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出生 一
しおりを挟むルシアの話はこうでございます。かつてカテリナ様のすぐ上の姉上マリア様には、お生まれになられたとき双子の姉妹がおられましたが、不幸なことにそのもう一人の赤子は生まれてすぐ亡くなられたそうでございます。
そのとき宮廷侍医は女王陛下をお慰めするためにか、「わたくしめの故郷では双子は育ちにくいと申します。おそらく亡くなった赤子は自分が死ぬことで姉妹を守ってくれたのでございましょう」と述べたとか。
女王陛下は以前にも流産をくりかえされたことがあり、子を失う悲しみを幾度となく経験されておりました。そのせいか他のことに関しては強靭な精神力を持ちつつも、こと子どものことになるとひどく神経質で考え込まれてしまうことがあったそうでございます。
そして、次にカテリナ様がお生まれになったときも、双子でございました。そのとき、以前の出産のときに侍医が申した言葉が陛下の耳によみがってきたそうでございます。
二人を一緒にしておくと、どちらかが育たず、死んでしまうかもしれない――、と陛下は思い込んでしまわれたそうでございます。
この時代、十人赤子が生まれても成人するのは一人か二人、と言われるほどに子どもの死は日常茶飯事のことでございます。まして貧しい庶民の家ならば、双子が生まれれば親もなかなか手がまわらず、発育が遅れたり病気になっても充分な手当をしてやれないこともあったのでございましょう。
ですが、頑迷なほどに双子を一緒にしておくと育たないもの、と思いこんでしまわれた陛下は、後から生まれた方、つまりルシアのことを秘し、宮廷の庭師の子として育てさせることにしたのだそうでございます。このことを知るのはカテリナ様御出産に立ち会った侍医とイサベラ様付きの数人の侍女と、信頼できる側近の一人だけだそうでございます。
わたくしはルシアの話を聞いて、昔母から聞いたある話を思い出しました。
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