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六
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「ちょっと大きなショッピングセンターがあるところまでも自転車でけっこうかかるし。田んぼばかりで、娯楽もなんにもないの。まぁ、夏に川遊びぐらいは出来るかもね。だから、男の子たちもああいうことしか興味なかったのかも。そんなんだから、ここでの生活も苦でもなんでもないのよ」
なるほど。
もともと外でも似たような生活をしていたのなら、いっそ性的搾取されないだけまだこの学院での生活の方が晃子にはいいかもしれない。
美波までもすこし老成した気持ちになり、ほろ苦くそんなことを思ってしまう。そして、ふとまたあることが気にかかって訊いてみた。
「ねぇ、もうすぐ夏休みだけれど、晃子はどうするの?」
「残るわよ。いったん出た施設に夏休みだけ戻るのは、ちょっと嫌だし。福岡のあの田舎で夏を過ごすのも、この学院で過ごすのもたいして変わらないしね」
なんだか、この会話、昔読んだ『足長おじさん』のヒロインのようだ、と美波は妙なことを思い出す。生まれ育った孤児院に帰りたくないと悩むジュディーには、心優しい足長おじさんが田舎の家で過ごすように手配してくれたが、晃子にはそんな人はいない。
会いたいと思う人も、戻りたいと思う場所も持たない高校生の少女の夏とはどういうものなのだろう。
美波だとて人に言えるほど健やかな青春を送っているとは思えないが、考えるといっそうまたほろ苦い心持ちになる。
「わたしと夕子は別館へ行くことになるらしんだけれど……」
晃子は頷いた。
「実をいうと私も行くの。夏期休暇に家にもどらない生徒は別館で特別奉仕することになっているから。去年もそうしたし」
「え? そうなの?」
少しほっとして美波は眉をひらいていた。
「帰省しない生徒って、どれぐらいいるのかな?」
「うーん、十数人……元から別館にいる生徒も含めて去年は十八人だったわ」
来週はもう別館にいることになっているだろう。
そこで一ヶ月半、どんな生活を過ごすのか想像すると、不安でもあるが、晃子がいてくれるのなら心強い。つい先ほどあんな話を聞いても、晃子に対しての好意は消えず、嫌悪や侮蔑の気持ちはふしぎなほど湧かない。
美波はあつめた草を籠に放りこんだ。
なるほど。
もともと外でも似たような生活をしていたのなら、いっそ性的搾取されないだけまだこの学院での生活の方が晃子にはいいかもしれない。
美波までもすこし老成した気持ちになり、ほろ苦くそんなことを思ってしまう。そして、ふとまたあることが気にかかって訊いてみた。
「ねぇ、もうすぐ夏休みだけれど、晃子はどうするの?」
「残るわよ。いったん出た施設に夏休みだけ戻るのは、ちょっと嫌だし。福岡のあの田舎で夏を過ごすのも、この学院で過ごすのもたいして変わらないしね」
なんだか、この会話、昔読んだ『足長おじさん』のヒロインのようだ、と美波は妙なことを思い出す。生まれ育った孤児院に帰りたくないと悩むジュディーには、心優しい足長おじさんが田舎の家で過ごすように手配してくれたが、晃子にはそんな人はいない。
会いたいと思う人も、戻りたいと思う場所も持たない高校生の少女の夏とはどういうものなのだろう。
美波だとて人に言えるほど健やかな青春を送っているとは思えないが、考えるといっそうまたほろ苦い心持ちになる。
「わたしと夕子は別館へ行くことになるらしんだけれど……」
晃子は頷いた。
「実をいうと私も行くの。夏期休暇に家にもどらない生徒は別館で特別奉仕することになっているから。去年もそうしたし」
「え? そうなの?」
少しほっとして美波は眉をひらいていた。
「帰省しない生徒って、どれぐらいいるのかな?」
「うーん、十数人……元から別館にいる生徒も含めて去年は十八人だったわ」
来週はもう別館にいることになっているだろう。
そこで一ヶ月半、どんな生活を過ごすのか想像すると、不安でもあるが、晃子がいてくれるのなら心強い。つい先ほどあんな話を聞いても、晃子に対しての好意は消えず、嫌悪や侮蔑の気持ちはふしぎなほど湧かない。
美波はあつめた草を籠に放りこんだ。
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