白蛇様の花嫁はじっくりと執着淫愛される(4月3日ごろ非公開)

猫とろ

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向き合う

そして……③

「もしもし、部長。白寺夜村のことはどうでしたかっ!?」

食い気味で部長に問うと『申し訳ない』と言う言葉から始まり。
部長がネットで調べたことや編集部関係への村の情報は私が調べたこと、とあまり大差がなかった。
五年前に少年が溺れたという記事もわからず仕舞い。

短時間で調べて貰っただけ、ありがたい。仕方ないかと思っていると。部長は声を潜めた。

『そんな訳で、私や編集部の方面はダメだったが記者関係では以外なことが分かったぞ』

「え。意外なこと?」

思わず姿勢を正す。

『あぁ。本当に偶然なんだがな。知り合いの記者が白寺夜村のことを知っていた。秘密なんだがな、最近そのあたりの地方議員達が力を付けて。中央の有力な議員達と、密な関係を築きつつあるそうだ』

意外な話題で驚きながら、話を続ける。

「えっと、それって裏金がどうしたとか。献金問題とかですか?」

『さぁ。そこまでは教えて貰え無かったと言うか。今そこを探っているらしい。なにしろ地方議員達は先見の明があるらしく。カンが良くて、土地の売買や株で得た利益を使い。それを足掛かりにして勢力を増していってるそうだ』

株と言う部長の言葉に、胸がざわつく。

「……それっていつから、なんですか?」

『大体五年前ほどから、らしい』

「!」

五年前。土地。株。
その言葉に白透君がトレーダーをやっていたことを思い出す。
さらには作務室でみた議員や弁護士の名前。

私が思っている以上に、白透君は社会に影響するほどの権力を持っているのではと、ごくりと生唾を飲んだ。

『で、その連中達が入り浸っているのが白寺夜村の白蛇神社。表向きには蛇の神様はご利益が高いから、参っていると言うことらしいが……』

そうなんですねと、返事をする一方で頭の中で先程齧った知識を思い出していた。

蛇の神様は蛇は脱皮をすることから再生や復活を表し。立身出世のご利益がある。
七福神の一人。弁財天の化身とも言われていて、財運や病気の回復もあるとか。
蛇の神様はメジャーで世界中で信仰対象になるぐらい、ご利益が多い神様。

それにあやかりたいと人はごまんといるだろう。
そこに人々がお参りをしても不自然ではない。
そう、表向きには……。

脳内に白透君があの琥珀色の瞳を妖しく輝かせ。不思議な力で大勢の人達の前に君臨している姿が、容易に浮かんでしまった。あの美貌と本当に不思議な力を備えていたらそれは、いっそ。

因習村での新興宗教の教祖様、ではないかと考えてしまった。

『これが有益な情報になるかは、わからないが。今の私の精一杯だ。記者の奴はコネで教えてくれたが、それ以上は難しそうな感じだったしな……どんなことに首を突っ込んでいるかは知らないが、ヤバいのは確実……って、おい。大丈夫か?』

「えっ、あ。はい」

思考の海に潜り、部長への反応が鈍くなってしまった。
部長はこの後も出来るだけ調べてみると言ってくれた。
そして、私が手を貸したことによって、仕事が上手くまとまったとも言ってくれた。

そして最後に。
会社で待ってるから、帰って来るんだぞと。そう言ってくれて会話は終わった。

会話が終わったスマホを見ながら。

「私もそのつもりですから」と呟き。その手で新幹線のチケット販売画面を開き。帰りのチケットを手配した。

結局、五年前。池に溺れた少年は白透君かは不明。

しかし、夢がどうあれ。
現実的に白透君の影響は、この社会に影響を及ぼしているのは確実だと思った。

であれば余計にどこに逃げても。逃げれば逃げるほど。それこそ蛇のように。絡めとられるのも時間の問題のような気がした。

スマホの時計を見ると18時過ぎ。
外も夜の帳が下がり始めている。

しかし私は都会に帰るために。キャリーケースに荷物をまとめ。机の上のゴミを片付け。

旅館を出る準備を始めたのだった。

「どうなるか分からないけど……最後に白透君に会いに行こう」

そのまま白透君に別れを告げて、私は新幹線に乗って帰るつともりだ。
私のことが本当に好きならば。私の意思を尊重してくれると思いたい。

それしか、このお見合いの突破口が見当たらなかった。

もう二度とこの村には帰って来ないようにと。
お母さんが無事であるようにと。

そんな思いを抱えながら、誰にも何も告げず。旅館の非常階段から、旅館をそっと後にしたのだった。
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