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一章
水面が揺れる
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数十分の距離を馬車に揺られ、到着したのは林の前のあぜ道だった。
そこから伸びる道を数分歩き、木々の間を抜けた先にパッと開けた空間がある。
そこにあるのは大きな湖と、整備された小道。私たち以外に湖畔を楽しむ人はいないのか、この素敵な景色の中にルシアン様と二人で立っている。
陽の光を浴びて湖の水面がキラキラと輝き、自然に囲まれて澄んだ空気が気持ち良い。
思わず溢れた「綺麗……」という感想に、ルシアン様が「そうだね」と返してくれた。
「あの、ルシアン様はこの景色を見るために連れてきてくれたんですか?」
「それもあるけど、もう一つやりたいことがあるんだ。少し奥まで歩こうか」
「……? はい」
奥まで歩くという言葉に素直に頷き、そのまま遊歩道に移動する。この先に何があるのかは分からないが、こんなにも気持ち良い道を散歩しないなんてもったいない。
綺麗な景色を見ながら歩いているだけなのに、いつもと違う場所にいるせいか会話も弾む。
本当に、今日のデートがずっと楽しい。
しばらく歩くと湖の奥に、小さな桟橋が見えてきた。広めの座席が設けられた細長い小舟が停まっていて、桟橋に近付くと、漕ぎ手の男性がルシアン様と私に向かい一礼する。
「ルシアン様、セシリア様。お待ちしておりました」
「急に頼んで悪かったね。このまま乗っていいかい?」
「もちろんでござます。どうぞ足元にお気をつけて」
「ああ、ありがとう」
水に浮かぶ足場の不安定な船に、まずルシアン様が一人で乗り込む。
桟橋に残された私にルシアン様が手を伸ばし、おそるおそる手を重ねた。
「ほらセシリアも。気をつけて」
「はい、ありがとうございます。……あ、きゃっ……」
揺れる底板に少しだけバランスを崩し、ルシアン様に抱きつく形になってしまった。ルシアン様の胸に支えられたおかげで無事に舟に乗ることができたが、近くなった距離にドキドキと鼓動が早くなる。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
慌てて距離を取ろうとするが、それができるほど舟の上は広くない。結局近い距離のまま、舟の真ん中に並んで座り、ふかふかのクッションに背中をもたれかける。
私たちが座ったことを確認してから、長い櫂(かい)を手に持った船頭が舟の端に立った。
「それでは出発いたします」
水の中に櫂を差し入れ、静かに水面を波立たせる。ゆっくりと進み出した小舟は、水面を滑るように湖の中心に向かって動き出した。
冷たい風が頬に当たり、ふわりと髪が靡く。キラキラした水面が近くて、覗き込むと水中には魚の泳ぐ姿が見える。
この数分で、一気に違う世界に迷い込んだみたいだ。
今日だけでたくさんのものを、ルシアン様は私に見せてくれる。
「本当に素敵な場所ですね。水が澄んでいてすごく綺麗……」
「よかった、楽しんでくれているみたいで」
「はい、連れてきてくださってありがとうございます。ルシアン様が行きたいところって、湖だったんですね。急いでいるみたいだったので、何かのお店なのかと思っていました」
「ああ…….ほら、暗くなると舟が出せないから。さっきは急かしてごめんね」
「そんな、謝らないでください。こうやって素敵な場所で過ごせて、本当に今日一日とても楽しいです」
触れている右側が温かくて、一緒に過ごせる時間を幸せに感じる。今日一日、私はずっと頬が緩みっぱなしだ。
ふと自分の手元に視線をやると、薬指にある金色が、自然光を反射してキラキラと輝いている。
嬉しくてふふっと笑い声を漏らすと、「セシリア」と名前を呼ばれて顔を上げる。
いつも通りにルシアン様も、微笑みを向けてくれているはずだ。それなのに、何故か金色の瞳だけが、不安そうに揺れているように見える。
「……今日、何か思い出した?」
問われた瞬間、しん――と周りから音が消えた気がした。
数秒の間に、今日したことを改めて思い返す。
街に出て、指輪を買ってもらった。私の好きそうな店があるという通りを散策し、馴染みの店ではジャムをもらった。急いで移動して湖に来て、こうして舟に乗せてもらっている。
よくあるデートといえば、そうなのかもしれない。
だけど今日一日ずっと私は楽しくて――きっとそれは、記憶を失くす前の私も、同じように感じていただろう。
「あ……! もしかして、ルシアン様が今日連れて行ってくれた場所は、以前の私がよく行っていた所なんですか……?」
「……はは。そう思う?」
否定されなかったことで、ただの予感が確信に変わる。
時折感じた何かを気にするようなルシアン様の表情も、そう考えると納得できた。
「……ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「だって、これだけいろいろしてもらったのに、私は本当に何も思い出せなくて……」
それどころか、ルシアン様がどこまでも優しく私に接してくれることを、当たり前のように享受していたのだ。
何も知らない場所での生活に慣れようとするだけで、優しくしてくれるルシアン様に甘え、その真意を考えたことなど一度もなかったのである。
気まずくて申し訳なくて、俯くように視線を下げる。
その瞬間に優しく肩を抱かれ、ルシアン様との距離がぐっと近くなる。ぽんぽんと慰めるように、大きな手が私の肩を数回撫でた。
「別にいいよ。セシリアが楽しかったなら、今日はそれだけで十分」
それだけでいいわけがないのに、優しい声色に胸が痛くなる。
ルシアン様の顔を見れないまま、ゆっくりと口を動かした。
「……今日、とても楽しかったです」
「うん、よかった」
陽が落ち始めた空を見ながら、静かに息を吸い決意を固める。
――記憶を取り戻すための方法を、私はもっと、しっかりと考えていかなくてはいけない。
そこから伸びる道を数分歩き、木々の間を抜けた先にパッと開けた空間がある。
そこにあるのは大きな湖と、整備された小道。私たち以外に湖畔を楽しむ人はいないのか、この素敵な景色の中にルシアン様と二人で立っている。
陽の光を浴びて湖の水面がキラキラと輝き、自然に囲まれて澄んだ空気が気持ち良い。
思わず溢れた「綺麗……」という感想に、ルシアン様が「そうだね」と返してくれた。
「あの、ルシアン様はこの景色を見るために連れてきてくれたんですか?」
「それもあるけど、もう一つやりたいことがあるんだ。少し奥まで歩こうか」
「……? はい」
奥まで歩くという言葉に素直に頷き、そのまま遊歩道に移動する。この先に何があるのかは分からないが、こんなにも気持ち良い道を散歩しないなんてもったいない。
綺麗な景色を見ながら歩いているだけなのに、いつもと違う場所にいるせいか会話も弾む。
本当に、今日のデートがずっと楽しい。
しばらく歩くと湖の奥に、小さな桟橋が見えてきた。広めの座席が設けられた細長い小舟が停まっていて、桟橋に近付くと、漕ぎ手の男性がルシアン様と私に向かい一礼する。
「ルシアン様、セシリア様。お待ちしておりました」
「急に頼んで悪かったね。このまま乗っていいかい?」
「もちろんでござます。どうぞ足元にお気をつけて」
「ああ、ありがとう」
水に浮かぶ足場の不安定な船に、まずルシアン様が一人で乗り込む。
桟橋に残された私にルシアン様が手を伸ばし、おそるおそる手を重ねた。
「ほらセシリアも。気をつけて」
「はい、ありがとうございます。……あ、きゃっ……」
揺れる底板に少しだけバランスを崩し、ルシアン様に抱きつく形になってしまった。ルシアン様の胸に支えられたおかげで無事に舟に乗ることができたが、近くなった距離にドキドキと鼓動が早くなる。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
慌てて距離を取ろうとするが、それができるほど舟の上は広くない。結局近い距離のまま、舟の真ん中に並んで座り、ふかふかのクッションに背中をもたれかける。
私たちが座ったことを確認してから、長い櫂(かい)を手に持った船頭が舟の端に立った。
「それでは出発いたします」
水の中に櫂を差し入れ、静かに水面を波立たせる。ゆっくりと進み出した小舟は、水面を滑るように湖の中心に向かって動き出した。
冷たい風が頬に当たり、ふわりと髪が靡く。キラキラした水面が近くて、覗き込むと水中には魚の泳ぐ姿が見える。
この数分で、一気に違う世界に迷い込んだみたいだ。
今日だけでたくさんのものを、ルシアン様は私に見せてくれる。
「本当に素敵な場所ですね。水が澄んでいてすごく綺麗……」
「よかった、楽しんでくれているみたいで」
「はい、連れてきてくださってありがとうございます。ルシアン様が行きたいところって、湖だったんですね。急いでいるみたいだったので、何かのお店なのかと思っていました」
「ああ…….ほら、暗くなると舟が出せないから。さっきは急かしてごめんね」
「そんな、謝らないでください。こうやって素敵な場所で過ごせて、本当に今日一日とても楽しいです」
触れている右側が温かくて、一緒に過ごせる時間を幸せに感じる。今日一日、私はずっと頬が緩みっぱなしだ。
ふと自分の手元に視線をやると、薬指にある金色が、自然光を反射してキラキラと輝いている。
嬉しくてふふっと笑い声を漏らすと、「セシリア」と名前を呼ばれて顔を上げる。
いつも通りにルシアン様も、微笑みを向けてくれているはずだ。それなのに、何故か金色の瞳だけが、不安そうに揺れているように見える。
「……今日、何か思い出した?」
問われた瞬間、しん――と周りから音が消えた気がした。
数秒の間に、今日したことを改めて思い返す。
街に出て、指輪を買ってもらった。私の好きそうな店があるという通りを散策し、馴染みの店ではジャムをもらった。急いで移動して湖に来て、こうして舟に乗せてもらっている。
よくあるデートといえば、そうなのかもしれない。
だけど今日一日ずっと私は楽しくて――きっとそれは、記憶を失くす前の私も、同じように感じていただろう。
「あ……! もしかして、ルシアン様が今日連れて行ってくれた場所は、以前の私がよく行っていた所なんですか……?」
「……はは。そう思う?」
否定されなかったことで、ただの予感が確信に変わる。
時折感じた何かを気にするようなルシアン様の表情も、そう考えると納得できた。
「……ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「だって、これだけいろいろしてもらったのに、私は本当に何も思い出せなくて……」
それどころか、ルシアン様がどこまでも優しく私に接してくれることを、当たり前のように享受していたのだ。
何も知らない場所での生活に慣れようとするだけで、優しくしてくれるルシアン様に甘え、その真意を考えたことなど一度もなかったのである。
気まずくて申し訳なくて、俯くように視線を下げる。
その瞬間に優しく肩を抱かれ、ルシアン様との距離がぐっと近くなる。ぽんぽんと慰めるように、大きな手が私の肩を数回撫でた。
「別にいいよ。セシリアが楽しかったなら、今日はそれだけで十分」
それだけでいいわけがないのに、優しい声色に胸が痛くなる。
ルシアン様の顔を見れないまま、ゆっくりと口を動かした。
「……今日、とても楽しかったです」
「うん、よかった」
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