【完結】君の声が聴こえる

雪則

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憧れの彼

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憧れのあの人は。


いつも図書館にいる。


窓際の机に座って外を眺めている。


耳にはイヤホンをつけて、本を読むわけでもなく。


爽やかな顔立ちに似合わないサングラスをいつもかけている。


そんな少し不思議なあの人がとても素敵に見えた。


なに聴いてるのかな。


なにを見ているのかな。


女の子みたいに綺麗な横顔のあの人に。


私は恋をした。


私の名前は 園田あすか 。
恋する女子高生。


私には毎日の日課にしていることがある。


それは学校が終わったあとに図書館にいくこと。


はじめは静かなところで勉強がしたくて行ってたんだけど、


今はもう別の目的になっている。


それは、いつもあの人がいるから。


そして今日。


私は初めて声をかけてみようと決心をしてきた。


「やばい…心臓飛び出そう…」


今日もやっぱりきている。


いつもと同じ机に座っていて、


耳にはイヤホンをしてる。


「今日こそは話しかけるってきめんたんだ!」


私は大きく深呼吸をして、憧れの彼のところへ向かった。


一歩一歩近づくたびに顔から火が出そう。


きっと顔真っ赤なんだろうなぁ。


もう憧れ人は目の前!


私は勇気を振り絞る。


「あっ!あの!!」



…………。


って、聞こえるわけないか。


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