選ばれたのはケモナーでした

竹端景

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第四章 学園に行くケモナー

霊木化した杖

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 にしても、みんなやたらと驚いているがそんなにも装飾でつけた『失せ物探しの鐘シーク・チャイム』がかなり貴重な物であったから、驚いているんだろうか?
 便利だからつけただけなんだけど、目立つというなら、外し…は?

 葉の先が二股に別れてバッテンをしている。外すなということなのか。
 ってか、この杖…ケルンじゃなくて、俺の思考を読んでねぇか?

 否定するように葉が揺れたあと杖に巻き付き直して動くのを止めた。

 絶対読んでやがる…!

 な、なあ、ケルン。この杖なんだが。
「ん?なーに?」
「そのような大きさを、杖など…一人ではできないだろう!」

 大声をあげてケルンにくってかかっているが、ケルンは俺へ返事をしていて、お前にしたわけではない。
 その証拠に、むっとした気持ちになっている。

 しかし、サーシャル先生もいっていて気になったんだが、っていうのは、変ないい方だ。霊木だから杖にしたんじゃないのか?

「その規模まで、霊木を表面化させることが可能なほどの樹木をこの私が気づかないはずがない!それに…生々しい動物の彫刻…誰の作だ!いえ!」

 生々しいというな。ほめるなら写実的とか巧みな技巧といえ。

 ろくでもない子だが知識は持っているようだ。なるほど。霊木を表面化か。樹木の中にあるなんらかの力を呼び起こすのが霊木化なんだろう。それができる樹木が霊木という感じか。

 じゃあ、元呪木さんで、現在はケルンの杖になっているこの霊木は、なんなんだろうか?
 浄化して彫刻をしただけだ。サイズもほとんど変わっていないし、まるで全部が霊木化してあったみたいじゃないか。やはり、あまり使用はしない方がいいのか?

 そう思ってケルンに提案をしようとしたら、思った以上にケルンの機嫌が悪い。

「今…お兄ちゃんとお話してたのに…僕一人で頑張ったもん!ずるしてないもん!あ…でも、お兄ちゃんに相談はしたよ?」

 機嫌がよくなってくれて安心だ。楽しかったんだな。いや、思ったよりも元呪木さんが彫りやすくて、いい形に杖を作れたんだけど…形状はだいぶ違うけど、彫刻はそのままだ。
 ケルンの手元付近には熊の顔があってランディを思い出すから、彫刻の位置はできれば決まった場所から動かさないで欲しいけど。鐘のところはユニーコーンのつもりだった馬だったのが吠えている狼に変わっている。

 それからも何事か騒いでいるが全部スルーだ。列も短くなっているどころかナザドがむかってきている。

「時間がないからさっさとしてほしいんだけど?」

 ひどくめんどくさそうな顔をして、自慢気にみせてきた杖を受け取ってさっと、みている。
 杖の男の子…杖の子でいいな。やたらと自慢をしているがまったく聞いていないな。

「…まぁまぁかな…悪くないけどもう少し効率化させれるんじゃないかな?」
「お前になにがわかる!」

 杖の子がナザドにまで噛みついた。ナザドはいつもの瞳でみると「ひぃっ」と軽くナザドから離れて怯えた。

「少なくても君よりはわかるよ」

 そういって杖の子に検査した杖を投げたが、ケルンの方をみたときには、もう笑顔になっていた。あいかわらず、表情がすぐ変わるやつだ。主にケルン用と屋敷の人用とそれ以外しかないんだが。

 杖を渡せば改めて彫刻をほめてくれた。まぁ、一度見ているしな。『物探しの鐘』については「魔道具はあれば便利ですからね」の一言で終った。
 父様もそうだが、なんでもない物のように、扱うがこれって貴重な物なんだよな?まぁ、ケルンのだし、どうしようがいいんだけど。それに古竜王の涙石がついている以上、多少杖の付属価値があがる程度だろうな。紛失を気にしていたらいいだけの話だ。

「はい、坊ちゃま。ちゃんと、杖として機能するでしょう…内部までは通さなかったので、きちんと所有者認定は終わっているようですが…」

 杖を持ったときに軽く魔力を流しているようだ。そうして使えるかどうかをみていたのか。
 しかし、ナザドはあまり浮かない顔をしている。

「学園に昔からある発掘品だもの。正体不明のあれよ」

 聴講生の分は少なかったのか、ナザドと一緒にケルンたちのところへときて、ミケ君たちの杖を調べていたサーシャル先生がナザドに説明する。

「ああ…深き森で出土したっていう…坊ちゃま、気分にお変わりはありませんか?」
「とくにないよ?元気!」

 発掘品とかいっていたが、本当にどこかで出土したものだったのか。だとしたら、なにかの樹木が香木化した霊木だったのかもしれないな。香木ならば全部が霊木になっても、変ではないだろう。香木そのものが神聖なものになっているわけだし。

「おい!そいつは不正をしているんだぞ!なにかいわないのか!」

 杖の子が地団駄を踏みながらナザドたちに抗議をする。
 本当に地団駄を踏む子とかがいるのか。

「不正もなにも…坊ちゃまはエフデさんの…弟子だっけ?…まぁ、教わってるんだから加工とかできるんじゃないかな?なにせ、僕の!坊ちゃまだからね!」

 ナザドがあやふやにいうのは、ナザドはエフデのことは信じてないし、ケルンのことしか考えてないからだ。

「ぐっ…ふん!どうせみせかけだけだろ!」

 杖の子が他の子達を連れて離れていく。ナザドたちも先ほどいた位置へとむかう。

「ケルン君。あっち行こうや…相手にするだけ無駄や」
「マティが珍しくいいことをいうな…ケルン。ほっておこう…ミケ様、メリア様…落ち着いてください」

 マティ君のいうとおり、彼らと少し離れた場所で授業を受けた方がいいだろうな。
 眼光鋭くなりすぎて人相が変わっている二人もいることだしな。

「…ふぅ…すまないな」
「まったく!なんという無礼者なのかしら!」

 いつもと反対でメリアちゃんは我慢ならないようだ。気持ちはわからなくもないんだけど、気分をかえてやろう。

 なにせ初めての攻撃魔法を使えるんだしな!
「お兄ちゃん、やる気満々だね!僕、頑張る!」
 やっぱり一度くらいド派手な魔法を使ってみたいからな。あ!でも、ちゃんと魔力は押さえてやるんだぞ?俺も手伝ってやるからな!
「うん!でも、ちゃんと僕一人でもできるようになるからね!お兄ちゃんが元気になったら、僕一人でやれなきゃだもん!」
 おう…一人でもできるように、しっかりやろうな。

 ケルンはそう意気込んで杖を握りしめた。
 俺には体なんてないんだ。いつかは消えるから一人でやれなきゃだめなんだ。
 そういいたかったがいうのはやめた。

 代わりに杖が痛そうに暴れるのが気になったから、優しく持ってやれというぐらいだった。
 杖の葉っぱが感謝の敬礼をしてきた。たぶん、絶対、確実に!俺の思考を読めている。

 ケルンの相棒としていつかは俺の代わりに守ってやってくれるなら、多少変でもいいか。
 抗議の動きはみなかったことにした。だって、変以外の言葉がねぇからな。


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明日でこの章は終えます。
今回裏話はありません。すぐに新章になります。登場人物紹介だけはあげます。
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