【完結・R18】記憶をなくした元伯爵令嬢は、今日も優しい公爵様に甘く愛されて幸せです【番外編追加】

堀川ぼり

文字の大きさ
9 / 21
一章

思い出さなくても② ※

しおりを挟む
(どうしようどうしようどうしよう)

 もう本当に、見つかるわけにはいかなくなってしまった。
 ルシアン様が一人で慰めている現状に頭がついていかず、ただ息を殺して終わるのを待つ。
 盗み聞きしていることに対する謝罪を心の中で繰り返し、ぎゅっと目を瞑って抱えた膝に頭を埋める。

「は……っあ、セシリア」
「……っ⁉︎」

 吐息混じりに名前を呼ばれ、恐怖でひゅっと喉が鳴った。
 盗み聞きしていることがバレたのかと思い身構えるが、どうやらそういうわけではないらしい。しばらく待っても音は止まず、ルシアン様は一人での行為を続けている。

「……っ、ん……セシリア、っは……」

 聞いたことのない掠れた声に、ごくりと唾を飲み込む。
 どんどん熱っぽくなる吐息と、激しくなる濡れた音。つまり、私の名前を呼びながら、ソウイウコトをしているのだろう。
 聞いたことのないルシアン様の声に、ドキドキバクバクと心臓がうるさい。

 ――ルシアン様はこういう時、私のことを考えてくれるんだ。

 そう思うだけで体の中心にぶわり熱が広がり、お腹の下辺りが疼いたような気がした。
 姿を見ているわけではないのに、ルシアン様が何をしているのかを、音だけで生々しく想像してしまう。
 切ない声色で紡がれる自分の名前を聞いているだけなのに、どんどんおかしな気分になってきて――駄目だ。

「は……うっ、はぁ……」

 ルシアン様が小さく呻くと同時に、水気を帯びた肌を擦る音がようやく止まる。
 はぁ……という疲れの滲む溜息と、衣擦れ。布で拭いて処理をしたのだろう音に、ルシアン様が達したことを察して、すうっと深く息を吸い込む。
 こんなことで欲情している自分が信じられない。勝手に聞き耳を立てて興奮して、やっていることが完全に変質者だ。
 熱を帯びた身体を覚ますようにその場で固まっていると、ごそごそとベッドに入る音が聞こえてくる。ルシアン様が眠る体勢に入ったことに安心して息を落とすと、扉の隙間から差し込んでいた灯りが消えた。

(もう少し時間を置いたら静かに出ていこう)

 うまく脱出できるかは分からないが、もうやるしかないだろう。こんなところで一晩を過ごすわけにはいかないのだ。
 時間も分からず、周囲の様子も見えない暗闇。どうしてこんなことをしてしまったのだろうと後悔はしているが、勝手なことに、先ほどよりも私の中の不安は薄れている。
 ルシアン様が私の名前を呼んでいたことが泣きそうなほどに嬉しくて、ようやく少しだけ安心できた。ここで違う女性の名前が聞こえていたら、私は心が砕けていたはずだ。

(とはいえ、ずっとここにいるわけにもいかないし、そろそろ寝息か何かが聞こえると嬉しいんだけど……)

 衣装室から出るタイミングを窺うため、扉に近づき外の音を確認しようとした。その瞬間、何かにショールを引っ掛けてしまい、ドサッという大きな音を立てて、私の真横にトルソーが倒れる。
 扉の隙間から、再びランプの灯りが薄く差し込んだ。

「……っ」

 まずいと思った瞬間に扉が開かれ、冷たい瞳をしたルシアン様がこちらを見下ろす。
 侵入者が私だと分かるとすぐに表情は緩められたが、私がピンチであることに何ひとつ変わりはない。

「……セシリア? こんなところで何をしてるの?」
「っあ、その」
「今のはこれが倒れた音? 怪我はしていない?」
「……怪我は、していないです」
「そう。それならいいけど」

 何もよくない状況だが、ルシアン様もこの状況に困惑しているらしい。何を言えばいいのか分からないという表情をしながらも、ゆっくりと私に手を差し伸べる。

「立てる?」
「た、立てます……。ごめんなさい、あの……」
「……ああ、そうか。セシリア、何か聞こえていた?」

 気まずそうな声でルシアン様が口にした質問に、私は嘘をつくことが出来なかった。
 ゆっくりと私が頷くと、難しい顔をしたルシアン様は、額を押さえて一度大きく息を吐く。

「……そう。ごめんね、嫌なものを聞かせて」
「え……そんな、嫌なものだなんて……!」
「いや、少なくともセシリアに聞かせていいものじゃなかったよ」

 そんなことはないと私が否定するよりも先に、ルシアン様がぱっと表情を変える。
 困ったように微笑みかけられ、「セシリア」と柔らかい声で名前を呼ばれた。

「ごめん、この話はもう終わろうか。部屋まで送るよ」

 全部私のせいなのに、何故かルシアン様に謝らせてしまった。
 どこまでも私を気遣うような優しい声の出し方と、困ったような表情。どうすればいいのか分からず、咄嗟にルシアン様の袖を掴む。
 
「セシリア?」
「あの……い、嫌じゃなかったんです、私。本当に……ルシアン様が私のことを想像してるのかなって思うとドキドキして、だから……」
「……そう。本当に全部聞いていたんだね」

 どこか諦めたような声色に、ぎゅっと心臓が痛くなる。だけど私は、ただ聞いていたことを宣言するために、こんな話をしているわけではないのだ。

「いつも、私から誘っても何もしてもらえないから、ルシアン様は私に興味がないんだって思っていて……。でも、違うんです……よね?」
「うん、もちろん。何よりも大切にしているつもりだけど、ちゃんと伝わっていない?」
「大切にしてもらっているのは伝わってます。でも、その……私がこのままずっと思い出さなかったら、ルシアン様はどうするんですか?」
「どうするって、何? 無理に思い出そうとする必要はないし、セシリアが記憶を失ったままでも別に僕は構わないよ」
「……っでも、今の私はきっと、ルシアン様が好きになってくれた私とは別人で……。だからそういうことをしてくれないのかなって、ずっと不安に思っていて……」

 話し出すと止まらず、言葉がぐちゃぐちゃでまとまらない。
 それでも、ルシアン様は私の言いたいことをちゃんと汲み取って、私の欲しい返事をくれる。

「細かい癖も笑い方も、声も、好きな食べ物も、全部以前と変わらないよ。この屋敷に来てくれた時と同じ、僕が好きになった、大切で愛しいセシリアだ。今のセシリアのことも同じように愛してる。記憶を失くした自分を責めなくてもいいし、無理に思い出す必要なんてないよ」

 優しく頭を撫でながら紡いでくれる、私を慰めるような言葉。だけど、この言葉はきっと本心で、ルシアン様が嘘を吐いているようにも思えない。
 それならどうして、今の私は以前と同じように、ルシアン様に触れてもらえないのだろうか。

「本当は思い出したいです。何もしてもらえないと、今の私じゃ駄目だって言われているみたいで……」
「それじゃあ、一度してみようか」

 静かに落とされた声に、思わず顔を上げる。
 一度してみると言われても、今日の私は下着を脱ぐこともできないのに。

「でも、今は私……」
「分かってる、最後まではしないよ。少し触ってみるだけ」

 言いながら、ルシアン様もその場に膝をつく。
 私の肩口に顔が埋められ、首筋に息が触れるとぞくぞくと肌が粟立った。
 一人で慰めている時のルシアン様の声を思い出し、それが自分に向けられることを想像してしまう。

「どうする? 触っていいの?」
「お……お願いします……」
「分かった。口開けて」
「え? ……っあ」

 唇が触れたかと思うと、薄く開いた隙間からぬるりと舌が差し込まれる。後頭部を片手で押さえられ、後ろに逃げることもできない。
 私の呼吸ごと奪うように、口の中がルシアン様に支配されていく。

「はっ……ぁ、ルシア……っは」
「セシリア……」

 舌を絡め取られ、時折吸われる。空気を求めてわずかに唇が離れても、まともな呼吸もさせてもらえないまま、また深く口付けられて口内が厚い舌で撫でられた。
 初めての感触に、腰の辺りがゾワゾワする。
 決して嫌なわけではないのに、気持ち良くて自然と涙が瞳に浮かび、その瞬間に唇が離れた。

「……っあ」
「はぁ……。ほら、ね? 無理そう」

 濡れた唇で告げられ、困ったような微笑みを向けられる。
 小さな子供のワガママに呆れているような表情に、かあっと顔に熱が集まった。

「……全然、無理じゃないです。あの、まだキスだけで……。触るって言ってくれたのに、この続きはしてくれないんですか……?」
「キスだけで泣きそうになってるセシリアに、これ以上のことができるわけないでしょ」
「っこれは、ただ嬉しくて気持ち良いから……。その、自然と出てきて」
「うん、でもやっぱりやめよう。久しぶりで手加減してあげられるかも分からない。もし、何か間違ったことをしたら――」
「……っ! る、ルシアン様と私はもう結婚していますし、何をしても間違いにはならなっ、」
「セシリア」

 冷たい声で名前を呼ばれ、その先を言うことは咎められた。
 一瞬、ルシアン様の眉間に深い皺が刻まれたように見えて、心臓がひゅっと竦む。

「ルシ……」
「そういう考え方はよくないよ。夫婦だからといって、何をしてもいいわけじゃない」

 顔を逸らされて言われた一言で、ルシアン様からまた壁を作られたことが分かった。
 おそらく私は、どこかで言葉の選び方を間違えてしまったのだろう。
 交わらなくなった視線から、拒絶されたことを痛いほどに感じて苦しくなる。

(ただ、ルシアン様になら何をされても嫌じゃないって言いたかっただけなのに、どうすればよかったんだろう)

 夫婦だからといって、何でもしていいわけがない。
 わざわざそんな忠告をされるほどの何かを、記憶を失う前の私は、ルシアン様にしてしまったのだろうか。

(私に記憶があれば、こんな失言をすることもなかったかもしれないのに)

 気まずい空気の中、「部屋まで送るよ」とルシアン様が言ってくれたことで、沈黙から抜け出すことができた。
 大人しく自室まで送られ、一人でベッドに寝転んでから、すうっと大きく息を吸い込む。
 また嫌われてしまった気がして、ポロポロと涙が落ちた。

 ――夫婦らしい触れ合いは、この先もずっと訪れないかもしれない。

 下着の中の不快感は、きっとあと数日で終わる。
 しかし、再び一緒に眠れる状態に戻っても、ルシアン様が私を抱いてはくれる可能性はゼロに近いのだろうと、それだけを察してしまった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜

凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】  公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。  だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。  ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。  嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。  ──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。  王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。  カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。 (記憶を取り戻したい) (どうかこのままで……)  だが、それも長くは続かず──。 【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】 ※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。 ※中編版、短編版はpixivに移動させています。 ※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。 ※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

処理中です...