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秘密の夜 三
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マルゴに声をかけてくる少年たちは、おそらくはそんなことは考えていないだろう。ただ、若くみずみずしいマルゴの頬や身体に触れたいという欲求だけなのだ。仮に結婚したとしても、後は持参金なしで嫁に来たとなじられ肩身のせまい想いをし、貧しい農家の嫁として苦労する日々を送るだけだ。
そういった諸般の事情もあって、まったく異性と縁がない生活をおくっていたマルゴが、いきなり、こんな巷の売春婦のような真似をしなければならなくなったのだから、困惑して泣きたくなるもの無理はない。
「ねぇ、ヴァイオレット、わたし、やっぱり」
「なに泣きそうな顔になっているのよ、ここまで来て引き返すわけにいかないでしょう。ほら、あなたも脱ぐのよ」
最後の一言を囁くように言われたマルゴは驚愕した。
「そ、そんな……!」
「しっ! いい、既成事実をつくってしまえばいいのよ。あなたと一晩過ごしたのだと思えば、フランソワはもうクララと結婚するしかないわ」
「そんな、そんな……」
嫌がるマルゴにかまわず、ヴァイオレットは強引にドレスをはいでいく。今のヴァイオレットはひどく残酷な目をしている。
「いい? 後は自分ですべて脱ぐのよ。すくなくとも、目が覚めたフランソワがちゃんと、そうなったのだと思い込むぐらいには」
マルゴは頷くしかない。半ば脱がされたドレスは引きちぎられた蝶々の水色の羽のようで、マルゴは悲しい気持ちで中途半端にまとっているドレスを見つめた。一度もパーティーや舞踏会で賞賛を浴びることのなかったそのドレスがたまらなく不憫になる。
(ごめんね、わたしが着たばかりに……)
涙で目がかすんできた。
「じゃ、私は行くわよ。後はしっかりやるのよ」
マルゴの感慨に気づくこともなく、ヴァイオレットは裾をひるがえすと部屋を去っていく。
そういった諸般の事情もあって、まったく異性と縁がない生活をおくっていたマルゴが、いきなり、こんな巷の売春婦のような真似をしなければならなくなったのだから、困惑して泣きたくなるもの無理はない。
「ねぇ、ヴァイオレット、わたし、やっぱり」
「なに泣きそうな顔になっているのよ、ここまで来て引き返すわけにいかないでしょう。ほら、あなたも脱ぐのよ」
最後の一言を囁くように言われたマルゴは驚愕した。
「そ、そんな……!」
「しっ! いい、既成事実をつくってしまえばいいのよ。あなたと一晩過ごしたのだと思えば、フランソワはもうクララと結婚するしかないわ」
「そんな、そんな……」
嫌がるマルゴにかまわず、ヴァイオレットは強引にドレスをはいでいく。今のヴァイオレットはひどく残酷な目をしている。
「いい? 後は自分ですべて脱ぐのよ。すくなくとも、目が覚めたフランソワがちゃんと、そうなったのだと思い込むぐらいには」
マルゴは頷くしかない。半ば脱がされたドレスは引きちぎられた蝶々の水色の羽のようで、マルゴは悲しい気持ちで中途半端にまとっているドレスを見つめた。一度もパーティーや舞踏会で賞賛を浴びることのなかったそのドレスがたまらなく不憫になる。
(ごめんね、わたしが着たばかりに……)
涙で目がかすんできた。
「じゃ、私は行くわよ。後はしっかりやるのよ」
マルゴの感慨に気づくこともなく、ヴァイオレットは裾をひるがえすと部屋を去っていく。
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