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一章 第二部
一章 第二部 結界作成(講義編)
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「そうです、か…… ま、いいんじゃないですか?」
少し含みを持たせるように言うアヌビス。
「ん? 何か問題でもあるのか?」
「いえ…… まあ、言うなれば子供がだんだんと自立していくのを見ている親みたいな感覚でしょうか……?」
「親…… か……」
「どうしました?」
「いや、何でもないよ」
昔のことを思い出してしまっただけだ。
僕の親が今の僕を見たらどう思うんだろうか?
ま、僕には一生分かることのない謎だが。
「じゃ、いっちょ実践練習とでも行きますか。ちょっとついてきてください」
昔のことを思いだしていたときの僕がどんな顔をしていたのかは分からないが、アヌビスは話を無理矢理変えるように、パンと手を打って立ち上がった。
「そうだな。でも実践て何をするんだ?」
そんな僕の素朴な疑問に、アヌビスは小さく笑う。
「かなり面白い感覚が体験できますよ?」
アヌビスは意味深にそう言うと僕に背を向けて歩き始めた。
面白い感覚とはどんなものだろう?
僕はアヌビスの背中を追いかけながら歩き始めた。
「では手始めに結界の作り方でもお教えしましょうか」
先ほど僕たちがいた場所から数十メートルほど離れた場所で立ち止まり、アヌビスは元気よく言った。
もう空の色はだいぶ明るくなってきている。
日の出まであと数十分という感じだ。
「時雨さん、ぼけっとしてないで、きちんとここ、見ててくださいね?」
「ん、分かった」
アヌビスの言葉に頷き、僕はアヌビスが指し示した先の地面を凝視する。
するとアヌビスはそこに、なにやら模様のようなものを書き始めた。
白い石で。
そしてアヌビスが手を動かすごとにその模様は複雑になり綺麗になっていく。
この模様が魔法なのだろう。ならばアヌビスはこの模様の描き方を覚えているのか。
そのことが恐ろしく感じられるくらい、アヌビスが描いている紋様は複雑怪奇だった。
「ちなみに書くものは何でもかまいません。地面を削って書いてもいいですし、なんなら血でも。色の変わっている場所がこの紋様を作っていれば、なんの問題もないんです」
アヌビスは書きながらそう言うと、その模様の中心に点を打って、手を止めた。
「これが結界魔法です。この模様の中にはこの模様の効果が続く限り入れなくなります」
試しにちょっと触ってみてください」
アヌビスにそう言われ、僕は考え無しにその模様のある空間へと手をつっこんだ。
「――――――――ッッ!?」
瞬間。
体中に電気が走ったかと思うほどの衝撃を伴い、僕の右手ははじかれた。
「……とまあ、こんな風に、一切のものを中に入れなくします。あ、もちろん、元からあるものは別ですが」
「先に言ってくれ。かなり痛かった」
そんな僕の様子を見て楽しそうに言うアヌビスに、僕は右手をさすりながら訴えるのだった。
「じゃあ、実践編です。時雨さん、この模様……」
そう言うとアヌビスは自分が描いた模様に一本、長い直線を付け足した。
そして、先ほどの模様から数メートル離れた場所に立つ。
何をしているのだろうと不思議に思う僕のすぐ先でアヌビスはとんでもないことを言い放った。
「時雨さん。ここにさっき私が書いた模様を描いてみてください」
少し含みを持たせるように言うアヌビス。
「ん? 何か問題でもあるのか?」
「いえ…… まあ、言うなれば子供がだんだんと自立していくのを見ている親みたいな感覚でしょうか……?」
「親…… か……」
「どうしました?」
「いや、何でもないよ」
昔のことを思い出してしまっただけだ。
僕の親が今の僕を見たらどう思うんだろうか?
ま、僕には一生分かることのない謎だが。
「じゃ、いっちょ実践練習とでも行きますか。ちょっとついてきてください」
昔のことを思いだしていたときの僕がどんな顔をしていたのかは分からないが、アヌビスは話を無理矢理変えるように、パンと手を打って立ち上がった。
「そうだな。でも実践て何をするんだ?」
そんな僕の素朴な疑問に、アヌビスは小さく笑う。
「かなり面白い感覚が体験できますよ?」
アヌビスは意味深にそう言うと僕に背を向けて歩き始めた。
面白い感覚とはどんなものだろう?
僕はアヌビスの背中を追いかけながら歩き始めた。
「では手始めに結界の作り方でもお教えしましょうか」
先ほど僕たちがいた場所から数十メートルほど離れた場所で立ち止まり、アヌビスは元気よく言った。
もう空の色はだいぶ明るくなってきている。
日の出まであと数十分という感じだ。
「時雨さん、ぼけっとしてないで、きちんとここ、見ててくださいね?」
「ん、分かった」
アヌビスの言葉に頷き、僕はアヌビスが指し示した先の地面を凝視する。
するとアヌビスはそこに、なにやら模様のようなものを書き始めた。
白い石で。
そしてアヌビスが手を動かすごとにその模様は複雑になり綺麗になっていく。
この模様が魔法なのだろう。ならばアヌビスはこの模様の描き方を覚えているのか。
そのことが恐ろしく感じられるくらい、アヌビスが描いている紋様は複雑怪奇だった。
「ちなみに書くものは何でもかまいません。地面を削って書いてもいいですし、なんなら血でも。色の変わっている場所がこの紋様を作っていれば、なんの問題もないんです」
アヌビスは書きながらそう言うと、その模様の中心に点を打って、手を止めた。
「これが結界魔法です。この模様の中にはこの模様の効果が続く限り入れなくなります」
試しにちょっと触ってみてください」
アヌビスにそう言われ、僕は考え無しにその模様のある空間へと手をつっこんだ。
「――――――――ッッ!?」
瞬間。
体中に電気が走ったかと思うほどの衝撃を伴い、僕の右手ははじかれた。
「……とまあ、こんな風に、一切のものを中に入れなくします。あ、もちろん、元からあるものは別ですが」
「先に言ってくれ。かなり痛かった」
そんな僕の様子を見て楽しそうに言うアヌビスに、僕は右手をさすりながら訴えるのだった。
「じゃあ、実践編です。時雨さん、この模様……」
そう言うとアヌビスは自分が描いた模様に一本、長い直線を付け足した。
そして、先ほどの模様から数メートル離れた場所に立つ。
何をしているのだろうと不思議に思う僕のすぐ先でアヌビスはとんでもないことを言い放った。
「時雨さん。ここにさっき私が書いた模様を描いてみてください」
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