選ばれたのはケモナーでした

竹端景

文字の大きさ
74 / 229
第三章 運命の出会いとケモナー

神名継承

しおりを挟む
 父様と母様の表情に、ちらっと影がよぎったように思うんだけど、ただの名前でそんなに、問題扱いだったのか?あ、キャスがそういや、直接名前をいってはいけないとかいってたな。と、いうことは、つまり、名前をつけちゃいけなかったとか?確かに、街中に溢れそうだよな。建国王の名前とか。
 あれ?でもこの名前って、両親がつけたんじゃなかったはずだ。

「司祭様がディエルって、名付けてくれたんじゃないの?」

 父様に確認すると、父様は頷いた。そこで、ミケ君が、やはりな呟いて、何事か納得したように見える。
 司祭様が名づけ親になってくれた理由は、聞いたことがないが、よく遊びにくる人だから、父様か、母様が名づけを頼んだのかと思っていた。でも、そういえば、父様も、母様もセカンドネームなくね?何で、俺、ケルンだけにあるんだ?それこそ、謎なんだけど。

 その謎に頭を悩ませていると、ミケ君が、わかりやすく説明してくれた。

「名前は、親がつけるもの、私の場合は、ミケーレがそうだ。そして、時折、神官が名前を授ける、トゥエリ。古代スメイン語で愛しき真のという意味だ。そして、王族は皇子であれば、ウル、皇女になれば、オルテ。最後に家の名がつく。自分で変えれるのは家名のみだ」

 あー。つまり、普通なら、名前・家名つまりは苗字だな。で、人によっては、名前・地位・家名。家名っていうのは、当主が変わった時に、変更できるんだっけか。
 で、問題なのが、名前が二つあって、片方が神官様、ケルンの場合だと、司祭様か。しかも、その名前が問題なのが、司祭様が名付けたということだな。

 あー…わかってきた…つまり『神託』か。

「神官が名を付けるのではない。ボージィン様や、精霊の神託によって名付けられる」

 ミケ君が思った通りのことをいう。

 この世界で、創造神は棒神様だけであるが、それこそ、精霊様は、身近で、崇拝されている。その意思を捻じ曲げようなんていう考えを持つことは、ない。何故、簡単にいい切れるかというと、もしそんなことをすれば、魔法が使えなくなるだとか、寿命が減るだとか、存在が消されるなどという、本当か嘘かわからない、そんな言い伝えがあるからだ。実際、精霊様が怒ると、魔法が使えないということになるそうなので、全て嘘ともいいきれないんだけどな。

「そして、ディエルは、我が王朝の開祖。開祖は神として、祀られる。ケルン、お前はその神の名を継承しているんだ」

 はは、いや、本当、笑いがこみ上げてきそう。これは、父様が王家に近づけさせないようにするわけだ。
 いちゃもんつけられそう。

「んー…」
 つまりだな、その初代の王様とケルンが関係あるって思う人がでてくるってことだ。例えば生まれ変わりだとかな。でも、それは

 俺にはそんな知識は元からなかったからな。

「へぇー…でも、それだけでしょ?名前が同じだけってこと…それがなんなのかな?」

 ま、だからって、関係ないよって、気持ちでいっぱいだった。
 正直、頭こんがらがってるからな。許容オーバーなんて、とっくにしてる。ケルンの顔が半笑いなんだぞ?六歳にして、引いてしまった笑い方覚えてしまうなんてな…もう、驚くこともない。

「ケルン、私の名前を知ってる?」

 突然、それはそれは、素敵な笑顔で、母様が尋ねてきた。知ってるけど、母様?父様が『コール』でカルドに襲撃かかける準備をとかいってるから、そっち止めよう?

「知ってるよ!ディアニア・ノルリスだったんでしょ?」

 ほら、ちゃんと覚えてるよ。親の旧姓ぐらい覚えてるって。たまたま、宿題で、両親のことっていうのがあって、母様の旧姓を知る機会があっただけってのもあるんだけどな。

「本当はね、ディアニア・オルテ・ノルリスというの」

 ん?オルテって、皇女ってさっきメリアちゃんがいってたような、あれ?

「私と先代の王妃…今の王大后は、従姉妹なの。父が…ケルン、貴方のお爺様は、神聖クレエル帝国の先代国王の弟で、私には、事情があって…特別に王位継承権が与えられていたの」
「え!母様、ほんと?」

 はぁぁ!?え、母方のお爺様って、家臣になったんだよな?その時点で王位継承権が無くなるんじゃないのか!
 それに、神聖クレエル帝国の王様の苗字って、クレエルのままじゃないの?勉強したから、覚えているけど、クウリィエンシア王国の前の王朝の末裔…って、先代王妃、今の王太后って!ミケ君とメリアちゃんのおばあちゃんだよな!

 ってことは、俺達、血の繋がりあんじゃん!

「じゃあ、僕とミケ君とメリアちゃんって、親戚なの!やった!これからも、一緒に遊べるよ!」
 そうだな!

 って、二人にいったら、メリアちゃんは嬉しそうに、してくれたのに、ミケ君は何もいってくれなかった。凄くショックなんだけど、嫌われた?嫌われたのかな?うん、ちょっと、泣いてこよ。もう、やだ、彫像す…ん?
 ミケ君がそばまで来て、そっと耳打ちしてきた。

「そうだ、私達は親族だな…だから、その…と、特別だぞ!さっきの礼も兼ねてだ」

 と、手に感触が。

 ひええええええ。
 しいぃぃぃぃぃぃ。
 ぽおおおおおおおお。

 右手に尻尾様が!つ、つるんて!
 やわらけえぇぇぇぇ。
 あと、ミケ君、照れてるの可愛いよ!

「あら、お兄様ばかりずるいですわ…私からも、お礼ですわ」

 首すじにぃぃぃ。
 あなたのぉぉぉ。
 尻尾さまぁぁぁ!

 ひょおおおおお!

「ケルン?聞いてるの?」
「え!う、ううん。何?」

 え?時間が飛んだぞ。いつの間にか、二人とも離れているし、え、夢?白昼夢?いや、尻尾の間隔が残ってっるってことは、気絶してたのか!

 抱きしめて!尻尾の先までぇぇぇぇ!
 ふわっ☆

 って、幻聴が聞こえて、気づいたら、母様の膝なんだけど。

「でね、ノルリス公爵の家を捨てても、継承権がついてまわるなんて、思ってもいなかったのよ」

 ああ、継承権ね。つまり、母様の家のことだとね?今、幸福過ぎて、話半分ほど覚えてないというか、さっきの感触を記録、そう、記憶じゃなく、記録している最中なんだ。魂に刻むぜ!

「でも、ケルンはフェスマルクを継いだらいいの。母様の家は、そうね…エセニアも、ランディも、もちろんミルデイも雇ってくれないの」
「絶対、継がない!僕、そんな家の子にならない!」

 はぁ?何、その家。行かないって。みんな行くならいいけど、そもそも、一度も行ってみたことない国の家とか、親戚でも、ほぼ赤の他人みたいなもんだと思うのだが。

「神聖クレエル帝国もまた、王族が病にかかって、数が減っているのが原因か…」

 ん?ミケ君、そんな、考える猫ポーズするなんで、こっそりスケッチしちゃうよ?

 しかし、病…病か…あれのことだよな。

「ミケ君も、どこか悪いの?」

 さきほどまで、胸をおさえて、苦しんでいたのだから、ミケ君やメリアちゃんも病にかかっているかもしれない。王族だけにかかる病気というものは、なくはないだろ。遺伝しやすい病気とかもあるだろうからな。

「ケルン、私やメリアが病弱であるという噂はきいたことがあるな?あれは、全てが嘘ではないのだ」

 と、いうことは…何か持病があるのか。

「特に、私は病に倒れる回数が多いのだ…だが、ここ最近は落ち着いていたのだがな…」

 むしろ、抑えていたものが爆発したような…でも、たぶん、もう二度とあんなに苦しむことはないと思う。元気な時まで、きちんと治したからね!

「驚いたことに、ケルンが癒しの魔法を私にかけてくれた時に、不思議と今までにないほど、身体が軽くなったのだ。まるで、呪われた我が身が、普通の人のようになったようだ」
「殿下、あまりご自分を卑下するものでは、ありません」

 父様が、ミケ君を少し叱った。父様は、ミケ君のいう呪われた身というのが気に障ったようだ。
 もちろん、ケルンも、ぷんぷんしている。ほっぺを膨らませて、母様に、空気を抜かれている。

 そんなに、猫の姿嫌なの?って、口に出そうだったが、本人が、そのことで悩んでいるようなのに、それを責めていいのだろうか?
 ダメだよな。俺は、その姿が好きだけど、本人は好きでその姿に産まれたわけじゃない。色々、辛いこともあったのだろうな。

 エゴを押し付けようとしていた。反省だな。
 とりあえず、父様にもみてもらった方がいいかも。ミケ君、苦しんでたし…いや、もう診察終えたあとなのか…話の流れ的に、そうなのかも…どんだけ、気絶してたんだよ…マジで。

「ミケ君はね、特に胸が苦しそうだったから魔法頑張ったんだー」
「私はそばで見ていましたが、流石ティストール様のご子息でしたわ!あれほど濃密な魔力をお持ちですもの!余波で私も元気にしてしまうななんて…流石ですわ…」

 メリアちゃんが、そういって見つめてくるので、ケルンが照れてしまった。いや、でも、一人の力じゃないからな?

「でも、最初は上手くいかなくて…お兄ちゃんもね、頑張ってくれたんだけど…ちょっとだけ、ボージィン様にお願いしたの。そうしたら、魔法が強くなるように思って…棒神様の加護があるからかな?ぶわああって光ったの」

 あ、口にだした。
 って!加護のことは内緒だっただろ!

「ケルン!どこか具合は?気分や何かおかしくなったところは?」
「まさか!貴方たち、二人ともなにもない?エフデは?なんともないの?」
 
 あ、やばい。父様と母様がケルンの体に異常がないかを調べ出した。

 おい、ケルン!無事だって母様に早くいってくれ。また心配させたくない。
「うん。あのね。平気だよ。でもねー、エフデが少し疲れたみたい。お兄ちゃんだからって無理したから母様に叱られる!って」
 待て!そこまでいってないから!
「そう…もう、無理ばかりして」

 母様にぎゅぅと抱きしめられながらようやく家族以外がいることを思い出した。
 血の気がさぁぁっと引いていく。
 全部聞かれた。

「あ、あの聞いちゃった?」
 
 ミケ君たちに尋ねると二人は頷いて、それからなんとも思っていないような表情だった。驚いてすらいない。
 逆に、俺たちが驚かされた。

「加護は私にもある」
「私もです」

 いきなり、二人は揃って、そういったのだ。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  電子書籍は、2026/3/9に発売です!  書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。  イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...