選ばれたのはケモナーでした

竹端景

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第七章 ケモナーと精霊の血脈

ひと悶着

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 開いた以上入ってみるしかないよな。気になるし。

「中に入ってみるか」
「うん!」
「いや、ケルンはちょっと待て」

 鍵を開けたのは俺らでも中がどうなっているかはわからない。ユリばあ様が罠を仕掛けるとは思えないが、明らかに変な空間だ。
 ここは俺が安全確認のためにも、人身御供になるべきだろう。

「俺がまず確認をするから二人はその後で」
「お待ちください。まずは私が安全を確認します」

 俺の言葉を遮ってまでミルディが進言してくる。一応客観的にみて、立場としては俺の方が上なのだが、うちでは使用人が使えている主やその家族へこうして進言をすることは不敬ではない。
 使用人でも家族なんだから、気になったことはすぐにいってほしいし、間違ったことをしたならば止めてもらいたい。
 でも、それは俺たちも同じことだといえる。

「だめ!ミルディだけも、お兄ちゃんだけも!僕も行くの!」
「だめだ!ケルンやミルディに何かあったらどうするんだ!ここは俺に任せておけって!」

 だからこそミルディの言葉に俺もケルンも大反対だ。
 ケルンは俺やミルディだけで行くことを反対するし、俺は二人よりも年長者として、いや、保護者として二人を守らなきゃならない。
 そのためにも俺が適任だろう。

「いけません。いいですか?中に危険な何かがいた場合、私ならすぐに対処できます。それにお二人に何かあれば私は無事じゃ済まなくなるんですよ?それでもいいんですか?」
「それをいわれると…」

 ミルディの言葉に早々に俺は引き下がるしかできない。とっさの動きはミルディの方が早い。もし突然襲われても、ミルディなら対処できるが、俺たちには対処ができない。
 俺たちが目で追えない物でもミルディには目で追えるし、足さばきならミルディならば鍛えていない大人でも一撃でのせるだろう。

 筋力もおそらくミケ君たちの護衛でいた男たちよりもずっと強い。
 スキルがあるのとスキルがないのでは、それだけ差が出るのだ。

 あと、個人的にミルディのいい方がどうもあいつを思い出すからってのもある。

 俺は引き下がってもケルンは納得していない。こいつを説得するのは時間がかかるぞ。どうするんだろう。

「でも、ミルディ…」
「…私を信じてくれないんですか?」

 ぐっとケルンは黙るしかなくなった。そのいい方はずるいだろ。誰に仕込まれたか…絶対に屋敷にいるあいつだろうけど、俺たちには効果覿面だ。
 特にケルンは信じてくれないんですか?なんてミルディに手を握りしめられていわれたら無理だろ。
 うちのケルンは女の子に優しく紳士的にっていう育て方を受けてるからな…ミルディは肉体的には男の子でも中は違うらしいし…滅多に見せない女の子らしい仕草ってか…エセニアめ…何を仕込んでんだよ。

 それに弱いっていつばれたんだ。

「ううん。ミルディを信じてるよ。頼りにしてる」
「でしたらいいですね?」
「…うん」

 ケルンが納得したことに俺がどうのこうのと口を出すもんじゃないし…ここは俺もミルディを信じるか。
 それに本当に危険かはわからないしな。

 不安なところは、扉の先が見えない点だけだからな。

「何かあったら僕、魔法を使うから!」
「俺も手伝うぞ」

 破壊しても俺たちなら最悪建て直しができるだろうから、遠慮なくケルンに魔法を使わせよう。それか俺が代わりに使えばいい。
『造物』スキルってこういうときに便利だからな。トーマお祖父様には申し訳ないが彫刻の腕は俺やケルンの方が上だしな。

 俺たちが息をまいていっているのを苦笑して、さっとミルディが扉の先へと入っていった。
 何かがあればすぐに動く。

 気を張っていたが一瞬でそれもなくなった。
 すぐにミルディが、出てきたのだ。

「ミルディ!大丈夫だった!?」
「ええ。お待たせして申し訳ありません。中は大丈夫なようですが、気をつけてお入りください」
「そんなに待っていないが…中は何もないのか?」

 一瞬で出てくるのだから何もない空間なのかもしれないとミルディに確認をとると、目をぱちくりといつもより早く瞬きさせた。

「いえ?…それどころかたくさんありまして…ざっと確認していたんですが…」
「そうか?」

 たくさんあったからすぐに出た?なんだか噛み合っていないような気がする。
 何があるのか聞こうとしたら、ケルンが俺の頬の部分をつつく。頬っていっても円の縁だけど。

「ねぇ、入ろうよ!」
「ああ。じゃあ、入ってみるか」
「おじゃましまーす!」

 実際に見た方が早いか。



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お知らせにも書きましたが、やっとパソコンが触れました。今日から復帰しますのでよろしくお願いします。
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