選ばれたのはケモナーでした

竹端景

文字の大きさ
124 / 229
第四章 学園に行くケモナー

寮生活の初日

しおりを挟む
 停学回避をした後で、衝撃な事実を知ってしまった。
 まさか、あの母様が、大陸一の剣士だとは思わなかった。いつも、にこにこと、淑女の鏡みたいな母様なのだが、そんなにも強かったのか…意外だったな。

 あ!だから、ヴェルムおじさんを平手打ちで、一回転させれたのか!

「キノコ元帥のとき?」
 そう!あのときだ!

 反抗期はおとなしくしよう。むしろ、反抗期はないかもしれない。

 そして、衝撃がある中で、結局、夕飯になるまでだらだらとお喋りをしていた。
 ハンクの手料理を受け取ってきたミルデイと、みんなで食堂で食べた。

ただ、ミルデイは顔色を変えていたけど。

「坊ちゃま…そいつらはどこに?」
「わかんないー。気にしないで?」

 周囲が引くほどだが、ケルンは何も気にしていない。
 少しは気にしてほしい。

 そんな雰囲気もあってかアシュ君は、遠慮しようとしていたのだろうけど、何故か、五人分の量だったので、みんなで分け合って食べた。

 ロールキャベツを、コンソメで煮るのではなく、かつおだしかな?口当たりが優しめだった。
 そして、ピリ辛のソースを好みでかけて食べるのだが、アシュ君が、かなり辛いのが好きなのか、ほぼソースのロールキャベツが浮いているような状態なのに、美味しそうに食べていた。
 ケルンは辛いのが苦手だが、ミルデイが辛い物も好きなので、ついていたんだろうな。

 入学早々、授業と講義があるミルデイと、体験講義を受けてきていた三人とは違い、探検という名の動物達の触れ合いと、遊ぶ場所探しに必死になっていたからよくないな。

 学長室にお邪魔したのは、今日限りにしよう。
 ご先祖様たちみたいなことは、しない。

 というより、何で、基本的に破壊行動しかしないのだろうな…今度、うちに帰ったら『大嵐』って呼び名がついているご先祖のことを聞いてみよう。学園を『建築』スキルで建築したというなら、屋敷のどこかに、製図の本や書類やらがあるかもしれない。まだ入ってはいけないといわれた旧館とかが、怪しいんだけどな。

 食事のあとは、消灯時間まで遊ぶ!…わけにはいかず、すぐに部屋に戻ることになった。遊戯室とかもあるんだけど、停学処分を受けかけたのもあって、部屋に戻ることにしたのだ。

 部屋は、中央棟の二階にある。中央棟は、公式では三十階とあるそうだが、部屋の作りから、本当なのかはわからない。

 一年生は二階、二年生は三階、と、学年があがれば、部屋の階層があがっていくそうだ。

 クラスの書いてあるバッジ、記章が、鍵代わりらしいが、ケルン一人なら確実に迷うだろう。どこも似ているからか、すでにわたわたとしている。

「えっと…ここ?」
 いや、番号みてくれ?違うだろ?
「…迷っちゃうかも」
「ご安心ください。私がおりますから」
「ありがとう!」

 ミルデイがいるなら…いや、いなくても、迷子にならない努力をさせないとな。

 部屋の作りは、どこも同じらしいのだが、壁一面にドアが貼り付けられ、ドアにネームプレートがつけられている。

 内装は、二部屋あり、どちらも十畳ほどか。トイレと風呂は別々についている。
 家電製品はモフーナではあまり発達していないのだが、似たようなもので魔道具として、各部屋に照明器具がついている。
 窓は一つだけついていて、ドアの先にある。おそらく、ドアと窓だけは、外観に合わせているのだろう。実際は、数十センチの間隔でドアがついている廊下に、この大きさの部屋が入るわけがないのだ。

 何故、二部屋かというと、ルームメイトがいる者と、使用人か護衛が部屋にいる場合がある為だ。
 驚いたことに、ミケ君とメリアちゃんの護衛は、入学式のあとに城に戻ったそうだ。そして、使用人を連れてきていないそうで、ミケ君は、メリアちゃん一緒らしい。

 兄妹だからいいんだろうけど、男女別にしないのかときくと、ミケ君やメリアちゃんだけでなく、アシュ君からもいわれた。

「王族をわけるよりは安心」

 逆に不安なんだけど、確かにミケ君たちは襲われても逃げれたし…二人でいる方が安全なのかもしれない。

 さて、ケルンの場合についてだ。
 ルームメイトはいない。希望すれば、使用人用の部屋もあるのでルームメイトと学園生活を送れるそうだ。
 しかし、ケルンの場合は少々事情が異なった。学生寮に入る前に鍵をとりに行くと聞かされたのだ。

「書類にあったケルンは君かな?ごめんねー。他の子は、希望があれば、同室者を決めて、そのあとに部屋を決めるんだけど、君の場合というか…君のお家の関係というか…学校の規則でね…」

 と、男子側の管理人らしいおじさん(リスの尻尾が可愛いと思えるほどに、愛嬌のある見た目四十代の栗毛のおじさんだった)が、申し訳そうにいってきた。
 一応、男女の管理人さんがいるのは、男子と女子で相談や希望が異なるためいいやすい方に伝えれるようにという学園の配慮らしい。

「大丈夫だよー!僕ね、ミルデイと一緒がよかったから、気にしないでください!あ、どんぐりクッキー食べますか?」

 いつでもポケットにおやつを!の精神がここで役に立った。管理人のおじさんは、もそもそと美味しそうに食べていた。おじりすさん(仮名)は、理由をいわなかったが、まぁ、わかるよな。
 フェスマルク家だから。

 絶対、誰かが、何かしたんだろうな。これも帰省したら、必ず聞こう。

 部屋には浴室もあるしかなり広いうえに、清潔で日当たりはどの部屋もいいらしい。
 どういう技法なのかわからないが、学生寮もご先祖様の建築らしいから、こだわったのだろう。屋敷の部屋に少し似ているからな。みんなが過ごしやすいように気を使ったんだろうな。

 お風呂をすませて、ミルデイに寝る前の挨拶をすませて部屋に入れば、ケルンはベッドに横になった。心配した通り、少し熱ぽくなっていたので、念の為にザクス先生の薬は飲んでいる。ケルン用に甘いシロップなので嫌がることもなかった。

「学園って楽しいね!」
 怒られたけどな。
「あ…忘れてた」
 忘れんなよ!大変だったろ!
「だって、驚くことたくさんだったもん!お兄ちゃんもでしょ?」
 そりゃ、驚いたけど…あんまり興奮してると寝れないぞ?
「えー!明日は初めてのお勉強だからしっかり寝ないと!お兄ちゃん、おやすみ!」
 おやすみ…って、寝れ…え?

 ほんの十秒で寝た。
 つ、疲れてたんだ…薬も飲んだし…本当は、繊細なんだぞ…つられて俺の意識もなくなっていく。
 そして、朝になった。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  電子書籍は、2026/3/9に発売です!  書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。  イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...