20 / 40
片鱗
きざし②
──着きました。
足元に気を付けて降りて下さい。
時間にして、十分と少しで着いたような気がした。
人力車を引いていた、お兄さんのぶ厚い大きな手に導かれ。人力車からゆっくりと降ろして貰うと。
そこは昨日も訪れた白蛇神社の前。
お兄さんにお礼を言うと。
お兄さんはさっと汗を拭いて、水を飲み。元来た道をまた軽快に走り出して行った。
人力車を見送り。今から神社でお見合いなんて、ちょっと緊張してきた。
「えっと、取り敢えず。この階段を上がってまっすぐ行けば白透君が居るのよね。白透君も着物かな?」
取り止めもないことを言いながら、ゆっくりと階段を上がる。ここで転けてしまったら洒落にならない。一つ、一つ。慣れない草履で階段を登り切ると。
「!?」
びっくりして、ひゅっと息を呑んでしまう光景がそこにあった
朱い鳥居の向こう。参道の両脇にずらりと白の着物と。紫の袴着物着た人達が頭を下げて待ち構えていた。
「な、なにこれ?」
私が声を上げても、着物人達はぴくりとも反応しない。マネキンかと思ってしまった。
頭を下げている人達は男女共に、中年ぐらいから初老の人達までいた
これがここの村の住人かは私にはちっともわからない。
けど、ここにいるってことは今日のお見合いの関係者なのだろう。
それにしても意味がわからないと、前を向くと。
拝殿の前に白い着物を着た人物がいた。
その人物は白透君で、おいでと私に向かって緩やかに手を振った。
「──っ……」
ここで突っ立てるわけにもいかず。
一歩、歩き出す。鳥居を背にして参道を足早に歩く。
参道の両脇に頭を下げている人達は、私が前を通り過ぎても特に反応はなく。無言のまま。
無言の圧力と言うのだろうか、不気味で気味が悪い。
一体何人がこの場に集まっているのだろう。無言の花道になんだか息苦しさを感じる。
はぁはぁと早くも息を切らせながら、目の前に佇む。見知っている白透君の存在が頼もしいものに感じて、一気に駆け寄った。
「っ、はぁ、あ、白透君っ」
「結希ちゃん。来てくれて嬉しいよ。着物姿素敵だね」
「そ、そうじゃなくてっ」
近くで見る白透君は、髪型をオールバックにしていて凛々しい。
着ている着物も、離れて見ると白色かと思ったが。近くで見ると地紋生地が美しい、銀色の着物だった。
一瞬、その端正な顔立ちとも相待って見惚れてしまいそうになるけど、参道にずらりと並ぶ人達が不気味でそれどころじゃない。
視線を狛犬のように、静かに立ち並ぶ人達に向ける。
「この人達は一体なんなのっ!? ちょっとおかしくない?」
境内に私の声が響く。
きっと立ち並んでいる人達にも聞こえているはずなのに、無反応。それが余計に私の胸を騒つかせた。
足元に気を付けて降りて下さい。
時間にして、十分と少しで着いたような気がした。
人力車を引いていた、お兄さんのぶ厚い大きな手に導かれ。人力車からゆっくりと降ろして貰うと。
そこは昨日も訪れた白蛇神社の前。
お兄さんにお礼を言うと。
お兄さんはさっと汗を拭いて、水を飲み。元来た道をまた軽快に走り出して行った。
人力車を見送り。今から神社でお見合いなんて、ちょっと緊張してきた。
「えっと、取り敢えず。この階段を上がってまっすぐ行けば白透君が居るのよね。白透君も着物かな?」
取り止めもないことを言いながら、ゆっくりと階段を上がる。ここで転けてしまったら洒落にならない。一つ、一つ。慣れない草履で階段を登り切ると。
「!?」
びっくりして、ひゅっと息を呑んでしまう光景がそこにあった
朱い鳥居の向こう。参道の両脇にずらりと白の着物と。紫の袴着物着た人達が頭を下げて待ち構えていた。
「な、なにこれ?」
私が声を上げても、着物人達はぴくりとも反応しない。マネキンかと思ってしまった。
頭を下げている人達は男女共に、中年ぐらいから初老の人達までいた
これがここの村の住人かは私にはちっともわからない。
けど、ここにいるってことは今日のお見合いの関係者なのだろう。
それにしても意味がわからないと、前を向くと。
拝殿の前に白い着物を着た人物がいた。
その人物は白透君で、おいでと私に向かって緩やかに手を振った。
「──っ……」
ここで突っ立てるわけにもいかず。
一歩、歩き出す。鳥居を背にして参道を足早に歩く。
参道の両脇に頭を下げている人達は、私が前を通り過ぎても特に反応はなく。無言のまま。
無言の圧力と言うのだろうか、不気味で気味が悪い。
一体何人がこの場に集まっているのだろう。無言の花道になんだか息苦しさを感じる。
はぁはぁと早くも息を切らせながら、目の前に佇む。見知っている白透君の存在が頼もしいものに感じて、一気に駆け寄った。
「っ、はぁ、あ、白透君っ」
「結希ちゃん。来てくれて嬉しいよ。着物姿素敵だね」
「そ、そうじゃなくてっ」
近くで見る白透君は、髪型をオールバックにしていて凛々しい。
着ている着物も、離れて見ると白色かと思ったが。近くで見ると地紋生地が美しい、銀色の着物だった。
一瞬、その端正な顔立ちとも相待って見惚れてしまいそうになるけど、参道にずらりと並ぶ人達が不気味でそれどころじゃない。
視線を狛犬のように、静かに立ち並ぶ人達に向ける。
「この人達は一体なんなのっ!? ちょっとおかしくない?」
境内に私の声が響く。
きっと立ち並んでいる人達にも聞こえているはずなのに、無反応。それが余計に私の胸を騒つかせた。
あなたにおすすめの小説
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。