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二
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ここで言う神父とはチャールズ神父のことだろうか。美波は疑問に思った。厨房の女性が生徒だったころなら前任の神父ということもありえる。
考えこんでいる美波を見て、夕子は数秒黙ったあとに口をひらいた。
「美波、あのこと知っている?」
「あのことって?」
「あたしらの出生のこと」
美波は息を飲んだ。
夕子も知っていたのだ。
「き、聞いたわけじゃないんだけれど……偶然知ってしまって。夕子はどうやって知ったの?」
昨夜のごたごたを説明するには時間がなく、ぎゃくに美波は訊き返してみた。
「学院に連れもどされたとき、ある人が教えてくれたの。学院長からすると、あたしらは罪の子なんだって。汚れた血を引いているんだって言われた。まぁ、うちは、母さんは普通の人だったけれど、お祖母ちゃんとかひいお祖母ちゃんは〝堕落した女〟だったみたい」
堕落した女――。
夕子は苦笑いした。美波は言う言葉がない。
「ひいお祖母ちゃんは――勿論顔も知らないけれど、昔この『マグダレン・ホーム』で父親のいない子を産んで、それで、私にはそのひいお祖母ちゃんから汚れた血が伝わって……、だからあたしもこんなふうになったんだってさ」
淡々と夕子は言う。
「……」
「でも、だから何? そんなの、あたしらに全然関係ない話じゃない?」
夕子の瞳は反骨に美しくきらめき、美波はそこに救いを感じた。
「そうよね。……わたしたちには関係ないよね」
とは言いつつも、自分の問題や自分の家に関することを今ここで夕子に打ち明ける気にはなれないし、時間もなかった。それよりも、美波は他に言うことを思いついた。
「夕子、あの」
「あ、やばい、もう行かないと。点呼とってるかも」
「あ、うん」
二人は急いで廊下に出ると、すでに全員が集まっている庭へと向かった。
とにかく寝ていないので、その日の労働はつらかった。
「あんた、大丈夫? 私より顔色悪いわよ」
カーテンを籠につめながら美香がそう訊ねるほどひどい顔色だったようだ。
「うん。ちょっと睡眠不足で。……美香は最近体調どう? 前に、お腹こわしてたけど、あれからどうなの?」
言いつつ、次の部屋に入る。靴を脱いで机に乗って窓のカーテンを取り、美香にわたす。美香はさすがに身重なのであまり危ない作業はさせられない。
考えこんでいる美波を見て、夕子は数秒黙ったあとに口をひらいた。
「美波、あのこと知っている?」
「あのことって?」
「あたしらの出生のこと」
美波は息を飲んだ。
夕子も知っていたのだ。
「き、聞いたわけじゃないんだけれど……偶然知ってしまって。夕子はどうやって知ったの?」
昨夜のごたごたを説明するには時間がなく、ぎゃくに美波は訊き返してみた。
「学院に連れもどされたとき、ある人が教えてくれたの。学院長からすると、あたしらは罪の子なんだって。汚れた血を引いているんだって言われた。まぁ、うちは、母さんは普通の人だったけれど、お祖母ちゃんとかひいお祖母ちゃんは〝堕落した女〟だったみたい」
堕落した女――。
夕子は苦笑いした。美波は言う言葉がない。
「ひいお祖母ちゃんは――勿論顔も知らないけれど、昔この『マグダレン・ホーム』で父親のいない子を産んで、それで、私にはそのひいお祖母ちゃんから汚れた血が伝わって……、だからあたしもこんなふうになったんだってさ」
淡々と夕子は言う。
「……」
「でも、だから何? そんなの、あたしらに全然関係ない話じゃない?」
夕子の瞳は反骨に美しくきらめき、美波はそこに救いを感じた。
「そうよね。……わたしたちには関係ないよね」
とは言いつつも、自分の問題や自分の家に関することを今ここで夕子に打ち明ける気にはなれないし、時間もなかった。それよりも、美波は他に言うことを思いついた。
「夕子、あの」
「あ、やばい、もう行かないと。点呼とってるかも」
「あ、うん」
二人は急いで廊下に出ると、すでに全員が集まっている庭へと向かった。
とにかく寝ていないので、その日の労働はつらかった。
「あんた、大丈夫? 私より顔色悪いわよ」
カーテンを籠につめながら美香がそう訊ねるほどひどい顔色だったようだ。
「うん。ちょっと睡眠不足で。……美香は最近体調どう? 前に、お腹こわしてたけど、あれからどうなの?」
言いつつ、次の部屋に入る。靴を脱いで机に乗って窓のカーテンを取り、美香にわたす。美香はさすがに身重なのであまり危ない作業はさせられない。
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