聖白薔薇少女 

平坂 静音

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 他の生徒たちは慣れた手つきですでに廊下にモップ掛けをしている。

 美波たちは不満ながらも他の三人の生徒と一階の、つい先ほど使用した洗面所兼トイレに向かった。

 トイレではゴム草履ぞうりに履き替えることになっているので、履き替え、掃除道具置き場から掃除道具をとりだす。

 トイレ掃除は美波も嫌だ。何より嫌なのが汚物入れの掃除である。

 前の学校でも、小、中学時代もたしかに掃除当番で当たるとトイレ掃除をしなければならなかったが、これは十代の女の子にとっては辛い。

 自分だって使用するのだから文句は言えないが、やはりできることならしたくない仕事である。不快感をこらえて汚物入れの汚物を半透明のゴミ袋に入れ替える作業をしていると、トイレットペーパーを丸めたようなゴミがこぼれた。

 怖気おぞけを覚えながらも火箸でそれを拾うと、トイレットペーパーがくずれ、一瞬鼻白んだが、こぼれ落ちたのは煙草たばこの包みだった。

(あれ)

 すぐ近くで掃除をしていた生徒が気づいたようだ。

「シスターやジュニア・シスターに見つかったらまた大変よ。すぐ拾って!」

 あわてて美波は火箸ひばしでつまむとゴミ袋に入れた。

 こんな学院でもやはり煙草を吸う生徒がいるらしい。妙なことだが何故かほっとした。

 そうこうしているうちに、二回目の掃除時間の音楽が鳴り終わり、さすがに他の生徒のまえでは堂々とサボることもできず渋々やっていた夕子が、ほっとした顔になる。その後はめいめい使っていた道具やゴム手袋をしまい、念入りに手を洗う。

 この後は朝食である。だが朝からトイレの掃除をしたせいか、まるで食欲がわかない。



 
 テーブルに並べられてある朝食は、ロールパンひとつと、茹で卵、薄いスープ。それだけだ。ひどく質素なのに美波は驚いた。隣に座っている夕子もやや驚いた顔になっている。

 もっとも十代の少女たちであるから、朝はそう食べなくともいいのだが、それにしても少ない。

「では、朝の御祈おいのりをしましょう」

 学院長の言葉に合わせて全員が指を組んで祈るのに、美波はすこしどぎまぎしながら合わせた。夕子もうんざりした顔をしながら指を組む。

 祈り終わると、パンを一口かじってみる。すぐに焼いたものではなく市販のものだと気づいた。べつにグルメではないが、せめてバターだけでも添えてくれたら、と美波はつい思ってしまう。

(コーヒーでもあればなぁ)
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