【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

雪則

文字の大きさ
2 / 87
第1章 決意と約束

1-2

しおりを挟む
いつものように時間が流れ、

仕事を終えて家路につく。


「ただいまぁ~」


まっくらな家の中。


「あぁ…今日はいないんだっけ。」


リビングのテーブルの上には置き手紙がある。


(晩御飯は冷蔵庫だから必ずチンして食べること)



おもむろにキッチンへ向かう。


冷蔵庫を開けるとそこにはオムライスがおいてあった。


「おっ!旨そうだぁ!」


お茶を用意してテーブルにつく。


冷たいままのオムライスをみて少し考える。


「……。

まっ、レンジはめんどくさいからいいや。」


これが俺のくせだった。


極度のめんどくさがり。


風呂に入るのも湯槽が面倒でシャワーが基本。


しかも5分くらいで上がってしまう。


もちろんしっかり洗ってるつもりだ。


ただ早くやることをやってゆっくりしたいだけ。


結菜にはよく(鴉の行水)と言われたもんだ。


その点で結菜はかなり几帳面だ。


というよりは、じっとしていられないタイプらしい。


休みの日でも、必ず予定を入れては何かしら活動する。


でもそんな結菜とだから上手くやっていけてると思う。


指示されれば動く俺だが、何も言われなければ何もやらない。


家が綺麗に保たれてるのは、当然結菜のおかげだ。


結菜が友達のところから帰ってくるのは23時頃だったか。


それまではソファに横になり、大して興味のないテレビを眺める。


一人の時間を有効活用できないんだな、これが…。


………。


ガチャガチャ…


バタン!


「ただいまぁ~!」



おっと!
どうやら居眠りしていたようだ。


「おぉ~おかえり。楽しかった?」


「楽しかったよぉ!ってか寝てたでしょ。顔に跡ついてるしぃ。」


なんだか結菜がいると安心する。


いつも明るく話す結菜は本当に可愛い。


普段はあまり喋らない俺だから、結菜の話をきいている時がなにより楽しいんだ。


「でさぁ!美恵子が言ってたんだけどね!

山菜はダイエットにもいいしぃ、

採りにいったら有酸素運動にもなって痩せるみたいなのよ!」


また始まった。


ダイエットときくとすぐこれだ。


見た目だって充分細いのに部分的に太っていると日々嘆いている。


「だから今週末にさ、山菜採りにいこうよ!いいでしょ!ねっ!」


「え~…疲れそうだなぁ…」


「だめだめ!歩もお腹出てきたんだから!

はい決定ぃ~!!☆」



…。

まぁ、いつもこんな感じだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

離婚した彼女は死ぬことにした

はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。

処理中です...