LARGE NUMBER SQUAD

エルマー・ボストン

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第ニ章 スカラー化、頻発の兆し

局長・堂島 聖司の災難

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「えー、というわけで。
最新の研究結果によりまして、『怪人無法地帯』…もう間もなく起こりそうだなぁ、という感じですね。」

堂島 聖司どうじま せいじ 38歳
既婚、子持ち。

座右の銘は
「キッチリやることやってとっとと帰る」。

研究・開発が生き甲斐であるが、誰よりも何よりも、家族を1番に愛している。
そのため、彼が最高責任者である
『科学技術局』が、組織の中で最もホワイトな部署なのだ。

基本残業は無し。休日出勤はごく稀、年に1度あるか無いかである。
その他、有休や産休、育休の取得はバリバリに推奨している。

「我々にとって
『ヒマなことは良いことだ』
と思ってずっとやって来たけど、ついにこの時が来ましたかァー。
でも、榊原くんや堂島くん、本間くんを始めとするみんなのおかげで、対策が進んで…被害を以前よりは抑えることができそうですねェ…。」

ここはミーティングルーム。
中央に浮かぶホログラム・データを囲むように座り、参照しながら、聖司の解説を受け入れていく、欣二、一茶子、善太の3人。

「(良かった…俺の名前、入れてくれた…。忘れられてるかと思っていた。)」

「堂島局長、『間もなく』と言うと抽象的だが…。具体的な時期はわからないのですか?」

神妙な面持ちで胸を撫で下ろす善太と、真剣な眼差しで、みんなの愛猫ザ・ボスを抱き抱えて問いかける一茶子。

「勿論わかってますよ。ちょうど1年後…
来年の『七夕』の日ですな。この日にスカラー線量の増加が見込まれますので。」

ホログラム・データをスカラー線量についてまとめたものが、ルーム中央に表示される。

「ふむ…そこまでわかっているとは、流石ですねェ。…ちなみに、スカラー線量を減少させる、例の『バリア』の開発の進捗は、いかがですゥ?」

欣二は静かに緑茶をすする。

「それがそのォ…。開発は順調なんですが、『異能』による協力を仰ぐのが
よりにもよって『あの2人』なんで…
わりと難航してるんですよね…。

そこで、いくつかお願いがあるんですけど…。」









「初めまして、だよね?
僕のこと、知ってる?『組織の広告塔』って言えば分かるかな?
呼ばれたから仕方なく来たんだけど、おかげでキミみたいな可愛い子と知り合えた!来てよかったなぁ!
…今日この後、ヒマ?」


「おお~、久しぶりに来たが、白衣の別嬪さんがぎょうさんいるじゃないのォ~。
お嬢ちゃん、ちょっとお話せん?
お偉いさん方がさァ、こんな老体捕まえてさァ、わざわざここまで来させるんだよォ!
可哀想だと思わんかァ?」


「全く…ちょっと目を離せばコレだ…。」

ミーティングを終えた聖司は、善太に頼んで、共に科学技術局にやって来た。
そして2人が見たものは、
若い女性局員にちょっかいを出す、
イケメンと老人の姿であった。

「私が来ても邪魔になるだけかと思いましたが…来てよかった。」

すぐさま2人に睨みを効かせる善太。
が、イケメンと老人は善太に一瞬目を向けるも、意に介さず局員を口説き続ける。

「はいはい、やめたやめた。ウチの子たち困ってるから。」

イライラしながら、手を強くパンパンと叩き、注意を促す局長。
が、それでもやはり、2人は言うことを聞くことはなかった。

イケメンの方は
相津 幸太郎あいづ こうたろう
25歳。
広報部に所属する『スクワッド』である。そのルックスとファッションセンスで、自他ともに認める『広告塔』なのだが…
内面はご覧の通りである。

老人の方は
大河内 大五郎おおこうち だいごろう
88歳。
ラージナンバースクワッド創設メンバーであり、最長老である。
本来であれば長官を務めるほどの人物なのだが、『柄じゃない』と言って自ら辞退している。大正解であろう。


「やめなさい本当に!!
いい加減!今日こそ研究に協力してもらいますよ!!私らには、時間が残されて無いんだから!!」

善太が直立と厳しい目つきで見守る中、聖司は困り果てて半ば涙目になった女性局員に目線で合図を送り、その場から避難させた。そしてその場を去る局員たちに向かい手を合わせ、『ゴメン』とジェスチャーを送り、ひとまず不真面目コンビを椅子に座らせる。

「だからァ~、前も言ったじゃないですか堂島さん。僕、広報の業務で忙しいんですってば~。
どうせアレでしょう?司令の
『テレポートボム』みたいに、異能使うと疲れるやつでしょう?
僕そういうのイヤですって~。」

モデル体型のイケメンは、困り顔で自慢の金髪を掻き上げて見せる。


「俺ァ、見ての通りのじいさんだからよぅ?あんまり無理させないでほしいのよ。長生きできないと困るからなァ。」

腰の曲がったヨボヨボのじいさんは、つるつるのハゲ頭をペチペチと叩きながら戯ける。


「そう言うと思ってました。だから今回は『テレポートボム』とは違い、お2人の能力を『込める』のではなく、
『解析』して『再現』するんです。
地球を覆うほどのバリアですからね。そんなの発動し続けたり、定期的に能力の補給なんてしてたら、死んじゃいますから。」

ボサボサ頭をボリボリ掻きながら、苦手な2人を前にして怪訝な表情を浮かべる聖司。だが、地球を守るために、背に腹はかえられない。
聖司は手元にホログラムを表示させ、2人に見せながら解説を行なう。どうせ分かってなどいないだろうが。


「え~?死んじゃうほど危ないことさせようってこと~。だからイヤですって~?」

「そーじゃいそーじゃい。」

やいのやいのと五月蝿い、不真面目な2人。静かに見守る善太も、額に血管を浮かばせるほどにピクピクしている。

「はぁ。相変わらず、他人の話を聞かない連中だ。ま、分かってましたから?
今回はお2人の説得の…趣向を変えようと思いましてね。

…変身して、私と勝負しましょう。」


聖司のその言葉を聞き、表情を変える、善太を始めとする3人。


「…大丈夫、許可は得ています。
で、アナタ方が勝ったら、協力してくれなくて良いです。
で、その上の極め付け。
なんとなんと、秩父さんがお2人と1回ずつデートしてくれまーす。」

聖司のその言葉を聞き、より一層表情を変える3人。不真面目コンビ2人に至っては、驚きと興奮で真っ赤になり、顔だけ劇画になったのかと思うほどに、変わるに変わっていた。
善太の方は「正気か?!」という表情ではあるが。

秩父 真帆ちちぶ まほ 24歳。
今この場にはいないが、相津と同じく広報部(女性部門)に所属している美女。
その可憐さと裏表の無い明るい性格で、
組織内外で絶大な人気を誇る、まさに
『アイドル』な存在である。そして巨乳。

そんな真帆が、今まで口説きに口説いても軽くあしらわれてきた真帆が、
デートしてくれる。

それだけで、2人は乗らないワケがなかった。


「で僕が勝ったら、お2人は大人しく、文句を言わずに僕らに協力する。
…良いですね?」
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