LARGE NUMBER SQUAD

エルマー・ボストン

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第一章 ラージナンバースクワッド、活動の記録

参謀・本間 善太の怒り

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「(ふ、ふふふ!久しぶりのチーズバーガーだ…!6個も買ってしまった!早く帰って、茜と一緒に食べよう!)」

善太の心は軽やかだった。
身体中の筋肉が踊り狂っているかのような、そんな楽しげな気分。
彼は今、この一月の中で最も輝いている。

そんな最中だった。

「榊原だ。…本間参謀、非番のところ申し訳ない。『フェーズ3』が出た。」

一茶子からの緊急通信が入る。

「司令、お疲れ様です。
…は、はい。それで、私は…何を。」

善太の軽やかなステップが、一瞬にして凍りつく。
イヤな予感しかしない。

「実はかくかくしかじかだ。
本当に申し訳ないが、現場に最も近いのがキミだったため、連絡させてもらった。」

「…はい。ええ…実は、今…。」

「…ふむ、せっかくの休みなのに、無理を言って悪かったな。そもそも通信を入れること自体、躊躇ったんだ。キミはすぐムリをするからな。よし、私が出るとしよう。」

「し、司令自ら?!い、いやいやいや!
私は平気です!本間善太、直ちに現場に向かいます!」

「し、しかし…」

「久々の現場ですが、腕は衰えておりません!変身許可を!」

実行部隊の最高責任者をわざわざ現場まで出させるのは、善太にはできなかった。例え、至福のチーズバーガーが冷めてしまったとしても。



「ほーっほ!ほっほ!呆気ないですねぇ一般人諸君!!弱い弱いィィ!!」

その頃、コレイゾンは繁華街の中を闊歩し、ビルや歩道、街灯や街路樹を次々と破壊し、その傍ら末端隊員たちを片っ端からぶちのめしていた。

「くっ、アレがフェーズ3…なんて禍々しいんだ!」

「落ち着けコーラル1、大して変わらん。間もなく『スクワッド』が到着する、それまでは何とか持ち堪えるのだ。」

「弱い!実に弱い!イキがっている一般人諸君、いいザマだなァ!これは私のふくしゅ」

「キサマかァァァァァァうちの隊員たちを怪我させたのはァァァァァァァァ!!」

「グボワァァァァァァァァァァ!!」

強烈な拳が、コレイゾンの頬に見舞われる。変身し、赤だかピンクだかよくわからない色の、バッキバキに筋肉の膨れ上がったヒーロースーツに身を包んだ善太が、凄まじい速さで参上したのだ。

「あ、あれは…?!」

「スクワッド四天王の1人…マジェンタ・マジェンタだ!!」

『スクワッド』メンバーは、コンプライアンス等の観点から、戦闘時は変身が義務付けられている。
その素性は『スクワッド』メンバーとオペレーターしか把握していない。
そのため変身後は、それぞれに授けられた『コードネーム』で呼称されるのだ。

「私は今…猛烈に怒っている!この怒り…存分に味わってもらうぞォォォォォォォォォ!!」

「ゲはァァァァァァァァァァァァ!!」

マジェンタ・マジェンタはコレイゾンを抱え上げ、投げた。

そしてまた、投げた。

次の瞬間、投げた。

さらに、投げた。

彼の異名は「投げの鬼」である。


「どうした!もう終わりか?!」

「ひ、ひぃ…許して…。」

「あぁ許してやるとも!『スカラー化』はキサマのせいではないからな!」

そう言って、泣きじゃくる怪人をさらに抱え上げるマジェンタ・マジェンタ。
そしてそのまま天高く舞い上がり、きりもみ回転を加えながら、猛スピードで真っ逆さまに降下を始めた。

『スクワッド』のメンバーはスカラー線の影響を受けているため、己の力を最大限に発揮することにより、悪意で汚染された相手のスカラー線を中和することができるのだ。

「だが!一瞬の悪意に惑わされてしまった事実は!痛みで清算するべきだ!!
あとは!俺のささやかな楽しみを奪った…つまりは食い物の恨みを晴らさせてもらう!!

トドメ!!

『マジェンタ・ジャスティス・フォォォォォォォォォォォル』!!」


街中に、爆音が響き渡る。



「あ、お兄ちゃんお帰り。今日お休みでしょ、どこ行ってたの?お仕事の呼び出し?」

「おお茜、帰っていたか。いやぁ、久しぶりにハンバーガーが食べたくなってな。お前の分もと思って、買いに行っていたんだ。」

帰宅した善太は、すっかり冷めてしまったチーズバーガーの入った袋を笑顔でちらちらと振って見せ、テーブルの上に置いた。

「やったぁ気が利くゥ!うわ、冷た…どこまで買いに行ってたの?
…まさか、また帰り道で人助けしてたの?」

茜は冷めたチーズバーガーを全て取り出し、テーブルの上に並べる。
それを訝しんだあと、ハッとした表情で善太を振り返り見た。

「ははは、そうなんだよ。転んで怪我をした人がいたんだが、それが何と職場の同僚でな…。」

「やっぱり。じゃしょうがないね、お兄ちゃんだもんなぁ。レンチンすればいっか!」

恥ずかしそうに頭をポリポリと掻く善太と、その様子をからかうように笑う茜。
ささやかながら、善太は幸せを享受していた。

「チンできたよ!じゃ、いただきまーす!」

善太と茜は、しなしなになったチーズバーガーを、仲良く頬張った。
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