青春の果て ~僕1人だけいつも全裸~

夜成たいき

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いきさつ

僕と須美さんとの、この関係性は、今で4ヶ月くらいだと思う。
須美さんのことは高校一年の時から知ってはいたけど、それは同じ学校に通っていることを知っている程度で、まさか今のような関係性になるなんて想像したこともなかったし、そもそも僕は、もともと自分が変態だという自覚はなかったし、今でも、須美さんとの関係性が特殊なだけだと思っている面もある。

高校2年に進級して、クラス替えで須美さんと同じクラスになっても、時々話をする程度で特別に仲が良い女子というわけではなかったし、僕が勝手に「可愛い子だな」と思ったり、「こんな子と付き合えたらいいな」と考えたりしたことはあったかもしれないけど、少なくとも須美さんが同級生の男子に、自分の目の前で裸で居るように命じる子だ、などという想像をしたことは、全くなかった。

僕たちは、どちらからか相手に近づいたり、どちらからか今のような関係性になることを打診したことはない。
逆に言えば、意識の深い部分で、どちらも望んでいたから必然としてこうなったのかもしれない。
けれど須美さんに聞いて確かめたことはないから、僕の主観でただそう思っているだけだ。


僕の通う高校は商業高校で、クラスメイトは女子がほとんどだ。男子は僕を入れて4人だけだ。
女子比率が高いと、男子は肩身が狭くて心細いから、自然と男子4人で固まって過ごすことが多いし、居場所を間違えると大勢の女子の中で空気を演じる羽目になりかねない。

ある日の、体育祭の練習前に、僕が男子の輪からはぐれたから、そこから歯車が狂ったんだ...。

その日、体操着に着替える前にちょっとトイレに行ってる間に、男子の輪からはぐれてしまった僕は、仕方なく男子更衣室で一人、体操着に着替えていた。

何の気なしに、ふと目をやると、その更衣室の中のベンチの上に、誰のものとも知れない、置きっぱなしの週刊少年マンガがあった。
表紙に映っている女性は水着姿で、魅力的なバストやヒップを見せつけるようなポーズをとっており、僕の股間はたちまち反応した。
僕だけじゃないと思う。この状況で、男なら誰だって僕と同じ反応は起きると思う。

その時更衣室に居たのは偶然僕一人だけだったし、誰に見られるわけでもない。今まで一度もしたことはないけど、学校でしたら気持ちよさそうだなぁと思ったことはあった。

そのチャンスが偶然訪れたから、自然とそうしてしまったんだ。

まさか近くに人の気配はなかったし、誰も入ってくるはずない。
しかもそれが女子であることなんて、あり得ない。
だって男子と女子の更衣室はそもそも階が違う。今までも、女子が入ってきたことなんて一度もないし、入ってくるはずないんだ。

でも、階を間違えた女子が物音一つ立てずに更衣室の扉を開けて入ってきた。
それが須美さんだったんだ ...。

僕のあられもない姿を目にした須美さんは、学校中に響き渡るかと思うほどの、けたたましい声をあげると、一目散に更衣室から飛び出していった。

僕は一瞬、何が起きたのかわからなかったけど、走っていく須美さんを追いかけることもできず呆然と立ち尽くしている内、激しい動揺に襲われた。

僕の頭の中に真っ先に浮かんできたことは、裸を見られたことそのものよりも、ひょっとして須美さんは、僕が女子更衣室に忍び込んで、いかがわしい行為をしていたと思い込んでいるんじゃないかということだった。

須美さんが間違えて入ってきたということは、須美さんはそこが女子更衣室だと思い込んでいるはずだし、僕を見てすぐに飛び出していったから、あの一瞬では自分が間違えた事には気付いてないんじゃないか、ということを考えた。
それに、仮に須美さんが、間違えて男子更衣室に入ったことに気付いてくれたとしても、更衣室の中で僕がしていた行為は紛れもない事実である以上、そのことを先生に言われたら同じことじゃないか...。

僕の脳裏には、「退学」の文字と、ニュース番組で事件として報じられる映像が、何度も行ったり来たりしていた...。

僕は体操着に着替え終わった後、恐怖のあまり更衣室から出るに出られなかった。
でも多分、5分もしない内に、更衣室の扉をノックする音と共に、聞き覚えのある生活指導の中原先生の声が聞こえてきた。

「お~い。優太ぁ。入るぞぉ?」

ガチャ

中原先生は、言うと同時に、こちらの返事も待たずに、更衣室に入ってきた。

僕は、中原先生の第一声を、固唾を飲んで待った。

「 いやぁ~。災難だったなぁ、優太。」
中原先生は表情を崩し、ニコニコしながら言った。
「須美から聞いたぞ。『私自分が間違えて男子更衣室に入ってしまったことに気づかずに、優太くんが女子更衣室に居るんだと思って、とっさに悲鳴を上げてしまったんです。悪いのは私の方だったのに、中原先生ごめんなさい。優太くんには後で自分で直接謝りますから、中原先生男子更衣室に迎えに行ってあげていただけませんか?優太くん驚いてると思うし。』だとよ。 最初悲鳴が聞こえて、須美が走ってきた時には、女性教諭たちが只事じゃないって血相変えてよ。俺もてっきり須美が男子生徒にいたずらでもされたのかと思って、背中が冷たくなったよ。」

中原先生は「傑作、傑作」と言って、陽気に笑って僕の背中をバンッと叩いた。
「さぁ優太!体育祭の練習だろ?いつまでボサッとしてるんだ?行った。行った。」

僕が安堵したのは束の間のこと、次の瞬間襲ってきた感情は、

...同級生の女子生徒に、本来決して見せることのないはずの男の姿を、僕は、須美さんに見られてしまった...。

という、羞恥心だった...。
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