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後宮入り
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白い壁に白い床。
埃もない清潔な場所はそこに住まう人々の心とは真逆にどこまでも清廉さを見る者へと印象を与える。
例えそこに悪に染まる人々がいても民衆には届くことはない。
「ふん!落ちぶれ伯爵の娘…わきまえなさい!」
「厚塗りせねばならぬ顔なぞはしたなくないのかしら?」
後宮には毎日のように貴族の娘たちが送られる。
そのほとんどは一週間も経たずに親元へと逃げ帰っている。
一番最初に後宮入りした者でも早一ヶ月。
未だに王太子との面会が叶わず、様々な屈折した思いは、貴族の派閥や身分の違いという親を見てきた娘たちが吐き出し先を見つけるのに時間はかからなかった。
今もまた地方の伯爵の娘が来たということで、彼女たちは歓迎会を開くことにした。
主賓である伯爵の娘はすらりと背が高く、茶色の髪に少し厚めに塗った化粧をしていてもなかなかの器量であると彼女たちは見抜いた。
地方や名も知らぬ貴族が王太子との縁を祈って送ってくる娘をいじめているのは王都に近い貴族や身分の高い者たちだけだ。
彼女たちも派閥の中で少しでも上になろうと互いを傷つけあっている。
それでも、まとめ役は必要である。
「まぁまぁ、みなさん。せっかく自然豊かで私たちとは異なるお方ですよ?一緒にするのはおかわいそうでなくて?」
言外に田舎者は貴族ではないと言い切ったのは、マリーゼ・ド・デュボル。デュボル公爵家の娘であり、王妃候補の筆頭である。
重たいものを持ったこともない、白磁の指先。小柄でくるくると巻いたプラチナブロンドと緑色の瞳から『神の作った人形』と社交界を騒がす令嬢である。
「お近づきの品を持って参りました。これは私からの贈り物です。どうぞご賞味なさって」
使用人に持たせていた木箱を床に座らされている彼女の前に置く。
開けろ。
彼女や取り巻きたちからの視線がそういっていることに気づいた伯爵の娘はおそるおそるてを伸ばした。
そこにいたのは太くとぐろを巻いた一匹の蛇であった。
彼女は口許を押さえた。
「あら?どぶねずみを食べるよりはましでなくて?…ふふ」
笑って去っていく女たちを見送り、伯爵の娘は一人ぽつんと呟いた。
「…うまそうだ」
急いで押さえたが、溢れるよだれが彼女の口許から、ぽとりと落ちた。
「うちの領主様は馬鹿なんですね。知ってましたけど!」
バルティエヌ家筆頭文官であるヨハンが今日も主であるバルティエヌ公爵を怒鳴り付けている。
彼が領主としてバルティエヌ公爵を呼ぶのには深い理由がある。
ヨハンは文官であるが元は農民の息子だ。普通ならば文官になどなれるわけがない。たまたまバルティエヌ公爵と腐れ縁になってしまったがゆえに、彼は三十年以上も頭を痛め続けている。
「父上がいっておったぞ。『適材適所』良い言葉だ」
「どこに『明日、娘を後宮にいれるから準備してくれ』なんていう公爵がいるんですか!領主様は『適材適所』ではなくめ『適当采配』です!」
「おお、知らぬ言葉ぞ…やはりお主は優秀だな!」
「ええい!本気でほめてる場合ですか!このすかぽんたん!」
部下たちとやっと終えた決裁書をまとめているときに急に現れた公爵に対して、十分間ほど怒鳴り付けているヨハンをよそに、部下たちは仕事を続ける。
バルティエヌ公爵家の領地は鉄がとれるくらいでろくな資源がない。王都ちかくではあるのだが、山々が無駄に多い領地の中ではハズレになる。
ヨハンを始め他の文官たちはそれでも故郷を思いできる限りの手を使い、国税を一度足りとも遅れさせたことはない。
「なんで、先代様の知性を受け継がないのかな、うちの領主様は」
「悪い人ではないんだけどね」
「どこでも知らずに喧嘩を売りに行って殲滅してくるから。今回もどっかで変な噂を聞いたみたいだ」
部下の一人が思うのは、公爵の悪癖だ。何となく思いついて行動をする。それが上手くいくからたちが悪い。
山に行って訓練だと穴を掘れば温泉が湧き、今では観光地として貴重な税収先にしてみたと思えば、山に生えている実を勝手に食べて汚した服から染め物を始めてバルティエヌ染めなんてものを作ってみたり。
有益ではあるが、観光地や郷土品を作ればその分の行政の取り締まりをせねば利益を掠め取ろうとする者たちがでかねない。治安の悪化や類似品の横行を防ぐために徹夜を何度もしているとのは文官たちだ。
とくに筆頭は新婚なのにほとんど家に帰れていない。それどころか元々公爵家のメイドであった妻を公爵が呼んで、公爵家の一室で新婚生活を送っている。
「筆頭様…幼馴染だからずっと筆頭なんだぜ…あとで栄養剤を渡そう。長生きしてもらわねば…お子さんも産まれるんだしな」
「俺らで公爵様の相手はできないからな…お子さんが男の子なら文官になってくれないかな」
「俺は…息子を親の跡を継がせて靴屋にさせるわ…文官だけはだめだ…」
部下たちの会話を聞くこともせずにヨハンは公爵の要望への答えを出す。
「…まぁ、ここ最近は特にきな臭かったので、私も動いておりました…いつ領主様の無茶ぶりがくるかと念のために用意しておりましたよ」
国がおかしくなっているのはわかっている。領地の者たちだけが守れるなら他国が攻めてこようがどうでもよかった。
ただ、バルティエヌ公爵は必ず戦をするだろう。一人であるなら役に立たなくても供をしてもよいが、妻子ができた今の自分ではこの幼馴染は連れていかぬだろう。
であるなら、彼が珍しく自分の考えに近いことをするのに乗らぬ手はない。
ヨハンは王家に近づく貴族の中に売国者がいるのはわかっている。だが、それがどこの貴族かはわからない。あまりにも多いというのではない。黒幕がまったくつかめないのだ。
ただ、王太子の命がなくなれば戦が始まるという情報は得た。
バルティエヌ公爵が動かねばどこかで自ら公爵へ進言しようとも思っていた。王太子の身を守れるのはリコレッタしかいない。
そのために色々な用意は準備していた。
「はい、これはお嬢様の新しい戸籍です。奥様のご実家にあったモルテ伯爵の娘にしてます。後宮にもすでに手配済みです。くれぐれも公爵家の娘と知られぬように…って、お嬢様は?」
「リコレッタは山へしし狩りに」
「どこまで馬鹿なんでしょ!この父娘は本当に!なに山へ行かせてるんですか!」
直接注意をしておこうと思えば、当人は山篭りをしている。
「いつ戻るんです?」
「明日」
「明日には後宮でしょう!ちょっとそこ!お嬢様用の鷹を飛ばしてすぐに戻るようにいいなさい。はやく!」
部下にリコレッタを山から呼び戻すようにいってから、一時間ほど説教が始まる。
初めて出会った十歳の頃からずっと振り回されてきたという愚痴を話し出したあたりで、公爵は目を開けながら眠りだしたのだった。
「とにかく!お嬢様は黙っていれば美人です。日焼けして山猿みたいですが、化粧で誤魔化します。というか、誤魔化せるように腕利きのメイドをつけます。髪だってかつらがあります。これで美人になりますから、化粧は凄いですね…ですがね…」
「ん、おう」
どうやら説教が終わったのかと目を覚ました。寝ながらも相づちを打っていたことを公爵は知らない。
「領主様が、訓練で潰した喉は戻らないんです!変声期してるみたいじゃないですか!お嬢様ですよ!一応!あと口調!黙らせておかないとろくなことになりません!絶対に、黙らす!そして普段の姿は見せない!これを守らせてください!」
訓練で潰したとは、掛け声のことだろう。組み手でも確かに潰したが…はて?
と公爵は記憶を辿るが思い出せない。
毎日、半日ほど声を出さねば力が入らぬと声を出させつづければ喉も太くなる。
「うむ。大丈夫だ。後宮に送るときに他の女人の如くオシトヤカにせよと申してこう」
「…不穏な気配があるいい方ですがおしとやかにさせてください」
忍やかと公爵家はいっているのを彼は薄々感づいている。
公爵は娘を王太子の護衛として、影から後宮の毒牙から守らせようと考えたのだ。
そこには他にもオシトヤカな女人がおり、日夜戦をしていると聞き及ぶ。オシトはなにかを調べれば忍とわかり、つまり忍んで守るという風に考えたのだ。
手に取った辞書が実は古語辞典とは公爵は気づいていない。彼はなんとなくで生きてきている。
ヨハンが手元の胃薬を飲もうと口に含んだときである。
「父上!やりましたぞ!」
「ぶほぉ」
「なんとでかした!よき土産ぞ!」
丸々と肥えた成人男性ほどの体重がある猪を担いでリコレッタは現れた。
「…神様、どうぞお嬢様がおとなしく…は無理でも何も起こさないようにしてください」
ヨハンの祈りを神が聞いたかはわからないが、計画通りにバルティエヌ公爵家とは知られずに後宮に入ることに成功した。
「後宮とはよきところであるな!…しかし、まずはどこぞの水場で捌いて…この格好では汚れるな。着替えてからにしよう」
残念なことではあるが、ヨハンの胃薬は増えるだろう。
さっそく約束事を忘れて彼女はうきうきと贈り物をいかにして食べるかを考えていた。
埃もない清潔な場所はそこに住まう人々の心とは真逆にどこまでも清廉さを見る者へと印象を与える。
例えそこに悪に染まる人々がいても民衆には届くことはない。
「ふん!落ちぶれ伯爵の娘…わきまえなさい!」
「厚塗りせねばならぬ顔なぞはしたなくないのかしら?」
後宮には毎日のように貴族の娘たちが送られる。
そのほとんどは一週間も経たずに親元へと逃げ帰っている。
一番最初に後宮入りした者でも早一ヶ月。
未だに王太子との面会が叶わず、様々な屈折した思いは、貴族の派閥や身分の違いという親を見てきた娘たちが吐き出し先を見つけるのに時間はかからなかった。
今もまた地方の伯爵の娘が来たということで、彼女たちは歓迎会を開くことにした。
主賓である伯爵の娘はすらりと背が高く、茶色の髪に少し厚めに塗った化粧をしていてもなかなかの器量であると彼女たちは見抜いた。
地方や名も知らぬ貴族が王太子との縁を祈って送ってくる娘をいじめているのは王都に近い貴族や身分の高い者たちだけだ。
彼女たちも派閥の中で少しでも上になろうと互いを傷つけあっている。
それでも、まとめ役は必要である。
「まぁまぁ、みなさん。せっかく自然豊かで私たちとは異なるお方ですよ?一緒にするのはおかわいそうでなくて?」
言外に田舎者は貴族ではないと言い切ったのは、マリーゼ・ド・デュボル。デュボル公爵家の娘であり、王妃候補の筆頭である。
重たいものを持ったこともない、白磁の指先。小柄でくるくると巻いたプラチナブロンドと緑色の瞳から『神の作った人形』と社交界を騒がす令嬢である。
「お近づきの品を持って参りました。これは私からの贈り物です。どうぞご賞味なさって」
使用人に持たせていた木箱を床に座らされている彼女の前に置く。
開けろ。
彼女や取り巻きたちからの視線がそういっていることに気づいた伯爵の娘はおそるおそるてを伸ばした。
そこにいたのは太くとぐろを巻いた一匹の蛇であった。
彼女は口許を押さえた。
「あら?どぶねずみを食べるよりはましでなくて?…ふふ」
笑って去っていく女たちを見送り、伯爵の娘は一人ぽつんと呟いた。
「…うまそうだ」
急いで押さえたが、溢れるよだれが彼女の口許から、ぽとりと落ちた。
「うちの領主様は馬鹿なんですね。知ってましたけど!」
バルティエヌ家筆頭文官であるヨハンが今日も主であるバルティエヌ公爵を怒鳴り付けている。
彼が領主としてバルティエヌ公爵を呼ぶのには深い理由がある。
ヨハンは文官であるが元は農民の息子だ。普通ならば文官になどなれるわけがない。たまたまバルティエヌ公爵と腐れ縁になってしまったがゆえに、彼は三十年以上も頭を痛め続けている。
「父上がいっておったぞ。『適材適所』良い言葉だ」
「どこに『明日、娘を後宮にいれるから準備してくれ』なんていう公爵がいるんですか!領主様は『適材適所』ではなくめ『適当采配』です!」
「おお、知らぬ言葉ぞ…やはりお主は優秀だな!」
「ええい!本気でほめてる場合ですか!このすかぽんたん!」
部下たちとやっと終えた決裁書をまとめているときに急に現れた公爵に対して、十分間ほど怒鳴り付けているヨハンをよそに、部下たちは仕事を続ける。
バルティエヌ公爵家の領地は鉄がとれるくらいでろくな資源がない。王都ちかくではあるのだが、山々が無駄に多い領地の中ではハズレになる。
ヨハンを始め他の文官たちはそれでも故郷を思いできる限りの手を使い、国税を一度足りとも遅れさせたことはない。
「なんで、先代様の知性を受け継がないのかな、うちの領主様は」
「悪い人ではないんだけどね」
「どこでも知らずに喧嘩を売りに行って殲滅してくるから。今回もどっかで変な噂を聞いたみたいだ」
部下の一人が思うのは、公爵の悪癖だ。何となく思いついて行動をする。それが上手くいくからたちが悪い。
山に行って訓練だと穴を掘れば温泉が湧き、今では観光地として貴重な税収先にしてみたと思えば、山に生えている実を勝手に食べて汚した服から染め物を始めてバルティエヌ染めなんてものを作ってみたり。
有益ではあるが、観光地や郷土品を作ればその分の行政の取り締まりをせねば利益を掠め取ろうとする者たちがでかねない。治安の悪化や類似品の横行を防ぐために徹夜を何度もしているとのは文官たちだ。
とくに筆頭は新婚なのにほとんど家に帰れていない。それどころか元々公爵家のメイドであった妻を公爵が呼んで、公爵家の一室で新婚生活を送っている。
「筆頭様…幼馴染だからずっと筆頭なんだぜ…あとで栄養剤を渡そう。長生きしてもらわねば…お子さんも産まれるんだしな」
「俺らで公爵様の相手はできないからな…お子さんが男の子なら文官になってくれないかな」
「俺は…息子を親の跡を継がせて靴屋にさせるわ…文官だけはだめだ…」
部下たちの会話を聞くこともせずにヨハンは公爵の要望への答えを出す。
「…まぁ、ここ最近は特にきな臭かったので、私も動いておりました…いつ領主様の無茶ぶりがくるかと念のために用意しておりましたよ」
国がおかしくなっているのはわかっている。領地の者たちだけが守れるなら他国が攻めてこようがどうでもよかった。
ただ、バルティエヌ公爵は必ず戦をするだろう。一人であるなら役に立たなくても供をしてもよいが、妻子ができた今の自分ではこの幼馴染は連れていかぬだろう。
であるなら、彼が珍しく自分の考えに近いことをするのに乗らぬ手はない。
ヨハンは王家に近づく貴族の中に売国者がいるのはわかっている。だが、それがどこの貴族かはわからない。あまりにも多いというのではない。黒幕がまったくつかめないのだ。
ただ、王太子の命がなくなれば戦が始まるという情報は得た。
バルティエヌ公爵が動かねばどこかで自ら公爵へ進言しようとも思っていた。王太子の身を守れるのはリコレッタしかいない。
そのために色々な用意は準備していた。
「はい、これはお嬢様の新しい戸籍です。奥様のご実家にあったモルテ伯爵の娘にしてます。後宮にもすでに手配済みです。くれぐれも公爵家の娘と知られぬように…って、お嬢様は?」
「リコレッタは山へしし狩りに」
「どこまで馬鹿なんでしょ!この父娘は本当に!なに山へ行かせてるんですか!」
直接注意をしておこうと思えば、当人は山篭りをしている。
「いつ戻るんです?」
「明日」
「明日には後宮でしょう!ちょっとそこ!お嬢様用の鷹を飛ばしてすぐに戻るようにいいなさい。はやく!」
部下にリコレッタを山から呼び戻すようにいってから、一時間ほど説教が始まる。
初めて出会った十歳の頃からずっと振り回されてきたという愚痴を話し出したあたりで、公爵は目を開けながら眠りだしたのだった。
「とにかく!お嬢様は黙っていれば美人です。日焼けして山猿みたいですが、化粧で誤魔化します。というか、誤魔化せるように腕利きのメイドをつけます。髪だってかつらがあります。これで美人になりますから、化粧は凄いですね…ですがね…」
「ん、おう」
どうやら説教が終わったのかと目を覚ました。寝ながらも相づちを打っていたことを公爵は知らない。
「領主様が、訓練で潰した喉は戻らないんです!変声期してるみたいじゃないですか!お嬢様ですよ!一応!あと口調!黙らせておかないとろくなことになりません!絶対に、黙らす!そして普段の姿は見せない!これを守らせてください!」
訓練で潰したとは、掛け声のことだろう。組み手でも確かに潰したが…はて?
と公爵は記憶を辿るが思い出せない。
毎日、半日ほど声を出さねば力が入らぬと声を出させつづければ喉も太くなる。
「うむ。大丈夫だ。後宮に送るときに他の女人の如くオシトヤカにせよと申してこう」
「…不穏な気配があるいい方ですがおしとやかにさせてください」
忍やかと公爵家はいっているのを彼は薄々感づいている。
公爵は娘を王太子の護衛として、影から後宮の毒牙から守らせようと考えたのだ。
そこには他にもオシトヤカな女人がおり、日夜戦をしていると聞き及ぶ。オシトはなにかを調べれば忍とわかり、つまり忍んで守るという風に考えたのだ。
手に取った辞書が実は古語辞典とは公爵は気づいていない。彼はなんとなくで生きてきている。
ヨハンが手元の胃薬を飲もうと口に含んだときである。
「父上!やりましたぞ!」
「ぶほぉ」
「なんとでかした!よき土産ぞ!」
丸々と肥えた成人男性ほどの体重がある猪を担いでリコレッタは現れた。
「…神様、どうぞお嬢様がおとなしく…は無理でも何も起こさないようにしてください」
ヨハンの祈りを神が聞いたかはわからないが、計画通りにバルティエヌ公爵家とは知られずに後宮に入ることに成功した。
「後宮とはよきところであるな!…しかし、まずはどこぞの水場で捌いて…この格好では汚れるな。着替えてからにしよう」
残念なことではあるが、ヨハンの胃薬は増えるだろう。
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