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第一章
匠海、奴隷を買う②
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「では始めますよ。」
(引っかかりやがって・・・。)
内心でほくそ笑みながらゲームを開始する。
これが男の商売方法なのだ。
少ない資金で女子供など憐れみを誘う奴隷を購入し、それをわざと痛めつける。すると、物音に気づいた裕福な者達が出てきて咎める。それをゲームで敗北させ奴隷にして売り払う。
裕福な者達は容姿の美しい者が多い。やはり売れ行きが良いのは女だが、少年や青年は一部の者達にべらぼうに高い値段で売れるのだ。
ゲームは勿論イカサマ機能のある魔道具を使う。
この魔道具のイカサマ機能は最善手を常に表示するということ。つまり、勝利に最短距離で辿り着けるのだ。これを使えばいかに愚鈍な者でも無敗。
だが、この男は一つ計算違いをしている。
相手となる匠海もまた一般人(一般竜人族?)などではなく、スキルでゲーム(Lv10)を持っているということ。
そして、彼は神童とまで呼ばれた頭脳の持ち主であるということ。
相手の力を量る能力が無いために、この男は致命的なミスを犯した。
それは、先攻を譲ること。
五目並べは、普通、対戦者同士が最善手を並べていけば必ず先攻が勝つ。
即ち、このゲームで匠海に先攻を譲るということは自ら勝負を降りているようなものなのだ。
案の定、勝負は最短でついた。
匠海の勝利という結果をもって。
「ふ、ふざけるな!絶対に何かイカサマしてるだろう!俺の目は誤魔化せないぞ!」
いやー、完全な言いがかりだよそれ。
てかイカサマしてんのアンタじゃん?
「うう・・・!もう一回勝負だ!今度は絶対に負けん!」
確かに悔しいだろう。この人はこの一回の勝負で商品となる奴隷を一気に失うのだから。
でもそれは僕の知ったことじゃないし、むしろ僕は奴隷を救いたいと考えている。
《イカサマしてるの貴方ですよね?》
「な、何を言ってるんだ!そっちこそ・・・。」
《その魔道具、イカサマ機能つきですよね?》
「っ・・・!」
一気に青ざめた男の顔と沈黙は肯定。
「すみません、でした・・・。奴隷を全部置いていきます・・・。」
《ありがとうございました。》
よし、これでぼっち回避。
これで懐いてくれるかは別問題だが、少しずつ距離を縮めて行ければいいと思う。
あ、そうだ。
さっき出てきたよく分かんないスキルをなんなのかステータスカードで見ておこう。
竜人族特殊スキル?なにそれ美味しいの。
〖竜人族特殊スキル〗―竜の眼光
竜人族のみ扱える。詳細は不明。
え、ちょ、待てよ?
「詳細は不明」だと!?
なんだよ情報が載ってるんじゃないの?
うん、諦めよう。もう仕方ない。
何も考えない!
現実逃避がてら、奴隷(僕はそんなふうに扱うつもりないけど)と仲良くなろう。
奴隷は全部で五人。
双子みたいにそっくりな男の子と女の子、大人の女性、少年、青年。
青年以外はみんな良いとこの出っぽい。
なんとなく動作が洗練されてるし、女性なんてふるふると震えているから、荒事や過酷な環境に慣れていないのが丸分かりだ。もしかしたら奴隷になってから日が浅いのかもしれない。
なにはともあれ、名前が知りたい。
《えっと、じゃあ自己紹介してもらえる?僕は匠海。普通に呼び捨てでいいよ。》
「・・・アリア。」
「・・・ケルト。」
「マリアージュですわ。」
「アルビス、だよ。」
「レオンだ。」
アリアは艶のある青い髪にオッドアイの右が濃いピンク、左が艶消しした金色のような不思議な色。ケルトは髪が黒で瞳は同じだ。どういう種族なのか非常に知りたい。
マリアージュは、これまた貴族っぽい金色の腰まである長い髪。それと淡い空色の虹彩。くびれた腰と大きく押し出された胸部という女性らしい体つきのために、彼女を好色の目で見る男も多いだろう。多分エルフ。
アルビスは銀髪と青い目。
レオンは天然パーマのような茶色い髪に同色の瞳。この五人の中では一番人生経験を積んでいる気がする。人なのかな?
ただの直勘だけど。
《じゃあ家に入ろうか。こっちだから・・・。》
「お待ちください。」
マリアージュが慌てたように僕を呼び止める。
あれ、僕はなにか変なことしたかな。
「奴隷契約を結ばれないのですか。」
・・・なあに、それ。
それ食べれるの?焼いたり煮たり出来る?
《ごめん、奴隷契約から説明してくれる?》
「え・・・!」
かなり驚いた反応をされた。
もしかして、奴隷を持っている人なら必ず知っている常識なのだろうか。
「奴隷契約というのは、主となるものが奴隷の体に血で刻印し、絶対服従を強制的に誓わせる魔法のことです。誰にでも手軽に扱える魔法ですので知らないのは少しまずいのでは・・・?」
《そっか。教えてくれてありがとう。僕はね、そういう風に強制的になにかするの好きじゃないんだ。》
みんなが胡乱げな顔をした。
「はっきり言って、奴隷契約を結んでおかないと奴隷に殺されることもあるんだぞ。俺達だって何をしでかすか分からない。まあ女子供は分からんが、俺は一番危険だろう。」
まあ確かに。
君は特に危なく見える。だけど・・・。
(引っかかりやがって・・・。)
内心でほくそ笑みながらゲームを開始する。
これが男の商売方法なのだ。
少ない資金で女子供など憐れみを誘う奴隷を購入し、それをわざと痛めつける。すると、物音に気づいた裕福な者達が出てきて咎める。それをゲームで敗北させ奴隷にして売り払う。
裕福な者達は容姿の美しい者が多い。やはり売れ行きが良いのは女だが、少年や青年は一部の者達にべらぼうに高い値段で売れるのだ。
ゲームは勿論イカサマ機能のある魔道具を使う。
この魔道具のイカサマ機能は最善手を常に表示するということ。つまり、勝利に最短距離で辿り着けるのだ。これを使えばいかに愚鈍な者でも無敗。
だが、この男は一つ計算違いをしている。
相手となる匠海もまた一般人(一般竜人族?)などではなく、スキルでゲーム(Lv10)を持っているということ。
そして、彼は神童とまで呼ばれた頭脳の持ち主であるということ。
相手の力を量る能力が無いために、この男は致命的なミスを犯した。
それは、先攻を譲ること。
五目並べは、普通、対戦者同士が最善手を並べていけば必ず先攻が勝つ。
即ち、このゲームで匠海に先攻を譲るということは自ら勝負を降りているようなものなのだ。
案の定、勝負は最短でついた。
匠海の勝利という結果をもって。
「ふ、ふざけるな!絶対に何かイカサマしてるだろう!俺の目は誤魔化せないぞ!」
いやー、完全な言いがかりだよそれ。
てかイカサマしてんのアンタじゃん?
「うう・・・!もう一回勝負だ!今度は絶対に負けん!」
確かに悔しいだろう。この人はこの一回の勝負で商品となる奴隷を一気に失うのだから。
でもそれは僕の知ったことじゃないし、むしろ僕は奴隷を救いたいと考えている。
《イカサマしてるの貴方ですよね?》
「な、何を言ってるんだ!そっちこそ・・・。」
《その魔道具、イカサマ機能つきですよね?》
「っ・・・!」
一気に青ざめた男の顔と沈黙は肯定。
「すみません、でした・・・。奴隷を全部置いていきます・・・。」
《ありがとうございました。》
よし、これでぼっち回避。
これで懐いてくれるかは別問題だが、少しずつ距離を縮めて行ければいいと思う。
あ、そうだ。
さっき出てきたよく分かんないスキルをなんなのかステータスカードで見ておこう。
竜人族特殊スキル?なにそれ美味しいの。
〖竜人族特殊スキル〗―竜の眼光
竜人族のみ扱える。詳細は不明。
え、ちょ、待てよ?
「詳細は不明」だと!?
なんだよ情報が載ってるんじゃないの?
うん、諦めよう。もう仕方ない。
何も考えない!
現実逃避がてら、奴隷(僕はそんなふうに扱うつもりないけど)と仲良くなろう。
奴隷は全部で五人。
双子みたいにそっくりな男の子と女の子、大人の女性、少年、青年。
青年以外はみんな良いとこの出っぽい。
なんとなく動作が洗練されてるし、女性なんてふるふると震えているから、荒事や過酷な環境に慣れていないのが丸分かりだ。もしかしたら奴隷になってから日が浅いのかもしれない。
なにはともあれ、名前が知りたい。
《えっと、じゃあ自己紹介してもらえる?僕は匠海。普通に呼び捨てでいいよ。》
「・・・アリア。」
「・・・ケルト。」
「マリアージュですわ。」
「アルビス、だよ。」
「レオンだ。」
アリアは艶のある青い髪にオッドアイの右が濃いピンク、左が艶消しした金色のような不思議な色。ケルトは髪が黒で瞳は同じだ。どういう種族なのか非常に知りたい。
マリアージュは、これまた貴族っぽい金色の腰まである長い髪。それと淡い空色の虹彩。くびれた腰と大きく押し出された胸部という女性らしい体つきのために、彼女を好色の目で見る男も多いだろう。多分エルフ。
アルビスは銀髪と青い目。
レオンは天然パーマのような茶色い髪に同色の瞳。この五人の中では一番人生経験を積んでいる気がする。人なのかな?
ただの直勘だけど。
《じゃあ家に入ろうか。こっちだから・・・。》
「お待ちください。」
マリアージュが慌てたように僕を呼び止める。
あれ、僕はなにか変なことしたかな。
「奴隷契約を結ばれないのですか。」
・・・なあに、それ。
それ食べれるの?焼いたり煮たり出来る?
《ごめん、奴隷契約から説明してくれる?》
「え・・・!」
かなり驚いた反応をされた。
もしかして、奴隷を持っている人なら必ず知っている常識なのだろうか。
「奴隷契約というのは、主となるものが奴隷の体に血で刻印し、絶対服従を強制的に誓わせる魔法のことです。誰にでも手軽に扱える魔法ですので知らないのは少しまずいのでは・・・?」
《そっか。教えてくれてありがとう。僕はね、そういう風に強制的になにかするの好きじゃないんだ。》
みんなが胡乱げな顔をした。
「はっきり言って、奴隷契約を結んでおかないと奴隷に殺されることもあるんだぞ。俺達だって何をしでかすか分からない。まあ女子供は分からんが、俺は一番危険だろう。」
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