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第一話 未知との大遭遇
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「お嬢様、危険です!早く避難を!ここもいつ巻き込まれるか分かりません!」
山田が、スタードレッドのコックピットで叫ぶ。渋谷の街には、それなりの悲鳴が響いていた。爆発音や落下物、瓦礫の出来上がる音、いつもと違うやかましさが、東京を襲う。
「何言ってるのよ山田!まさか、まさかこんなに早く、開発の意義が出るとは思ってなかったけど…!きっと、今がその時なのよ!スターウェイブの開発はこの時のために・・・あっまたビームだ!」
本社前から割と距離はあるものの、宇宙船からの断続的なビーム、そしてロボットの降下ははっきりと見えていた。
そして宇宙船の進行は、彗たちのスタークラウン方面へと徐々に迫りつつあった。
「山田。スタードレッド、出しなさい!早く!」
彗は、喜びと不安の入り混じった声で呟く。
「なっ、お嬢様!そんなバカな!それに、私のことは『南 光輝』とお呼びくださいとあれほど!」
事情はわからないが、南は必死に懇願する。
その姿は鬼気迫るものがあった。
「あぁーもうめんどくさいわね!わかったわ、ドレッドを出したら、そう呼んであげる!ヤ・マ・ダ!」
あからさまに山田を焚き付ける彗。しかし、その効果は充分であった。
「その言葉、お忘れなく!南、スタードレッド!発進致しま」
「待って山田!何か来る!」
彗は山田なのか南なのかよくわからない男を制止した。
「うおォォスゲェ!スゲェスピードだ!最高だぜアルティランダァァーーー!!」
彗の眼に映ったのは、一陣の風と化して宇宙船目掛けて走って行く、アルティランダー・ストライクモードであった。
「な・・・何よアレ・・・!」
「ハーッハー!ニポンの皆さーん、どうするのかなー?!このまま破壊の限りを尽くされてもいいのかなー?!」
ガッツの高笑いはまだ続いていた。しかし、その割には被害をあまり出していない様子である。ビームの出力も、かなり控えめであった。
「ねーアニキ、ちまちまやり過ぎじゃない?もっとこう、ヤバいワルっぽくやった方が手っ取り早いっしょ。」
ジャネットがダルそうに、バンキッシュと呼ばれたロボットの中から、ガッツの地球征服方針に疑問を呈す。
「甘いなジャネットよ。地球のネット上では侵略だの何だの言われているが、俺様たちはあくまでも『交渉』に来たのだ。俺様たちの『国』を作らせろ、とな!なのに、人を殺めては寝覚めが悪かろう。
そして、国には労働力や価値ある建物が無ければ、無意味なのだ!
で!俺様は、地球征服、などとは一言も言ってない。」
ガッツは腕を組み、ふっ、と嘲笑う。
彼の中では、重要な要素らしい。だが、「地球を頂きに」と言われれば、征服だと思われても仕方がないのではなかろうか。
「アタシには違いがわからないんだけどさー、このままだとめっちゃ時間かかりそーじゃね?早く終わらせようよ。大して科学力も無さそうだし、対抗手段ないっしょ。」
ジャネットは、ダルそうに出力控えめのビームを撃ち続け、ゆっくりと進む。あえて人のいないところに。
信号機や看板、建物の屋上部分辺りを主に狙い、まるで破壊をしまくっているように見せつける。そんな演出のようだった。
「おっ。アニキ、何か来るみたぁい。」
そう、アルティランダーだ。
疾風となった総司が、ガッツたち宇宙マシンに迫る。
「止まれ!そこのマシン。ほぅ、こんな片田舎の駄星にしてはいい機体じゃないか。まさかとは思うが、お前がニポンの偉い人かァ?!」
ガッツが嬉々として叫ぶ。
そこには、自分たちの科学力、そして自分自身の能力に対する絶対の自信が込められていた。
「うわぁ、日本語喋ってる!・・・あー、マイクテスマイクテス。・・・俺は偉い人じゃねぇ!だが!アお前らの地球侵略をォ!止めに来たァ、モンだァー!」
ケレン味溢れるテイストで、宇宙人相手に退く姿勢を見せない総司。完全にテンションが振り切れていた。
繰り返すが、宇宙船にスゴい翻訳機能が搭載されているのだ。
「おっと、正義の味方さんだったかな?どこの星にもいるのなぁ、お前みたいなバカ。・・・お呼びじゃない、引っ込んでろ!
で!俺様たちの目的は、侵略ではない!」
ガッツはナメきった態度で総司を一笑し、アルティランダーの前方に威嚇射撃を見舞った。
「あっ、ぶねぇ!クソッ、こんなので傷つけられてたまるか!何だよ、イキリ宇宙人め!」
バックして華麗にかわした総司は、ガッツに怒りを露わにする。
「面白そうなのが出てきたけど、そんな変な車でアタシたちをどうしようっての?キャア、こわ~い。」
ジャネット操るバンキッシュからも、控えめビームが何発か、総司に送られる。しかし総司はそれらを、巧みな操縦技術で全て回避するのであった。
「なんっだよ、礼儀のなってねぇ宇宙人どもだな!鉄矢の方がよっぽど出来たやつだぜ。」
総司が苛立つと同時に、
「そりゃ僕は、何てったって挨拶のプロだからね!」
コックピット左側のモニターに、鉄矢の顔が映し出された。
「うおっ、ビックリした!おおっ?もしかして、こっちの状況見えてるのか?!」
「おう、内部と外部のカメラで全部な!」
士郎の大きな顔も、画面狭しと映し出された。
「総司さん、無理はしないでね。こうなったら、好きなようにとことんやって!建物は壊しちゃダメよ?!」
百合子が、心配そうに微笑んで、親指を立てている。
「わかった、ありがとう百合ちゃん!変形だ!」
「行ったれ行ったれ!」
「頑張れ兄ちゃん!」
「夕ご飯作って待ってるから!」
コックピットが途端に騒がしくなるとともに、総司が叫ぶ。
「GO!アルティランダー・アタックモォォォード!!!」
やはりわずか数秒で、車両形態から人型に変形を成したアルティランダー。そして完了と同時に、バンキッシュに飛び掛かる。
「こンのヤロォー!!」
地球の拳が、宇宙人のボディーに、鈍い金属音と共に直撃する。
山田が、スタードレッドのコックピットで叫ぶ。渋谷の街には、それなりの悲鳴が響いていた。爆発音や落下物、瓦礫の出来上がる音、いつもと違うやかましさが、東京を襲う。
「何言ってるのよ山田!まさか、まさかこんなに早く、開発の意義が出るとは思ってなかったけど…!きっと、今がその時なのよ!スターウェイブの開発はこの時のために・・・あっまたビームだ!」
本社前から割と距離はあるものの、宇宙船からの断続的なビーム、そしてロボットの降下ははっきりと見えていた。
そして宇宙船の進行は、彗たちのスタークラウン方面へと徐々に迫りつつあった。
「山田。スタードレッド、出しなさい!早く!」
彗は、喜びと不安の入り混じった声で呟く。
「なっ、お嬢様!そんなバカな!それに、私のことは『南 光輝』とお呼びくださいとあれほど!」
事情はわからないが、南は必死に懇願する。
その姿は鬼気迫るものがあった。
「あぁーもうめんどくさいわね!わかったわ、ドレッドを出したら、そう呼んであげる!ヤ・マ・ダ!」
あからさまに山田を焚き付ける彗。しかし、その効果は充分であった。
「その言葉、お忘れなく!南、スタードレッド!発進致しま」
「待って山田!何か来る!」
彗は山田なのか南なのかよくわからない男を制止した。
「うおォォスゲェ!スゲェスピードだ!最高だぜアルティランダァァーーー!!」
彗の眼に映ったのは、一陣の風と化して宇宙船目掛けて走って行く、アルティランダー・ストライクモードであった。
「な・・・何よアレ・・・!」
「ハーッハー!ニポンの皆さーん、どうするのかなー?!このまま破壊の限りを尽くされてもいいのかなー?!」
ガッツの高笑いはまだ続いていた。しかし、その割には被害をあまり出していない様子である。ビームの出力も、かなり控えめであった。
「ねーアニキ、ちまちまやり過ぎじゃない?もっとこう、ヤバいワルっぽくやった方が手っ取り早いっしょ。」
ジャネットがダルそうに、バンキッシュと呼ばれたロボットの中から、ガッツの地球征服方針に疑問を呈す。
「甘いなジャネットよ。地球のネット上では侵略だの何だの言われているが、俺様たちはあくまでも『交渉』に来たのだ。俺様たちの『国』を作らせろ、とな!なのに、人を殺めては寝覚めが悪かろう。
そして、国には労働力や価値ある建物が無ければ、無意味なのだ!
で!俺様は、地球征服、などとは一言も言ってない。」
ガッツは腕を組み、ふっ、と嘲笑う。
彼の中では、重要な要素らしい。だが、「地球を頂きに」と言われれば、征服だと思われても仕方がないのではなかろうか。
「アタシには違いがわからないんだけどさー、このままだとめっちゃ時間かかりそーじゃね?早く終わらせようよ。大して科学力も無さそうだし、対抗手段ないっしょ。」
ジャネットは、ダルそうに出力控えめのビームを撃ち続け、ゆっくりと進む。あえて人のいないところに。
信号機や看板、建物の屋上部分辺りを主に狙い、まるで破壊をしまくっているように見せつける。そんな演出のようだった。
「おっ。アニキ、何か来るみたぁい。」
そう、アルティランダーだ。
疾風となった総司が、ガッツたち宇宙マシンに迫る。
「止まれ!そこのマシン。ほぅ、こんな片田舎の駄星にしてはいい機体じゃないか。まさかとは思うが、お前がニポンの偉い人かァ?!」
ガッツが嬉々として叫ぶ。
そこには、自分たちの科学力、そして自分自身の能力に対する絶対の自信が込められていた。
「うわぁ、日本語喋ってる!・・・あー、マイクテスマイクテス。・・・俺は偉い人じゃねぇ!だが!アお前らの地球侵略をォ!止めに来たァ、モンだァー!」
ケレン味溢れるテイストで、宇宙人相手に退く姿勢を見せない総司。完全にテンションが振り切れていた。
繰り返すが、宇宙船にスゴい翻訳機能が搭載されているのだ。
「おっと、正義の味方さんだったかな?どこの星にもいるのなぁ、お前みたいなバカ。・・・お呼びじゃない、引っ込んでろ!
で!俺様たちの目的は、侵略ではない!」
ガッツはナメきった態度で総司を一笑し、アルティランダーの前方に威嚇射撃を見舞った。
「あっ、ぶねぇ!クソッ、こんなので傷つけられてたまるか!何だよ、イキリ宇宙人め!」
バックして華麗にかわした総司は、ガッツに怒りを露わにする。
「面白そうなのが出てきたけど、そんな変な車でアタシたちをどうしようっての?キャア、こわ~い。」
ジャネット操るバンキッシュからも、控えめビームが何発か、総司に送られる。しかし総司はそれらを、巧みな操縦技術で全て回避するのであった。
「なんっだよ、礼儀のなってねぇ宇宙人どもだな!鉄矢の方がよっぽど出来たやつだぜ。」
総司が苛立つと同時に、
「そりゃ僕は、何てったって挨拶のプロだからね!」
コックピット左側のモニターに、鉄矢の顔が映し出された。
「うおっ、ビックリした!おおっ?もしかして、こっちの状況見えてるのか?!」
「おう、内部と外部のカメラで全部な!」
士郎の大きな顔も、画面狭しと映し出された。
「総司さん、無理はしないでね。こうなったら、好きなようにとことんやって!建物は壊しちゃダメよ?!」
百合子が、心配そうに微笑んで、親指を立てている。
「わかった、ありがとう百合ちゃん!変形だ!」
「行ったれ行ったれ!」
「頑張れ兄ちゃん!」
「夕ご飯作って待ってるから!」
コックピットが途端に騒がしくなるとともに、総司が叫ぶ。
「GO!アルティランダー・アタックモォォォード!!!」
やはりわずか数秒で、車両形態から人型に変形を成したアルティランダー。そして完了と同時に、バンキッシュに飛び掛かる。
「こンのヤロォー!!」
地球の拳が、宇宙人のボディーに、鈍い金属音と共に直撃する。
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