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聖ホワイト・ローズ学院 一
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『聖ホワイト・ローズ学院まえ。聖ホワイト・ローズ学院まえ』
そう告げるバスのアナウンスに、近藤美波はどこかちぐはぐな印象を受けた。
理由は、辺鄙な田舎の通りにそぐわない「聖ホワイト・ローズ学院」というその名前のせいだろう。
(こんな田舎に、よくこういう名前の学校を建てたものね)
そんなことを思いながら美波は大きなバッグを肩にかけバスを降り、吹きつけてきた風に思わず首をすくめた。今日はこの季節にしてはやけに涼しく、七分袖のブラウスだと肌寒いぐらいだ。
「気を付けて」
背後から聞こえてきた運転手の声にびっくりして振りかえった美波は、軽く頭をさげた。
田舎ではこういうやりとりもあるのかもしれない。そう思った瞬間、背後で足音がひびいた。
美波のあとから同じような年頃の少女があたふたと降りてくる。もしかしたら運転手は彼女に言ったのかもしれない、と思うほど彼女の足取りはあぶなかしげだ。
「あー、やっと着いた」
少女は、彼女もまた大きなバッグをしんどそうに持ち、あたりを見回しながら、呟き声というにはかなり大きな声をだした。
(この子も聖ホワイト・ローズ学院の生徒なんだわ)
実をいうと、駅からこのバスに乗った時点で美波は彼女のことがずっと気になっていたのだ。声をかけようかとも思ったが、かけなかったのは、バスの座席に座りこんだとたんに彼女が眠りこけてしまったからだ。
「あー、お腹すいた」
そういって少女はバッグをかけなおすと、あらためて目の前にある象牙色の壁を眺めた。壁下の地面にはほとんど土もないというのに、鳳仙花がたくましく真紅の花びらを午後の光に輝かせている。
美波は好奇心にかられて訊いていた。
「ねぇ、あなた、聖ホワイト・ローズ学院の生徒?」
もしかしたら彼女が上級生かも、と気にはなったが、身長一六〇センチの美波より頭ひとつ分低く、細い肩に薄手の赤いカーディガンをかけている、どこか幼げに見える相手は、どう見ても上級生に見えない。下級生か同学年だろう。
「え? あ、そう。あんたは?」
ひどくくだけた口調に、逆に美波は妙な安心感をおぼえた。
「近藤美波。……高二よ」
相手の一重の目がぱちりとひらき、興味ぶかそうに美波を見る。ショートカットの髪型のせいもあってか、小顔に見える。実際、どこもかしこも小さいのだ。
「ふーん。あんたって、お金持ちのお嬢?」
そう告げるバスのアナウンスに、近藤美波はどこかちぐはぐな印象を受けた。
理由は、辺鄙な田舎の通りにそぐわない「聖ホワイト・ローズ学院」というその名前のせいだろう。
(こんな田舎に、よくこういう名前の学校を建てたものね)
そんなことを思いながら美波は大きなバッグを肩にかけバスを降り、吹きつけてきた風に思わず首をすくめた。今日はこの季節にしてはやけに涼しく、七分袖のブラウスだと肌寒いぐらいだ。
「気を付けて」
背後から聞こえてきた運転手の声にびっくりして振りかえった美波は、軽く頭をさげた。
田舎ではこういうやりとりもあるのかもしれない。そう思った瞬間、背後で足音がひびいた。
美波のあとから同じような年頃の少女があたふたと降りてくる。もしかしたら運転手は彼女に言ったのかもしれない、と思うほど彼女の足取りはあぶなかしげだ。
「あー、やっと着いた」
少女は、彼女もまた大きなバッグをしんどそうに持ち、あたりを見回しながら、呟き声というにはかなり大きな声をだした。
(この子も聖ホワイト・ローズ学院の生徒なんだわ)
実をいうと、駅からこのバスに乗った時点で美波は彼女のことがずっと気になっていたのだ。声をかけようかとも思ったが、かけなかったのは、バスの座席に座りこんだとたんに彼女が眠りこけてしまったからだ。
「あー、お腹すいた」
そういって少女はバッグをかけなおすと、あらためて目の前にある象牙色の壁を眺めた。壁下の地面にはほとんど土もないというのに、鳳仙花がたくましく真紅の花びらを午後の光に輝かせている。
美波は好奇心にかられて訊いていた。
「ねぇ、あなた、聖ホワイト・ローズ学院の生徒?」
もしかしたら彼女が上級生かも、と気にはなったが、身長一六〇センチの美波より頭ひとつ分低く、細い肩に薄手の赤いカーディガンをかけている、どこか幼げに見える相手は、どう見ても上級生に見えない。下級生か同学年だろう。
「え? あ、そう。あんたは?」
ひどくくだけた口調に、逆に美波は妙な安心感をおぼえた。
「近藤美波。……高二よ」
相手の一重の目がぱちりとひらき、興味ぶかそうに美波を見る。ショートカットの髪型のせいもあってか、小顔に見える。実際、どこもかしこも小さいのだ。
「ふーん。あんたって、お金持ちのお嬢?」
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