【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

雪則

文字の大きさ
47 / 87
第8章 勇気と知恵

8-3

しおりを挟む
鉄雄は再度俺の胸ぐらを掴みあげた。



俺は尚も続けた。



「ばらまいたらお前だってただじゃすまないぞ。

たかが元カノ一人のために今の生活捨てる覚悟あんのか?」



鉄雄は顔を真っ赤にして俺を睨み付ける。



「てめぇ痛い目みなきゃわかんねぇのか!?

あぁ!?」



「脅したって無駄だ。

お前こそ周りをよく見てみろ。」


[おい。喧嘩か?]


[血ぃ出てるよ?誰か呼んだ方がいいんじゃない?]


[やばいって。警察よぼうぜ?]




人通りの多い駅前でこれだけもめれば野次馬が野次馬を呼ぶ。



周りがざわつき始めていた。



「もうすぐ警察がくるぞ!


警察沙汰になればお前もいろいろ困るだろ!?

俺だってオオゴトにしたいわけじゃない!


ただ!もう二度と恵には関わらないでくれ!!」



鉄雄は周りを見渡して焦り始めた。



「てめぇふざけんなよっ!!」


ドスっ!!



「うっ!」



鉄雄の蹴りが腹に入った。


これは痛い…。



っていうか息が上手くできない。




「うっ…はぁっ!…」



「歩!大丈夫!?」



恵が慌てて駆け寄る。



「なんなんだよてめぇら!」



鉄雄が怒鳴り付ける。



「そんな女ほしけりゃくれてやるよ!

こんな女一人に馬鹿じゃねぇのか!?


覚えてろよ糞野郎がっ!!」




鉄雄は人込みを掻き分けて急いでその場をあとにした。


「歩!?

大丈夫!?」



「くっ…うぅ…

いってぇ~…。」


気がぬけたのか今になって顔が痛くなってきた。


鼻血も大分収まったがあいかわらず出ている。


徐々に人込みも少なくなっていた。



恵に支えられながらその場を離れて大通りのベンチに腰をかけた。




「歩…。

本当にごめんね…。」



恵は涙声で言った。



「ごめんねじゃないだろ?

こういう時はありがとうって言えばいいんだよ。」




「うぅ…本当にありがとう。。。」



恵は必死に声を抑えながら泣いていた。


「でも俺だってドキドキだったよ。

一応は常識のあるやつで良かった良かった。。」



「こんなになって全然良くないよぉ!…」



「まぁちょっとだけ予想よりひどいめにあったけど結果オーライ!

学生じゃないんだし警察沙汰にはなりたくないでしょやっぱり。

仕事だってあるだろうしさぁ。


これで写真をばらまくこともないでしょう。。


恵をくれてやるって言ったってことは諦めたってことだしね??


これでもう何にも心配はいらないよ。」



恵は俺の体にしがみついて声を出して泣いていた。


本当に辛かったはずだ。



もう大丈夫だよ恵。



これからも俺が守ってあげるから…。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

モヒート・モスキート・モヒート

片喰 一歌
恋愛
主人公・翠には気になるヒトがいた。行きつけのバーでたまに見かけるふくよかで妖艶な美女だ。 毎回別の男性と同伴している彼女だったが、その日はなぜか女性である翠に話しかけてきた。 紅と名乗った彼女は男性より女性が好きらしく、独り寝が嫌いだと言い、翠にワンナイトの誘いをかける。 根負けした翠は紅の誘いに応じたが、暑い盛りと自宅のエアコンの故障が重なってしまっていた事もあり、翠はそれ以降も紅の家に頻繁に涼みに行くようになる。 しかし、妙な事に翠は紅の家にいるときにだけ耐え難い睡魔に襲われる。 おまけに、ほとんど気絶と言って言い眠りから目覚めると、首筋には身に覚えのないキスマークのような傷が付いている。 犯人候補は一人しかいない。 問い詰められた紅はあっさり容疑を認めるが、その行動の背景には翠も予想だにしなかった事情があって……!? 途中まで恋と同時に謎が展開しますが、メインはあくまで恋愛です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

離婚した彼女は死ぬことにした

はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。

本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います <子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。> 両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。 ※ 本編完結済。他視点での話、継続中。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています ※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

処理中です...