帝都・狐の嫁入り物語〜嫁いだ先は前世の私を殺した天敵〜

猫とろ

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日常

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「他にも勿論、部下や重鎮達はいるが、それはおいおい。環がここに慣れてからでいい。今回この顔を合わせは、環を警護をする上で事情を知らないと咄嗟の判断も出来ないこともあるからだ」

信頼関係を築けないとそれが仇になることもあると、杜若様は言葉を付け足してなるほどと思った。
そして杜若様はちらりと私を見た。

「では、早速話を進めさせて貰う。まずは十年前。帝都から少し離れた農村部で低級の妖、餓鬼達が大量発生してしまった。低級でも大量発生すると周りに妖気が発生して人や植物、生物は衰弱し、住めなくなる。妖供を祓っても妖気などは土地に残ってしまう。それを浄化しなければまた、妖を呼んでしまうことになる」

スラスラと語る杜若様の様子に、これは私が妖のなんたるかを知らないと把握した上で、分かりやすく説明してくれているのだと思った。

他の御三方は呆れてないかなと、おずおずと前に視線を向けると石蕗様が微かに微笑んだ。

「環様。通常、迅速に妖を倒したら、妖気は発生しないのです。ですが妖が長く土地に棲みつく場合や、高位の妖がいると妖気は瘴気や穢れと変化してしまうのです。こう言ったことは普通、帝都で暮らしていたら知らなくて当たり前ですから」

問題ないと言って貰えたようでホッとすると、その通りだと杜若様も頷いてくれた。

「そうして発生した妖気を浄化するのも俺達、五家の仕事。特に浄化が得意なのが『白百合さゆり』家。しかし、浄化の能力は稀な力で白百合家でも前線に出れるのは一握り。なのに妖は帝都以外にも出没することにより、慢性的な人不足だ」

やれやれと言った様子で、杜若様が椅子に背を預けた。御三方もうんうんと深く頷いていた。

「杜若様、だから私の家の雪華家など。能力がある家が、その力を五家に貸している……と言うことでしょうか」

「その通り。民間でも使えるものは使わないと間に合わない」

杜若様はそこで言葉を区切り。
背もたれから背を離して、私へと体を傾けた。

「その浄化だが、十年前に農村部で行われたものは浄化じゃない。あれは神域、聖域を創ると言った神の御技に値するものだ」

杜若様は、熱ぽっく私を射抜くように語った。

曰く。浄化とはいわば妖気などを祓うことを指す。
でも、十年前に『雪華円が巫女の目覚めとして、金色の炎により祝福を受けて』行われたものは、土地に染みついた負のものを全て祓い清め、土地に流れる気脈さえも整え。
以来、その土地に妖は寄り付かず。常に清らかな一片の曇りもない神域と創り変え、今では豊穣の土地と生まれ変わっているそうだ。

それらを聞いて姉さんって凄いと思ったが──あれ。今、金色の炎って言わなかったか。

まさかと、杜若様の方をぎぎいっと首をぎこちなく動かしてみると、ニッコリと微笑んでいた。

「そのことがあって、杜若家が以前から独自に調べてみると、十年前に居合わせた者の証言を聞くことが出来た。それは少女が突然、金色の炎を出現させた。その後に少女の髪が金色になったという証言を得ている」

そう言いながら、杜若様はすっと私へと手を伸ばし。私の三つ編みを手に取った。紫紺の瞳がわずかに細まる。

「そうそう。このように見事な金髪だとか。雪華家は白髪に銀青の瞳の血筋。金色の髪は環ぐらいしか居ないだろう?」

「……さ、さぁ。遠い親戚がやったのかもしれませんね。えへ、えへへ」

誤魔化し笑いをしたけども、誰も笑ってくれる人がいなくて心臓がキュッとなった。
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