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四
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「び、美容師さんなの。学院に忘れ物があって取りに来たんだって」
「忘れ物?」
「そう。スマホを忘れてしまっていてね。いやー、あって良かったよ」
わざとらしく言う司城に夕子はますます目を見張る。
「それよりか、君、その友達の状態は?」
「あ、それが……、大丈夫、少し良くなったみたいで、今は眠ってる」
「だ、大丈夫なの?」
美波は安心と拍子抜けの気分で、その場にうずくまってしまいそうになった。
「そう。嘘みたいに静かになって眠ってる」
美波は自分が吐く息の音を聞いた。
「そうか。そりゃ、良かった。……ちょっとこっちへいいかい?」
「ご、ごめん、夕子、あとで」
「美波、どこ行くの?」 夕子の声音は心配そうだ。
「少し話すことあがるんだ。すぐ戻るから」
司城は取りつくろうように言うと、美波を引っぱって建物の裏側へとまわった。
「ふーん。こうなっているのか。ちょっとした城だな。ヨーロッパの昔の城というか、城塞というか。でも、やっぱり元修道院だけあって簡素な造りだな」
「修道院というのか……その」
美波はうまく説明できず口ごもってしまう。
二人は建物の裏手となる洗濯干し場に立っていた。
虫の声が聞こえてくる。庭の隅には草が茂っていて、どことなくこうして月夜に見ると、ひどく寂しげでうらぶれた場所に思えてくる。
「ここに……妹はいたんだな」 司城がぽつりと言った。
「え?」
「俺の妹は、以前この学院の生徒だったんだだ」
「……」
司城の笑いはほろ苦いものをふくんでいる。
「君ももう知っているだろう? この学院の由来を」
美波は背に汗を感じた。
「その……問題のある女性のためだって」
「そう。この聖ホワイト・ローズ学院は、戦後間もない頃、売春婦や未婚のまま妊娠した女性の救済と更生を目的として建てられた修道院だったんだ。俺はずっとこの学院について調べていたんだ。これ」
司城がわたしたのは一枚の名刺。
「司城……友治……え? 司城さん、ジャーナリストだったの?」
「フリーのね。まぁ、美容院でアルバイトもしていたことがあったし、一応美容師の勉強もしたことがある。学院出入りの美容師にたのみこんでバイトで雇ってもらったんだよ」
「そ、それじゃ、ここのことを調べるために来たわけ?」
司城友治はうなずいた。
「忘れ物?」
「そう。スマホを忘れてしまっていてね。いやー、あって良かったよ」
わざとらしく言う司城に夕子はますます目を見張る。
「それよりか、君、その友達の状態は?」
「あ、それが……、大丈夫、少し良くなったみたいで、今は眠ってる」
「だ、大丈夫なの?」
美波は安心と拍子抜けの気分で、その場にうずくまってしまいそうになった。
「そう。嘘みたいに静かになって眠ってる」
美波は自分が吐く息の音を聞いた。
「そうか。そりゃ、良かった。……ちょっとこっちへいいかい?」
「ご、ごめん、夕子、あとで」
「美波、どこ行くの?」 夕子の声音は心配そうだ。
「少し話すことあがるんだ。すぐ戻るから」
司城は取りつくろうように言うと、美波を引っぱって建物の裏側へとまわった。
「ふーん。こうなっているのか。ちょっとした城だな。ヨーロッパの昔の城というか、城塞というか。でも、やっぱり元修道院だけあって簡素な造りだな」
「修道院というのか……その」
美波はうまく説明できず口ごもってしまう。
二人は建物の裏手となる洗濯干し場に立っていた。
虫の声が聞こえてくる。庭の隅には草が茂っていて、どことなくこうして月夜に見ると、ひどく寂しげでうらぶれた場所に思えてくる。
「ここに……妹はいたんだな」 司城がぽつりと言った。
「え?」
「俺の妹は、以前この学院の生徒だったんだだ」
「……」
司城の笑いはほろ苦いものをふくんでいる。
「君ももう知っているだろう? この学院の由来を」
美波は背に汗を感じた。
「その……問題のある女性のためだって」
「そう。この聖ホワイト・ローズ学院は、戦後間もない頃、売春婦や未婚のまま妊娠した女性の救済と更生を目的として建てられた修道院だったんだ。俺はずっとこの学院について調べていたんだ。これ」
司城がわたしたのは一枚の名刺。
「司城……友治……え? 司城さん、ジャーナリストだったの?」
「フリーのね。まぁ、美容院でアルバイトもしていたことがあったし、一応美容師の勉強もしたことがある。学院出入りの美容師にたのみこんでバイトで雇ってもらったんだよ」
「そ、それじゃ、ここのことを調べるために来たわけ?」
司城友治はうなずいた。
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