【完結】君の声が聴こえる

雪則

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災難

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「いってぇなぁ!!なにすんだよ!!」



私は人にぶつかってしまったようだ。


ついてない。


「ご、ごめんなさい!」



ぶつかったのは私とは違う学校の制服を来た女子高生だった。



「え!うそ!あたしの携帯画面ヒビはいってんだけど!」


最悪。


女子高生の彼氏だと思われる男がすごいけんまくで言い寄ってきた。



「お前どうしてくれんだよ!!おい!!」



「ご、ごめんなさい!弁償しますから!」



「そういう問題じゃねぇだろぉがっ!!」



怒った男は私をめがけて自分の鞄を思い切り投げつけてきた。



「きゃぁっ!!」



鞄は私の顔に当たった。


額に鋭い痛みが走る。



「痛いっ!」



男の鞄についていたキーホルダーがあたったのか


私の額からは血が出ていた。



尚も男は私の胸ぐらをつかみあげた。


後ろで女が腕組みをしてみている。


「まじ最悪なんだけど、ありえない。
達哉!そいつシメてよ!」



それを聞いた男は胸ぐらをつかんだまま私を突き飛ばした。



「きゃぁ!!」



私は地面に叩きつけられた。


そしてすぐに髪の毛を引っ張りあげられた。



「痛い痛いっ!!お願い離して!!」



身体中が痛い。


すごく怖いよ…。




誰か助けて…



普段からひとけのない小道だったために誰も気づいてはくれなかった。



「ほら謝れよ!!」



私はそのまま何度も地面に顔を押し付けられた。



お願い誰か…



助けて…






幸治…






その時だった。


男の力が弱まったかと思ったつぎの瞬間。



ドン!!



「いってぇー!!なにすんだてめぇ!!」




目の前には信じられない光景が広がっていた。



ふきとばされて倒れこんだ男の上には、



幸治が覆い被さっていた。



「幸治!?」



「あすか!警察を呼んだ!もう大丈夫だ!」



幸治が必死に男にくらいつく。



「てめぇふざけんなよ!!」



男は幸治を振りほどいて殴りかかる。



ゴッ!!

ゴッ!



鈍い音が響いた。


幸治のサングラスの破片が飛び散り、


幸治の口からは血が流れ出ていた。



「達哉!もういい早く逃げよ!警察がくるよ!」



女がそういうと、


男は幸治をさらに数回殴った後、


女をつれて急いで逃げていった。


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