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11巻
11-2
「そんな、そんなこと、そんなのどうでもいいわい。幼き王に持たせるよりも、わしが保管し、来るべきときに譲るつもりであった」
「忘れていたとかそういうことでは」
「そ、んぐっ、そういうことではない!」
あっ。忘れていた顔したな。
俺から視線を逸らしてゼングムに怒鳴ってどうするの。ゼングムも俺に助けを求める顔をするんじゃないよ。
「ところで、完全回復薬を作る材料は俺が持っていたから――」
「それだ! なにゆえお前は貴重なユグドラシルの葉を持っておるのだ! しかも、デルブロン金貨までも!」
ポトス爺さんが言うように、完全回復薬作りに必要な三つの材料のうち、ユグドラシルの葉、デルブロン金貨は既に俺が持っていた。
でもさ、その貴重な品を探すための旅に出なくて良かっただろう? 今から探し始めていたら、何年かかるかわかったもんじゃないぞ。
「えーと、話せば長くなるから簡潔に。どっちも、貰いまして」
「貴重な品を、この世の神秘とまで謳われたユグドラシルの葉をどうやって、誰に貰うと言うのだ!」
ユグドラシルの葉がちょろりと一枚生えている枝は、マデウスを創った神様の、知り合いの神様に貰いまして。
金貨は地下墳墓の墓守に押し付けられました。いらないって言ったのに、うるさいいいから貰っておけばいいじゃないのと革袋にいっぱいじゃらじゃら貰いまして。競売に出品しましたら、一枚三千万十レイブで落札されましたの。おほほ。
と、説明しても理解してもらえないだろう。俺の出生の秘密まで話すつもりはないし、ここで説明する前に完全回復薬を作るのが先。
「それよりも、炎神リウドデイルスの身体の一部はどうやって貰えばいいと思う?」
王家秘匿事項には、完全回復薬の材料が美しい挿絵付きで描かれていた。具体的な作り方は……書いていないようだ。全部粉砕してドロドロに混ぜればいいのかな。
炎神の身体の一部というのは、あのもふもふの毛でいいじゃないかと思っていたが、この挿絵を見ると涙になっている。なるほど、毛をむしり取るより平和的か。
泣いてくれって言ってすぐに泣けるものかな。目玉つんつんすれば泣く?
「阿呆なことを申すな! 我らが尊き神の聖なるお身体の一部などと、そんな、恐れ多い」
恐れ多くしている場合じゃないでしょうよ。
地面にひれ伏して祈り始めたポトス爺さんを放置し、さてどうするかと遠い空に浮いたままの炎神を見る。
すると、ヘスタスが心底つまらなそうに言ったんだ。
――――「やめた」って。
「何のつもりだ貴様!」
魔王の声が響き渡る。
突然戦闘態勢を解いたヘスタスに、魔王が魔法で作られた鋭い槍を叩きつけた。
ヘスタスは顔を動かしただけでそれを躱すと、のんびりと鼻をほじった。
いや、そのかっこいい見た目で鼻をほじるな。イモムシのときと同じ真似をするな。そもそもあなた鼻水は出ないでしょうよ。
上空で繰り広げられていたヘスタスと魔王の戦闘は、魔王の叫びによって中断された。
叫びというか……俺には嘆きに聞こえた。
魔王の苦しみなんざ理解できない。理解しようと想像はするが、実際に同じ立場になってみなければわからないまま。だが、魔王は神様を封印してまで己の本願を遂げようとしていた。それは、どれほどの苦しみだろうか。
神様を封印するって考えが、まず思いつかないよな。
東の大陸で例えれば、ビーの親御さんであるボルさんを封印するってことだろう?
えー無理無理。あんなでっかいドラゴン、無理。巨大なミスリル魔鉱石がボコボコ浮いている地底湖の中で暮らしている神様だぞ。そんな相手を封印する? どうやって。魔法の扱いに優れた魔力が多い人を犠牲にして、特別な封印をして? 無理無理無理。
いくら俺の魔力が強くても、やり方がわからないし、やり方がわかってもやろうと思わない。
突如戦うのをやめたヘスタスに対し魔王は狼狽えつつも、すぐ炎の攻撃魔法を放つ。だが、ヘスタスはそれを拳で弾き飛ばした。
ヘスタスは今ロボになっているが、表情はイモムシの頃以上に豊かだ。ヘスタスは心底つまらなそうに、不愉快そうに顔を歪ませる。
「やめた、って言ったんだ。これ以上お前と戦う意味はねぇ」
「なにっ⁉」
「俺には魔力の良し悪しなんざわからねぇ。だがな、魔力を纏うヤツの質ってぇのはわかるつもりだ。リンデルートヴァウムがしつけぇくらいに教えてくれたからな」
リンデルートヴァウムはヘスタスと同じくリザードマンに語り継がれる英雄の一人。地下墳墓の墓守、リピルガンデ・ララの右腕のような、お目付け役のような人だ。クレイの憧れの英雄の一人。
「お前の魔力は気持ちが悪ぃ。ただ量だけが多くて扱うことを考えていない、未熟者と同じ」
「誰が未熟者だ!」
「だからお前だって言ってんだろうが聞いておけや。量だけが多くて扱うことを考えていねぇのはタケルも同じだが、アイツはジジイに教わって魔力の扱い方を学んだ」
俺を指さしたヘスタスは、ニヤリと笑う。
「それでも扱い方はヘッタクソだが、お前よりはマシだ。タケルの魔力は居心地がいい」
いやいや、この場に俺を巻き込まないでくれ。
魔王がすんごい顔で俺を見下ろしているじゃないか。
ヘスタスは続いてゼングムたちユグルの民を指さした。
「ユグルの民は魔力の質で差別をする種族らしいが、俺から言わせればくだらねぇな」
言い方ー!
言い方ってもんがあるでしょうが!
隣にいたゼングムがものすごく傷ついた顔をしちゃっただろうが!
種族が違えば考え方が変わる。しかも、長年閉ざされていた北の大陸の、更に閉鎖的な種族の価値観だ。ヘスタスや俺が「それはおかしい」と言ったところで、ユグルの民も「ああそうですね」と受け入れるわけがないだろう。
ブロライトの生まれ故郷であるエルフの隠れ郷、ヴィリオ・ラ・イと似たり寄ったりの価値観。あの郷は中世ヨーロッパの王族のように、血を尊ぶあまり近親婚を繰り返し、種の存続が困難となっていたのだ。
そこで、リベルアリナという緑の魔人……ではなく、エルフ族が崇める緑の精霊王の尊いお言葉により、今までの伝統が間違っていたのだと気づくことができた。
ユグルの民は魔力の差で優劣をつけていた。
くだらない。ものすごくくだらないと思う。
だがしかし、それは俺やヘスタスが言うことではない。
俺の魔法に関する価値観は、東の大陸で培われた。そもそもアルツェリオ王国では魔力で差別をすることはない。魔力が多いと就職に有利といった面はあるが、そうしたことは魔力に限ったことではない。
もしも俺がマデウスに転生するさい、北の大陸に、ユグルの民のなかに降り立ったとしたら価値観は変わっていただろう。俺もきっと魔力で他者を区別していたはずだ。
要は、生まれ育った環境だな。トルミ村が平和で常識的で優しい村でほんと良かった。
「俺が育った郷ではかつて、力こそ全てだった。強者は弱者を蔑むような風習があった。だがな、それも時を経て変わった。今のリザードマンの郷では強者が弱者を守るようになった。それは誇るべきことだ」
「ピュゥー」
俺の頭の上に乗ったビーが、ヘスタスの言葉に信じられないと声を上げた。
俺だって信じられない。リザードマンは弱者を守る戦士の種族。
クレイは深く頷き、ヘスタスから視線を外さないまま教えてくれた。
「我が郷はそういった歴史があることを教訓として今がある。今でも強者は尊ばれるが、戦いに長けた者だけでは種族というものは繁栄せぬであろう」
「リザードマンにそんな過去があっただなんて」
思わず言葉にしてしまうと、クレイは苦く笑う。
「過ちがあったからこそ、今のリザードマンが強き戦士の種族と称えられるのだ。強さは力だけではない。力はなくとも他者に救いの手を伸ばす、心の強さというものがあるのだ……とまあ、これは村長の受け売りではあるがな」
強さは力だけではない。
クレイの言葉は重い。
強さを求めストルファス帝国で聖竜騎士の称号まで得たクレイが言葉にするには、どれだけの経験を経たのだろうか。
「ギルディアス・クレイストン。お前は今のリザードマン族を誇りに思え。お前自身を誇りに思え。この英雄ヘスタス・ベイルーユがお前を誇りに思っているんだからな」
「はあぅっっ……!」
ヘスタスの言葉とウインクで、クレイのハートはブチ抜かれた。
憧れていた英雄から誇りに思うなんざ言われ、喜ばないやつはいない。わかるよその気持ち。俺も会いに行けないアイドルから名指しでそんなこと言われたら、嬉しくてあっはんうっふん叫ぶだろうよ。アイドルを推したことはないけども。
膝をついて両手で顔を隠して尻尾をぐねぐね蠢かすクレイを見下ろし、ヘスタスは笑う。
そして、魔王に向かって両手を開いて叫んだ。
「お前なあ、もっと世界を見ろよ。こんなちっぽけな国だけじゃなく、外を見ろ! 俺はグラン・リオの大地しか知らねぇが、あの大地でも狭ぇと思った。こんなすげぇ大陸があるんだからな! 見ろよこの山を! こんなでけぇ山、俺は見たことがなかった! それから真っ黒い木に、真っ白い木! ユグルの王都もやたらとでけぇし、城は宝石だらけでギラギラしてやがった」
ヘスタスが嬉しそうに話すと、体験した数々の出来事が思い出される。
はじめは喉がカラカラで、汗だくだくで、なんてところに来てしまったんだと俺は文句ばかり言っていた。
だがゼングムに救われハヴェルマの集落で過ごすうちに、過酷な環境下でも懸命に生きている種族がいることを知った。
そんななか、ヘスタスは常に状況を楽しんでいた。呑気に観光しているんじゃないよとは思ったが、そんなヘスタスのマイペースっぷりに俺は救われていたんだ。
「お前の声に応えなかったやつは、一人もいなかったのか? 一人くらいは傍にいたはずだ! お前がこんな大仰な仕掛け、一人でできるとは思わねぇからな!」
魔王はヘスタスの声に応えない。
俯き、両手の拳をきつく握りしめ、何も言わない。
炎神の封印を解いたことで、魔王になんらかの影響が出たのだろうか。炎神を封印して魔素を止め、失われていく魔力をハヴェルマから吸い取った魔王。
「……まれ」
「お前はなあ、文句ばっかりグチグチ言いやがって、テメェのことしか考えてねぇからそうなるんだよ! 滅ぶんならお前独りで勝手に滅べ! 他のやつを巻き込むな!」
「だまれ」
「王位に拘った挙句が種族の滅亡たぁ、笑い話にもならねぇよ!」
「黙れ! 黙れ! 黙れーーーっ!」
ヘスタスの言葉に耐えられなくなったのか、魔王が叫ぶ。それと同時に魔王の額に埋め込まれていた魔石が眩く輝いた。
ヘスタスが回れ右して叫ぶ。
「タケル! 転移門で逃げるぞ! お前らも早く逃げろ!」
「ふえっ!?」
「ピュ!」
ぎゅんと急降下したヘスタスが、蹲っていたクレイの首根っこを掴まえて転移門へとぶん投げた。
続いてブロライト、コタロ、モモタ、スッスを両腕でまとめて持ち上げると、同じく転移門へとぶん投げる。
コタロたちは喜んでいたが、憧れの英雄に首根っこ掴まれるだなんて、クレイとしては屈辱ではなかろうか。
そんなことを考えている間に、ゼングムがポトス爺さんと本を抱えて転移門の中へ。俺もヘスタスに手荷物のように抱えられ転移門へと入った。
+ + + + +
転移門の先には不安そうなハヴェルマの民に、静かに眠るゾルダヌたち。アルテたちの呼吸も穏やかになっていた。
「タケル、コイツを閉じろ! 早く!」
「えあっ? うあ、はい!」
ヘスタスが転移門を指さすと、俺は慌てて魔力を霧散させる。転移門は瞬く間に輝く塵となって消えた。
魔王がブチ切れたと思ったら、魔王のデコ――に埋め込まれた魔石が光り出した。ヘスタスはまるでそれを待っていたかのように魔王を挑発していて。
「ヘスタス、どうして急に魔王のデコが光ったんだ」
俺は転移門が消えたのを確認し、鞄の中から魔素水の入った鍋を取り出す。それをヘスタスに差し出すと、ヘスタスは鍋を片手で掴んで一気にあおった。
「あの野郎、あのデコに膨大な量の魔力を溜め込んでいやがった。それを暴走させたんだよ。溜め込んでいた魔力は一気になくなる。そうしたら、あの魔王はどうなる」
「ええと、魔力を失って空が飛べなくなる」
「馬鹿か。それどころじゃねぇ。暴走した魔石は弾け飛ぶんだ。アイツは、死ぬんだよ」
死。
魔王が、死ぬ。
ヘスタスの言葉に辺りがシンと静まり返る。
「殺すことはない、なんてヌルいこと考えんなよ。そうやって無駄に慈悲を与えて生き永らえた悪党は、また同じことを繰り返すんだ。俺はそんな悪党を何人も屠ってきた。後悔はいっぺんもしてねぇ」
やめろと簡単には言えないけども。
なんというか、もやもやする。
魔王を殺して、それで話が終わる?
魔王を蔑んでいたやつらはどうなるんだ。魔王の話に耳を傾けなかったやつらは? 炎神を封じ魔素の流れを止める、そんな大それた考えを実行に移した原因は何も解決していないのに。
臭いものに蓋をして、なかったことにできるのだろうか。
こういうことを俺が考えるべきではないんだろうけど、どうにもこうにもここまで首をずっぽりと突っ込んでいるんだから、完全に無関係とは言ってもらいたくない。
情状酌量、なんて考えるのは俺が甘いからか。
魔王にされたことをそこまで恨んでいない、楽観主義者だからだろうか。ぶん殴るとは思っていたが、死を望んでいたかと問われれば全力で否定する。
もしも俺が魔王の立場なら、と考えてビーが小刻みに揺れているのに気づいた。
「ビー?」
「ピュ?」
いや違う。ビーが揺れているんじゃない。
地面が、揺れているんだ。
小石が細かい振動で動き、洞窟の天井から土がぱらぱらと落ちている。
「地震?」
北の大陸にも地震があるのかなと考えていると、その揺れは次第に激しさを増す。
「ピュイィッ???」
「痛っ! ビー、爪を引っ込めろ爪を! 地面が揺れているだけだから、落ち着けって!」
怯えるビーが俺の頭に飛びつき、爪を立てる。地震なんて今までたくさん経験しているじゃないか。でっかいモンスターが近づくたび、大地が激しく揺れていただろう。それのちょっと長い版。
だがしかし、この揺れは今まで感じたことのない激しい縦揺れだ。
「わんわんわんわんっ!」
「わおーん! わんわんわんっ!」
コポルタ族たちの大合唱。それぞれ遠吠えや唸り声を上げ出した。
彼らは落盤を経験している。もしかしたらトラウマで怯えているのかもしれない。
「クレイ! ブロライト!」
俺が二人に声をかけると、二人は何も問わず立ち上がり、魔石に翻弄された者たちを抱きかかえた。
「洞窟が崩れるかもしれぬ! 早く皆も外へ出るのじゃ!」
「身体が弱りし者に手を添えてやれ! コポルタたちよ、洞窟の外へ出ろ!」
二人の声に洞窟内にいた者はそれぞれ我に返り、地震に怯えている場合ではないと気づく。
洞窟内にいたら天井が落ちてくるかもしれない。落盤の恐怖を知っているコポルタたちは、幼いユグルの子供を背に乗せ、一目散に洞窟の外へ。
「スッス! プニさんとリベルアリナを頼む! 俺は洞窟の外で結界魔石を展開する!」
「了解っす!」
「ビー! 走れないコポルタたちを運んでやってくれ!」
「ピュイッピー!」
激しい揺れの地震の最中、建物の外に出るのは危険な行為だ。だがしかし、ここは鉄筋コンクリートや木造建築の建物ではない。
崩れるかもしれない洞窟内部に留まるよりも、外に出てから魔法で皆を守るほうが安全。
俺は足にすがりついてきたコタロとモモタを抱えると、激しい揺れのなか懸命に走った。
3 世界樹と常闇のモンスター
洞窟の前にある広場の四方に結界魔石を配置した。
炎神が封じられていた山からこの場所までかなりの距離があるため、魔素を帯びた風はまだ流れてこない。
結界魔石の側に誰でもいいから数人待機してもらい、魔素水を注いだカップを手渡す。魔石の魔力が失われないよう、定期的に魔素水を振りかけてもらうのだ。
これで非戦闘員の身の安全は守られる。
結界魔法で守られている壁は、境界線がわかるよう虹色にしてみた。イメージはシャボン玉の虹色。
洞窟内にいたときよりも地震の揺れは収まった気がするが、それでもずっと揺れたまま。ごぼうの木――エラエルム・ランドの森からたくさんの鳥が飛び立ち、小動物たちが逃げまどっていた。獰猛な肉食モンスターすら俺たちに脇目も振らず砂漠へと逃げていく。
この揺れはやはり異常なのだと俺たちが気づく頃、空が急に暗くなった。急にだ。音もなく、急に。
曇り天気で太陽が見えないとかそういったことじゃなく、暗いというか、不吉な空? 今まで見たことのない嫌な色をしている。星の光さえ瞬かない、空。
ユグルの民たちがそれぞれ魔法で極小の光の玉を作り出し、結界で守られた内部を照らす。
「タケル、逃げ遅れた者はいないようだ」
全員の確認が取れたのか、ゼングムが掌の上に光の玉を浮かばせながら教えてくれた。
俺も目に優しい電球色を作り出し、辺りが明るくなるよう天井部分に飛ばした。
急に揺れた大地。不吉な空。経験したことのない事態に皆が怯えている。
俺には恐怖耐性という異能があるから、怖くて怯えたりはしない。この状況は怖いだろうな、そりゃ震えるよな、なんて冷静な分析をしてしまうのだ。
ここはマデウス。俺の常識が非常識になる世界なのだから、急に夜の闇じゃない嫌な色の空になるのも季節の風物詩とかそういうことなのかも……それはないか。
だけど違和感はある。どんな? と問われても説明はできないが、なんというかこう、俺のうなじがちりちりと……
「お空がまっくろ。にいさま、お月さまがいないよ」
「本当だ。お月様が隠れている。タケル、お月様はどこにいるんだ」
俺の背と肩によじ登ったモモタとコタロは、暗い空を眺めて月を探す。
いやいや、まだ夜じゃないから。さっきまで明るかったでしょうよ。
なんてツッコミたかったが、そういえば月が見当たらないな。
皆既日食でもここまで暗くなることはないと思うんだが、どうだろう。マデウスに皆既日食があるかはわからない。しかし、さっきまで昼間だったのに急に今から夜ですよ! なんてこと、あるのだろうか。
まるで太陽が失われたような、そんな世界。
「これは……この空は……クソッ! ギルディアス・クレイストン! 戦闘準備だ! タケル、防衛陣を展開しろ!」
さてどうするかと困惑していると、急にヘスタスが十文字槍を構えた。
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