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十一
しおりを挟む緒方裕佳子 2001年10月24日生まれ 岡山県岡山市
病歴 登校拒否 多少ひきこもり傾向 アスペルガー症候群の報告もあるが、特に問題なし
家系 母 忍 短大時代にコンパニオンのアルバイトをしており、そのときに裕佳子の父と会う 結婚まえに複数の異性と交遊
祖母 博美 地元の企業で働いていたが、一時期父親の借金のためにスナックでアルバイトをしていた 後に自営業の男性と結婚
●曽祖母 清子 西中島界隈で街娼 「マグダレン・ホーム」で客とのあいだに出来た博美を出産 後に梅毒にて死す
家系的に淫乱であり病気の遺伝性も案じられるが、現在のところ問題なし 当人は聖ホワイト・ローズ学院の教育指導によって大変な進歩をとげ、ゆくゆくはシスターになることも
タイプ Z
読んでいて美波は背がふるえてきた。
そしてあることを思いつき、どうしてもそうせずにいられなくなり、ページをめくっていた。
(駄目……、もう見ちゃ駄目……)
こんなことをしている場合ではない。急いでここを出て戻らないと、雪葉のことを戸倉氏に連絡しなければ、と理性は怒鳴るように訴えてくるのだが、それでも美波は自分を止められなかった。
(あった……)
近藤美波……東京都港区……
美波は息を飲んで目をすすめた。
印字された文字を追い、内心で叫んでいた。
文字がかすむのは涙があふれてきたせいだと気づいたのは数秒後だった。
さらに書かれてある文章を追う。
家系 母 鞠江 大学時代に赤坂のスナックでホステスをする。パトロンとの男性と交際しつつ、大学卒業後に見合いで企業経営者の息子と結婚
祖母 茜 元小劇団の女優だが無名で終わる 複数のパトロンをもつ 息子が一人(鞠江の弟)
一度結婚したが、夫の会社が倒産 離婚
一時期立川で街娼となる 後に居酒屋を経営
●曽祖母 佳恵 元は新橋の芸者だが、当時は貿易商の男の妾となっていた
「マグダレン・ホーム」にて茜を産むが貿易商は認知はせず 茜は非嫡出子
美波本人は従順 このままいけば更生の可能性あり
タイプ C
いや、いや、いや!
美波は声をあげずにわめいていた。
そこには美波の家の秘密がまざまざと書かれているのだ。美波本人ですら知らなかったことだ。
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