辺りを見渡しても、魔物の姿は見当たらない。

「これが続くのはキツイかなあ…」

エレストは小言を言いながら立ち上がった。

「マジで眠い…」

「トーラスが寝不足なんて、吸血鬼が太陽の下を歩くくらい有り得ないと思ってたよ。」

「どんな例えだよ、クソ…」

出来る限り魔物と会敵しない方がトーラスの為だろう。

多少見つけても、初級魔物しかいないので、エレストやエウルだけでも対処は出来る。

すると、物音が聞こえた。

「…ガサッて聞こえなかったか?」

「私もちょっと聞こえた気がするけど…魔物の姿はどこにも…」

トーラスが何かに気付く。

「…まさか…」

地面が少し隆起した瞬間、全員がその場から離れた。

「クソデカ蚯蚓じゃねえか!?」

「なにあれ、滅茶苦茶気持ち悪いんだけど!!」

その肌は粘性の膜によって照っている。

生理的嫌悪を感じさせるそのフォルムは、うねうねと動き出した。

見た目が気持ち悪いだけならまだ良かったが、問題は別にあった。

「眩暈がする…」

「トーラス!?」

エレストは直ぐに駆け寄った。

「魔力がぐちゃぐちゃなのは、あいつが地面に這いずり回ってたからだ…クソ…気付かなかった…」

「エレスト!トーラス担いで動ける?」

「いけるけど、攻撃は出来ねえ!」

「私が何とかするわ!倒さずとも、撤退さえできればこっちのものだからね!」

魔導陣が起動する。

そこから、多数の魔導が放たれた。

「いけそうか、エウル。」

「あんまり効いて無さそうね。魔法系に耐性あるかも。」

「なら出来る限り逃げるぞ!」

「それが一番ねー」

鎖で蚯蚓を束縛し、その間に逃げる。

「思ったより、鎖も意味なさそう。」

「マジで?」

「もう壊れる。」

「何でそんなにエウルは冷静なんだ!?」

「…一周回ってってやつ?」

「ええ…」

その間に鎖が壊れてしまった。

蚯蚓の移動速度はとても速かった。

トーラスはボソッと言う。

「…全員雷撃の紋章で移動は?」

「平坦な場所じゃ厳しい!そんなに便利じゃないんだよ…!」

「しかも、ここら一帯は森林だし、もっと厳しいわね…どうしましょう。」

蚯蚓はとうとう追いついてしまった。

「逃げ切れるかなあ!?」

「一旦防御に…!」

体当たりを食らう直前の事だった。

「あらやだ★気持ち悪い見た目★」

エレストの前を遮る、一人の女性が歩いていた。

「我が器よ。『応答しろ』。」

その言葉に呼応するように、剣が現れる。

「二十歳の女、舐めてんとちゃうぞ!ワレエ!!」

一振りで蚯蚓の体当たりに押し勝ち、高く飛びあがる。

蚯蚓は魔法を使いだす。

古代魔法をどうやら使えるらしい。

「へえ…雑魚じゃないんか。」

女性は構えを変えた。

「そうじゃないと秒殺しちまうよ!『美しきこの世界』。」

魔法を切り裂いて、蚯蚓に刃が届く。

「せーので行くよ、せーの!」

その瞬間、蚯蚓が輪切りにされた。

人を十数人並べれるほどの大きさの蚯蚓を料理の端にある胡瓜のように輪切りになってしまった。

「よっと。うわ、気持ち悪っ!!!もうちょいまともに死んでくれ。」

女性は、エレスト達を見た。

「…生きてる?特にそこの緑髪イケメン君。」

「死んでる。」

「本人がそういうって事は生きてるね。良かった良かった。魔力がエライことになってたからねえ。私ですら探索魔法切ったもん。」

どうやら、仲間で行動しているわけではなく、単独行動みたいだ。

「助かったよ。ありがとう。」

「いえいえ。困ってそうなら助けるっちゅうのがまあ私のモットーなんで。」

女性はトーラスをじっと見る。

とても珍しそうに見ていた。

「どうしたんだ?」

「あ、いや、イケメンだなって。…それはそうと、イケメン君担いで移動するのは大変じゃない?次の街まで、着いて行こうか?」

「良いの?」

「だって、こんな美少女とイケメン同時に拝めるんやから、行くに決まってるやんか。あーあ羨ましい。」

「はあ…まあでも来てくれるなら助かるよ。」

「ほなら、それで決まりで。どうも、私はアカツキ。本名非公開系美少女やらせてもろてます。あと、名前覚えられない体質なんで、覚えるの時間かかるかも。それに関しては申し訳ない。」

「大丈夫だよ。」

全員の自己紹介が済んだところで、再び移動を再開する。

「うっひょー…やっぱり探知魔法しやすくなってチョー楽。」

「そういえば、その武器って変わってるわよね。」

「あーこれ?これね…遺跡に入ったら、なんかあったから、パクってきた。」

「遺物じゃねえか…zzz…」

「寝ながら喋ってるの…?き、器用だね…?ま、まあ遺物だよ。」

「遺物の中でも、大分貴重な物じゃない?まともに使えるし。」

「そうなんだよーいいもんゲットしたわーって感じ。まあ、『魂の紋章』を応用して作られたっぽくて、遺物と私の魂が繋がっちゃったんだよねー、売れなくなっちゃった★てへぺろ★」

「そ、そうなんだね…」

とても個性的な性格をしているが、実力は確かだ。

「あ、そういえば…ここら辺で、こそこそ動き回ってるゴキブリみたいな人間の姿をした奴らって見たことある?」

「…?呪術師の事か?」

「うん、うん、それそれ。呪術師を殺して回ってるんだけど、最近聞かなくてさあ。でもどうせいるんだよね…」

「…お前、呪術師殺しカースキラーだったのか…zzz…」

呪術師殺しというのはその名の通りであるが、一般ではあまり好かれない存在である。

呪術師に殺す為とはいえ、関わること自体が正気ではないとされているからだ。

他にも、それを語っているが、実際は呪術師になるための呪術師と接触を図る為にそう自称することもある。

呪術師殺しがいれば、それと同時に呪術師がいる事でもあるので、早くいなくなってほしいのが一般人の本音なのである。

「一応建前としては冒険者なんだけどね。実際、呪術師よりも魔物で稼いでるし。」
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