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五
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少女は溜息をついた。やはり彼女も昔の映画に出てくるオードリー・ヘップバーンのような髪型だが、それは彼女にはよく似合っている。
「多分そうだろうと思ったわ。あの人、肝心なところがいつも抜けているから」
「十時には寝なきゃならないの?」 半信半疑で美波はたずねた。
「電気が消えちゃうのよ。だから九時のシャワーまえに宿題を済ませておかないといけないの」
「シャワーって、時間決まっているの?」
相手はうなずく。シャワーは九時で就寝は十時だという。
「そんな早く寝れないって!」
怒ったように言う夕子を無視して彼女はまたもあっさり言う。
「ちなみに起床は五時だから」
「嘘でしょう」
夕子の顔はほとんど笑っていた。笑いながら訊く。
「そんなに早く起きて何するのよ?」
「掃除。部屋の掃き掃除をして、雑巾がけするの。それぞれの部屋の前の廊下もね。あなたたちは新入生だからトイレ掃除もあるかも」
「本当に冗談じゃないって!」
美波も愕然としていた。放課後の掃除ぐらいはともかく、朝五時に起きてすぐ掃除とは。
「で、掃除が終わると七時から朝食で、八時から朝のお祈りをするのよ。で、九時半から授業。じゃ、私はこれで。宿題しないと。あ、九時っていっても、九時までにはシャワー室のまえに並んでおくのよ」
背を向けて立ち去ろうとする少女に美波は声をかけていた。
「あ、あなた、名前はなんていうの?」
呼ばれて一瞬、彼女はきょとんとした顔になったが、すぐ答える。
「晃子よ。野川晃子」
そう名乗ると、かすかに笑って階段を上がっていく。わざわざ教えに来てくれたのだから、いい人なのだろう、と美波は思う。しかし、もたらされた情報にはますます混乱してしまう。
「お風呂も時間が決まっているなんて、いくらなんでもひどくない?」
夕子が不満そうに言うのももっともだろう。寮生活をしたのは初めてだが、はたしてそこまで決められるものなのだろうか。
「絶対、逃げてやる」
見ると夕子の目は不敵なものをはらんでいる。
「こんなローウッド学院みたいなところで卒業までいるなんて絶対嫌」
ローウッド学院というのがなんのことが気になったが、今はそれどころではなく、美波はべつの言葉を無理して吐いていた。
「……すぐ慣れるわよ」
「多分そうだろうと思ったわ。あの人、肝心なところがいつも抜けているから」
「十時には寝なきゃならないの?」 半信半疑で美波はたずねた。
「電気が消えちゃうのよ。だから九時のシャワーまえに宿題を済ませておかないといけないの」
「シャワーって、時間決まっているの?」
相手はうなずく。シャワーは九時で就寝は十時だという。
「そんな早く寝れないって!」
怒ったように言う夕子を無視して彼女はまたもあっさり言う。
「ちなみに起床は五時だから」
「嘘でしょう」
夕子の顔はほとんど笑っていた。笑いながら訊く。
「そんなに早く起きて何するのよ?」
「掃除。部屋の掃き掃除をして、雑巾がけするの。それぞれの部屋の前の廊下もね。あなたたちは新入生だからトイレ掃除もあるかも」
「本当に冗談じゃないって!」
美波も愕然としていた。放課後の掃除ぐらいはともかく、朝五時に起きてすぐ掃除とは。
「で、掃除が終わると七時から朝食で、八時から朝のお祈りをするのよ。で、九時半から授業。じゃ、私はこれで。宿題しないと。あ、九時っていっても、九時までにはシャワー室のまえに並んでおくのよ」
背を向けて立ち去ろうとする少女に美波は声をかけていた。
「あ、あなた、名前はなんていうの?」
呼ばれて一瞬、彼女はきょとんとした顔になったが、すぐ答える。
「晃子よ。野川晃子」
そう名乗ると、かすかに笑って階段を上がっていく。わざわざ教えに来てくれたのだから、いい人なのだろう、と美波は思う。しかし、もたらされた情報にはますます混乱してしまう。
「お風呂も時間が決まっているなんて、いくらなんでもひどくない?」
夕子が不満そうに言うのももっともだろう。寮生活をしたのは初めてだが、はたしてそこまで決められるものなのだろうか。
「絶対、逃げてやる」
見ると夕子の目は不敵なものをはらんでいる。
「こんなローウッド学院みたいなところで卒業までいるなんて絶対嫌」
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「……すぐ慣れるわよ」
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