11 / 18
第ニ章 スカラー化、頻発の兆し
局長・堂島 聖司の災難
しおりを挟む
「えー、というわけで。
最新の研究結果によりまして、『怪人無法地帯』…もう間もなく起こりそうだなぁ、という感じですね。」
堂島 聖司 38歳
既婚、子持ち。
座右の銘は
「キッチリやることやってとっとと帰る」。
研究・開発が生き甲斐であるが、誰よりも何よりも、家族を1番に愛している。
そのため、彼が最高責任者である
『科学技術局』が、組織の中で最もホワイトな部署なのだ。
基本残業は無し。休日出勤はごく稀、年に1度あるか無いかである。
その他、有休や産休、育休の取得はバリバリに推奨している。
「我々にとって
『ヒマなことは良いことだ』
と思ってずっとやって来たけど、ついにこの時が来ましたかァー。
でも、榊原くんや堂島くん、本間くんを始めとするみんなのおかげで、対策が進んで…被害を以前よりは抑えることができそうですねェ…。」
ここはミーティングルーム。
中央に浮かぶホログラム・データを囲むように座り、参照しながら、聖司の解説を受け入れていく、欣二、一茶子、善太の3人。
「(良かった…俺の名前、入れてくれた…。忘れられてるかと思っていた。)」
「堂島局長、『間もなく』と言うと抽象的だが…。具体的な時期はわからないのですか?」
神妙な面持ちで胸を撫で下ろす善太と、真剣な眼差しで、みんなの愛猫ザ・ボスを抱き抱えて問いかける一茶子。
「勿論わかってますよ。ちょうど1年後…
来年の『七夕』の日ですな。この日にスカラー線量の増加が見込まれますので。」
ホログラム・データをスカラー線量についてまとめたものが、ルーム中央に表示される。
「ふむ…そこまでわかっているとは、流石ですねェ。…ちなみに、スカラー線量を減少させる、例の『バリア』の開発の進捗は、いかがですゥ?」
欣二は静かに緑茶をすする。
「それがそのォ…。開発は順調なんですが、『異能』による協力を仰ぐのが
よりにもよって『あの2人』なんで…
わりと難航してるんですよね…。
そこで、いくつかお願いがあるんですけど…。」
「初めまして、だよね?
僕のこと、知ってる?『組織の広告塔』って言えば分かるかな?
呼ばれたから仕方なく来たんだけど、おかげでキミみたいな可愛い子と知り合えた!来てよかったなぁ!
…今日この後、ヒマ?」
「おお~、久しぶりに来たが、白衣の別嬪さんがぎょうさんいるじゃないのォ~。
お嬢ちゃん、ちょっとお話せん?
お偉いさん方がさァ、こんな老体捕まえてさァ、わざわざここまで来させるんだよォ!
可哀想だと思わんかァ?」
「全く…ちょっと目を離せばコレだ…。」
ミーティングを終えた聖司は、善太に頼んで、共に科学技術局にやって来た。
そして2人が見たものは、
若い女性局員にちょっかいを出す、
イケメンと老人の姿であった。
「私が来ても邪魔になるだけかと思いましたが…来てよかった。」
すぐさま2人に睨みを効かせる善太。
が、イケメンと老人は善太に一瞬目を向けるも、意に介さず局員を口説き続ける。
「はいはい、やめたやめた。ウチの子たち困ってるから。」
イライラしながら、手を強くパンパンと叩き、注意を促す局長。
が、それでもやはり、2人は言うことを聞くことはなかった。
イケメンの方は
相津 幸太郎
25歳。
広報部に所属する『スクワッド』である。そのルックスとファッションセンスで、自他ともに認める『広告塔』なのだが…
内面はご覧の通りである。
老人の方は
大河内 大五郎
88歳。
ラージナンバースクワッド創設メンバーであり、最長老である。
本来であれば長官を務めるほどの人物なのだが、『柄じゃない』と言って自ら辞退している。大正解であろう。
「やめなさい本当に!!
いい加減!今日こそ研究に協力してもらいますよ!!私らには、時間が残されて無いんだから!!」
善太が直立と厳しい目つきで見守る中、聖司は困り果てて半ば涙目になった女性局員に目線で合図を送り、その場から避難させた。そしてその場を去る局員たちに向かい手を合わせ、『ゴメン』とジェスチャーを送り、ひとまず不真面目コンビを椅子に座らせる。
「だからァ~、前も言ったじゃないですか堂島さん。僕、広報の業務で忙しいんですってば~。
どうせアレでしょう?司令の
『テレポートボム』みたいに、異能使うと疲れるやつでしょう?
僕そういうのイヤですって~。」
モデル体型のイケメンは、困り顔で自慢の金髪を掻き上げて見せる。
「俺ァ、見ての通りのじいさんだからよぅ?あんまり無理させないでほしいのよ。長生きできないと困るからなァ。」
腰の曲がったヨボヨボのじいさんは、つるつるのハゲ頭をペチペチと叩きながら戯ける。
「そう言うと思ってました。だから今回は『テレポートボム』とは違い、お2人の能力を『込める』のではなく、
『解析』して『再現』するんです。
地球を覆うほどのバリアですからね。そんなの発動し続けたり、定期的に能力の補給なんてしてたら、死んじゃいますから。」
ボサボサ頭をボリボリ掻きながら、苦手な2人を前にして怪訝な表情を浮かべる聖司。だが、地球を守るために、背に腹はかえられない。
聖司は手元にホログラムを表示させ、2人に見せながら解説を行なう。どうせ分かってなどいないだろうが。
「え~?死んじゃうほど危ないことさせようってこと~。だからイヤですって~?」
「そーじゃいそーじゃい。」
やいのやいのと五月蝿い、不真面目な2人。静かに見守る善太も、額に血管を浮かばせるほどにピクピクしている。
「はぁ。相変わらず、他人の話を聞かない連中だ。ま、分かってましたから?
今回はお2人の説得の…趣向を変えようと思いましてね。
…変身して、私と勝負しましょう。」
聖司のその言葉を聞き、表情を変える、善太を始めとする3人。
「…大丈夫、許可は得ています。
で、アナタ方が勝ったら、協力してくれなくて良いです。
で、その上の極め付け。
なんとなんと、秩父さんがお2人と1回ずつデートしてくれまーす。」
聖司のその言葉を聞き、より一層表情を変える3人。不真面目コンビ2人に至っては、驚きと興奮で真っ赤になり、顔だけ劇画になったのかと思うほどに、変わるに変わっていた。
善太の方は「正気か?!」という表情ではあるが。
秩父 真帆 24歳。
今この場にはいないが、相津と同じく広報部(女性部門)に所属している美女。
その可憐さと裏表の無い明るい性格で、
組織内外で絶大な人気を誇る、まさに
『アイドル』な存在である。そして巨乳。
そんな真帆が、今まで口説きに口説いても軽くあしらわれてきた真帆が、
デートしてくれる。
それだけで、2人は乗らないワケがなかった。
「で僕が勝ったら、お2人は大人しく、文句を言わずに僕らに協力する。
…良いですね?」
最新の研究結果によりまして、『怪人無法地帯』…もう間もなく起こりそうだなぁ、という感じですね。」
堂島 聖司 38歳
既婚、子持ち。
座右の銘は
「キッチリやることやってとっとと帰る」。
研究・開発が生き甲斐であるが、誰よりも何よりも、家族を1番に愛している。
そのため、彼が最高責任者である
『科学技術局』が、組織の中で最もホワイトな部署なのだ。
基本残業は無し。休日出勤はごく稀、年に1度あるか無いかである。
その他、有休や産休、育休の取得はバリバリに推奨している。
「我々にとって
『ヒマなことは良いことだ』
と思ってずっとやって来たけど、ついにこの時が来ましたかァー。
でも、榊原くんや堂島くん、本間くんを始めとするみんなのおかげで、対策が進んで…被害を以前よりは抑えることができそうですねェ…。」
ここはミーティングルーム。
中央に浮かぶホログラム・データを囲むように座り、参照しながら、聖司の解説を受け入れていく、欣二、一茶子、善太の3人。
「(良かった…俺の名前、入れてくれた…。忘れられてるかと思っていた。)」
「堂島局長、『間もなく』と言うと抽象的だが…。具体的な時期はわからないのですか?」
神妙な面持ちで胸を撫で下ろす善太と、真剣な眼差しで、みんなの愛猫ザ・ボスを抱き抱えて問いかける一茶子。
「勿論わかってますよ。ちょうど1年後…
来年の『七夕』の日ですな。この日にスカラー線量の増加が見込まれますので。」
ホログラム・データをスカラー線量についてまとめたものが、ルーム中央に表示される。
「ふむ…そこまでわかっているとは、流石ですねェ。…ちなみに、スカラー線量を減少させる、例の『バリア』の開発の進捗は、いかがですゥ?」
欣二は静かに緑茶をすする。
「それがそのォ…。開発は順調なんですが、『異能』による協力を仰ぐのが
よりにもよって『あの2人』なんで…
わりと難航してるんですよね…。
そこで、いくつかお願いがあるんですけど…。」
「初めまして、だよね?
僕のこと、知ってる?『組織の広告塔』って言えば分かるかな?
呼ばれたから仕方なく来たんだけど、おかげでキミみたいな可愛い子と知り合えた!来てよかったなぁ!
…今日この後、ヒマ?」
「おお~、久しぶりに来たが、白衣の別嬪さんがぎょうさんいるじゃないのォ~。
お嬢ちゃん、ちょっとお話せん?
お偉いさん方がさァ、こんな老体捕まえてさァ、わざわざここまで来させるんだよォ!
可哀想だと思わんかァ?」
「全く…ちょっと目を離せばコレだ…。」
ミーティングを終えた聖司は、善太に頼んで、共に科学技術局にやって来た。
そして2人が見たものは、
若い女性局員にちょっかいを出す、
イケメンと老人の姿であった。
「私が来ても邪魔になるだけかと思いましたが…来てよかった。」
すぐさま2人に睨みを効かせる善太。
が、イケメンと老人は善太に一瞬目を向けるも、意に介さず局員を口説き続ける。
「はいはい、やめたやめた。ウチの子たち困ってるから。」
イライラしながら、手を強くパンパンと叩き、注意を促す局長。
が、それでもやはり、2人は言うことを聞くことはなかった。
イケメンの方は
相津 幸太郎
25歳。
広報部に所属する『スクワッド』である。そのルックスとファッションセンスで、自他ともに認める『広告塔』なのだが…
内面はご覧の通りである。
老人の方は
大河内 大五郎
88歳。
ラージナンバースクワッド創設メンバーであり、最長老である。
本来であれば長官を務めるほどの人物なのだが、『柄じゃない』と言って自ら辞退している。大正解であろう。
「やめなさい本当に!!
いい加減!今日こそ研究に協力してもらいますよ!!私らには、時間が残されて無いんだから!!」
善太が直立と厳しい目つきで見守る中、聖司は困り果てて半ば涙目になった女性局員に目線で合図を送り、その場から避難させた。そしてその場を去る局員たちに向かい手を合わせ、『ゴメン』とジェスチャーを送り、ひとまず不真面目コンビを椅子に座らせる。
「だからァ~、前も言ったじゃないですか堂島さん。僕、広報の業務で忙しいんですってば~。
どうせアレでしょう?司令の
『テレポートボム』みたいに、異能使うと疲れるやつでしょう?
僕そういうのイヤですって~。」
モデル体型のイケメンは、困り顔で自慢の金髪を掻き上げて見せる。
「俺ァ、見ての通りのじいさんだからよぅ?あんまり無理させないでほしいのよ。長生きできないと困るからなァ。」
腰の曲がったヨボヨボのじいさんは、つるつるのハゲ頭をペチペチと叩きながら戯ける。
「そう言うと思ってました。だから今回は『テレポートボム』とは違い、お2人の能力を『込める』のではなく、
『解析』して『再現』するんです。
地球を覆うほどのバリアですからね。そんなの発動し続けたり、定期的に能力の補給なんてしてたら、死んじゃいますから。」
ボサボサ頭をボリボリ掻きながら、苦手な2人を前にして怪訝な表情を浮かべる聖司。だが、地球を守るために、背に腹はかえられない。
聖司は手元にホログラムを表示させ、2人に見せながら解説を行なう。どうせ分かってなどいないだろうが。
「え~?死んじゃうほど危ないことさせようってこと~。だからイヤですって~?」
「そーじゃいそーじゃい。」
やいのやいのと五月蝿い、不真面目な2人。静かに見守る善太も、額に血管を浮かばせるほどにピクピクしている。
「はぁ。相変わらず、他人の話を聞かない連中だ。ま、分かってましたから?
今回はお2人の説得の…趣向を変えようと思いましてね。
…変身して、私と勝負しましょう。」
聖司のその言葉を聞き、表情を変える、善太を始めとする3人。
「…大丈夫、許可は得ています。
で、アナタ方が勝ったら、協力してくれなくて良いです。
で、その上の極め付け。
なんとなんと、秩父さんがお2人と1回ずつデートしてくれまーす。」
聖司のその言葉を聞き、より一層表情を変える3人。不真面目コンビ2人に至っては、驚きと興奮で真っ赤になり、顔だけ劇画になったのかと思うほどに、変わるに変わっていた。
善太の方は「正気か?!」という表情ではあるが。
秩父 真帆 24歳。
今この場にはいないが、相津と同じく広報部(女性部門)に所属している美女。
その可憐さと裏表の無い明るい性格で、
組織内外で絶大な人気を誇る、まさに
『アイドル』な存在である。そして巨乳。
そんな真帆が、今まで口説きに口説いても軽くあしらわれてきた真帆が、
デートしてくれる。
それだけで、2人は乗らないワケがなかった。
「で僕が勝ったら、お2人は大人しく、文句を言わずに僕らに協力する。
…良いですね?」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる